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ガストリノーマ

執筆者:

Elliot M. Livstone

, MD, Sarasota Memorial Hospital, Sarasota, FL

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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  • この種の腫瘍は、ガストリンを作っている膵臓の細胞から発生します。

  • 症状は消化性潰瘍のものと似ていて、具体的には痛みや出血などがみられます。

  • 診断では血液検査や画像検査などを行います。

  • 腫瘍が完全に摘出された場合の生存率は高くなっています。

  • 治療としては、胃酸を減らす薬などのほか、ときに手術と化学療法を行うこともあります。

ガストリノーマは膵内分泌腫瘍 膵内分泌腫瘍の概要 膵臓は上腹部にある臓器です。消化管に分泌される消化液を分泌しています。膵臓ではインスリンも分泌されており、インスリンは血糖やその他のホルモンの調節を助けています。膵内分泌腫瘍は、ホルモンを分泌するタイプの膵臓細胞から生じる腫瘍です。このような腫瘍はそれ自体がホルモンを分泌することもしないこともあり、がん(悪性)のこともそうでないこともあります。腫瘍には以下の2種類があります。... さらに読む の一種です。ガストリノーマの患者の大半では、膵臓や十二指腸の内部やその周囲に数個の腫瘍が群がって発生しています。その腫瘍のおよそ半分ががんです。ときには多発性内分泌腫瘍症 多発性内分泌腫瘍症 多発性内分泌腫瘍症はまれな遺伝性の病気で、いくつかの内分泌腺で良性(がんではない)腫瘍または悪性腫瘍(がん)が発生したり、腫瘍はできないものの腺が過剰に肥大したりします。 多発性内分泌腫瘍症は、遺伝子変異により発生するため、家族内で遺伝する傾向がみられます。 症状は多様で、影響を受けた内分泌腺によって異なります。... さらに読む 多発性内分泌腫瘍症 という遺伝性疾患の一部としてガストリノーマが起こります。多発性内分泌腫瘍では様々な内分泌腺の細胞(膵臓のインスリン分泌細胞など)から腫瘍が発生します。

症状

ガストリノーマが分泌する過剰なガストリンはゾリンジャー-エリソン症候群 ゾリンジャー-エリソン症候群 ガストリノーマは、通常は膵臓または十二指腸(小腸の最初の部分)に発生してガストリンというホルモンを過剰に分泌する腫瘍で、ガストリンが胃を刺激して胃酸や消化酵素の分泌を促進することで、消化性潰瘍が生じます。 この種の腫瘍は、ガストリンを作っている膵臓の細胞から発生します。 症状は消化性潰瘍のものと似ていて、具体的には痛みや出血などがみられます。 診断では血液検査や画像検査などを行います。... さらに読む を引き起こし、この病気では、胃、十二指腸、また腸のほかの部位に活動性の消化性潰瘍の症状(痛みや出血など)がみられます。ただし、ゾリンジャー-エリソン症候群の25%の症例では、診断がついた時点で潰瘍がみられません。腸の破裂、出血、閉塞が生じることがあり、生命が脅かされることもあります。ガストリノーマの患者の半数以上では、通常の消化性潰瘍と同程度の症状しか現れません。25~40%の患者では下痢が最初の症状です。

診断

  • 血液検査

  • 画像検査

消化性潰瘍が頻繁にみられたり、通常の潰瘍治療で効果が得られない消化性潰瘍が複数ある場合に、ガストリノーマが疑われます。血液検査によりガストリンの値が異常に高いことが確かめられれば最も確かな診断となります。

血液検査でガストリノーマの診断がつけば、腫瘍の位置を正確に特定するために、腹部のCT検査 CT検査とMRI検査 CT検査( CT(コンピュータ断層撮影)検査)とMRI検査( MRI(磁気共鳴画像)検査)は、腹部臓器の大きさや位置を調べるのに適しています。さらに、これらの検査では悪性腫瘍(がん)や良性腫瘍(がんではない腫瘍)もしばしば検出されます。血管の変化も検出できます。虫垂や憩室などの炎症も通常は明確に分かります。ときに、X線照射や手術のガイド役としてこれらの検査を用いることもあります。... さらに読む 、シンチグラフィー(核医学検査 核医学検査 核医学検査では、放射性核種を用いて画像を描出します。放射性核種は不安定な原子で、エネルギーを放射線の形で放出することで安定した原子になろうとする性質があります。放射性核種の多くは高いエネルギーをガンマ線(人の手によらない、自然環境で発生するX線)または粒子(陽電子放出断層撮影で使用される陽電子など)の形で放出します。 放射性核種は、甲状腺などの特定の臓器の病気を治療するのにも使用されます。... さらに読む の一種)、超音波内視鏡検査 超音波検査 超音波検査では、超音波を用いて内臓の画像を描き出します( 超音波検査)。超音波検査により、肝臓や膵臓(すいぞう)など多くの内臓の形や大きさが確認でき、嚢胞(のうほう)や腫瘍などの内臓の中の異常部位も発見できます。また、腹腔内の液体(腹水)も確認できます。腹壁にプローブを当てる超音波検査は、消化管の粘膜や壁を調べる方法としては不適切です。しかし、超音波内視鏡検査の場合は、内視鏡の先端にプローブがあるため、消化管壁や一部の腹部臓器がより明確... さらに読む 超音波検査 PET検査 PET(陽電子放出断層撮影)検査 PET(陽電子放出断層撮影)検査は核医学検査の一種です。 PET検査では、体内で使用(代謝)されるグルコース(ブドウ糖)や酸素などの物質を放射性核種で標識します。この場合の放射性核種とは、正の電荷をもつ放射性粒子を放出する原子のことで、陽電子と呼ばれます。体内で使用される物質と放射性核種の複合体を放射性トレーサーといいます。トレーサーは体の特定の領域に集まります。この際、組織の活動が活発であればあるほど(例えば、より多くのグルコースまた... さらに読む PET(陽電子放出断層撮影)検査 、動脈造影検査(動脈に造影剤を注射して行うX線検査)などの画像検査を行います。しかしこのような腫瘍は、通常は小さいために発見が難しいことがあります。

予後(経過の見通し)

腫瘍が手術で完全に切除できれば、5~10年生存できる可能性は90%以上になります。腫瘍の切除が不完全に終わった場合は、5年生存率が43%、10年生存率が25%になります。

治療

  • 胃酸の量を減らす治療法

  • ときに手術による切除

  • ときに化学療法

高用量のプロトンポンプ阻害薬(胃酸分泌抑制薬―)は、胃酸の濃度を低下させ、一時的に症状を緩和するのに効果的となる場合があります。これらの薬で十分な効果が得られない場合は、オクトレオチドの注射が役に立つことがあります。腫瘍が1つのみで、多発性内分泌腫瘍症ではない場合、通常は手術を行って、ガストリノーマを切除します。この場合、手術による切除で約20%の人が治癒します。

以上のような治療法で効果がみられなければ、胃を完全に切除する手術(胃全摘術)が必要な場合もあります。この手術で腫瘍は切除されませんが、胃がなくなれば胃酸も作られなくなるため、ガストリンによって潰瘍ができることはなくなります。胃を切除した場合は、鉄分とカルシウムのサプリメントを毎日服用し、月1回ビタミンB12を注射することが必要になります。これは、栄養素を吸収する予備処理を行う胃液がなくなるため、これらの栄養素の吸収が阻害されるからです。

悪性腫瘍(がん)が他の場所に転移している場合は、腫瘍細胞の数や血液中のガストリン濃度を減少させるのに化学療法が役立つことがあります。しかし化学療法でがんが治癒することはなく、最終的には致死的となります。

ゾリンジャー-エリソン症候群

診断

  • 血液検査

  • 画像検査

ゾリンジャー-エリソン症候群がある人では一般的に血液中のガストリン濃度が上昇し、これを測定して診断を下すことができます。

セクレチンというホルモンを投与する検査を行うこともあります。ゾリンジャー-エリソン症候群がある人では、セクレチンを静脈に注射すると血液中のガストリン濃度が大きく上昇します。検査によって、さらに胃酸の分泌過剰も分かります。

腫瘍の位置を特定するために、CT検査 CT検査とMRI検査 CT検査( CT(コンピュータ断層撮影)検査)とMRI検査( MRI(磁気共鳴画像)検査)は、腹部臓器の大きさや位置を調べるのに適しています。さらに、これらの検査では悪性腫瘍(がん)や良性腫瘍(がんではない腫瘍)もしばしば検出されます。血管の変化も検出できます。虫垂や憩室などの炎症も通常は明確に分かります。ときに、X線照射や手術のガイド役としてこれらの検査を用いることもあります。... さらに読む 超音波内視鏡検査 超音波検査 超音波検査では、超音波を用いて内臓の画像を描き出します( 超音波検査)。超音波検査により、肝臓や膵臓(すいぞう)など多くの内臓の形や大きさが確認でき、嚢胞(のうほう)や腫瘍などの内臓の中の異常部位も発見できます。また、腹腔内の液体(腹水)も確認できます。腹壁にプローブを当てる超音波検査は、消化管の粘膜や壁を調べる方法としては不適切です。しかし、超音波内視鏡検査の場合は、内視鏡の先端にプローブがあるため、消化管壁や一部の腹部臓器がより明確... さらに読む 超音波検査 、動脈造影検査(造影剤を動脈に注射した後に行うX線検査)、核医学検査 核医学検査 核医学検査では、放射性核種を用いて画像を描出します。放射性核種は不安定な原子で、エネルギーを放射線の形で放出することで安定した原子になろうとする性質があります。放射性核種の多くは高いエネルギーをガンマ線(人の手によらない、自然環境で発生するX線)または粒子(陽電子放出断層撮影で使用される陽電子など)の形で放出します。 放射性核種は、甲状腺などの特定の臓器の病気を治療するのにも使用されます。... さらに読む など、いくつかの検査を行うことができます。

治療

  • 胃酸の量を減らす治療法

  • 手術による切除

  • ときに化学療法

胃酸の分泌過剰のコントロールにはプロトンポンプ阻害薬が役立ちます。プロトンポンプ阻害薬で効果がみられない場合は、オクトレオチドを注射することがあります。

腫瘍の切除により完全に治癒することもあります。治癒しない場合でも、手術で腫瘍を小さくできるため胃酸の分泌量が低下し、小腸の閉塞など局所の合併症を予防することができます。

がんが転移していなければ、化学療法が役に立つことがあります。化学療法で腫瘍が小さくなり、血液中のガストリン濃度が低下することがありますが、治癒することはありません。

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