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出血性大腸炎

執筆者:

Thomas G. Boyce

, MD, MPH, University of North Carolina School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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本ページのリソース
  • 出血性大腸炎は、大腸菌 Escherichia coliが産生する毒素によって引き起こされます。

  • この病気の原因となる微生物には通常、汚染されたひき肉や水、無殺菌の牛乳から感染します。

  • 通常は症状として、腹部けいれんや下痢(血性の場合があります)がみられます。

  • 医師の診察と便検査の結果に基づいて診断されます。

  • 予防策として、肉を十分に加熱する、徹底的に手を洗うなどがあります。

  • 治療としては、水分を十分に摂取することがあげられます。

どの年齢層にも起こりますが、小児と高齢者に最も多くみられます。出血性大腸炎を起こす大腸菌 E. coliには多くの菌株があります。北米で最も一般的な菌株は大腸菌O157:H7 大腸菌 E. coli O157:H7感染症 大腸菌(Escherichia coli[E. coli])はグラム陰性細菌の一種で、健康な人の腸に存在しますが、特定の菌株は消化管、尿路、または体の他の部位に感染症を引き起こすことがあります。 汚染された食べものを食べたり、感染した動物に触ったり、プールの汚染された水を飲み込んだりして、腸内で大腸菌による感染症が発生します。 腸管の感染症は、ときに重度または出血を伴う下痢や腹痛を引き起こすことがあります。... さらに読む です。このような細菌は健康なウシの約1%で、もともと腸に生息しているものです。加熱調理が不十分な牛ひき肉や無殺菌の牛乳やジュースを摂取することで集団発生することがあります。牛糞肥料で汚染された食べものや水、または生の牛ひき肉の摂取でも感染が広がる可能性があります。出血性大腸炎は人から人へ伝染し、特におむつをつけている小児からの感染が多くみられます。塩素消毒が不十分な親水公園が感染源となることもあります。

大腸菌 E. coliのつくる毒素は大腸の粘膜に損傷を与えます。この毒素が血流中に入ると、腎臓などの大腸以外の臓器にも影響を及ぼします。

症状

水様性下痢とともに強い腹部けいれんが突然始まり、24時間以内に血性下痢となることがあります。下痢は通常1~8日間続きます。通常は発熱はないか軽度ですが、ときに39℃以上になることもあります。

出血性大腸炎を起こした人の約5~10%に、溶血性尿毒症症候群 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS) 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)は、全身に小さな血栓ができて、脳、心臓、腎臓などの重要臓器への血液の流れを妨げる重度で重篤な病気です。 症状は血栓ができた場所に関係します。 診断は症状と血液検査に基づいて行います。 血栓性血小板減少性紫斑病の治療は、血漿交換とコルチコステロイドの投与によって行います。 溶血性尿毒症症候群の治療では、重要な身体機能の補助と場合により血液透析を行うことがあり、少数ですがエクリ... さらに読む という重い合併症が発生します。その症状は、赤血球が破壊されることによる貧血(溶血性貧血)からくる疲労、筋力低下、皮膚の蒼白化など、血小板数の低下(血小板減少症 血小板減少症の概要 血小板減少症とは、血小板の数が少なくなった状態で、出血のリスクが高まります。 血小板減少症は、骨髄で作られる血小板が少なすぎる場合や血小板が破壊されすぎたり、腫大した脾臓に蓄積されすぎたりした場合に発生します。 皮下出血やあざがみられます。 血液検査を行って、診断を確定するとともに、その原因を特定します。 ときには治療(血小板輸血、プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]、または脾臓摘出)が必要になることがあります。 さらに読む 血小板減少症の概要 )、突然の腎不全などです。溶血性尿毒症症候群では、けいれん発作や脳卒中など、神経や脳の損傷も合併症として発生する場合があります。溶血性尿毒症症候群は、典型的には出血性大腸炎の症状が出てから2週目に現れ、ときにそれに先立って発熱が強まることがあります。溶血性尿毒症症候群が起こりやすいのは、5歳未満の小児と60歳以上の高齢者です。溶血性尿毒症症候群とその合併症が起こらなくても、高齢者では出血性大腸炎が死亡の原因になることがあります。

診断

  • 便検査

患者に血性下痢がみられる場合は、通常は出血性大腸炎が疑われます。出血性大腸炎の診断を下すには、便のサンプルを調べて大腸菌 E. coliの菌株や産生される毒素がないか調べます。

血性下痢の原因として他の病気が疑われる場合、S状結腸鏡検査など他の検査を行うこともあります。

予防

  • 肉に完全に火を通す

  • 衛生的な環境を保つ

米国では、食肉加工法の改良が大腸菌 E. coliによる食肉汚染の発生率低下に役立っています。そうした対策にもかかわらず、牛ひき肉では汚染の可能性がまだ残っています。そのため、牛ひき肉は、内部温度が71℃以上になるか、出てくる肉汁が透明になるまで調理する必要があります。牛乳や乳製品は加熱殺菌されたものだけを飲むようにします。

感染が広がるのを防ぐため、感染した人の便は適切に処理し、良好な衛生習慣を保ち、石けんで手を洗うようにします。小児は、下痢が収まり、便検査で2回連続で陰性であることが確認されるまで、託児所に戻してはいけません。

血性下痢が集団発生している場合、介入することで他の人への感染が防止できるため、公衆衛生当局に報告する必要があります。地元の保健局の連絡先をウェブサイトや電話帳で探して電話することで報告できます。

治療

  • 水分摂取

  • ときに輸液

出血性大腸炎の治療で最も重要なのは水分を十分に摂取することです。ただし、大量の体液が失われてしまうことがあり、その場合は輸液(静脈からの水分補給)で補給する必要があります。抗菌薬は溶血性尿毒症症候群の発生リスクを高めてしまうため使用しません。自然に治癒することもしばしばあります。

知っていますか?

  • 大腸菌 E. coliが原因と疑われる出血性大腸炎では、抗菌薬を使用しても、症状が軽減せず、感染の広がりを予防できず、実際には溶血性尿毒症症候群の発生リスクを高めるため、抗菌薬は使用されません。

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