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薬物相互作用

執筆者:

Shalini S. Lynch

, PharmD, University of California San Francisco School of Pharmacy

最終査読/改訂年月 2017年 3月
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本ページのリソース
  • その人が服用している別の薬(薬同士の相互作用)

  • その人が摂取している飲食物やサプリメント(薬と栄養素の相互作用)

  • その人がかかっている別の病気(薬と病気の相互作用)

薬物相互作用は、通常は好ましくなく、ときに害をもたらすことがあります。こうした相互作用が起こると、1つまたは複数の薬の作用が強まったり弱まったりする結果、副作用が生じたり、薬が効かなくなることがあります。

薬物間相互作用

薬同士の相互作用は、処方薬同士でも市販薬でも起こることがあります。薬同士の相互作用の種類には、重複、拮抗のほか、一方または両方の薬の薬物動態(体が薬に及ぼす影響)の変化などがあります。

重複

同じ効果をもつ2種類の薬を服用すると、その副作用が強まることがあります。重複は、同じ有効成分(治療効果を発揮する成分)を含む2種類の薬を誤って服用したときに起こります(少なくとも1種類は市販薬であるケースが多い)。例えば、かぜ薬と睡眠補助薬を服用したときに、両方にジフェンヒドラミンが含まれていたり、かぜ薬と鎮痛薬を服用したときに、両方にアセトアミノフェンが含まれていたりします。このタイプの重複は、複数の有効成分を含む薬を服用している人、または製品名で販売されている薬(名前が違うため別の薬に見えても実際には同じ有効成分を含む)で起こりやすい傾向があります。

薬の有効成分を知っておくことが重要で、新たな薬はその都度有効成分を確認すると重複を避けられます。例えば、医師に処方される強い鎮痛薬の多くは、オピオイドとアセトアミノフェンを含みます。このような鎮痛薬を服用している人が、成分を知らずにさらにアセトアミノフェンの市販薬を服用してしまうと、毒性が起こるおそれがあります。

有効成分が異なる2種類の薬を服用した場合でも、その作用が同であれば、重複が起こります。こうした問題は、複数の医師の治療を受けている場合や、複数の薬局から処方薬を購入している場合に特に起こりやすくなります。医師は、他の医師がどのような薬を処方しているかを知らずに、誤って類似する薬を処方することがあります。例えば、2人の医師がそれぞれ睡眠補助薬を処方したり、あるいは、1人の医師が睡眠補助薬を処方し、もう1人の医師が同様の鎮静作用をもつ別の薬(抗不安薬など)を処方することもあり、患者が両方の薬を服用すると過剰な鎮静作用やめまいが起こることがあります。

こうした薬の重複リスクを減らすには、自分が服用しているすべての薬をそれぞれの医師に伝え、すべての処方薬を同じ薬局で購入するとよいでしょう。服用しているすべての薬の一覧表を作成し、薬が変更されるたびにそれを更新して、受診の際には必ずその一覧表を持っていくと役立ちます。また、以前に処方された薬(睡眠薬や鎮痛薬など)は、医師か薬剤師に相談せずに服用するべきではありません。どれかが現在服用している薬と重複したり、その他の相互作用を起こすおそれがあるからです。

拮抗

相反する効果をもつ2つの薬が相互作用し、一方または両方の薬の効果が低下することがあります。例えば、痛みを緩和するイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬 非ステロイド系抗炎症薬 基礎疾患を治療することで、痛みを解消したり最小限に抑えたりできるケースがあります。例えば、骨折をギプスで固定することや、感染を起こした関節に抗菌薬を投与することは、鎮痛に役立ちます。しかし、痛みの基礎疾患が治療可能な場合でも、痛みに速やかに対処するために痛み止め(鎮痛薬)が必要になる場合もあります。 医師が鎮痛薬を選択する際、痛みのタイプと持続期間、それぞれの鎮痛薬の便益とリスクを考慮します。ほとんどの鎮痛薬は侵害受容性疼痛(通常の組織... さらに読む (NSAID)は、体内に塩分や水分を蓄積させます。一方、ヒドロクロロチアジドやフロセミドのような利尿薬は、体内から余分な塩分や水分を取り除く効果があります。もしも患者が非ステロイド系抗炎症薬と利尿薬を併用すると、非ステロイド性系炎症薬が利尿薬の効果を弱めてしまいます。また、高血圧や心疾患の治療に使用されるプロプラノロールなどのベータ遮断薬は、喘息の治療に使用されるベータ刺激薬(サルブタモールなど)の効果を打ち消す作用があります。どちらのタイプの薬も細胞のベータ2受容体( )が標的であり、一方はこれらの受容体を遮断し、もう一方は刺激します。

変化

薬同士の相互作用のリスクを減らすには

  • 薬(市販薬を含む)や、サプリメント、薬用ハーブなどを新たに使用する場合は、事前に医師や薬剤師に相談する。

  • 使用しているすべての薬の一覧表を作っておく。その内容について、定期的に医師や薬剤師に相談する。

  • すべての病気の一覧表を作っておく。その内容について、定期的に医師に相談する。

  • (起こりうる相互作用のチェックを含む)総合的なサービスを受けることができ、患者一人ひとりのすべての薬の記録を保管している薬局を選ぶ。そこで、すべての処方薬を調剤してもらう。

  • 処方されたすべての薬の使用目的と作用について知っておく。

  • 起こる可能性がある薬の副作用について知っておく。

  • 薬の使用方法や使用する時間、他の薬と同時に使用できるかどうか知っておく。

  • 使用している市販薬を薬剤師と点検する。すべての病気と使用している処方薬について、薬剤師に相談する。

  • 指示された通りに薬を使用する。

  • 薬の使用に関係していると思われる症状があれば、医師や薬剤師に報告する。

  • 複数の医師にかかっている場合は、必ずそれぞれの医師に、使用しているすべての薬を伝える。

例えば、H2遮断薬やプロトンポンプ阻害薬などの胃酸分泌抑制薬は胃内のpH値を高め、ケトコナゾール(真菌感染症の治療薬)などのある種の薬は吸収されにくくなります。

多くの薬は、肝臓で特定の酵素によって分解され、不活化されます(代謝)。一部の薬は、こうした肝酵素の働きを強めたり弱めたりするため、別の薬の代謝が速くなったり遅くなったりします。例えば、フェノバルビタールなどのバルビツール酸系薬剤は、肝酵素の働きを強め、抗凝固薬のワルファリンを同時に服用すると、代謝が速まりワルファリンの効果が弱まります。これとは逆に、エリスロマイシンやシプロフロキサシンなどの薬は、肝酵素の働きを弱めるため、ワルファリンの活性が強まり、出血の危険があります。医師は、ワルファリンを服用している患者に対して肝酵素に影響を及ぼす薬を投与する場合は、特に注意を払って病状をモニタリングし、その薬の影響を補うためにワルファリンの投与量を調整します。ワルファリン以外の薬の投与を中止した場合には、ワルファリンの投与量を再度調整します。肝酵素に影響を及ぼす薬は、このほかにもたくさんあります。

タバコの煙に含まれる化学物質が、いくつかの肝酵素の働きを強めることがあります。その結果、テオフィリン(気道を広げる気管支拡張薬)などの一部の薬は、喫煙によって効果が弱まります。

薬の中には、腎臓が別の薬を排泄する速度に影響を与えるものがあります。例えば、ビタミンCを大量に摂取すると尿の酸性度が高くなり、ある種の薬の排泄速度や効果が変わることがあります。1例として、アスピリンのような酸性の薬は排泄が遅くなりますが、プソイドエフェドリンのような塩基性の薬は排泄が速まります。

薬物相互作用は非常に多岐にわたるため、多くの医師や薬剤師は、新たな薬の処方や調剤を行う際に参考文献やデータベースで相互作用の有無を調べ、相互作用のリスクを減らすよう努めています。大半の薬局では、薬物相互作用がないか自動的に確認できるコンピュータシステムを利用し、処方せんや処方薬の点検を行っています。

薬と栄養素の相互作用

栄養素の摂取源には、食品、飲料(アルコールを含む)、サプリメントなどがあります。これらを摂取すると、その人が服用している薬の効果が変化することがあります。

食品

服用した薬は、食品と同様に胃や小腸の粘膜から吸収されます。このため、消化管内に食物があると、薬が吸収されにくくなる可能性があります。こうした相互作用は、食事の1時間前か2時間後に薬を服用することで、ほとんど避けられます。

サプリメント

サプリメント 薬用ハーブと機能性食品の概要 薬用ハーブとは、植物の一部または全体を粉末にするか、抽出するか、あるいはその他の加工を施し、健康上の目的に使用するものを指します。機能性食品とは比較的新しく登場した一般的な言葉で、特定のハーブなどの天然物質の一群や、コレステロールを下げるマーガリンやオオバコを配合したサプリメント(栄養補助食品)など、法的に食品として扱われる製品が該当しま... さらに読む (薬用ハーブを含む)は、ビタミンやミネラル、薬用ハーブ、アミノ酸などを含有する製品(タバコを除く)で、通常の食事の栄養を補うことを目的としています。サプリメントは、法律上、薬ではなく食品として扱われているため、薬ほどには徹底した試験が行われていません。しかしサプリメントは処方薬や市販薬と相互作用することがあります。サプリメントを摂取している人は、相互作用を避けられるよう、そのことを医師や薬剤師に伝えるとよいでしょう。

アルコール

多くの人はアルコールを栄養素とは考えませんが、アルコールは体の一連の働きに影響を及ぼし、様々な薬と相互作用します。例えば、抗菌薬のメトロニダゾールをアルコールと一緒に服用すると、紅潮や頭痛、動悸、吐き気、嘔吐が生じることがあります。アルコールと薬の相互作用については、医師や薬剤師が質問に答えてくれます。

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薬と病気の相互作用

ある病気に効果のある薬が、別の病気には悪影響を及ぼすことがあります。例えば、心疾患や高血圧の治療に使用されるベータ遮断薬の中には、喘息を悪化させたり、糖尿病患者の低血糖症状を分かりにくくしてしまうものがあります。かぜ薬の一部は、緑内障を悪化させることがあります。医師から新たに薬を処方してもらう前に、すべての病歴を医師に伝えておきましょう。糖尿病、高血圧や低血圧、潰瘍、緑内障、前立腺肥大症、膀胱の調節機能の低下、不眠症の病歴は特に重要です。これらの病気では、薬と病気の相互作用が起こりやすいためです。

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