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旅行者下痢症

(ツリスタ)

執筆者:

Thomas G. Boyce

, MD, MPH, University of North Carolina School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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旅行者下痢症は、上水道の整備が不十分な国や地域へ旅行した人によくみられ、下痢、吐き気、嘔吐を特徴とします。

胃腸炎の概要も参照のこと。)

  • 旅行者下痢症の原因には、細菌、寄生虫、ウイルスがあります。

  • 通常、この病気の原因となる微生物は食べものや水から感染し、特に水道水が十分に処理されていない可能性のある発展途上国で発生します。

  • 吐き気、嘔吐、腹部けいれん、下痢が様々な重症度で起こります。

  • 診断は通常、医師の診察に基づいて下されますが、ときに微生物を調べるための便検査が行われます。

  • 予防法は、ボトル入りの炭酸飲料だけを飲み、加熱調理されていない野菜や果物を避け、氷は使わず、歯磨きにはボトル入りの水を使うことなどです。

  • 治療としては、安全な水分を十分に摂取し、ときには下痢止め薬や抗菌薬を服用します。

旅行者下痢症は、旅行者が今までほとんど接したことがなく、したがって免疫がない細菌や、頻度は少ないもののウイルスや寄生虫に接したときに起こります。通常、食べものや水(食べものを洗うために使用される水を含む)から微生物に感染します。旅行者下痢症はほとんどの場合、水道水の処理が不十分な発展途上国でみられます。旅行者下痢症の原因として最も可能性の高い微生物は大腸菌 Escherichia coliE. coli)であり、特にある種の毒素を産生する種類の大腸菌と、ノロウイルスなどの数種類のウイルスが原因としてよくみられ、ノロウイルスは大型客船で特に問題となっています。

旅行者がその地域の水を飲まないようにしても、水洗いが不適切な歯ブラシで歯を磨いたり、ボトル入りの飲みものに地元の水で作った氷を入れて飲んだり、地元の水で不適切に処理したり洗ったりした食べものを摂取することで感染する場合があります。

症状

旅行者下痢症では以下の症状がどんな組合せでも生じることがあり、その重症度も様々です。

  • 吐き気

  • 嘔吐

  • 腸のゴロゴロという音

  • 腹部けいれん

  • 下痢

  • 発熱

症状は汚染された飲食物の摂取後12~72時間で現れます。ノロウイルスに感染した場合は、嘔吐、頭痛、筋肉痛が特によく起こります。ほとんどの場合は軽症で、治療しなくても3~5日で症状が消えます。

診断

  • 医師による評価

  • まれに便検査

診断検査が必要になるのはまれですが、ときには便のサンプルを検査して、細菌、ウイルス、寄生虫がないか調べます。

予防

  • 安全な食べものや飲みものの摂取

旅行するときは、安全性に定評があるレストランだけで食事をするようにし、街頭で売っている飲食物は買わないようにします。加熱調理され、出されたときにまだ温かい料理はおおむね安全です。加熱調理されていない野菜や果物が入っているサラダや、テーブルの上に置きっぱなしの蓋のない容器に入ったサルサソースは避けるようにします。果物の皮はすべて旅行者が自分でむくべきです。飲みものは、ボトル入りの炭酸飲料か一度沸騰させた水でつくられた飲料だけにします。氷も、一度沸騰させた水でつくられたものにします。ビュッフェやファストフードレストランは感染のリスクが高くなります。

抗菌薬の予防的服用を勧められるのは、免疫機能が低下しているなど、旅行者下痢症の結果に特に影響を受けやすい人だけです。推奨されることが最も多い抗菌薬はシプロフロキサシンとアジスロマイシンです。

治療

  • 水分補給

  • 下痢止め薬

  • ときに抗菌薬や抗寄生虫薬

症状が起きた場合、治療としては、水分を十分に取り、ロペラミドなどの下痢止め薬を服用することなどがあります。このような薬は、発熱や血便のある人、または2歳未満の小児には投与できません。

下痢が比較的重度の場合(8時間に3回以上の軟便)は、通常は抗菌薬(成人でシプロフロキサシン、レボフロキサシン、アジスロマイシン、リファキシミン、小児でアジスロマイシン)が推奨されます。原因がウイルスであれば、抗菌薬は投与しません。便に寄生虫が認められた場合は、抗寄生虫薬を使用します。

旅行中に発熱や血便が生じた場合は、医療機関を受診することが推奨されます。

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