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胃がん

執筆者:

Elliot M. Livstone

, MD, Sarasota Memorial Hospital, Sarasota, FL

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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米国では、胃の腺がんは、年間約26,370人に発生し、ほぼ10,730人の死亡原因となっています。米国では、50歳以上の人、黒人、ヒスパニック系、アメリカンインディアンなど、特定の集団に多くみられます。理由は分かりませんが、胃の腺がんは米国では減少傾向にあります。世界的には、胃がんは2番目に多いがんです。日本、中国、チリ、アイスランドでははるかに多くみられます。これらの国では、スクリーニングプログラムが早期発見の重要な手段となっています。

まれなタイプの胃がん

リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫とは、リンパ系および造血器官に存在するリンパ球のがんです。 リンパ腫は、リンパ球と呼ばれる特定の白血球から発生するがんです。この種の細胞は感染を防ぐ役割を担っています。リンパ腫は、Bリンパ球やTリンパ球のいずれの細胞からも発生する可能性があります。Tリンパ球は免疫系の調節やウイルス感染に対する防御に重要です。Bリンパ球は抗体を産生... さらに読む リンパ腫の概要 はリンパ系のがんです。リンパ腫が胃に生じることがあります。一部の胃リンパ腫の発生には細菌のヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pylori(ピロリ菌)が何らかの形で関わっていると考えられています。手術がしばしば初期治療となります。化学療法と放射線療法はリンパ腫の治療では腺がんの場合よりも成功します。生存期間の延長と、さらには治癒の可能性があります。

平滑筋肉腫(平滑筋の細胞にできるがん)が胃壁にできることがあります。平滑筋肉腫は紡錘形細胞腫瘍とも呼ばれます。手術が最良の治療法です。平滑筋肉腫の発見時にがんがすでに体の他の部分に広がって(転移して)いる場合は、化学療法を行うことで生存期間がわずかに延びることがあります。イマチニブという薬は、手術が不可能な平滑筋肉腫の治療に効果的であることが知られています。

危険因子

胃の腺がんは、しばしば胃粘膜が炎症を起こした部位から生じます。ヘリコバクター・ピロリの感染 ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染 ヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pylori (ピロリ菌 H. pylori)感染は、胃の炎症(胃炎)、消化性潰瘍(かいよう)、ある種の胃がんを引き起こす細菌感染です。 この感染はヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pylori(ピロリ菌 H. pylori)と呼ばれる種類の細菌により引き起こされます。 ピロリ菌(H. pylori)感染の症状が現れる場合、消化不良と上腹部の痛みや不快感などがみられます。... さらに読む は一部の胃がんの危険因子です。特定の遺伝子変異がある人と自己免疫性萎縮性胃炎 胃炎とは、胃の粘膜の炎症です。 胃炎は、感染、重度の疾患によるストレス、損傷、ある種の薬、免疫系の病気など、様々な要因によって起こります。 胃炎の症状が発生する場合、腹痛や腹部不快感、ときには吐き気や嘔吐などがみられます。 診断は、多くの場合患者の症状に基づいて下されますが、内視鏡(観察用の柔軟な管状の機器)で胃を調べなければならないこともあります(上部消化管内視鏡検査)。 治療は胃酸を減らす薬や、ときに抗菌薬により行います。 さらに読む がある人も、リスクが高くなっています。

胃ポリープはがんになる(悪性化する)ことがあるため切除します。ポリープが腺細胞でできていたり、約2センチメートルより大きかったり、複数あったりする場合には、胃の腺がんが特に起こりやすくなります。

かつては食事に関する特定の要因が胃の腺がんの発生に関与すると考えられていました。そのような要因としては、塩分や炭水化物、硝酸塩という防腐剤(くん製の食品にしばしば含まれています)の大量摂取や、果物や緑色の葉野菜の摂取不足などがありました。それらの要因はどれも胃がんの原因と証明されているわけではありませんが、加工肉の摂取と胃がんとの間には直接的な関連性が報告されています。

喫煙は胃がんの危険因子です。喫煙者では治療に対する反応があまり得られない可能性があります。

症状

早期の段階では、胃がんの症状は漠然としていて、見落とされることがよくあります。初期症状は消化性潰瘍 消化性潰瘍 消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の内面が胃酸や消化液で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。 消化性潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染や、胃や十二指腸の粘膜を衰弱させる薬によって生じることがあります。 潰瘍による不快感が生じたり消えたりしますが、この不快感は食べることで胃酸が分泌されるために食後に起こる傾向があります。... さらに読む 消化性潰瘍 の症状と類似していることがあり、焼けるような腹痛があります。このため消化性潰瘍の治療をしても症状が改善しない場合は、胃がんが疑われます。少量の食事をすると満腹感を覚えることがあります(早期満腹感)。

食後に正常な場合よりも早く満腹感を覚え始めることもあります。食事がとりにくかったり、一部のビタミンやミネラルが体内で吸収できなかったりするために、体重減少や筋力低下がみられることがあります。貧血(疲労、筋力低下、ふらつきが特徴)が生じることがあり、これは他に症状のない非常にゆっくりとした出血や、胃酸が不足することによるビタミンB12(赤血球を作るために不可欠なビタミン)や鉄分(赤血球を作るために不可欠なミネラル)の吸収不良が原因で起こることがあります。まれに、大量の血を吐き出したり(吐血)、黒いタール状の便(黒色便)が出たりすることがあります。胃の腺がんが進行すれば、医師が触診で腹部を押すと腫瘤に触れられることあります。

早期でも、小さな腺がんが離れた部位に広がることがあります(転移)。腫瘍が転移すると、肝腫大が生じたり、皮膚や白眼が黄色みを帯びたり(黄疸 成人の黄疸 黄疸では、皮膚や白眼が黄色くなります。黄疸は、血中にビリルビン(黄色の色素)が多すぎる場合に起こります。この病態を高ビリルビン血症と呼びます。 (肝疾患の概要と新生児黄疸も参照のこと。) 写真では、黄色に変色した眼と皮膚(黄疸)がみられます。 ビリルビンは、古くなった赤血球または損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに形成されます。ビリルビンは、血流によって肝臓に運ばれ、そ... さらに読む 成人の黄疸 )、腹腔内に水がたまって腫れたり(腹水 腹水 腹水とは、タンパクを含む体液が腹部に貯留したものです。 腹水がたまる病気は多くありますが、最も一般的な原因は、肝臓につながる静脈(門脈)の血圧が上昇すること(門脈圧亢進症)で、通常は肝硬変によって起こります。 大量の体液が貯留すると、腹部は非常に大きく膨らみ、ときに食欲不振や息切れ、不快感を生じることがあります。 原因を確定するには、腹水の分析が役立ちます。 通常は、低ナトリウム食と利尿薬によって、過剰な体液の排出を促します。 さらに読む )、リンパ節の腫れが出現することがあります。骨に転移すると、骨が弱くなり骨折することもあります。

診断

  • 内視鏡検査と生検

  • CT検査

  • 超音波内視鏡検査

診断には内視鏡検査 内視鏡検査 内視鏡検査とは、柔軟な管状の機器(内視鏡)を用いて体内の構造物を観察する検査です。チューブを介して器具を通すことができるため、内視鏡は多くの病気の治療にも使うことができます。口から挿入する内視鏡検査では、食道(食道鏡検査)、胃(胃鏡検査)、小腸の一部(上部消化管内視鏡検査)が観察できます。肛門から挿入する内視鏡検査では、直腸(肛門鏡検査)、大腸下部と直腸と肛門(S状結腸内視鏡検査)、大腸全体と直腸と肛門(大腸内視鏡検査)が観察できます。... さらに読む (柔軟な管状の機器を用いて消化管の内部を観察する検査)が最も適しています。これによって胃の様子を直接見ることができ、ヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pyloriの有無を確認したり、組織サンプルを採取して(生検)、顕微鏡で調べることができます。バリウムX線検査は、早期の小さながんが発見されることがめったになく、生検ができないため、あまり行われません。

がんが発見された場合、腫瘍が他の臓器にどの程度広がっているかを調べるために、通常は胸部と腹部のCT検査 CT検査とMRI検査 CT検査( CT(コンピュータ断層撮影)検査)とMRI検査( MRI(磁気共鳴画像)検査)は、腹部臓器の大きさや位置を調べるのに適しています。さらに、これらの検査では悪性腫瘍(がん)や良性腫瘍(がんではない腫瘍)もしばしば検出されます。血管の変化も検出できます。虫垂や憩室などの炎症も通常は明確に分かります。ときに、X線照射や手術のガイド役としてこれらの検査を用いることもあります。... さらに読む を受けます。CT検査で腫瘍の転移が認められない場合は、通常は超音波 超音波検査 超音波検査では、超音波を用いて内臓の画像を描き出します( 超音波検査)。超音波検査により、肝臓や膵臓(すいぞう)など多くの内臓の形や大きさが確認でき、嚢胞(のうほう)や腫瘍などの内臓の中の異常部位も発見できます。また、腹腔内の液体(腹水)も確認できます。腹壁にプローブを当てる超音波検査は、消化管の粘膜や壁を調べる方法としては不適切です。しかし、超音波内視鏡検査の場合は、内視鏡の先端にプローブがあるため、消化管壁や一部の腹部臓器がより明確... さらに読む 超音波検査 内視鏡検査(内視鏡の先端についているプローブにより、消化管の内層をより明瞭に示すことができる)を行い、腫瘍の深さと周囲のリンパ節への広がりの有無を調べます。

予後(経過の見通し)

胃腺がんの患者の5年生存率は5%未満から15%です。このがんは早期に他の部位に転移する傾向があります。

がんが胃壁の深すぎる部分にまで到達していなければ、予後は良好です。そのような場合、最大80%の患者が5年生存を達成します。しかし、胃がんと診断されたときにはほとんどの場合すでにがんが転移しているため、米国では、胃がんの手術成績はしばしば不良です。日本では胃がんは非常によくみられ、集団検診スクリーニングが早期発見に役立っているため、完治する可能性がより高くなっています。

治療

  • 手術

  • ときに化学療法と放射線療法

がんが胃の外に広がっていなければ、通常は根治を目指して手術を行います。腫瘍が転移する前に腫瘍全体を摘出できた場合にのみ治癒が期待できます。手術では胃の大部分またはすべてと周囲のリンパ節が摘出されます。

がんが胃の外に広がっている場合は、手術で根治することはありませんが、症状を緩和するために手術を行うことがあります。例えば、食べものが胃の出口を通過できない状態ならば、バイパス手術をして胃と小腸をつなぎ、食べものが通過できるようにします。これによって少なくともしばらくは閉塞の症状(痛みや嘔吐)が緩和されます。

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