通常は、病歴聴取と身体診察の結果に基づいて、消化器疾患の有無が判断できます。その後医師は、診断の確定、病気の範囲や重症度の判定、治療の計画に役立つ適切な処置を選ぶことができます。
病歴聴取
医師は、問診で病歴を確認し、さらに詳しい情報を得るために具体的な質問をすることで、症状を特定します。例えば、腹痛がある患者に対しては、最初に「どのような痛みですか」と尋ねることがあります。この後に、「食後に痛みが和らぎますか」や「動くと痛みが強くなりますか」といった質問を続けることもあります。
身体診察
医師はまず、腹部を様々な角度から観察して、腹壁の腫れ(膨隆)がないか確認し、膨隆がある場合は、臓器の異常な成長や腫大を伴っている可能性があります。腹部に聴診器をあて、腸内を内容物が移動する正常な音や、それ以外に異常な音がしないかを聴きます。医師は触診を行って、腹部に圧痛、異常なかたまり、臓器の腫大がないかを調べます。腹部をやさしく圧迫することで生じる痛みや、圧迫をやめたときに強くなる痛み(反跳痛)があれば、腹腔の内面に炎症やときに感染症が起きていることが疑われます(腹膜炎 腹膜炎 腹痛はよく起こりますが、多くの場合軽度です。しかし、強い腹痛が急に起きた場合は、ほとんどが重大な問題であることを示しています。このような腹痛は、手術が必要なことを示す唯一の徴候であるかもしれず、速やかに診察を受ける必要があります。高齢者やHIV感染者、免疫抑制薬(コルチコステロイドなど)を使用している人では、同じ病気の若い成人や健康な成人よりも腹痛が弱いことがあり、病状が重篤な場合でも腹痛がよりゆっくり発症することがあります。幼い子ども... さらに読む )。
手袋をはめた指で肛門と直腸の診察が行われ、少量の便のサンプルを検査して見た目では分からない血液(潜血)が便に混じっていないか確認することがあります。女性では、 内診 内診 婦人科の診療では、性生活、避妊、妊娠、更年期に関する問題などのデリケートな事柄を扱うため、こうした内容について気兼ねなく相談できる専門家を選んでおくべきです。米国では、医師、助産師、ナースプラクティショナー、医師助手などが受診先となっています。 婦人科の評価には 婦人科の病歴聴取および婦人科の診察が含まれます。 婦人科の診察とは具体的には女性の生殖器系の診察を指しますが、婦人科を受診した際に医師(またはその他の医療従事者)は、より一般的... さらに読む が消化器系の問題か婦人科系の問題かの区別に役立つことがよくあります。
心理学的評価
消化器系と脳は高度の相互作用を有するため(心と体の相互作用 心と体の相互作用 心と体の相互作用は強力で、その人の健康にも影響を与えます。 消化器系は心(脳)によって強く支配されているため、不安、抑うつ、恐怖は消化器系の機能に大きく影響します。社会的、精神的ストレスが原因で、 糖尿病、 高血圧、 片頭痛など、たくさんの種類の病気が引き起こされ、悪化します。しかし、精神的要因がどの程度影響しているかは、同じ疾患のある人の間でも大きく異なります。 ほとんどの人は直感や個人的経験から、精神的ストレスが身体的な病気を引き起... さらに読む )、消化器の問題を評価する際に心理学的評価が必要になることがあります。この場合、消化器の問題が気のせいや仮病によるものであるという意味ではありません。むしろ、消化器の問題は不安や抑うつ、その他の治療可能な精神障害の結果として起こることがあます。このような病気は、消化管の収縮の活発さや、このような感覚に対する感受性に影響を与える可能性があります。