D型肝炎は、血液や他の体液への接触によって広がります。
D型肝炎の同時感染によって、通常はB型肝炎の症状が悪化します。
D型慢性肝炎の診断は、血液検査の結果に基づいて下されます。
D型急性肝炎に対して特別な治療法はありませんが、D型慢性肝炎の治療はインターフェロンアルファによって行われることがあります。
(肝炎の概要 肝炎の概要 肝炎は肝臓の炎症です。 ( 急性ウイルス性肝炎の概要と 慢性肝炎の概要も参照のこと。) 肝炎は世界中でみられる病気です。 肝炎には以下の種類があります。 急性(経過が短い) さらに読む 、 急性ウイルス性肝炎の概要 急性ウイルス性肝炎の概要 急性ウイルス性肝炎は、5種類の肝炎ウイルスのいずれかの感染によって肝臓に炎症が起きる病気です。多くの場合、炎症は突然始まり数週間続きます。 症状は、何もみられない場合から重症の場合まであります。 感染すると、食欲不振、吐き気、嘔吐、発熱、右上腹部の痛み、黄疸などの症状がみられます。 医師は、肝炎の診断を下しその原因を特定するための血液検査を行います。 ワクチンはA型、B型、E型の肝炎を予防できます(E型肝炎ワクチンは中国でのみ利用可能)... さらに読む 、 慢性肝炎の概要 慢性肝炎の概要 慢性肝炎は、肝臓の炎症が最低6カ月以上持続する病気です。 一般的な原因としては、B型およびC型肝炎ウイルス、特定の薬などがあります。 ほとんどの場合は無症状ですが、全身のけん怠感、食欲不振、疲労などの漠然とした症状がみられることもあります。 慢性肝炎は、肝硬変のほか、最終的には肝臓がんや肝不全に進行することがあります。 診断を確定するために生検が行われることもありますが、慢性肝炎は通常、血液検査の結果に基づいて診断が下されます。 さらに読む 、 B型肝炎[急性] B型肝炎(急性) B型急性肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因とし、持続期間が数週間から最大で6カ月の肝臓の炎症です。 B型肝炎は、違法薬物の注射を目的として滅菌していない針を共用した場合にみられるように、感染した人の血液などの体液と接触することで感染します。 B型肝炎はウイルス性肝炎の典型的な症状(食欲不振、全身のけん怠感、黄疸など)を引き起こし、劇症肝炎と呼ばれる重症の肝炎も生じることがあります。... さらに読む 、 B型肝炎[慢性] B型肝炎(慢性) B型慢性肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因とし、6カ月以上持続している肝臓の炎症です。 ほとんどのB型慢性肝炎患者では症状がありませんが、全身のだるさを感じ、疲れを覚え、食欲を失う場合もあります。 B型慢性肝炎があると肝臓がんのリスクが増大します。 血液検査の結果に基づいてB型肝炎の診断が下され、ときとして肝傷害の程度を確認するために肝生検が行われます。 B型慢性肝炎の患者には必ずしも治療が必要なわけではありませんが、B型慢性肝炎によって肝... さらに読む も参照のこと。)
D型肝炎は米国では比較的まれです。短期間しか持続しない急性感染の場合もあれば、6カ月を超えて持続する慢性感染の場合もあります。
D型肝炎は、 B型急性肝炎 B型肝炎(急性) B型急性肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因とし、持続期間が数週間から最大で6カ月の肝臓の炎症です。 B型肝炎は、違法薬物の注射を目的として滅菌していない針を共用した場合にみられるように、感染した人の血液などの体液と接触することで感染します。 B型肝炎はウイルス性肝炎の典型的な症状(食欲不振、全身のけん怠感、黄疸など)を引き起こし、劇症肝炎と呼ばれる重症の肝炎も生じることがあります。... さらに読む または B型慢性肝炎 B型肝炎(慢性) B型慢性肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因とし、6カ月以上持続している肝臓の炎症です。 ほとんどのB型慢性肝炎患者では症状がありませんが、全身のだるさを感じ、疲れを覚え、食欲を失う場合もあります。 B型慢性肝炎があると肝臓がんのリスクが増大します。 血液検査の結果に基づいてB型肝炎の診断が下され、ときとして肝傷害の程度を確認するために肝生検が行われます。 B型慢性肝炎の患者には必ずしも治療が必要なわけではありませんが、B型慢性肝炎によって肝... さらに読む との同時感染でのみ発生します。D型肝炎ウイルスは不完全なウイルスで、増殖するためにB型肝炎ウイルスの助けを必要とします。
世界中で、約1500万~2000万人がB型慢性肝炎とD型肝炎の同時感染にかかっています。
D型肝炎の感染
D型肝炎は、血液や他の体液への接触によって広がります。D型肝炎の感染が最も多く起こるのは、違法薬物の注射を目的として滅菌していない針を共用したときです。性行為によっても広がる可能性があります。
症状
D型肝炎の同時感染によって、通常はB型肝炎が重症化します。
B型肝炎とD型肝炎の慢性的な同時感染では、治療しないでいると、肝臓の重度の瘢痕化(肝硬変 肝硬変 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的な アルコール乱用、 慢性ウイルス性肝炎、 飲酒によらない脂肪肝です。 食欲不振、体重減少、疲労、全身のけん怠感などの症状が現れます。 腹部への体液の貯留( 腹水)、... さらに読む )が起こることがあります。
B型肝炎とD型肝炎の同時感染の結果、 劇症肝炎 症状 (非常に重度の肝炎)に至ることがあります。劇症肝炎は非常に速く進行することがあります。正常であれば肝臓で除去されるはずの有害物質が血液中に蓄積して脳に到達し、 肝性(門脈大循環性)脳症 肝性脳症 肝性脳症は、重度の肝疾患がある人において、正常なら肝臓で除去されるはずの有害物質が血液中に蓄積して脳に達することで、脳機能が低下する病気です。 肝性脳症は、長期にわたる(慢性の)肝疾患がある患者に発生します。 肝性脳症は、消化管での出血、感染症、処方薬を正しく服用しないこと、その他のストレスによって誘発されます。 錯乱、見当識障害、眠気が起こるとともに、性格、行動、気分の変化がみられます。... さらに読む を引き起こします。数日から数週間で昏睡状態に陥る可能性があります。劇症肝炎は死に至ることがあり、成人では特に死亡リスクが高まります。
診断
血液検査
D型肝炎は以下の場合に疑われます。
B型慢性肝炎が典型的な場合よりはるかに急速に進行する場合。
D型肝炎が疑われる場合、D型肝炎ウイルスに反応して患者の免疫系によって作られた抗体を検出するための血液検査を行い、診断を確定します。
予防
リスクの高い行動(注射針の共用や複数のセックスパートナーをもつことなど)を避ければ、B型肝炎とD型肝炎の予防に役立ちます。
D型肝炎に対するワクチンはありません。しかし、すでにB型肝炎にかかっていなければ、 B型肝炎ワクチン B型肝炎ワクチン B型肝炎ワクチンは B型肝炎とその合併症( 慢性肝炎、 肝硬変、 肝臓がん)の予防に役立ちます。 一般に、B型肝炎は A型肝炎より重篤で、死に至ることもあります。症状は軽度のこともあれば、重度のこともあります。食欲減退、吐き気、疲労などがみられます。5~10%の患者ではB型肝炎が慢性化し、肝硬変や肝臓がんに進行することがあります。 詳細については、CDCによるB型肝炎ワクチン説明書(Hepatitis... さらに読む の接種を行い、B型肝炎だけでなくD型肝炎も予防することができます。
治療
一般的な対策
インターフェロンアルファ(抗ウイルス薬)
飲酒によってさらに肝臓が障害されるため、D型肝炎の患者は禁酒すべきです。特定の食べものを避けたり活動を制限したりする必要はありません。
D型肝炎を含め、急性ウイルス性肝炎に対する特別な治療法はありません。
D型慢性肝炎の治療はインターフェロンアルファによって行うことがあります。
劇症肝炎が生じた場合、 肝移植 肝移植 肝移植とは、健康な肝臓またはときに生きている人から肝臓の一部を手術で摘出し、肝臓が機能しなくなった人に移植することです。 ( 移植の概要も参照のこと。) 肝移植は2番目に多い臓器移植です。肝臓が機能しなくなった人々に残された唯一の選択肢です。 完全な形の肝臓は死亡した人からしか提供を受けられませんが、肝臓の一部であれば生きているドナーでも提供できます。移植用の肝臓は摘出後、最長で18時間保存できます。... さらに読む が最も効果的な治療法であり、(特に成人にとって)生存できる望みが最も大きいものです。