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市販薬の概要

執筆者:

Shalini S. Lynch

, PharmD, University of California San Francisco School of Pharmacy

最終査読/改訂年月 2017年 6月
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市販薬(OTC薬)とは、処方せんがなくても購入できる薬のことです。

市販薬によって人々は様々な不快な症状を和らげることができ、また病気によっては医師の診察を受ける費用をかけずにたやすく治すことができます。しかし、市販薬を安全に使用するには、知識、常識、自己責任が求められます。

多くの人がよく市販薬として思いつくアスピリンやアセトアミノフェンなどの薬に加え、米国の食品医薬品局(FDA)は、一般に購入できる他の多くの製品も市販薬とみなしています。歯磨き粉や洗口液、点眼薬、いぼ取りの薬、抗菌薬を含む応急処置用のクリームや軟膏、さらにはフケ取りシャンプーなども市販薬とみなされるものがあります。

市販薬の中には、もともとは処方せんがなければ購入できなかったものがあります。処方薬として規制を受けながら何年も使われる中で優れた安全性を示した薬が市販薬としてFDAに承認されます。鎮痛薬のイブプロフェンや消化不良治療薬のファモチジンはこうした薬の例です。同じ薬でも、市販薬では処方薬に比べて、個々の錠剤、カプセル、カプレットに含まれる有効成分の量が大幅に少なくなっています。市販薬としての適切な投与量を確立するにあたり、製薬会社とFDAは安全性と有効性のバランスを取るよう努めます。

市販薬は必ずしも類似の処方薬よりも常に穏やかであるとは限りません。例えば、市販の睡眠補助薬であるジフェンヒドラミンは、処方薬である多くの睡眠補助薬と同等の重篤な副作用を引き起こす可能性があり、特にこれは高齢者に当てはまります。

歴史的背景

一時期、ほとんどの薬は処方せんがなくても手に入りました。FDAができる前は、びんに詰められたものは何でも、確かな治療薬であるかのように販売されていました。アルコールやコカイン、マリファナ、アヘンを含んでいるにもかかわらず、消費者には何の警告もない市販薬もありました。1938年に制定された米連邦食品医薬品化粧品(FD&C)法は、FDAに規制を設ける権限を与えましたが、どの薬を処方せんがあるときだけ買える薬とし、どの薬を店頭で市販してよい薬とするかについては、明確な指針を規定しませんでした。

1951年のFD&C法の改正では、市販薬と処方薬の違いを明らかにして薬の安全性の問題を処理しようと図りました。このとき処方薬の定義を、依存性や毒性の可能性があったり、医師の管理下でなければ安全に使用できない化合物と定め、それ以外のものは店頭で市販できることになりました。

1962年のFD&C法の改正で述べられているように、市販薬は有効性と安全性の両方を兼ね備えたものでなければなりません。しかしながら、有効性と安全性を判定することが難しいこともあります。ある人にとって有効でも別の人には効かない場合や、薬が望ましくない副作用(有害作用、有害事象または薬の有害反応とも呼ばれる)を起こすこともあるからです。2007年まで、米国では市販薬の副作用を報告するための組織化されたシステムは存在しませんでしたが、2007年には企業に対して市販薬に関連する重篤な有害事象の報告を求める新たな法律が施行されました(OTC Products and Dietary Supplementsを参照)。

安全性への配慮

安全性は、FDAが処方薬を市販薬に移行させるかどうかを検討する際の主な懸念事項です。ほとんどの市販薬は、健康食品やサプリメント(薬用ハーブを含む)、補完療法とは異なり、科学的かつ広範囲に研究されてきました。しかし、どんな薬にも便益とリスクがあるため、薬の恩恵を受けるには、ある程度のリスクは覚悟しなければなりません。どの程度のリスクなら受け入れられるかは、個人の考え方によります。

市販薬への移行

ある薬を市販薬にするにあたって、十分に安全かどうかを決定するには、次の質問が役に立ちます。

  • その薬はあらゆる有害作用が十分に理解されているといえるだけ長く使用されてきたか。

  • その薬はどのような有害作用(誤使用によるものも含む)を引き起こすか。

  • 習慣性はあるか。

  • 市販薬とした場合の便益がリスクを上回るか。

医療環境以外で病気が診断でき治療できるような簡便性について評価するには、次のような質問が役に立ちます。

  • その薬を必要とする病気を普通の人が自分で判断できるか。

  • 医師やその他の医療従事者の助けがなくても、普通の人がその病気を治療できるか。

また、その薬の使用法について理解してもらうためには、薬のパッケージの内外のラベルなども重要な考慮点です。

  • 使用上の指示が的確に記載されているか。

  • 危険な使用法についての警告が記載されているか。

  • 普通の人がそのラベルの情報を読んで理解できるか。

市販薬の選択と使用

安全性は薬の適切な使用にかかっています。市販薬の場合、正しく使えるかどうかは消費者の自己診断にかかっているため、間違いが発生する余地があります。例えば、ほとんどの頭痛は危険ではありませんが、まれに、脳腫瘍脳出血の初期の徴候であることがあります。同様に、ひどい胸やけのように思えるものが、切迫した心臓発作のサインということもあります。結局、ちょっとした不調なのか、医学的な治療が必要で医師の診察を受けるべきなのかがあいまいな場合、人々は常識的に判断せざるを得ません。

市販薬を選択して使用するためのガイドライン

  • 自己診断ができるだけ間違いのないものであることを確認する。問題を「今、流行中の何かだろう」などと安易に決めつけない。

  • 有名なブランドの薬というだけで製品を選ばず、症状に適した成分のものを選ぶ。

  • 適切な成分の数が最も少ない製品を選ぶ。あらゆる症状を和らげようとする製品は、利用者が不要な成分にさらされることになり、薬によるリスクが増え、費用もかさむ。

  • ラベルをよく読んで、どんな状態には向かないという情報も含め、正しい投与量と使用上の注意を判断する。

  • 疑問がある場合は、薬剤師か医師に何が最も適切な成分や製品か尋ねる。

  • 使用中の他の薬と相互作用を起こす可能性がないか薬剤師に尋ねる。

  • 起こりうる副作用を薬剤師に尋ねる。

  • 推奨用量を超えて使用しない。

  • 市販薬は、ラベルの指示にある使用最長期間より長く使用しない。症状が悪化したら使用を中止する。

  • 市販薬を含め、すべての薬は小児の手の届かない所に保管する。

市販薬のラベルを読む

市販薬を購入した場合は、説明書をよく読んで指示に注意深く従うべきです。即放性製剤や放出制御製剤(例えば徐放剤)など、製品名が同じでも製剤設計が異なる場合があるため、製品を購入するたびにラベルをチェックして用量に注意することが必要です。同じ薬だから投与量も同じだろうと思い込むのは安全とはいえません。また製品名が同じでも剤形が異なれば、成分が異なることもあるため、製品のラベルに記載されている成分をチェックすることが大切です。例えば、解熱鎮痛薬のタイレノールには様々な成分を含む製剤が数十種類もあります。胃腸薬のマーロックスには、アルミニウムと水酸化マグネシウムを含む製品と、炭酸カルシウムを含むものがあります。製品を選ぶにあたっては、ラベルを注意深く読み、どの製品が自分の症状や疾患に最もふさわしいかを決めるべきです。市販薬のラベルはFDAによって記載が求められていますが、それを見れば、消費者が薬の正しい使い方だけでなく、薬の便益とリスクについても理解できるようになっています。市販薬について何か疑問があれば、薬剤師に尋ねるべきです。

たいていの場合、市販薬のラベルには起こりうるすべての副作用が記載されているわけではありません。そのため、市販薬には副作用がほとんどないか、あったとしてもわずかだと思う人が多いようです。例えば、ある鎮痛薬の添付文書には、10日間以上この薬を服用し続けないようにと書いてあります。しかし、長期の使用によって起こりうる重篤な副作用(生命を脅かす消化管出血など)については、箱にも、びんにも、添付文書にも記載されていません。そのため、慢性的な痛みや炎症のある人が、こうした深刻な問題が起こりうることを知らないまま、長期にわたって薬を服用することがあります。

薬のラベルの読み方

市販薬(非処方薬)には、薬の便益とリスクおよび薬の正しい使い方を説明するラベルをつける必要があります。ラベルの見出しには「薬の詳細情報(Drug Facts)」と書かれています。一番上から有効成分、効能、使用上の注意、用法・用量、その他の情報、そして不活性成分(添加物)が記載されています。

有効成分:有効成分はその薬の本質です。配合剤には複数の有効成分が入っています。薬の一般名とともに、錠剤またはカプセル1個当たり、あるいは1回分の服用単位中に含まれるその成分の量が記載されています。同じ医薬品のジェネリック医薬品は、複数の異なる商品(ブランド)名で販売されていることもあります。

効能:その薬が推奨される症状や病名が記載されています。

使用上の注意:その薬を使うべきではない場合、医師や薬剤師に相談すべき場合(またどれくらいの使用期間の後に相談すべきか)、薬により期待される反応を変えることのある要因について、通常は4つのセクションに記載されています。

  • 「以下に該当する人は、使用する前に医師に相談してください」という項目には、薬を服用すると問題や危険がある状態が記載されています。この項目は薬の病気に対する影響を表しています。

  • 「以下の薬を使用中の人は、使用する前に医師または薬剤師に相談してください」という項目には、薬の有効性または安全性を妨げる可能性のある他の薬が記載されています。この項目は、薬同士の相互作用を表しています。

  • 「この製品を使用するときは」という項目には、一般的な副作用、薬の有効性または安全性を阻害するおそれのある食べもの(薬と食べものの相互作用)、特に注意すべき事項(例えば、服用中は運転をしない)などが記載されています。

  • 最後の項目には、妊婦や授乳中の女性、小児に対する特別な注意と、過剰摂取した場合の対処法が記載されています。

用法・用量:年齢層別に薬の用量と頻度が記載されています。これは、いくつかの要因の中でも、とりわけ体重と年齢が薬に対する反応のしかたに影響を及ぼすからです。

その他の情報:薬が劣化しないようにするための保管方法などの特記事項が記載されています。

不活性成分(添加物):市販の錠剤やカプセル、その他の剤形の薬には、有効成分のほかに薬を使用しやすくするために加えた物質が入っています。例えば薬を扱いやすい大きさに増量したり、味や色を好ましいものにする成分などです。有効成分が同じ製品でも、含まれる不活性成分が異なることがあります。不活性成分は通常は無害ですが、なかには一部の人にアレルギー反応を起こすものもあり、その場合はその不活性成分を含まない製品を探すべきです。

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