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消化器系への加齢の影響

執筆者:

Michael Bartel

, MD, PhD, Fox Chase Cancer Center, Temple University

レビュー/改訂 2022年 10月
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消化器系には予備的な機能が多く備わっているため、加齢による機能面の影響は他の器官系より少ないです。それでも、消化器系のいくつかの病気では、加齢が要因の1つになっています。特に高齢者では、 憩室症 大腸の憩室症 憩室(けいしつ)症は風船状の袋(憩室)が1つ以上ある状態で、通常は大腸(結腸)に起こります。 憩室症の原因は不明ですが、食事、体を動かさない生活習慣、肥満、喫煙、特定の薬の使用に関連している可能性があります。 腸の筋層のけいれんが憩室を引き起こすと考えられています。 通常、憩室では症状はみられませんが、ときに炎症や出血が起こり、血便や下血が生じる場合もあります。 診断は、一般に大腸内視鏡検査またはCT検査によって確定します。 さらに読む 大腸の憩室症 (けいしつしょう)が発生したり、特定の薬の副作用として消化管の病気(例えば 便秘 便秘 便秘は、排便しにくい、排便回数が少ない、便が硬い、または排便後に直腸が完全に空になっていない感覚(残便感)がある状態です。( 小児の便秘も参照のこと。) 便秘には急性のものと慢性のものがあります。急性便秘は突然起こり、はっきりと現れます。慢性便秘は、徐々に始まり数カ月ないし数年間持続することがあります。 毎日排便しなければ便秘だと思う人はたくさんいます。しかし、誰にとっても毎日排便があることが正常というわけではありません。1日1~3回の... さらに読む 結腸と直腸 結腸と直腸 消化器系には予備的な機能が多く備わっているため、加齢による機能面の影響は他の器官系より少ないです。それでも、消化器系のいくつかの病気では、加齢が要因の1つになっています。特に高齢者では、 憩室症(けいしつしょう)が発生したり、特定の薬の副作用として消化管の病気(例えば 便秘― 結腸と直腸を参照)がみられたりする可能性が高まります。 ( 消化器系の概要も参照のこと。) 加齢に伴い、... さらに読む を参照)がみられたりする可能性が高まります。

食道

加齢に伴い、損傷に対する胃の粘膜の抵抗力が弱まってくることから、 消化性潰瘍 消化性潰瘍 消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の内面が胃酸や消化液で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。 消化性潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染や、胃や十二指腸の粘膜を衰弱させる薬によって生じることがあります。 潰瘍による不快感が生じたり消えたりしますが、この不快感は食べることで胃酸が分泌されるために食後に起こる傾向があります。... さらに読む 消化性潰瘍 のリスクが高まることがあり、特にアスピリンやその他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を服用している人でよくみられます。また、加齢とともに 胃は、豆のような形をした、筋肉でできた大きな中空の臓器で、以下の4つの部分で構成されます。 噴門部(ふんもんぶ) 底部 体部 前庭部 さらに読む の弾力性が低下するため、胃に以前と同じ量の食べものを入れることができなくなり、小腸に食べものを送り出す速度も低下します。しかし一般的には、これらの変化は目立った症状を引き起こしません。胃酸やペプシンなどの胃液の成分を分泌する機能が加齢の影響を受けることはほとんどありませんが、 萎縮性胃炎 原因 原因 のような胃酸の分泌を減少させる病気が多くなります。このような病気になると、 ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12欠乏症は、サプリメントを摂取しない完全な菜食主義者に発生したり、吸収障害の結果として発生することがあります。 貧血が起こり、蒼白、筋力低下、疲労が生じ、重度の場合には息切れやめまいも起こります。 重度のビタミンB12欠乏症によって神経の損傷が起きることがあり、手足のピリピリ感や感覚消失、筋力低下、反射消失、歩行困難、錯乱、認知症が起こります。 ビタミンB12欠乏症の診断は、血液検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む 小腸内細菌異常増殖症 小腸内細菌異常増殖症(SIBO) 小腸内細菌異常増殖症とは、小腸の内容物の動きが悪いために、ある種の腸内常在細菌が過剰に増殖し、下痢や栄養素の 吸収不良を起こす病気です。 体の状態や病気の中には、腸の内容物が腸内を進む動きを遅らせたり、止めたりするものがあります。 腹部不快感、下痢、腹部膨満、過度の放屁(ほうひ)がみられます。 診断は症状、とりわけ特定の手術を受けた人や特定の病気がある人に現れた症状に加え、呼気試験や腸液の培養検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む などの問題が起こる可能性があります。

小腸

小腸 小腸 十二指腸は小腸の最初の部分で、胃から食べものが運ばれます。食べものは、幽門(ゆうもん)括約筋を通って、小腸が消化できるように少しずつ十二指腸に送られます。いっぱいになっているときには、十二指腸は食べものを送らないように胃に合図を送ります。 ( 消化器系の概要も参照のこと。) 十二指腸は、 膵臓(すいぞう)から分泌される膵酵素と、 肝臓と 胆嚢(たんのう)から分泌される胆汁を受け取ります。この2種類の消化液は、ファーター膨大部(ぼうだいぶ... さらに読む の構造は加齢による影響をわずかしか受けないため、内容物の通過や大半の栄養素の吸収に大きな変化はみられませんしかし、ラクターゼの量が減少するため、高齢者では乳製品をうまく消化できない人が多くなります(乳糖不耐症 乳糖不耐症 乳糖不耐症とは、消化酵素のラクターゼの欠乏により乳糖が消化できない状態のことで、下痢や腹部のけいれん痛を起こします。 乳糖不耐症は酵素のラクターゼが欠乏しているために起こります。 小児における症状には、下痢と体重増加の遅れなどがあり、成人における症状には、腹部の膨満やけいれん痛、下痢、鼓腸、吐き気などがあります。 診断は、乳製品を摂取した後に症状が現れることを確認することに基づいて下され、水素呼気試験で確定できます。... さらに読む )。腸の中で特定の細菌が過剰に繁殖する病気(小腸内細菌異常増殖症 小腸内細菌異常増殖症(SIBO) 小腸内細菌異常増殖症とは、小腸の内容物の動きが悪いために、ある種の腸内常在細菌が過剰に増殖し、下痢や栄養素の 吸収不良を起こす病気です。 体の状態や病気の中には、腸の内容物が腸内を進む動きを遅らせたり、止めたりするものがあります。 腹部不快感、下痢、腹部膨満、過度の放屁(ほうひ)がみられます。 診断は症状、とりわけ特定の手術を受けた人や特定の病気がある人に現れた症状に加え、呼気試験や腸液の培養検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む )も加齢とともに多くなり、腹痛、腹部膨満、体重減少の原因になります。また、細菌が増えすぎると、ビタミンB12、鉄、カルシウムなど特定の栄養素の吸収が低下することもあります。

膵臓、肝臓、胆嚢

膵臓 膵臓 膵臓(すいぞう)は以下の2種類の腺組織を含む臓器です。 膵腺房(すいせんぼう) ランゲルハンス島 ( 消化器系の概要も参照のこと。) 膵腺房では消化酵素がつくられます。ランゲルハンス島ではホルモンがつくられます。膵臓は消化酵素を十二指腸へ、ホルモンを血液中へ分泌します。 さらに読む 膵臓 (すいぞう)は加齢とともに重さが減少し、組織の一部が瘢痕(はんこん)に置き換わります(線維化)。しかし、この変化によって膵臓の消化酵素と炭酸水素ナトリウムを生産する能力が低下することはありません。 肝臓 肝臓 肝臓は、くさび形をした体内で最も大きな臓器で、いくつかの点で、最も複雑な働きを担っています。肝臓は、いわば化学工場のような役割を果たしており、体内の化学物質の量の調節から、出血が起こったときの凝固因子(血液を凝固させる物質)の生産まで、生命維持に必要な多くの機能を発揮しています。( 肝臓と胆嚢の概要も参照のこと。) 肝臓では、体内のコレステロールの約半分が作られています。残りは食物に由来します。肝臓で作られるコレステロールの大部分は胆汁... さらに読む 胆嚢 胆嚢と胆管 胆嚢(たんのう)は、洋ナシのような形をした、筋肉でできた小さな袋状の臓器で、胆汁を蓄える機能があり、胆道と呼ばれる管で肝臓とつながっています。( 肝臓と胆嚢の概要も参照のこと。) 胆汁(たんじゅう)は、緑がかった黄色の粘り気のある液体です。胆汁には、胆汁酸塩、電解質(ナトリウムや重炭酸塩など可溶性の荷電粒子)、胆汁色素、コレステロール、その他の脂肪(脂質)が含まれています。胆汁には主に2つの働きがあります。... さらに読む 胆嚢と胆管 (たんのう)では、加齢により構造的な変化や顕微鏡レベルの微細な変化(肝臓への加齢の影響 肝臓への加齢の影響 年齢を重ねると、肝臓にはいくつかの構造的な変化や、顕微鏡レベルの変化が起こります。(肝臓と胆嚢[たんのう]の通常の機能に関する説明については 肝臓と胆嚢の概要も参照のこと。)例えば、肝臓の色は明るい茶色から暗い茶色に変化します。サイズは次第に小さくなり、血流量も減少していきます。しかし、 肝臓の検査の結果は、全般的に正常のまま保たれます。 肝臓が様々な物質を代謝する働きは、年齢を重ねるにつれて衰えていきます。そのためある種の薬は、高齢者... さらに読む も参照)がいくつか生じます。

結腸と直腸

結腸 大腸 大腸は以下の部分で構成されています。 盲腸と上行結腸(右側) 横行結腸 下行結腸(左側) S状結腸(直腸と接続している部分) さらに読む には加齢に伴う変化はあまり起こりませんが、 直腸 直腸と肛門 直腸は大腸の終わりのS状結腸に続く部分から始まり、最後は肛門へと続く管腔です( 肛門と直腸の概要)。普通、便は下行結腸にとどまっているため、直腸は空になっています。やがて、下行結腸がいっぱいになり、便が直腸に下りてくると便意が起こります(排便)。成人や年長児はトイレに行くまで便意を我慢することができます。乳児や幼児では、排便を遅らせるのに必要な筋肉の制御が足りません。 肛門は消化管の最後に位置する開口部で、体から便を排泄する場所です。肛... さらに読む はいくらか大きくなります。便秘が起こりやすくなり(便秘:高齢者での重要事項 高齢者での重要事項 便秘は、排便しにくい、排便回数が少ない、便が硬い、または排便後に直腸が完全に空になっていない感覚(残便感)がある状態です。( 小児の便秘も参照のこと。) 便秘には急性のものと慢性のものがあります。急性便秘は突然起こり、はっきりと現れます。慢性便秘は、徐々に始まり数カ月ないし数年間持続することがあります。 毎日排便しなければ便秘だと思う人はたくさんいます。しかし、誰にとっても毎日排便があることが正常というわけではありません。1日1~3回の... さらに読む も参照)、以下のような多くの要因が便秘を引き起こします。

  • 大腸を通過する内容物の動きがわずかに遅くなる

  • 便がたまったときの直腸の収縮がいくらか弱くなる

  • 便秘を引き起こす可能性のある薬剤の使用頻度が増える

  • しばしば運動や身体活動が減ってしまう

  • 高齢女性では骨盤底弛緩(こつばんていしかん)が起こる

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