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DNR 指示(蘇生処置拒否指示)

執筆者:

Charles Sabatino

, JD, American Bar Association

医学的にレビューされた 2018年 9月
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患者がDNR(蘇生処置拒否)を指示した場合、主治医がその患者の診療記録に記載します。これによって、 心肺蘇生 救命・応急手当 心停止とは人が死ぬときに生じる状態です。心停止になると、心臓から、内臓、脳、組織に血液と酸素が送り出されなくなります。心停止が起こって数分以内であれば、ときに蘇生する可能性があります。しかし、時間が経過するほど蘇生する可能性は低くなり、助かったとしても脳に障害が残る可能性が高くなります。 心停止が5分を超えて続くと脳に障害が残る可能性が高くなり、8分を超えると死亡する可能性が高まります。そのため、心停止の場合、一刻も早く救命処置を始める... さらに読む 救命・応急手当 を試みてはならないことが医療スタッフに伝えられます。心肺蘇生が行われないため、後続の蘇生処置(心臓への電気ショックや挿管しての人工呼吸など)も行われません。この指示は、終末期の患者にとって必要がなく、かつ望ましくない、体に負担をかける治療を回避するのに役立ってきました。終末期の心肺蘇生の成功率は極めて低い値です。(医療における法的問題と倫理的問題の概要 医療における法的問題と倫理的問題の概要 法律は、個人の意思決定について多くの事柄を定めています。例えば、人は自分が受ける医療について自ら決定する権利を法律で認められています。しかしながら、健康状態が悪い場合には自らの法的権利を行使できなくなることがあります。 こうした権利を保護するには、前もって考え、計画することが大切です。突然の病気や慢性の病気が原因で深刻な衰弱や錯乱が生じる... さらに読む も参照のこと。)

医師は重篤な状態の患者と、当面の病状に照らした心肺停止の可能性について話し合い、心肺蘇生処置と起こりうる結果について詳しく説明し、心肺蘇生を希望するかどうかを尋ねます。本人が心肺蘇生に関する意思決定を下せない場合は、権限をもつ代理人が決定を行うことがあります。

DNR指示は「治療を拒否」することではなく、心肺蘇生を試みないという意味です。それ以外の延命治療(抗菌薬の投与、輸血、透析、人工呼吸器の使用など)は行われることがあります。患者の状態にもよりますが、通常はこうしたほかの治療の方が心肺蘇生より成功する可能性が高くなっています。痛みや不快感を和らげる治療(緩和ケア)は、必ず行われます。

米国のほとんどの州では、病院以外の場所、つまり地域社会のあらゆる場所で有効な特別なDNR指示についても規定しています。このようなDNR指示を院外DNR指示、安楽ケア指示(患者を惨めでない状態または苦痛がない状態にするためのケアのみを行うよう指示したもの)、No CPR(心肺蘇生拒否)指示などといいます。通常、こうした特別なDNR指示には、医師と患者(または患者の代理人)の署名が必要です。この場合には、一目ではっきりとDNR指示を行ったことが分かる表示やブレスレット、ネックレスが患者に提供されるため、救急隊員はそれを見て事情を了解できます。こうしたDNR指示は、地域社会で生活する終末期患者のうち、安楽ケアだけを希望し、心臓や呼吸が停止したときの蘇生を望まない人にとって特に重要です。一般に、緊急事態が生じた場合には、リビングウィルや医療判断代理委任状は有効ではありません。多くの州では、 生命維持治療に関する医師指示書 生命維持治療に関する医師指示書(POLST) 患者がDNR(蘇生処置拒否)を指示した場合、主治医がその患者の診療記録に記載します。これによって、 心肺蘇生を試みてはならないことが医療スタッフに伝えられます。心肺蘇生が行われないため、後続の蘇生処置(心臓への電気ショックや挿管しての人工呼吸など)も行われません。この指示は、終末期の患者にとって必要がなく、かつ望ましくない、体に負担をかける治療を回避するのに役立ってきました。終末期の心肺蘇生の成功率は極めて低い値です。(... さらに読む と呼ばれる携帯型の医療指示にDNR指示の情報を組み入れています。

延命治療に関する医学用語

心肺蘇生:心停止、呼吸停止、または心肺停止に陥った患者を蘇生させるための処置。

コード:心停止、呼吸停止、または心肺停止に陥った患者を蘇生させるため、心肺蘇生の訓練を受けた専門家を招集すること。

ノーコード:心肺蘇生を試みないよう、患者の主治医が署名した指示のこと。(DNR[蘇生処置拒否]指示とも呼ばれる。)

不可逆的昏睡:昏睡状態や持続的な植物状態で、回復の見込みのない状態。

遷延性植物状態:本人に意識がないのに、眼を開く、通常の間隔で眠ったり起きたりする、吸ったり噛んだりする、せき、空嘔吐、飲み込みの動作がみられるなど、意識があるかのような特徴を示す状態。

末期状態:治癒の見込みがなく、死が近い状態。

延命治療:末期状態にある人の生存を一定期間だけ維持することができるが、その病気を治癒させることはできない医学的処置、投薬、医療技術など。

生命維持治療に関する医師指示書(POLST)

昨今、 進行した病気 ホスピスケア ホスピスとは、死が迫っている患者とその家族の苦痛を最小限にすることを主な目的とするケアのプログラムであり、またその概念を意味します。米国では、ホスピスは、居住場所で重病患者を支援するために広く利用されている唯一の総合的プログラムです。ホスピスプログラムは症状の軽減を優先し、診断検査や延命治療をほとんど行いません。また、死期を迎えた患者と家族に対し、適切なケアと緩和ケアについての指導が行われます。ホスピスプログラムは延命を重視しませんが、... さらに読む の患者に対し、心肺蘇生に加えて様々な緊急の延命治療を行うプログラムを施行する州や地域が増加しています。そのようなプログラムは、主に生命維持治療に関する医師指示書(POLST)と呼ばれますが、それ以外にも、延命治療に関する医療指示書(MOLST)、治療範囲に関する医師指示書(POST)、治療範囲に関する医療指示書(MOST)、患者の希望に関する医師指示書(TPOPP)などの名称で呼ばれることがあります。

POLSTやそれに類するプログラムでは、進行した病気や末期疾患の患者との話し合いを医師が主導して行い、意思決定プロセスを両者で共有します。その結果、患者本人が抱いているケアの目標に適合した携帯可能な一連の医療指示が作成され、これを見ると、心肺蘇生の利用、人工栄養と輸液、入院、人工呼吸器、集中治療など、医学的な危機に際して利用されうる介入に本人がどのような要望をもっているかが分かります。POLSTはすべての医療状況で適用することができます。医学的に危険な状況において、救急救命士やその他の医療従事者は最初にPOLSTに従う必要があります。本人の状態が大きく変化したときや、本人がケアを受ける場所が変わったとき、または要望する内容を変更したいと本人が望むときは、急を要する状況でない限り、本人とともにPOLSTの再検討が行われます。本人が意思決定能力を欠いている場合は、権限をもつ代理人が対応します。POLSTが事前指示書と異なる点は、進行した病気の患者のみを対象とすること、緊急時の決定に関する医療指示の形で治療計画を提示すること、本人の将来的に予想される状態ではなく、現在の状態に注目することです。

POLSTや類似のプログラムは、現在すべての州またはコミュニティに存在するわけではありませんが、急速に広まっています。

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