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乳糖不耐症

執筆者:

Atenodoro R. Ruiz, Jr.

, MD, The Medical City, Pasig City, Metro-Manila, Philippines

最終査読/改訂年月 2018年 2月
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乳糖不耐症とは、消化酵素のラクターゼの欠乏により乳糖が消化できない状態のことで、下痢や腹部のけいれん痛を起こします。

  • 乳糖不耐症は酵素のラクターゼが欠乏しているために起こります。

  • 小児における症状には、下痢と体重増加の遅れなどがあり、成人における症状には、腹部の膨満やけいれん痛、下痢、鼓腸、吐き気などがあります。

  • 診断は、乳製品を摂取した後に症状が現れることを確認することに基づいて下され、水素呼気試験で確定できます。

  • 治療としては、ラクターゼのサプリメントを服用し、乳糖、特に乳製品に含まれる乳糖を避けるようにします。

乳糖は、牛乳や乳製品で主に含まれている糖で、小腸の内層の細胞で産生されるラクターゼという酵素により分解されます。ラクターゼは糖の複合体である乳糖を、ブドウ糖とガラクトースという2つの成分に分解します。この2つの単糖は腸壁から血液中に吸収されます。ラクターゼが欠乏していると、乳糖を消化吸収できません。その結果、高濃度になった乳糖が小腸に水分を引き寄せ、水様性下痢を起こします。その後乳糖は小腸を通過して大腸に入り、細菌によって発酵されてガスが生じ、ガスによって鼓腸、腹部膨満、腹部けいれん痛が起こります。

ラクターゼの量は乳児で高く、母乳や牛乳の消化が可能です。しかし、多くの民族(黒人とヒスパニックで80%、アジア人で90%以上)で、離乳後にラクターゼの量が減少します。量が減少するということは、これらの民族の年長児や成人は、あまり乳糖を消化できないということです。しかし、北西欧系の白人の80~85%は生涯にわたってラクターゼを産生するため、成人でも牛乳や乳製品を消化することができます。このため、米国民の民族構成から、米国では3000万~5000万人が乳糖不耐症であると考えられます。この「不耐症」が実は世界人口の75%以上では正常な状態であることは興味深い点です。

腸管感染症(胃腸炎の概要を参照)などの病気により小腸粘膜に損傷が生じたときに一時的な乳糖不耐症が発生することがあります。これらの病気が回復すれば、再び乳糖が消化できるようになります。

乳糖以外の糖に対する不耐症も起こりますが、その頻度は比較的まれです。例えば、スクラーゼという酵素が欠乏すると、ショ糖が血液中に吸収されなくなり、マルターゼやイソマルターゼという酵素が欠乏すると、麦芽糖(マルトース)が血液中に吸収されなくなります。

牛乳アレルギーは乳糖不耐症と異なります。乳糖不耐症と対照的に、牛乳アレルギーの場合は牛乳を適切に消化できますが、牛乳中のタンパク質が免疫系による反応を誘発します(アレルギー反応の概要を参照)。牛乳アレルギーは通常は小児にみられます。

知っていますか?

  • 北欧系の人を除いて、ほとんどの健康な成人は大量の乳糖を消化できないため、正常な状態でも「乳糖不耐症」です。

症状

乳糖不耐症があると、通常は牛乳や乳製品(いずれも乳糖を含んでいる)に耐えられません。成人では通常、250~375ミリリットル以上の牛乳を飲んだときだけ症状が現れます。牛乳やその他の乳製品により胃腸の問題が現れることに若いうちに気づいた人は、意識してまたは無意識に乳製品の摂取を控えることがあります。

乳糖不耐症がある小児では下痢がみられ、牛乳が食事に含まれていると体重が増えないことがあります。

成人では、腹部の膨満やけいれん痛、水様性下痢、鼓腸、吐き気、腸のゴロゴロ音またはゴボゴボ音(腹鳴[ふくめい])がみられることがあり、乳糖を含む食事を食べた後、30分から2時間で切迫した便意が生じることがあります。一部では、重度の下痢のために、体内から栄養素があまりに急速に排泄され、栄養素が適切に吸収されない場合もあります。しかし、乳糖不耐症によって起こる症状は、通常は軽度です。対照的に、セリアック病熱帯性スプルー、腸の感染症のような病気でみられる吸収不良によって起こる症状はより重度のものです。

牛乳アレルギー

牛乳アレルギーの小児でも、牛乳や乳製品を摂取した後に症状が現れます。しかし、これらのかゆみ、発疹、喘鳴(ぜんめい)などの症状は、他のアレルギー反応と類似しています。ときに嘔吐、腹痛、まれに下痢などの消化管症状がみられる小児もいます。

成人では牛乳アレルギーはまれで、嘔吐や食道逆流の症状も起こることがあります。

診断

  • 乳糖摂取後にみられる症状の医師による評価

  • ときに水素呼気試験

乳製品を摂取した後に症状が出る場合に、乳糖不耐症が疑われます。3~4週間、乳製品を除いた食事を試し続けて症状が消失し、その後乳製品を摂取すると症状が再び現れる場合に、診断が確定します。

特異的な検査が必要になるのはまれですが、場合によっては水素呼気試験を行って診断を確定することがあります。この4時間の検査では、量を測定した少量の乳糖を摂取します。乳糖の摂取前と摂取後で、吐く息に含まれる水素ガスの量を1時間毎に測定します。水素を測定するのは、吸収されなかった乳糖を腸内細菌が消化するときに水素が発生するためです。乳糖を摂取した後に吐いた息に含まれる水素の量が著しく増加した場合、その人は乳糖不耐症です。

この代わりとなるものに乳糖負荷試験がありますが、感度が低く、現在ではまれにしか行われません。量を測定した乳糖を摂取した後に、医師が症状をモニタリングし、数回にわたり血液中のグルコース濃度を測定します。乳糖を消化できる場合は症状が現れず、血液中のグルコース濃度が上昇します。乳糖を消化できない場合は、20~30分以内に下痢、腹部膨満、腹部不快感が現れ、血液中のグルコース濃度は上昇しません。

治療

  • 乳糖の回避

  • ラクターゼのサプリメントの服用

乳糖不耐症は、食事で乳糖を含む食品、主に乳製品の摂取を控えることでコントロールできます。ヨーグルトには乳酸桿菌 Lactobacilli(かんきん)が産生するラクターゼが天然に含まれているため、多くの場合ヨーグルトは耐えられます。チーズに含まれる乳糖の量は牛乳より少なく、摂取量にもよりますが、多くの場合耐えられます。乳糖を減らした牛乳などの製品が多くのスーパーマーケットで入手できます。

乳製品の摂取を控えなければならない人は、カルシウムのサプリメントを摂取して、カルシウム欠乏を予防する必要があります。ラクターゼのサプリメントは処方せんなしで購入でき、乳糖を含む飲食物を摂取する際に服用できます。

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