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イレウス

(麻痺性イレウス、腸不全麻痺)

執筆者:

Parswa Ansari

, MD, Hofstra Northwell-Lenox Hill Hospital, New York

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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イレウスとは、腸が一時的に正常な収縮運動をしなくなった状態です。

  • 一般的な原因として、腹部の手術や腸の運動を阻害する薬があります。

  • 腹部膨満、嘔吐、便秘、けいれん性の腹痛、食欲不振が生じます。

  • 診断はX線検査によって下されます。

  • 飲食物の経口摂取が中止され、ときには鼻から胃に細い吸引チューブが挿入されることがあります。

腸閉塞と同様に、イレウスも腸の内容物の通過を妨げます。ただし、機械的閉塞と違い、イレウスで腸が破裂することはまれです。

イレウスの最も一般的な原因は以下のものです。

  • 腹部手術

イレウスは腹部手術(特に腸に処置を行った場合)の24~72時間後によく起こります。

他の原因として、薬が挙げられます(特にオピオイド鎮痛薬や抗コリン薬[ 抗コリン作用:どんな作用か? 抗コリン作用:どんな作用か? 抗コリン作用:どんな作用か? ]など)。 虫垂炎 虫垂炎 虫垂炎とは虫垂に起こる炎症と感染症です。 しばしば虫垂の内部に閉塞が生じることで虫垂が炎症を起こし、感染症が生じます。 腹痛、吐き気、発熱がよくみられます。 試験開腹、またはCT検査や超音波検査などの画像検査が行われます。 治療では、虫垂の切除手術と感染症治療のための抗菌薬の投与が行われます。 さらに読む 憩室炎(けいしつえん) 憩室炎 (憩室の病気の定義も参照のこと。) 憩室炎(けいしつえん)は、1つ以上の風船状の袋(憩室)に炎症や感染症が起きた状態です。 通常、憩室炎は大腸(結腸)に起こります。 左下腹部の痛み、圧痛、発熱が、典型的な症状です。 診断は、CT検査の結果に基づいて下され、憩室炎が治まった後に、大腸内視鏡検査を行います。 さらに読む 憩室炎 などの腹腔内感染症によってもイレウスになることがあります。 腎不全 腎不全の概要 腎不全とは、血液をろ過して老廃物を取り除く腎臓の機能が十分に働かなくなった状態のことです。 腎不全の原因としては、様々なものが考えられます。腎機能が急激に低下する場合(急性腎障害、急性腎不全とも呼ばれます)もあれば、ゆっくりと低下していく場合(慢性腎臓病、慢性腎不全とも呼ばれます)もあります。腎不全になると、腎臓は血液をろ過して老廃物(ク... さらに読む 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの分泌が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。 顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりになり、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れます。 通常は1回の血液検査で診断が確定されます。 甲状腺機能低下症の人は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与を受ける必要があります。 (甲状腺の概要も参照のこと。) さらに読む 甲状腺機能低下症 (甲状腺の活動が不十分になった状態)、 心臓発作 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞)ことによって起こります。閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。 急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。 急性冠症候群が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、アスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。 病院では心電図検査と血液中の物質を測定する検査により、急性冠症候群かどうかを診断します。... さらに読む 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 、血液中の電解質異常( 低カリウム血症 低カリウム血症(血液中のカリウム濃度が低いこと) 低カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が非常に低い状態をいいます。 カリウム濃度の低下には多くの原因がありますが、通常は嘔吐、下痢、副腎の病気、利尿薬の使用が原因で起こります。 カリウム濃度が低下すると、筋力低下、筋肉のけいれんやひきつり、さらには麻痺が生じるほか、不整脈を起こすことがあります。 診断は、カリウム濃度を測定する血液検査に基づいて下されます。 通常は、カリウムを豊富に含む食べものを食べるか、カリウムのサプリメントを飲むだ... さらに読む 高カルシウム血症 高カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が高いこと) 高カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が非常に高い状態をいいます。 カルシウム濃度の上昇は、副甲状腺の問題や、食事、がん、骨に影響を及ぼす病気が原因で発生します。 最初に消化管の不調、のどの渇き、多尿がみられ、重症化すると錯乱、やがて昏睡に至ることがあります。発見と治療が遅れると、生命を脅かすことがあります。 高カルシウム血症は通常、定期的な血液検査で発見されます。 水分をたくさん摂取するだけで治療としては十分なこともありますが、... さらに読む 高カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が高いこと) など)といった腸以外の病気によってイレウスが起こることもあります。

症状

イレウスの症状は、ガスや体液がたまることによる腹部膨満、吐き気、嘔吐、重度の便秘、食欲不振、けいれん性の腹痛です。水様性の便がみられる場合もあります。

診断

治療

  • 飲食物の経口摂取の一時的な制限

  • 輸液

  • 経鼻胃管による吸引

飲食物の経口摂取の一時的な制限により、イレウスは通常1~3日後に自然に回復します。この期間は、水分や 電解質 電解質の概要 人の体内の水分量は体重の2分の1をはるかに上回ります。体内の水分は様々な空間(体液コンパートメントと呼ばれています)に制限されて存在していると考えられています。主に次の3つのコンパートメントがあります。 細胞内の体液 細胞の周囲の体液 血液 体が正常に機能するには、これらの各領域で体液量が偏らないようにする必要があります。 さらに読む (ナトリウム、塩化物、カリウムなど)を静脈内に投与します。 オピオイド鎮痛薬 オピオイド鎮痛薬 基礎疾患を治療することで、痛みを解消したり最小限に抑えたりできるケースがあります。例えば、骨折をギプスで固定することや、感染を起こした関節に抗菌薬を投与することは、鎮痛に役立ちます。しかし、痛みの基礎疾患が治療可能な場合でも、痛みに速やかに対処するために痛み止め(鎮痛薬)が必要になる場合もあります。 医師が鎮痛薬を選択する際、痛みのタイプと持続期間、それぞれの鎮痛薬の便益とリスクを考慮します。ほとんどの鎮痛薬は侵害受容性疼痛(通常の組織... さらに読む と呼ばれる強力な痛み止め薬は、可能であれば必ず中止するか減量します。

重度の嘔吐はまれですが、発生した場合は、イレウスによってたまったガスや体液を減らさなければなりません。通常、チューブ(経鼻胃管)を鼻から胃または小腸まで入れて吸引し、腸内の圧力を下げ、拡張(膨隆)を緩和します。腸の正常な機能が回復するまでは、飲食できません。ときに、イレウスが主に大腸に生じている場合、チューブを肛門から大腸まで入れて腸内の圧力を下げることもあります。

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