Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

honeypot link

虫垂炎

執筆者:

Parswa Ansari

, MD, Hofstra Northwell-Lenox Hill Hospital, New York

最終査読/改訂年月 2017年 11月
プロフェッショナル版で 同じトピックをみる
概要
本ページのリソース

虫垂炎とは虫垂に起こる炎症と感染症です。

  • しばしば虫垂の内部に閉塞が生じることで虫垂が炎症を起こし、感染症が生じます。

  • 腹痛、吐き気、発熱がよくみられます。

  • 試験開腹、またはCT検査や超音波検査などの画像検査が行われます。

  • 治療では、虫垂の切除手術と感染症治療のための抗菌薬の投与が行われます。

虫垂は小腸との接合部近くの大腸から突き出た、指の形をした小さな管状の部分です。虫垂には若干の免疫機能がありますが、生存に欠かせない臓器ではありません。

消化器系

消化器系

虫垂炎は米国における突然の重度の腹痛および腹部手術の最も一般的な原因です。5%以上の人が生涯のある時点で虫垂炎を発症します。虫垂炎は、青年期と20代で起こることが最も多いのですが、どの年齢でも発生します。

虫垂炎の原因は十分に解明されているわけではありません。しかしほとんどの場合、虫垂内部が閉塞することで病気が始まると考えられます。閉塞は、硬い便の小片(糞石)、異物、まれに寄生虫により生じることもあります。閉塞の結果、虫垂に炎症が起こり、感染症が生じます。治療しないまま炎症が続くと、虫垂が破裂することがあります。虫垂が破裂すると膿瘍 腹腔内膿瘍 膿瘍(のうよう)は、内部に膿がたまった空洞で、通常は細菌感染が原因で生じます。 大半の人で絶え間ない腹痛と発熱が生じます。 CT(コンピュータ断層撮影)検査などの画像検査を行うことで、膿瘍と他の問題を区別することができます。 治療としては、膿瘍から膿が排出され、抗菌薬が投与されます。 腹腔内膿瘍は、横隔膜の下部、腹部中央部、骨盤内、または腹腔の後部に形成されることがあります。また膿瘍は腎臓、脾臓、膵臓、肝臓、前立腺などのあらゆる腹部臓器... さらに読む (感染により内部に膿がたまった空洞)が形成されることがあります。その結果、腹膜炎 腹膜炎 腹痛はよく起こりますが、多くの場合軽度です。しかし、強い腹痛が急に起きた場合は、ほとんどが重大な問題であることを示しています。このような腹痛は、手術が必要なことを示す唯一の徴候であるかもしれず、速やかに診察を受ける必要があります。乳幼児や高齢者、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者、免疫系を抑制する作用のある薬を使用中の患者では、腹痛には特に注意が必要です。高齢者では同じ病気の若い成人よりも腹痛が弱いことがあり、病状が重篤な場合でも腹痛... さらに読む (腹腔の炎症で通常は感染症が起こり、生命を脅かす感染症が生じることもある)が発生する可能性があります。女性では、卵巣や卵管が感染して、その結果できた瘢痕(はんこん)が卵管を詰まらせ、不妊症の原因となることがあります。また、虫垂が破裂すると、細菌が血流に感染して敗血症 敗血症 敗血症は、菌血症やほかの感染症に対する重篤な全身性の反応に加え、体の重要な器官(臓器)の機能不全が起こる病態です。敗血症性ショックは、敗血症によって生命を脅かす低血圧(ショック)および臓器不全が引き起こされている病態です。 通常、敗血症は特定の細菌に感染することで起こり、病院内で感染する細菌で多くみられます。 免疫系の機能低下、特定の慢性疾患、人工関節や人工心臓弁の使用、特定の心臓弁の異常といった特定の条件下ではそのリスクが高くなります... さらに読む という生命を脅かす状態に至ることがあります。

症状

従来から虫垂炎の症状について、痛みが上腹部またはへそ周囲から始まり、その後吐き気と嘔吐が生じ、さらに数時間後に吐き気が消えて、痛みが腹部の右下部に移動するといわれていますが、そのような症状が出るのは、虫垂炎の患者の50%未満です。医師が右下腹部を押すと圧痛があり、その後加えた力を離したときに痛みが鋭く強まることがあります(反跳[はんちょう]痛)。37.7~38.3℃の発熱がよくみられます。動いたりせきをすることで痛みが増します。

多くの患者(特に乳児や小児)で、痛みは右下腹部にとどまるというよりも腹部全体に広がります。高齢者や妊婦では、痛みがそれほどひどくない場合があり、圧痛も弱くなります。

知っていますか?

  • 米国では人口の5%以上がいずれ虫垂炎を発症します。

診断

  • 医師の診察

  • 画像検査

  • 腹腔鏡検査

  • 血液検査

医師は症状と腹部の診察から虫垂炎を疑うことがあります。虫垂炎が強く疑われる場合はすぐに手術が行われるのが一般的です。

虫垂炎の診断がはっきりしない場合は、CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT検査とMRI検査 CT検査( CT(コンピュータ断層撮影)検査)とMRI検査( MRI(磁気共鳴画像)検査)は、腹部臓器の大きさや位置を調べるのに適しています。さらに、これらの検査では悪性腫瘍(がん)や良性腫瘍(がんではない腫瘍)もしばしば検出されます。血管の変化も検出できます。虫垂や憩室などの炎症も通常は明確に分かります。ときに、X線照射や手術のガイド役としてこれらの検査を用いることもあります。... さらに読む 超音波検査 超音波検査 超音波検査では、超音波を用いて内臓の画像を描き出します( 超音波検査)。超音波検査により、肝臓や膵臓(すいぞう)など多くの内臓の形や大きさが確認でき、嚢胞(のうほう)や腫瘍などの内臓の中の異常部位も発見できます。また、腹腔内の液体(腹水)も確認できます。腹壁にプローブを当てる超音波検査は、消化管の粘膜や壁を調べる方法としては不適切です。しかし、超音波内視鏡検査の場合は、内視鏡の先端にプローブがあるため、消化管壁や一部の腹部臓器がより明確... さらに読む 超音波検査 などの画像検査が通常は行われます。将来にがんになるリスクを抑えるため、放射線曝露(ばくろ)を制限することが重要な小児では、超音波検査が特に有用です。

血液検査では感染のために中等度の白血球数増加がしばしば認められますが、虫垂炎を確実に診断できる血液検査はありません。

予後(経過の見通し)

早期に手術をすれば、虫垂炎によって死亡する可能性は非常に低くなります。通常は1~3日で退院でき、普通は回復も早く、完治します。しかし、高齢者では回復までの時間がしばしば長くなります。

虫垂炎で手術や抗菌薬の投与を行わない場合(現代的な医療が利用できない遠隔地の患者で可能性がある)、50%以上の患者が死亡します。

虫垂が破裂した場合、予後はさらに悪くなります。数十年前は、虫垂が破裂すると死に至ることがよくありました。手術と抗菌薬によって、虫垂炎による死亡率はほとんどゼロに近づいていますが、手術を繰り返す必要があったり、回復期間が長くなったりすることもあります。

治療

  • 手術による虫垂の切除

  • 抗菌薬の静脈内投与と輸液

手術が虫垂炎の主な治療法です。腹痛の原因が確定するまで手術を遅らせると死に至る可能性があります。感染を起こした虫垂は、症状が出現してから36時間以内に破裂することがあります。

虫垂炎が明らかになった場合は、輸液と抗菌薬が静脈内に投与され、虫垂が切除されます(虫垂切除術)。手術を行って虫垂炎が認められなかった場合でも、通常は将来の虫垂炎のリスクを防ぐために虫垂が切除されます。

手術を延期したり、避けたりできるように、抗菌薬のみで虫垂炎を治療することに最近関心が集まっています。このような治療法は一部の患者で成功する可能性がありますが、まだ研究段階であり、虫垂炎に推奨される治療法は依然として手術による虫垂の切除と考えられています。

プロフェッショナル版で 同じトピックをみる
プロフェッショナル版で 同じトピックをみる
よく一緒に読まれているトピック
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS

おすすめコンテンツ

医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
TOP