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COVID-19厳選ニュース

COVID-19情報ポータルページ 

 

COVID-19に関する最新情報の収集を支援するため、MSDマニュアルでは特に重要なニュースを厳選して紹介している。

 
    

 2020年7月14日

 COVID-19患者の大半で急性期からの回復後も症状が残存する

イタリアの研究チームが実施してJournal of the American Medical Association誌で公表された研究により、COVID-19患者の多くで症状が長期間残存していたことが明らかにされた。この研究には、COVID-19からの回復後に退院した143人の患者が組み入れられた。全員が隔離の中止条件(3日連続で発熱を認めず、その他の症状が改善し、24時間の間隔を空けた2回の検査でともにCOVID-19陰性と判定される)を満たしていた。患者は退院の平均36日後に本研究に登録され、登録時に再度実施されたCOVID-19のPCR検査でも陰性と判定されていた。大半の患者が残存する症状として疲労と息切れを報告した。評価時点で、COVID-19に関連する症状が完全に消失していた患者は12.6%のみで、30%の患者には1つか2つの症状がみられ、55%の患者では3つ以上の症状が残っていた。発熱や急性疾患の徴候がみられる患者はいなかった。44.1%の患者で生活の質(QOL)の低下が認められた。多くの患者が報告した症状は、疲労(53.1%)、呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)であった。研究チームは、COVID-19については急性期に大きな注目が向けられているが、退院後も長期的影響を検出するためのモニタリングを継続していく必要があると指摘している。本研究については、単一施設の研究であるなどの限界があると著者らも指摘しているほか、各患者が感染前から有していた症状に関する情報が示されなかった。さらに、比較のために対照群が設定されなかった。

リンク:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2768351


 2020年7月8日

 呼吸生理の理解が呼吸困難を伴わない低酸素血症(happy hypoxemia)の謎を解明する

American Journal of Respiratory and Clinical Care Medicine誌で公表された新しい論文では、COVID-19患者でみられる呼吸困難を伴わない低酸素血症(silent hypoxemia)という不可解な病態(happy hypoxemiaとも呼ばれる)について論じられている。Silent hypoxiaとは、呼吸困難がない状況で酸素レベル(PaO2)が低い状態を指す。著者らは、silent hypoxiaを呈したCOVID-19患者16例に関する情報を提示するとともに、いくつかの病態生理学的機序でこの現象の(すべてではないとしても)大部分を説明できると解説している。著者らはまた、この現象に影響を与える交絡因子にも注目している。

Silent hypoxiaを説明できる機序として以下のものがある:

  • 換気応答はPaO2よりもPaCO2の変化に対してより速く起こり、PaCO2は多くの場合、低値または正常範囲内である
  • 糖尿病患者や高齢者(重篤患者のうちかなりの割合を占める)は、低酸素症に対する換気応答が低下している。
  • 頸動脈小体にはウイルスレセプターであるアンジオテンシン変換酵素2(CE2)が発現しており、頸動脈小体は直接ウイルスの影響を受ける可能性がある。

交絡因子としては以下のものがある:

  • パルスオキシメトリーは、酸素化レベルが高い状況では正確であるが、酸素飽和度低下の重症度を過大評価する可能性がある
  • 発熱は酸素ヘモグロビン解離曲線を右側にシフトさせることで飽和度の低下を招くが、頸動脈小体の化学受容器は酸素飽和度ではなくPaO2のみに反応する
  • 高炭酸ガス血症や低酸素症に対する反応は患者間で劇的に異なる可能性がある

リンク:https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.202006-2157CP


 2020年7月6日

 COVID-19と消化器系に関するレビュー

2020年7月4日付のAmerican Journal of Gastroenterology(AJG)誌で公表されたCOVID-19と消化器系の関係に関するレビューでは、COVID-19の消化管病態について、臨床所見と潜在的な基礎機序の両方に焦点が置かれた。中国の武漢で発生したCOVID-19のアウトブレイク中に消化管症状の発生率を調べた過去の研究(AJG 2020年5月)では、COVID-19の最大の特徴は呼吸器症状であったが、18.6%の患者に受診時点で悪心、嘔吐、下痢の消化管症状がみられていたことが報告された。ときには、呼吸器症状を伴うことなく、これらの消化管症状が最初の主症状となる場合もあった。また、消化管症状の存在に重症化との密接な関連が認められた。最新のレビューでも、SARS-CoV-2の感染は肝損傷につながる可能性があり、肝酵素値異常にはCOVID-19の重症度と関連が認められると記載されている。

著者らは、SARS-CoV-2の機能的レセプターであるアンジオテンシン変換酵素2がさまざまなヒト臓器に広く分布していることを指摘しているが、このレセプターの発現量は呼吸器系よりも消化管の方が約100倍高いことに注目している。このレビューでは、COVID-19で消化器系が侵される場合の臨床的および病理学的所見と、間質損傷および肝損傷の発生機序について考察されている。著者らは、COVID-19の早期にみられる消化器症状は注意して治療すべきであり、診療中は肝機能とサイトカインのモニタリングが重要であると結論付けている。

リンク:https://journals.lww.com/ajg/FullText/2020/07000/COVID_19_and_the_Digestive_System.11.aspx


 2020年7月2日

 CDCの報告:妊婦はCOVID-19の重症化リスクが高い

米国疾病予防管理センター(CDC)が2020年6月26日付の週次報告書Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)の中でオンライン公開した新たな報告によると、妊娠中の女性はCOVID-19の重症化リスクが高い可能性がある。SARS-CoV-2(COVID-19の原因ウイルス)に感染した妊娠可能年齢(15~44歳)の女性において、妊娠に入院、ICU入室、機械的人工換気の必要性との関連が認められた。しかしながら、妊娠と死亡リスクとの間には関連が認められなかった。検査でCOVID-19陽性と判定されてCDCに報告された妊婦の数は、6月7日の時点で8,207例であった。それらの妊婦が、妊娠していないことが判明していて検査でCOVID-19陽性と判定された妊娠可能年齢の女性83,205人と比較された。妊婦における入院率(31.5%)は、非妊娠女性のそれ(5.8%)を大幅に上回っていた。ICU入室率は、非妊娠女性の0.9%に対して妊婦では1.5%、人工呼吸器が必要になった人の割合は、非妊娠女性の0.3%に対して妊婦では0.5%であった。ヒスパニックおよびアフリカ系米国人の女性は、妊娠中にSARS-CoV-2に感染する可能性が比較的高いとみられている。著者らは、妊娠中には生理的変化や免疫学的変化が起きることで、呼吸器感染症が重症化するリスクが高くなる可能性があると指摘している。この研究にはいくつかの限界があり、このCDCレポートの著者らは次のように述べている。「……妊婦はCOVID-19が重症化するリスクを認識しておくべきである。妊婦とその家族は、自身の健康を確保し、SARS-CoV-2の感染拡大を防ぐための対策を講じるべきである。妊娠中の女性が講じられる具体的な対策としては、妊婦健診の予約をキャンセルしないこと、他者との交流をできるだけ自粛すること、他者と交流する場合はCOVID-19に対する感染予防策を講じること、少なくとも30日分の薬剤を常備しておくこと、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)中に健康を維持する方法についてかかりつけ医に相談することなどが挙げられる。妊婦におけるCOVID-19の重症化例を減らすために、SARS-CoV-2の感染予防策が重視されるべきであり、それらの対策の遵守を阻む潜在的要因に対処していく必要がある。

リンク:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6925a1.htm?s_cid=mm6925a1_w

                                                                                                             

 2020年6月30日

 抑うつと不安を軽減する5つの方法

医療従事者、特に救急チームのメンバーは、COVID-19パンデミックの間に精神衛生上の問題を起こすリスクが高い。この問題に対応するべく、カナダUniversity of OttawaのDepartment of Emergency Medicineは、抑うつおよび不安の症状を軽減することが示されたエビデンスに基づく5つの手法に関する情報を職員らに提供した。それらの手法については、Canadian Journal of Emergency Medicineへの掲載が受理された論文に詳細に記載されている(以下のリンクを参照)。5つの手法を以下に示す:

  • マインドフルネス瞑想:意識を現在に向けさせるのに役立つ様々な瞑想法を総称する広義の用語。一例:ストレスの多い状況ではボックス呼吸法を用いる:4秒間息を吸い込み、4秒間息を止め、4秒間息を吐き出した後、4秒間息を止める。
  • 運動:中程度から強度の身体活動を、最長週150分まで徐々に時間を増やしながら行う。
  • ソーシャルメディアの使用に制限を設ける(1日30分まで):代わりに、ビデオチャットや電話で愛する人と会話をする。
  • 地中海料理などの健康的な食事をとる:料理に取り組む。
  • セラピーとカウンセリング:ピアサポートや精神衛生の専門家を介して精神保健関連の医療資源を活用する。

記事の最後には、上記の手法を分かりやすく説明した画像が掲載されている。

リンク:https://www.cambridge.org/core/services/aop-cambridge-core/content/view/E43093692F0A21B512AA4111A0365B24/S1481803520004339a.pdf/beyond_survival_practical_wellness_tips_during_the_covid19_pandemic.pdf

 

                                                                                                     

 2020年6月29日

 COVID-19の封じ込め中にCO2排出量が減少

5月17日にNature Climate Change誌で公表された研究結果によると、人間の活動により放出される二酸化炭素(CO2)の量がコロナウイルス禍最中の4月上旬に17%もの減少を記録した。COVID-19パンデミック(世界的大流行)中の感染伝播を抑制するべく各国政府が講じた封じ込め政策(検疫・隔離や外出制限)により、世界中でエネルギー需要のパターンが劇的に変化している。1日当たりの排出量は一時的に2006年の水準まで減少した。今回の分析は、地球上で人が排出する温室効果ガスの影響を追跡する取組みであるFuture EarthのGlobal Carbon Projectに参加する国際研究チームが実施した。CO2排出量の17%の減少は、世界中で封じ込め策が最も広く実施された4月初めに確認された。2020年の年間排出量に対する全体としての影響は封じ込め策の期間に依存し、低めの推計としては、6月までにパンデミック以前の状態に戻った場合に約4%の減少が見込まれる一方、2020年末まで世界中である程度の制限が続いた場合には、約7%という高い減少率が推計されている。著者らは、4.2~7.5%の年間CO2排出量の減少は気候変動を1.5℃に抑える上で今後10年間にわたり毎年迫られる削減量に相当すると指摘しているが、パリ協定に沿って気候変動を抑制していく上で直面する課題の大きさが強調される結果となった。

リンク:https://www.nature.com/articles/s41558-020-0797-x


 2020年6月25日

 COVID-19パンデミック中の小児リウマチ性疾患およびmultisystem inflammatory syndromeの患者を対象とするAmerican College of Rheumatologyの診療ガイダンス

American College of Rheumatologyは、エビデンスに基づく推奨事項を示した2つの診療ガイダンス文書を新たに発行した(具体的な推奨については下記のリンクを参照)。COVID-19のパンデミック中におけるリウマチ性疾患の小児患者の管理について示した1つ目のガイダンスでは、リウマチ性疾患の小児におけるCOVID-19の予防に関する推奨に加えて、COVID-19に関連した様々な状況(曝露なし、濃厚接触/家庭内曝露、無症状および有症状のCOVID-19感染など)における小児リウマチ性疾患の治療に関する推奨が示されている。

2つ目のガイダンスでは、COVID-19に合併したmultisystem inflammatory syndrome in children(MIS-C)の診断および治療に関する詳細な推奨が提示されている。ドラフト版の要約が2020年6月17日にACR Board of Directorsにより承認され、ウェブ上で公表された。

リンク:https://www.rheumatology.org/Portals/0/Files/COVID-19-Clinical-Guidance-Summary-for-Pediatric-Patients-with-Rheumatic-Disease.pdf

リンク:https://www.rheumatology.org/Portals/0/Files/ACR-COVID-19-Clinical-Guidance-Summary-MIS-C-Hyperinflammation.pdf

 

 

                                                                                                      

 2020年6月24日

 COVID-19により呼吸不全を来した非挿管患者における腹臥位療法

挿管患者に腹臥位をとらせると、中等度から重度の急性呼吸窮迫症候群で死亡率が低下することが示されている。COVID-19の非挿管患者における腹臥位療法の実施可能性とガス交換に対する効果を検討した研究の一環として、COVID-19肺炎と確定診断された入院患者56人を対象とする前向き研究が、2020年3月20日から4月9日にかけてイタリアのモンツァで実施された。患者は酸素投与または非侵襲的な持続陽圧呼吸療法を受けていた。ベースラインデータの収集後、患者は腹臥位をとり、最低3時間にわたり腹臥位が維持された。腹臥位療法が奏効した患者49例を対象として、ベースライン時(仰臥位)、腹臥位への変換後10分時点、および仰臥位への再変換後1時間時点でデータが再収集された。解析の結果、仰臥位から腹臥位への変換によって酸素化が大幅に改善したことが明らかにされた(仰臥位でのPaO2/FiO2比180.5mmHg[SD = 76.6]に対して腹臥位では285.5mmHg[112.9];p<0.0001)。仰臥位への再変換後には、半数の患者で酸素化の改善が維持された。全体として、仰臥位に戻してから1時間後時点での改善は統計学的に有意ではなかった。この研究により、間質性肺炎による呼吸不全のある覚醒患者では腹臥位療法が有益であるとした以前の報告が裏付けられた。また、COVID-19患者におけるこの手技の実施可能性が実証された。呼吸パラメータと生存率を指標とした腹臥位療法の安全性および中長期の成績を評価するには、さらなる研究が必要である。

リンク:https://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(20)30268-X/fulltext

                                                                                       

 2020年6月23日

 COVID-19の重症度に血液型が関連

6月17日にNew England Journal of Medicine誌で公表された研究論文において、スペインおよびイタリアの重症患者1900人以上の検体に対し実施された遺伝子解析の結果が報告された。患者は全員、RNA検査で確定診断されたCOVID-19のために呼吸不全を来していた。重症患者から採取された検体が2000人以上の健康対照から採取された検体と比較されたが、この健康対照には、COVID-19に感染したものの軽症または無症状で推移した患者が含まれていた可能性がある。解析の結果、遺伝子座3p21.31および9q34.2にCOVID-19による呼吸不全との有意な関連が認められることが判明した。遺伝子座9q34.2では、ABO血液型との関連が同時に認められた。さらなる研究の結果、血液型がA型の患者はA型以外の個人と比べて、COVID-19の結果として呼吸不全を起こすリスクが有意に高かったことが判明した。以上のように、本研究により、呼吸不全を来したCOVID-19患者における感受性遺伝子座として3p21.31遺伝子クラスターが同定され、ABO血液型が関与している可能性が確認された。これまでにも、遺伝学に基づかない研究から、COVID-19の感受性へのABO血液型の関与が示唆されてきた。今回の知見は血液型の関連を証明するものではないが、血液型は比較的リスクの高い集団を示唆する有意な因子であると考えられる。

リンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2020283?query=featured_coronavirus#article_references

                                                                                                      

 2020年6月22日

 SARS-CoV-2に対するおとりになるナノ粒子

University of California San Diegoの研究チームは、感染症との闘いにおける新規のアプローチとして、ウイルスを標的とする代わりに、肺上皮細胞とマクロファージから抽出した細胞膜でナノ粒子をコーティングしたものを利用した。この研究は2020年6月17日に査読誌Nano Lettersで公表された。そのナノ粒子(ナノスポンジ)は、生物学的に宿主細胞に酷似した挙動を示し、宿主細胞に代わってウイルスによる結合を引き受けるおとり(decoy)として振る舞う。このナノスポンジの大きさはヒト毛髪の径より1000倍小さく、実際の細胞と同じ受容体タンパクを発現した細胞膜で覆われているため、ウイルスにとって細胞と見分けることができない。研究では、ナノスポンジの存在下で培養したとき、細胞培養中でのSARS-CoV-2の感染性が用量依存的に90%低下した。この戦略の大きな長所の一つは、ウイルスの変異能力と無関係であるという点である。このプラットフォームは、1種類のおとりナノ粒子を提示することで、あらゆる変異に対応でき、同じ宿主細胞を標的とするあらゆるウイルスに効果を示すと考えられる。研究チームは今後数カ月かけて、このナノ粒子の有効性を動物のプラットフォームで評価していく計画を立てている。この斬新な治療法のヒトにおける有効性および安全性は、まだ実証されていない。

リンク: https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.nanolett.0c02278

                                                                                                    

 2020年6月19日

 SARS-CoV-2に対する抗体カクテルで急速なmutational escapeを防止する

COVID-19の治療を目的とするモノクローナル抗体の開発が進められている。しかしながら、このウイルスの変異能力の高さから、すぐに耐性化が起きる可能性が懸念されている。2020年6月15日のScience誌で公表された報告において、耐性化の問題が検討された。著者らは、生ウイルスを用いたモデルにおいて、単一の抗体では数世代で耐性が生じたことを示した。著者らはその後、いくつかの抗体ペアを同定したが、1つはレセプター結合ドメイン(RBD)内の互いに重複する領域に対するペアで、1つはRBD内の全く重複しない領域に結合するペアであった。そして、抗体の結合領域間に重複がある場合には耐性化が起きたことが明らかにされた。一方で、抗体の標的領域が全く重複しない場合には耐性化が起きなかったが、これはおそらく、この状況で耐性化が起きるには、ウイルス遺伝子の2つの異なる部位で同時に変異が起きるという、まれな現象が起きる必要があったためと考えられる。これらの結果から、ウイルス遺伝子のRBD内の互いに重複しない領域を標的とする抗体カクテルは単一の抗体より優れている可能性が示唆された。

リンク:https://science.sciencemag.org/content/early/2020/06/15/science.abd0831

                                                                                                 

 2020年6月18日

 COVID-19の致死率は基礎疾患があると12倍に上昇する

米国疾病予防管理センター(CDC)は、6月15日に早期公開したMorbidity and Mortality Weekly Reportにおいて、5月30日までに検査で確定診断されたCOVID-19症例1,320,488例の人口統計学的特徴、基礎疾患、症状、転帰について説明している。全体で184,673人(14%)が入院し、29,837人(2%)が集中治療室(ICU)に収容され、71,116人(5%)が死亡した。個別の基礎疾患に関するデータがあった287,320例(22%)で最も多くみられた基礎疾患は、心血管疾患(32%)、糖尿病(30%)、慢性肺疾患(18%)であった。基礎疾患の報告があった人では、基礎疾患がなかった人と比べて、入院率が6倍、致死率が12倍高かった。CDCは、以上の知見からcommunity mitigationの戦略を継続していく必要性が浮き彫りになり、脆弱な集団に対する対策が特に重要と考えている。

リンク:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6924e2.htm?s_cid=mm6924e2_e&deliveryName=USCDC_921-DM30615

                                                                                 

 2020年6月17日

 デキサメタゾンによりCOVID-19重症患者の致死率が低下

Oxford Universityの6月16日付のニュースリリースにおいて、COVID-19の重症患者6,425人を対象とした臨床試験についての肯定的な結果が報告された。被験者はデキサメタゾン6mgを経口または静脈内注射で1日1回10日間投与する群(n = 2,104)と、通常のケアのみを行う群(n = 4,321)にランダムに割り付けられた。デキサメタゾンの投与により、人工呼吸器装着患者では致死率が1/3低下し、酸素吸入のみを受けた患者では致死率が1/5低下した。どちらの結果も統計学的に極めて有意であった。これらの結果に基づくと、人工呼吸器装着患者の8人に1人、酸素吸入のみを受けた患者のおよそ25人に1人の死亡を治療により予防できたことになる。一方、呼吸補助を必要としなかった患者ではベネフィットが認められなかった。この試験の試験責任医師の一人で、University of Oxford, Nuffield Department of Medicineの新興感染症学教授であるPeter Horbyは、ニュースリリースにおいて、「デキサメタゾンはCOVID-19に対して生存率の改善を示した最初の薬剤である」と述べている。この研究はフルデータがまだ公表されておらず、まだ査読も受けていないという点に注意する必要があるが、外部の専門家たちはこの結果をすぐに受け入れた。英国政府の首席科学顧問であるPatrick Vallanceは、この結果を「素晴らしいニュース」とし、「この疾患との闘いにおける画期的な進展」であると評価した。米国食品医薬品局(FDA)の元長官であるScott Gottliebも「非常に前向きな結果」と評している。

リンク:https://www.recoverytrial.net/files/recovery_dexamethasone_statement_160620_v2final.pdf

                                                                                     

 2020年6月16日

 新規発症糖尿病とCOVID-19

New England Journal of Medicine誌に掲載され、CoviDiab Registryプロジェクトに関与した著明な糖尿病専門家17名で構成される国際研究グループが署名したレターにおいて、COVID-19が新規発症糖尿病の誘因となりうることが警告された。このプロジェクトの目標は、COVID-19患者における新規発症糖尿病の程度および特徴を確認することである。これまでの臨床症例の観察により、COVID-19と糖尿病の間には双方向的な関係があることが示されている。COVID-19で死亡した患者のうち、20~30%が糖尿病を有していたと報告されている。一方で、COVID-19の感染者において、新規発症糖尿病と既存の糖尿病による非定型の代謝性合併症が観察されている。SARS-CoV-2が糖尿病にどのように影響を及ぼすのかは明らかでない。考えられる機序の1つは、SARS-CoV-2に結合するアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)タンパクがウイルスのヒト細胞への侵入を可能にしているというものである。ACE2は膵β細胞、小腸、脂肪組織、腎臓など、糖代謝に関与する多くの臓器に発現している。

リンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2018688

                                                                                      

 2020年6月15日

 FDAがCOVID-19に対する既存薬の新規使用を報告するためのCURE IDプログラムと専用アプリの使用を医師に奨励

医師が特定の患者に対し医学的に適切と判断した場合には、法律に基づき市販されている薬剤を未承認の用途で処方することが長らく許容されてきた。しかしながら、こうした処方が正式な臨床試験の枠内で行わるものでなければ、そのような使用の成否が医学界や科学界に知られることはまれである。そこで2013年、FDAとNational Institutes of Health(NIH:米国国立衛生研究所)の下部組織であるNational Center for Advancing Translational Sciences(NCATS)は、任意の制度としてCURE IDプログラムを導入し、臨床医が個々の患者に対する適応外使用の結果を報告するための分かりやすい方法を創出した。匿名化されたデータが疾患別に集積され、ユーザーが閲覧できるように整備されている。このプログラムは、研究候補となる薬剤の同定を効率化することを意図したもので、正式な医薬品承認プロセスの一部を構成するものではない。最近になって、COVID-19に関するデータ報告と望むらくは効果的な新規治療法の同定を容易にするべく、CURE IDプログラム(無料アプリを含む)が更新された。

リンク:https://www.fda.gov/drugs/science-and-research-drugs/cure-id-app-lets-clinicians-report-novel-uses-existing-drugs

                                                                                

 2020年6月12日

 パンデミック初期に救急外来の受診が急減

米国では、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)が救急外来の受診者数に有意な影響を及ぼした。CDCが6月3日に公表した週次報告書Morbidity and Mortality Weekly Reportにより、COVID-19のパンデミック初期に救急外来の受診が42%減少していたことが示された。2020年の3月29日から4月25日にかけての1週間当たりの平均受診者数は120万人であった。一方、前年同時期(3月31日から4月27日まで)の1週間当たりの受診者数は220万人であった。しかしながら、この期間中、感染症に関連した受診者の割合が前年比で4倍に増加した。受診者数の減少は小児と女性で特に目立ち、また米北東部で顕著であった。腹痛やその他の消化器症状、非特異的胸痛や急性心筋梗塞(心臓発作)、高血圧など、多くの病態を理由とする受診者数が今回のパンデミック中に減少したことから、無治療で放置すると致死率が高まりかねない病態の患者の一部が医療機関受診を先送りしている可能性が懸念された。

研究へのリンク:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6923e1.htm?s_cid=mm6923e1_w

                                                                                             

 2020年6月10日

 大局的に見るCOVID-19の死亡率

New York Times紙は、世界の25の都市・地域を対象として、COVID-19のアウトブレイク(集団発生)が最も激しかった月の死者数をレビューし、平時の死者数に対する倍率を算出するとともに、それらの値を過去の他の自然災害時の値と比較した。

最高値を記録した月の死者数を平年と比較したときの倍率:

  • 1918年のスペイン風邪流行時のフィラデルフィア:7.3倍
  • COVID-19流行時のイタリア、ベルガモ:6.7倍
  • COVID-19流行時のニューヨーク市:5.8倍
  • COVID-19流行時のペルー、リマ:4.0倍
  • ハリケーン「カトリーナ」発生時のニューオーリンズ:2.4倍
  • インフルエンザ大流行時のニューヨーク市:1.05倍

記事へのリンク:https://www.nytimes.com/interactive/2020/06/10/world/coronavirus-history.html?smid=em-share

                                                                                    

 2020年6月5日

 ヒドロキシクロロキンの研究論文が撤回

最近The Lancetで公表された研究の著者数名が自らの論文を撤回した。COVID-19の治療にヒドロキシクロロキンとクロロキンは無効であると報告した同研究については、その公表後にデータソースに対する疑問が投げかけられていた。同論文の著者3名はその後、データおよび解析に関して独立した第三者に査読を依頼したが、その査読者らに完全なデータセットへのアクセス権が与えられなかったことを受け、著者らが論文を撤回するに至った。

リンク:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31324-6/fulltext

                                                                                   

 2020年6月5日

 ウイルス排出が長期間続いたCOVID-19の1例

Journal of Microbiology, Immunology and Infection誌の5月23日付けのレターにおいて、過去最長のウイルス排出期間を記録したCOVID-19症例が報告された。COVID-19におけるウイルス排出期間の中央値は11~20日間と報告されていたが、それまでの最長期間は49日間であった。この症例報告は武漢でCOVID-19と診断された59歳女性のもので、患者はSARS-CoV-2 RNAのPCR検査で発症後72日間にわたり間欠的に陽性と判定されていた。入院期間の最初の週から無症状で経過し、発症後38日目からはSARS-CoV-2に対する抗体が認められていた。しかしながら、72日目まで複数回のRNA PCR検査で間欠的に陽性と判定された。この症例報告では、PCR検査での陽性判定が感染性のあるウイルスによるものであったのか、単にウイルスの断片が残存していただけかについて、参考になる証拠は示されなかった。 

研究へのリンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1684118220301225?via%3Dihub

                                                                                

 2020年6月4日

 COVID-19に対する抗体薬の初の第I相試験

Eli Lilly社は今週、SARS-CoV-2に対するモノクローナル抗体薬を評価する初の第I相試験を開始した。この抗体は、COVID-19回復患者の血液から新たなスクリーニング手法を用いて見出された550の抗体のうちの1つを複製したものである。 

発表へのリンク:https://www.biopharmadive.com/news/eli-lilly-abcellera-coronavirus-antibody-drug-first-trial/578980/

                                                                                

 2020年6月3日

 COVID-19に対する検査の実施時期と偽陰性率のばらつき

Johns Hopkins Universityの研究チームは、2020年5月13日のAnnals of Internal Medicine誌で公表された研究において、RT-PCR検査の性能に関する過去に公表された7研究の結果を解析し、偽陰性の確率が検査の実施時期によって有意に変動していたことを明らかにした。検査の実施日には、感染日(曝露があった日)から、発症日(典型的には5日目)、さらには発症以降の日までの幅がみられた。解析の結果、偽陰性率は感染日である1日目の実施で100%, 4日目で67%、発症日で38%、8日目で20%(最低値)であった。8日目以降には、偽陰性の確率が上昇に転じた。したがって、偽陰性率は曝露後8日目に最低となり、それは典型的には発症後3日目であった。著者らは、偽陰性率を最小限に抑えることを目標とするのであれば、この時点が至適な検査実施時期となる可能性があると結論付けた。また、SARS-CoV-2の感染を調べるRT-PCR検査の結果を解釈する上では、特に感染経過の初期にある場合、注意が必要であることを強調している。臨床的に強く疑われる場合は、検査結果のみに基づいて感染を除外してはならない。著者らは医師に対し、陰性判定を解釈する際には検査の実施時期を考慮に入れるよう助言しており、曝露の可能性が高く、かつCOVID-19と一致する症状がみられる患者では、特に注意が必要である。そして、感染の検査前確率が高い場合には、たとえ結果が陰性でも、検査後確率は高いままであると結論付けている。さらに、曝露後直ちに検査を行っても、その検査結果は感染の可能性について何ら有益な情報をもたらさない。著者らは、より感度の高いアプローチを検討する研究が必須であると述べている。

研究へのリンクhttps://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M20-1495

                                                                              

  2020年6月2日

 下水から分かるCOVID-19の感染拡大

COVID-19の原因ウイルスの遺伝物質であるSARS-CoV-2 RNAは便中に大量に排泄されることが研究により明らかにされている。そして、下水に含まれるCOVID-19のウイルス学的痕跡を検出して分析することで、ウイルスの有無および量から感染の拡大や重症度を推定することが可能になっている。下水の分析は疾患サーベイランスの手段となる可能性があり、個人毎に検体を採取して検査することなく、より広い視点からパンデミック(世界的大流行)の状況を把握する簡便な方法となる。2020年5月14日にSmithonian Magazine誌で公表された論文では、ボストン在住の科学ジャーナリスト、Catherine J. Wu(Harvard Universityで微生物学と免疫学の博士号を取得)が、SARS-CoV-2の感染拡大を追跡する上で排水がどのように役立ち、便に排出され下水道に流入したウイルスが人々の健康に及ぼす潜在的影響について考察している。

記事へのリンク:https://www.smithsonianmag.com/science-nature/how-wastewater-could-help-track-spread-new-coronavirus-180974858/

                                                                                

  2020年6月1日

 ニューヨーク市ではCOVID-19の感染率を規定する因子として人口密度より世帯規模の方が重要である可能性がある

米国全体では、また同じ都市の中でも、人口当たりのCOVID-19感染確定者数には大きなばらつきがみられる。このことは流行を抑え込む上で政策上重要な意味をもつことから、このばらつきにつながる因子を把握しておくことが重要である。ニューヨーク市全域でみられるばらつきを統計学的に検討する研究 (2020年5月20日にmedRxivでプレプリントとして公開;査読前)が実施され、入手可能なデータを用いて、該当する因子が郵便番号単位で調査された。本研究により、人口密度、平均世帯規模、貧困ラインを下回る人口の割合、65歳以上の住民の割合などの重要な因子を考慮に入れると、確定感染率と相関する最も重要な因子は平均世帯規模であることが明らかにされた。65歳以上の人口の割合と貧困ラインを下回る人口の割合も感染者発生率に影響を及ぼす因子であった。興味深いことに、一般的な認識に反して、人口密度それ自体は郵便番号で規定される地域内の感染者発生率に有意な影響を及ぼしていなかった。実際、本研究では他の因子を考慮に入れた場合、人口密度と感染者発生率の間には負の相関が認められた。ただし、この研究では2018年の統計データは用いられており、今回のアウトブレイク中に起きた人口の変化は考慮されていない。また、この研究において介護施設とその入居者がどのように分類されたかも明記されておらず、これらの点が研究結果に影響を及ぼした可能性がある。

研究へのリンク:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.05.25.20112797v1.full.pdf+html

                                                                             

  2020年5月29日

この論文は2020年6月4日に撤回された。

ヒドロキシクロロキンとクロロキンは単剤かマクロライド系薬剤との併用かを問わず有益ではなかったことが国際的な後ろ向きデータベース研究で示された

クロロキンまたはヒドロキシクロロキンの単剤投与またはマクロライド系薬剤との併用投与を受けたCOVID-19患者の治療成績を解析した大規模国際研究の結果が、2020年5月22日にLancet誌で公表された。6大陸の671病院から収集されたデータで構成される国際症例登録が解析された。データには2019年12月20日から2020年4月14日までに入院したSARS-CoV-2陽性患者が含まれていた。症例登録のうち96,032例のデータが本研究の対象とされ、そのうち14,888例は診断後48時間以内に対象の治療を受けた患者で、単剤かマクロライド系薬剤との併用かを問わずクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの投与を受けなかった81,114例が対照群とされた。解析の結果、単剤投与時とマクロライド系薬剤との併用投与時ともに、COVID-19に対する入院成績の観点で、ヒドロキシクロロキンまたはクロロキンのベネフィットを確認するエビデンスは得られなかった。この研究では、これらのレジメンをそれぞれ対照群と比較したとき、院内生存率の低下と心室性不整脈の頻度増加が認められた。後ろ向きの観察研究であるため、測定されなかった交絡因子が存在する可能性が否定できない。その一つとして、これらの薬剤がより重症度の高い患者に使用された可能性が考えられる。著者らは「COVID-19患者におけるこれらの薬剤のベネフィットと害について何らかの結論を下すにはランダム化比較試験の実施が必要である」と結論付けている。著者らはまた「今回の知見から、これらのレジメンは臨床試験以外では使用すべきでないことが示唆される」とも述べている。

研究へのリンク:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31042-4/fulltext

                                                                           

  2020年5月27日

 COVID-19により死亡した患者の肺の剖検研究

COVID-19患者の肺を対象とした剖検研究により、COVID-19を引き起こすコロナウイルスは血管の内皮に侵入して、血栓形成を促進することが明らかにされた。この研究は5月21日にThe New England Journal of Medicine誌のオンライン版で公開されたもので、COVID-19により死亡した患者の剖検中に摘出された肺の形態学的および分子生物学的特徴が検討されるとともに、それらの肺がインフルエンザにより死亡した患者の肺および年齢でマッチングした無感染対照の肺と比較された。COVID-19患者の肺の血管には、極めて明確な特徴と重度の内皮損傷が認められた。COVID-19患者の肺血管の組織学的分析では、微小血管障害を伴う広範な血栓症が認められた。COVID-19患者では、肺胞毛細血管の微小塞栓がインフルエンザ患者と比べて9倍以上高い頻度で認められた。また、COVID-19患者の肺ではintussusceptive angiogenesisの機序を介して有意な新生血管の増生が生じていたことも明らかにされた。この研究では、COVID-19およびA型インフルエンザ(H1N1)により死亡した患者の肺組織における炎症および血管新生に関連する遺伝子の発現量についても検討され、両疾患の間で有意な差が確認された。

研究へのリンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2015432

                                                                     

  2020年5月22日

 会話中の飛沫が空気中にとどまる時間と新型コロナウイルス感染におけるその重要性

2020年5月13日にProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)誌に発表された研究は、普通の会話中に出る飛沫は空気中にどとまる可能性があることを証明した。研究者らは高感度レーザー光線を照射することで、参加者が「stay healthy(健康にお気をつけて)」と発話したときの飛沫を視覚化した。この光線拡散法により、会話中に飛沫が放出されることが視覚的に示され、飛沫が空気中にとどまる時間が計測された。この方法は、直径30マイクロメートル以下の会話中の飛沫を特に高い感度で計測することができた。このサイズの飛沫は、これまでの研究の主な対象であったより大きな飛沫よりも空気中にとどまる時間が長い可能性がある。大声で喋った場合はウイルスを含む飛沫核が毎秒数千個以上放出され、8分間以上も空気中に漂い続けると推測される。無症候性のウイルス保有者が会話中に放出する飛沫は、新型コロナウイルスの可能な感染経路の1つと考えられるようになっている。この直接の視覚化は、普通の会話でも数十分以上漂うことのできる飛沫がいかに空気中に放出され、閉鎖された環境では明らかに新型コロナウイルスの感染経路となりうることを示している。ただし、この研究はCOVID-19感染の実例を取り上げたものではない。

研究へのリンク:https://jvi.asm.org/content/early/2020/04/16/JVI.00510-20

                                                                                                                                         

 2020年5月21日

 新型コロナウイルス患者の在宅看護に関するCDC勧告

米国疾病予防管理センター(CDC)は、COVID-19患者の在宅看護または医療環境以外での看護に関するガイドラインを最近発表した。これは、COVID-19の症状がある患者や、無症候性だが検査で陽性結果が出た患者の看護に関する勧告である。勧告は広範囲にわたり詳細な情報を記載している。CDCは、新型コロナウイルス患者の基本的ニーズを満たす方法について役立つ対策を提供している。また、緊急医療を要する症状を特定している。CDCは、介護者がウイルス感染を防ぐためにできることを詳しく説明している。ガイドラインでは、新型コロナウイルス患者との接触を抑える方法、食事の与え方、新型コロナウイルス患者または介護者が布マスクまたは手袋を着用するべき場合を説明している。家の中での手洗い、トイレの使用、掃除や消毒、洗濯のしかたに関する勧告も記載されている。また、自宅隔離の解除のしかたに関する指針も提供している。

CDCガイダンスへのリンク:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/if-you-are-sick/care-for-someone.html

                                                                    

 2020年5月20日

 SARS-CoV-2に対する免疫応答についての理解

SARS-CoV-2に対する体内の免疫応答をより良く理解するために、ラホヤ免疫アレルギー研究所の研究者らは、COVID-19から回復した成人20人の細胞性免疫応答を調べた。2020年5月14日にCell誌に発表された研究で、ウイルスに対して強い細胞性細胞応答が存在することが判明した。研究者らは入院の必要がなく疾患経過が軽度~中等度であった参加者を選び、通常の免疫応答のベンチマークを設定した。免疫系はさまざまな方法でウイルスを認識し、体液性(抗体)免疫と細胞性(T細胞)免疫の両方が認められた。この点は、ウイルスに対する効果的なワクチン開発が難しいという懸念を払拭するのに役立つものである。スパイクタンパク質だけでなく他のタンパク質に対する強いT細胞応答も認められ、ワクチン候補にスパイクタンパク質だけでなく複数のエピトープを含めることの利点が推測される。興味深いのは、未曝露者(現在のパンデミック以前に検査試料を採取)の~40-60%でもSARS-CoV-2−反応性CD4+ T細胞が検出されたことで、循環中の「風邪」コロナウイルスとSARS-CoV-2の間での交差反応性T細胞認識が示唆される。これらに保護作用があるのかどうか、またどの程度の保護作用があるのかどうかは不明である。

研究へのリンク:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(20)30610-3

                                                      

  2020年5月19日

 COVID-19:感染伝播についての解説

University of Massachusetts DartmouthのErin S. Bromage生物学准教授は、最近のブログ記事「リスクを知って、リスクを回避しよう」において、感染力のある量、ウイルスが広がりやすい場所やその広がり方、そして最もリスクが高い環境について説明している。  同准教授はデータや研究結果をわかりやすい言葉で上手に解説しており、科学者ではない人でもよく理解できる。多くの人がCOVID-19ウイルスの広がり方をより理解することで、ウイルス感染を避ける上で適切な判断を下せるようになることが望まれる。

ブログ記事へのリンク:https://www.erinbromage.com/post/the-risks-know-them-avoid-them

                                                              

  2020年5月18日

 不活化ウイルスを用いた有望なCOVID-19ワクチン

ワクチン開発においては通常、精製された不活化ウイルスが使用され、ポリオウイルスやインフルエンザウイルスといったウイルスを原因とする疾患の予防のために安全かつ効果の高いワクチンを提供してきた。中国の研究者グループは、2020年5月6日にScience誌に発表された論文で、精製された不活化SARS-CoV-2ワクチン(PiCoVacc)について発表した。このワクチンは、マウス、ラット、非ヒト霊長類で中和抗体を産生した。抗体は10種の代表的なウイルス菌株を中和することが示された。アカゲザル(SARS-CoV-2感染によりCOVID-19に似た疾患を示す非ヒト霊長類)に6マイクログラムを投与すると、後にSARS-CoV-2に感染させた場合、完全な防御効果を示した。観察可能または生化学的な有害作用はワクチンから生じなかった。顕著な点は、抗体依存性感染増強と呼ばれる現象を示す証拠がなかったことである。過去の報告では、この点が懸念として提起されていた。

著者らは、「これらの結果はヒト向けSARS-CoV-2ワクチンの臨床開発に向けた前向きな一歩を示す」と述べた。PiCoVaccの臨床試験は今年後半に開始される予定である。

研究へのリンク:https://science.sciencemag.org/content/early/2020/05/06/science.abc1932

                                                          

  2020年5月15日

 男性はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の濃度がより高い 

男性は女性よりもCOVID-19にかかりやすい。COVID-19検査で陽性反応を示した男性の数は女性に比べて多い。イタリアからの報告では、COVID-19により死亡した患者の70%は男性であった。

欧州諸国11カ国で心不全患者数千人を対象に行われた試験で、男性は女性に比べて血中アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)濃度が有意に高いことが明らかになった。ACE2は正常な細胞の表面に結合する受容体である。コロナウイルスはこの受容体に結合し、ウイルスが正常な細胞に感染できるようになる。ACE2濃度の上昇を示す最も強い予測因子は男性であることであった。この試験では、ACE阻害剤またはアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)を投与された患者はACE2の血漿濃度がより高くはならないことも明らかになった。ACE2濃度が高いという研究結果により、男性が女性よりもCOVID-19にかかりやすい理由を説明できる可能性がある。本研究は、2020年5月10日にEuropean Heart Journal誌(オンライン版)に発表された。

研究へのリンク:https://academic.oup.com/eurheartj/article/41/19/1810/5834647

                                                 

  2020年5月13日

 小児多臓器系炎症性症候群とCOVID-19の関連性

ボストン小児病院は、COVID-19と関連する可能性がある最近の小児症候群の報告例について短い概要を発表した。小児多臓器系炎症性症候群(PIMS)と呼ばれる多臓器系炎症性疾患を伴う重症例が、少数ながらも欧州や米国の東部州でここ数週間に報告されている。報告はまだ断片的で、同症候群についての内容は一定ではない。ただし、患者は発熱や様々な程度の臓器機能不全、重度炎症に対する複数の臨床マーカーを示している。同症候群は時として重大なショック状態に進むことがあり、血管作動薬や機械的人工換気が必要となる。

同症候群にかかった小児の多くはSARS CoV-2のPCR検査で陽性反応が出ており、またほぼ同数の小児は抗原陰性であったが抗体検査では陽性結果が出たことから、現在のCOVID-19パンデミックと関連性があるとみられる。しかし、多くの症例では抗原検査も抗体検査も陰性である。関連性はまだ不明である。

同症候群は川崎病と多少似ており、一部の小児は川崎病のすべてまたは一部の基準を満たしている。しかし、小児のPMISでは心筋炎が多くみられるものの、川崎病の顕著な特徴である冠動脈障害(冠動脈瘤を含む)は報告されていない。

例数は少ないながらも症例は極めて重症であり、抗凝固、免疫グロブリン静脈投与、IL-1またはIL-6の阻害およびコルチコステロイドなどの治療に反応を示すようである。臨床医はこうした症状に注意し、子供の感染が疑われる場合は専門病院に紹介するべきである。

概要へのリンク:https://discoveries.childrenshospital.org/covid-19-inflammatory-syndrome-children/

                                                     

  2020年5月12日

 遺伝的差異がCOVID-19に対する感受性に影響を与える可能性

SARS-CoV-2感染に反応する能力に影響を与えうる違いが存在することが、ヒト免疫系内の既知の遺伝的差異についての解析から示唆されている。症状が重い人もいれば症状が軽いか全く無症状の人もいる理由を、免疫の差異によって説明できる可能性がある。

HLAタンパクは身体にとって異物であるペプチドと結合し、この異物ペプチドを認識し、免疫系を活性化して感染細胞を死滅させる。HLA系によって検出できるウイルスのペプチドの数が多いほど、免疫反応も強い。一部のHLAタンパクはSARS-CoV-2により適合させることができるため、免疫系がウイルスに対していかに効果的に対応できるかを決める要因となりうる。

研究者らは、どのHLAアレルが最も効果的にコロナウイルスのペプチドに結合するかを決定するために、ヒト白血球抗原(HLA)系を解析した。論文は、著者最終原稿としてJournal of Virology誌(オンライン版)に投稿されている。著者らは、SARS-CoV-2を構成するタンパク質についての既知のデータベースを利用したコンピュータモデリングを用い、次にアルゴリズムを使って様々なHLAのこれらのコロナウイルスタンパク質への結合状態を予測した。HLAアレル145種のうち、ウイルス抗原提示の最も高い3種(A*02:02、B*15:03、C*12:03)と最も低い3種(A*25:01、B*46:01、C*01:02)を特定した。HLAアレルの1種「B*46:01」が特にSARS-CoV-2とSARS-CoVの抗原提示において劣ることが、モデルから予測された。この結果を次に、過去の研究と比較した。比較から、このアレル(B*46:01)を持つ人はSARS感染がより重症でウイルス量が高いことが明らかになった。この結果は、COVID-19の臨床症状に幅広い差がある理由を説明し、リスクの高い人々を特定し、ワクチン接種にあたりこうした人々を優先させる上で役立つ可能性がある。

研究へのリンク:https://jvi.asm.org/content/early/2020/04/16/JVI.00510-20

                                               

  2020年5月11日

 抗ウイルス薬の併用はCOVID-19患者の転帰を改善する

登録開始時に鼻咽頭スワブがSARS-CoV-2陽性であった香港の入院患者124例を登録した試験が、The Lancet誌(オンライン版)に2020年5月8日に発表された。この多施設共同ランダム化(2:1)非盲検試験では、ロピナビル・リトナビル+リバビリン+インターフェロンベータ-1b(800万国際単位)3回投与の併用投与群を、ロピナビル・リトナビルを単独投与する対照群と比較した。症状発現から試験登録までの期間の中央値は、5日であった。試験の主要評価項目は、逆転写PCR法により、鼻咽頭スワブがSARS-CoV-2ウイルス陰性になるまでの期間とした。併用投与群では、試験薬投与開始から鼻咽頭スワブ陰性になるまでの期間中央値(7日間)が対照群(12日間)より有意に短かった(p = 0.001)。症状の有意な改善と入院期間の短縮も認められた。有害事象は2群間で差はなく、概ね軽度で自然治癒した。ICUケアを必要とする患者は非常に少数であり、1例(対照群)のみが挿管および換気補助を必要とした。死亡例はなかった。この試験では、軽度から中等度のCOVID-19患者において、抗ウイルス療法の併用投与によるウイルス排出期間の短縮効果が認められた。著者らは、ウイルス量を陰性にまで減少させることで、患者の感染性を低下させるベネフィットについて説明した。また、この併用療法の有効性と安全性を確立するため、引き続きプラセボ対照試験を実施するよう推奨した。

研究へのリンク:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31042-4/fulltext

                                               

  2020年5月8日

 SARS-CoV-2は、2019年12月下旬には既にフランスで広がっていた

フランスで、12月下旬に重度の急性呼吸器症候群を伴って入院した患者の保存していた喀痰サンプルに対し、逆転写PCR法を実施した。検査結果からコロナウイルス陽性であることが判明した。この結果から、フランスでの流行が当初考えられていたよりも早く始まっていたことが明らかとなった。この研究結果は、2020年5月3日にInternational Journal of Antimicrobial Agents誌(オンライン版)に発表されたものである。研究者らは、2019年12月2日から2020年1月16日までの間にインフルエンザ様症状を訴えてICUに入院した全患者(124例)の診療録を調べた。調査では、PCR検査で他の呼吸器ウイルスに対して陽性を示した患者を除外したほか、診療録でCOVIDの典型的所見を示さない患者も除外した。残った12例の鼻咽頭サンプルを検査した。このうち1例のサンプルがCOVID-19に陽性反応を示した。陽性となったサンプルは、42歳のアルジェリア人移民から採取したものであり、中国への旅行歴や中国との関連性はなかった。この患者は、喀血、咳嗽、胸痛、頭痛、発熱が4日間続いており、2019年12月27日に救急病棟を受診した。 注目すべきは、この患者の症状が発現する前に、患者の子供の1人にインフルエンザ様疾患が現れていたことである。この論文には、病歴、臨床所見、臨床検査所見、放射線学的所見、この疾患の臨床経過について記載されている。2019年12月末には既にフランス人集団でCOVID-19が蔓延していたと研究者らは結論付けた。

研究へのリンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0924857920301643

                                           

 2020年5月7日

 濃厚接触者を対象としたSARS-CoV-2の伝播に関する疫学研究

中国・深セン市のCOVID-19患者391例と濃厚接触者1286例を対象とした疫学研究がThe Lancet誌に発表され、SARS-CoV-2ウイルスの自然経過と伝播性に関する情報が示された。研究者らは大規模な一次データセットを用いることで、ウイルスの潜伏期間、回復までの期間、伝播性を明らかにすることができた。興味深いことに、濃厚接触者における二次発病率は平均して7%近くであることが判明した。一緒に暮らす人など非常に密な濃厚接触者間の伝播は、接触者6人に1人未満の割合であった(すなわち、二次発病率は11%~15%)。

この研究から、子供も成人と同程度に感染する可能性が高いという結果が強調された。子供が健康を害することはそれほど多くはないが、重大な伝播源として見逃してはならない。この研究では、コミュニティにおけるSARS-CoV-2ウイルスの拡散を抑えるために、接触者ベースのサーベイランスの有用性も示した。

研究へのリンク:https://www.thelancet.com/pdfs/journals/laninf/PIIS1473-3099(20)30287-5.pdf

                                           

  2020年5月6日

 ACE阻害薬やARBはCOVID-19の転帰を悪化させるか?

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)がCOVID-19患者の転帰を悪化させるかどうかについて懸念が高まっており、この問題について多くの研究が行われている。COVID-19の原因となるコロナウイルスは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の膜結合構造に結合することで、肺細胞に感染する。この知見から、COVID-19患者ではこれらの薬剤が有害である可能性が推測された。2020年5月1日にThe New England Journal of Medicineに発表された論説では、ACE阻害薬やARBが投与された患者に有害な転帰が認められなかった最近の3つのデータベース研究の結果について説明している。

論説へのリンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe2012924

                                             

  2020年5月5日

 若年・中年のCOVID-19感染患者における大血管性脳卒中

New England Journal of Medicine誌は2020年4月28日、50歳以下のCOVID-19感染患者における大血管脳卒中の5症例を報告した。最も若かったのは33歳の女性であった。報告された5例は、3月下旬から4月上旬までの2週間に、ニューヨーク市のマウントサイナイ・ヘルスシステムで脳卒中症状を呈した50歳未満の患者全員に相当する。2週間で5例という割合は、前年の平均2週間における同年齢群(50歳未満)の脳卒中患者数の約7倍であり、脳卒中とCOVID-19との間に非常に強い相関があることを示している。

記事へのリンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2009787

         


  2020年5月4日

 COVID-19はニコチンコリン作動系の疾患か? 

中国の喫煙率は31.3%と推定されているが、同国の症例集積解析データから、COVID-19の入院患者のうち喫煙者はわずか6.5%であったことが明らかになった。興味深いことに、この結果からニコチンに有益な効果がある可能性が示唆された。Toxicology Reportsに2020年4月30日に掲載された論説(オンラインで閲覧可能)では、コリン作動系と免疫系の関係や、ニコチンがどのように動態に影響し、COVID-19の治療候補薬となりうるかについて考察している。

                     

  2020年4月30日

 COVID-19患者の新たな現象として「呼吸困難を伴わない低酸素血症」が報告される

2020年4月28日のScienceニュースに掲載のオンライン記事で、著者のJennifer Couzin-Frankel氏は、予想していた呼吸困難症状を伴わない憂慮すべき低酸素血症について考察した。記事中では、この現象に関する現時点の研究やその原因と治療に関する見解が報告されている。著者は、Elnara Marcia Negri氏らがブラジルで実施した小規模ながらも示唆に富む研究に注目した(2020年4月20にmedRxivプレプリントに発表。下記リンクを参照)。この研究は、COVID-19によって呼吸不全を来した27例の連続患者にヘパリンを投与した症例集積研究であり、転帰良好率が高く、別報でも報告された。呼吸器科医のNegri氏は、肺の微小血管の播種性血管内凝固(DIC)や微小塞栓が血流不均衡や短絡路形成を引き起こし、低酸素血症をもたらすと唱えた。ただ、肺コンプライアンスは維持されると考えられ、患者は二酸化炭素を排出できる。呼吸刺激は、血流中の酸素濃度ではなく、二酸化炭素濃度の影響を受けるからである。このような理由で、患者は低酸素濃度だけでは息切れを感じないことがわかった。

 Science誌の記事へのリンク:https://www.sciencemag.org/news/2020/04/why-don-t-some-coronavirus-patients-sense-their-alarmingly-low-oxygen-levels

                      

  2020年4月29日

 イェール大学公衆衛生学部の研究から、鼻咽頭スワブの代わりに唾液検体が有望であることが判明 

イェール大学公衆衛生学部は、COVID-19の入院患者44例と、COVID-19患者への職業曝露のある医療従事者98例を対象に、唾液検体と鼻咽頭検体を比較する研究を実施した。この研究は、2020年4月24日にMichael Greenwood氏によりYale Newsで報告された。研究は小規模で限定的であったが、現在の標準法である鼻咽頭スワブを使用する代わりに、唾液検体を使用する方が極めて有望であることが示された。同一患者での感染経過を通して、唾液検体は鼻咽頭検体と比較して、検出感度が高く、一貫性が高いことが研究から確認された。また、自己検体採取のばらつきも少ないことから、唾液検査は、COVID-19の検査に変革をもたらす可能性がある。唾液検査は非侵襲的で、鼻咽頭スワブを使用せず簡単に自己採取できるため、患者との直接的な接触や現行の検査方法の使用によるリスクや障害がなくなり、スワブや個人保護具(PPE)などの医療資材の使用削減にもつながる。この研究は査読対象ではなく、研究結果は、プレプリントサーバーのmedRxivで現在公開されている。

 研究へのリンク:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.16.20067835v1.full.pdf+html

 ニュースリリースへのリンク:https://news.yale.edu/2020/04/24/saliva-samples-preferable-deep-nasal-swabs-testing-covid-19

  2020年4月28日

 WHO、「免疫パスポート」に関するガイダンスを発出

世界保健機関(WHO)は2020年4月24日、SARS-CoV-2ウイルス(新型コロナウイルス)の抗体検査で陽性でも、COVID-19の再感染や発症を防げる証拠はないと警告を発出した。WHOは、行動規制緩和の目安として抗体検査を利用することや、2回目の感染から守られる保証として『免疫パスポート』や『リスクゼロ証明書』を発行することのないよう、政府に注意喚起している。COVID-19感染症から回復した人や抗体検査で陽性の人が、職場復帰できたり安全に旅行できる保証はない。WHOは「パンデミックの現時点では、抗体媒介性免疫の効果について十分な証拠が得られていないため、『免疫パスポート』や『リスクゼロ証明書』の正確性は保証できない。」と述べた。

WHOはさらに、迅速な免疫診断検査をはじめ、SARS-CoV-2の抗体を検出する臨床検査については、正確性と信頼性を確認する検証が引き続き必要であると指摘した。免疫診断検査では、患者を次の2パターンに誤って分類することがある。感染者を誤って陰性と診断するパターン(偽陰性)と、非感染者を誤って陽性と診断するパターン(偽陽性)である。どのような抗体検査でも、検査の正確性(偽陰性率、偽陽性率)を確認することが必要である。偽陰性または偽陽性が出ると、深刻な結果がもたらされ、感染制御の取り組みに影響を及ぼす。

 WHOの声明へのリンク:https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/immunity-passports-in-the-context-of-covid-19
                 

  2020年4月27日

 COVID-19で入院した患者の特性

2020年3月1日から4月4日までの間にCOVID-19が確認され、ニューヨーク市地域の病院に次々に入院した5700名の患者の大規模症例シリーズが、2020年4月22日にJAMA Network誌(オンライン版)に発表された。この研究は、COVID-19患者の臨床的特徴、併存症、転帰について包括的に記述している。特筆すべきことは、多くの患者が高血圧(57%)、肥満(42%)、糖尿病(34%)などの他の医学的問題を有していたことである。トリアージの時点で発熱があったのは、わずか31%であった。この研究は、研究期間中に退院(2090名)または死亡(553名)した患者2643名に焦点を当てた。これらの転帰に至った患者群では、機械的人工換気を受けた320名のうち88%が死亡し、機械的人工換気を受けた65歳以上のうち97%が死亡した。注目すべきは、転帰のデータが収集された時点で、3066名の患者が依然として入院し、このなかには当然、機械的人工換気を必要とする65歳以上の患者が数多く含まれ、その時点まで生存していたことである。

 研究へのリンク:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2765184

  2020年4月24日

 COVID-19に対する抗マラリア薬についての追加データ

ヒドロキシクロロキンに対する当初の期待と多大な支持は、有効性と潜在的副作用への懸念から、薄らいでいる。Science誌(4月21日付、オンライン版)のレビュー論文(1)にまとめられた最近のいくつかの研究と報告(以下に記載)が、この懸念の理由を説明している。

COVID-19で入院した退役軍人368名を対象に、ヒドロキシクロロキン単独投与群、ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン併用投与群、ヒドロキシクロロキン非投与群の転帰を後ろ向きに解析した論文(2)が4月21日に発表された。死亡率の減少や人工呼吸器の必要性に関して、ヒドロキシクロロキン単独投与群とヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン併用投与群の有益性は示されなかった。死亡率は、ヒドロキシクロロキン単独投与群が27.8%、ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン併用投与群が22.1%、ヒドロキシクロロキン非投与群が11.4%であった。ヒドロキシクロロキン単独投与群では、全死因死亡率が上昇した。

4月7日に発行されたMayo Clinic Proceedings誌(3)では、クロロキンとヒドロキシクロロキンによるQTc延長機序について説明し、この致死的な合併症のモニタリングと回避のためのガイダンスを提示した。この論文では、クロロキンとヒドロキシクロロキンの薬理について説明し、両薬剤ともKCNH2がコードするHERG/Kv11.1カリウムチャネルを遮断することを指摘した。この機序により、QTc間隔が延長し、危険な不整脈(トルサード・ド・ポアンなど)や心臓突然死のリスクが上昇する。著者らはリスク因子をリスト化し、投与前のこれらの因子のスクリーニング、修正可能なリスク因子の修正、投与中のQTc延長のモニタリングを推奨した。

ニューヨーク大学医学部の研究(4)では、SARS-CoV-2に感染した成人患者84名にヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンを併用投与し、QT間隔の変化を調べた。30%の患者では、補正QT間隔の増加が40 msを超えた。11%の患者では、補正QT間隔が500 msを超え、不整脈リスクが高いことが示された。

COVID-19の入院患者に高用量および低用量のクロロキンを(セフトリアキソンとアジスロマイシンを併用して)投与したブラジルの盲検ランダム化臨床試験(5)では、高用量群で死亡率が高いことを試験担当医師が発見し、わずか81名の患者が登録された後、試験が早期中止となった。

 

 参考文献

 1. Servick K: Antimalarials widely used against COVID-19 heighten risk of cardiac arrest. How can doctors minimize the danger? Science April 21, 2020. https://www.sciencemag.org/news/2020/04/antimalarials-widely-used-against-covid-19-heighten-risk-cardiac-arrest-how-can-doctors

 2. Magagnoli J, Siddharth N, Pereira F, et al: Outcomes of hydroxychloroquine usage in United States veterans hospitalized with Covid-19. April 23, 2020. PREPRINT medRxiv available at https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.16.20065920v2. doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.16.20065920

3. Giudicessi JR, Noseworthy PA, Friedman PA, et al: Urgent guidance for navigating and circumventing the QTc-prolonging and torsadogenic potential of possible pharmacotherapies for coronavirus disease 19 (COVID-19). Mayo Clin Proc 2020 Apr 7 doi: 10.1016/j.mayocp.2020.03.024 [Epub ahead of print]

 4. Chorin E, Dai M, Schulman E, et al: The QT interval in patients with SARS-CoV-2 infection treated with hydroxychloroquine/azithromycin. April 3, 2020. PREPRINT medRxiv available at https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.02.20047050v1. doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.02.20047050

 5. Silva Borba MG, de Almeida Val F, Sampaio VS, et al: Chloroquine diphosphate in two different dosages as adjunctive therapy of hospitalized patients with severe respiratory syndrome in the context of coronavirus (SARS-CoV-2) infection: Preliminary safety results of a randomized, double-blinded, phase IIb clinical trial (CloroCovid-19 Study). April 16, 2020. PREPRINT medRxiv available at https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.07.20056424v2  doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.07.20056424

       


  2020年4月23日

 全国的なCOVID-19検査のアクションプランが提言される

ロックフェラー財団は、COVID-19の検査と陽性結果の綿密な追跡調査に基づき、経済活動と社会活動を再開するための包括的プラン(2020年4月21日付、下記リンクを参照)を提言した。このプランの目標は、労働者のモニタリング、アウトブレイク再発の早期発見、診断検査・在宅検査という目標を通して、経済活動の再開を支える国家主導のCOVID-19検査プログラムを構築することである。このプランは主に次の3つで構成される。

  • 1つ目は、COVID-19の検査件数を現在の1週間あたり100万件から劇的に拡大し、今後8週間で1週間あたり300万件、次の6ヵ月間で1週間あたり3000万件の検査を行えるようにすることである。これを行うには、全米の国立研究機関、大学研究機関、何千もの地方の小規模検査機関に対し、検査能力の拡充に向けた投資と支援が必要となる。
  • 2つ目は、検査を管理し、陽性患者の接触者を追跡するためのトレーニングを受けた医療従事者チームを発足させることである。同財団は、州の公衆衛生部門を中心に編成することを提言している。同財団はまた、10万~30万名の人員を雇用し、コンピュータネットワークと多数の電子医療記録を紐づけてこれらの人員をサポートする必要があることを提言している。
  • 3つ目は、リアルタイム解析と感染の追跡を円滑化するため、連邦、州、民間のデータプラットフォームを統合し、拡大していくことである。これを行うことで、COVID-19のアウトブレイク再発を突き止め、検査量の急増に対応し、追跡調査を行えるようになる。

ロックフェラー財団が提案するこの白書は、優れたアイデアに富んでおり、必読である。この大規模プランには、数多く点在するコンピュータ化されたデータについて、プラットフォームを統合していくことが求められる。これらはいずれも、プライバシーと感染制御の必要性のバランスを取る必要がある。

プランのリンク:https://www.rockefellerfoundation.org/wp-content/uploads/2020/04/TheRockefellerFoundation_WhitePaper_Covid19_4_21_2020.pdf


  2020年4月22日

 COVID-19における凝固障害の重要性が浮き彫りに

COVID-19患者において、血栓性合併症は新たに浮上した問題の1つである。COVID-19に起因する合併症のほか、COVID-19の病的状態と死亡に寄与する重大な合併症を認識することが重要である。感染によってもたらされる凝固カスケードの調節異常は、血栓形成促進状態を誘導し、これにより播種性血管内凝固、血栓塞栓症、出血、または顕性血栓形成を引き起こす可能性がある。Journal of Clinical Virology誌(2020年6月号オンライン版、下記リンクを参照)に掲載された論文では、COVID-19患者における凝固障害の重要性に注目し、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(Sars-CoV-1)と中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の過去の経験をレビューしている。

研究へのリンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1386653220301049

   

  2020年4月21日

 データにない28,000件の死亡:コロナウイルス危機による本当の死亡者数を追跡

2020年4月21日のNew York Times誌でJin Wu氏およびAllison McCann氏は、11ヵ国の死亡者数データのレビューを行ったところ、これらの国では過去数年と比較して死亡者数が大きく増えていることが示されたことを報告した。著者らは今年の総死亡者数を過去の同期間の平均と比較し、各国の超過死亡数を推定した。その結果、先月のコロナウイルスパンデミック中の死亡者数は、COVID-19の死亡者数に関する公式の報告よりも少なくとも28,000件は多かった。ほとんどの国では、COVID-19の死亡者について医療機関で発生したものしか報告しないため、報告されないCOVID-19による死亡者が多く存在する。この研究で明らかになった28,000件の超過死亡には、COVID-19による死亡のほか、医療機関に人が殺到した影響で治療を受けられなかった他の疾患の患者など、他の原因による死亡も含まれる。この記事から、全世界のCOVID-19の死亡者数は、検査で確定されたCOVID-19の死亡報告数よりはるかに多いことが示唆される。この傾向を国ごとにわかりやすくグラフで表した記事が以下のリンクから閲覧できる。

ニュース記事へのリンク:https://www.nytimes.com/interactive/2020/04/21/world/coronavirus-missing-deaths.html?smid=em-share

 

  2020年4月20日

 検査陽性となった乗員の60%が無症候性だった

2020年4月16日にロイター社のIdress Ali氏およびPhil Stewart氏が報告した記事は、パンデミックの手がかりとなる。感染しても症状がない場合があり、その場合でも伝播リスクはあることは知られているが、無症候性感染の程度は不明であり、過少評価されている可能性がある。海軍の航空母艦セオドア・ルーズベルトの全乗員4,800名の検査が94%完了した。この検査で陽性となった600名超の乗員のうち、60%が無症状であった。この数字は、海軍のコロナウイルスの取り組みの中心を担う米海軍作戦副長の海軍中将Phillip Sawyer氏が記者に電話で答えたもので、国防長官のMark Esper氏がテレビインタビューでコメントした。記事では、4月5日にAnthony Fauci博士が提示した25~50%より高い数字が出たとコメントしている。この結果は非常に興味深く、無症候性感染の規模についてのより深い理解につながる。

ニュース記事へのリンク:https://taskandpurpose.com/news/uss-theodore-roosevelt-sailors-coronavirus-asymptomatic

 


   2020年4月17日

 スコアリングモデルによりCOVID-19の進行リスクを予測

中国の研究者らは、併存疾患、年齢、リンパ球数およびLDH(乳酸脱水素酵素)値に基づく4因子モデルを開発した。このモデルは、COVID-19の感染が確定した患者のうち、進行する患者と進行しない患者を予測するものである。このモデルは、個々の患者に対して最適な治療戦略を判断する臨床医を支援することを目的としている。このリスクモデルはEnqiang Qin博士らにより開発され、2020年4月9日にClinical Infectious Diseases誌オンライン版で発表された。

連続した208名の患者から得られたデータを後ろ向きに収集して、多変量COX回帰分析を行ったところ、併存疾患、年齢60歳超、リンパ球数低値、LDH高値の4つの因子がCOVID-19の進行と独立して関連した。これらの因子に基づき、次の3つのカテゴリーのいずれかに分類するスコアリングモデルを開発した。

  • 低リスク(進行確率 10%)
  • 中程度リスク(進行確率 10~40%)
  • 高リスク(進行確率 50%超)

今後、このモデルについて、COVID-19進行に対するリスク因子の予測能を前向き試験で検証する必要がある。

研究へのリンク:https://academic.oup.com/cid/article/doi/10.1093/cid/ciaa414/5818317


 

  2020年4月16日

 NIHによる血清抗体調査でボランティアを募集中

米国におけるCOVID-19パンデミックの規模を明らかにするため、NIHは10,000名のボランティアを登録している。COVID-19の感染確定歴がある人や現在COVID-19の症状がある人は、参加の対象外となる。「この調査では、(中略)様々なコミュニティで、自覚のないまま感染していた人の数がわかる。無自覚の理由には、症状が非常に軽かった、記録されていない病状だった、具合が悪かったときに検査を受けなかったことなどがある」とNIAID所長のAnthony S. Fauci氏(MD)は述べた。研究者らは、血液検体を採取して分析し、Sars-CoV-2タンパク質に対する抗体を調べる。検査結果は、その集団で検出されずに広がっていた感染の規模を解明する手がかりとなる。自宅用採血キットと微量血液検体の採血説明書を参加者に発送し、分析のために返送してもらう予定である。この調査への参加に関心のある人は、以下に連絡すること:clinicalstudiesunit@nih.gov

ニュースリリースへのリンク:https://www.nih.gov/news-events/news-releases/nih-begins-study-quantify-undetected-cases-coronavirus-infection

 


 

 

 2020年4月14日

 コロナウイルスの死亡率を1つの数値にまとめられない理由

Johnathan Fuller博士(MD、PHD)は、刻々と変わるCOVID-19の統計について幅広い視点で説明した明確な記事を執筆した。オンラインジャーナル The Conversation(2020年4月10日付)の記事で博士は、統計とモデルが異なる理由を説明した。博士の知見は、読者にCOVID-19パンデミックについて報告された大量の疫学情報を解釈する際に有用な枠組みと視点を与えてくれる。公衆衛生政策や個別の症例で最善の決定を下すには、数値だけではなく、モデルをより深く理解する必要がある。

記事へのリンク:コロナウイルスの死亡率を1つの数値にまとめられない理由

 


 

2020年4月10日

 スマートフォンアプリはパンデミック克服に役立つか?

 米国国立衛生研究所(NIH)所長のFrancis Collins博士が2020年4月9日、興味深い記事を投稿した。NIH所長は自身のブログで、COVID-19パンデミック克服に向けて、濃厚接触者の追跡と通知のためにスマートフォンの利用の協力要請について述べた。公衆衛生担当チームが一般市民と電話や対面で話す従来の方法は、非常に時間がかかる。時間にロスがあると、ウイルスに曝露した個人の発見や通知が遅れるため、感染拡大を許してしまうことになる。スマートフォンの無線Bluetooth技術を利用するデジタル追跡機能によって、COVID-19を制御する可能性を高めることができる。中国の研究では、濃厚接触追跡アプリの利用とCOVID-19感染の抑制持続との相関関係が示された。Collins博士は、主要な倫理的、法的、社会的問題についても触れている。

ブログ記事へのリンク:https://directorsblog.nih.gov/author/collinsfs/


2020年4月9日

COVID-19は心臓に影響を及ぼし、心血管症状を伴う可能性がある。非常に興味深い4症例

COVID-19患者は、肺炎に進行しうる呼吸器症状を呈することが多く、重症者では急性呼吸窮迫症候群(ARDS)やショックを呈する。COVID-19感染症は心臓に影響を及ぼす可能性が現在明らかになっている。呼吸困難は肺と心臓の両方に関与する一般的な症状であり、原因が心臓と呼吸器のどちらにあるのかを鑑別するのは困難である。心臓と肺の両方に影響が及んでいるタイミングや、COVID-19感染症は様々な心血管症状を呈することを認識することが重要である。4月3日、Circulation(オンライン版)に発表された論文では、この点を示す4症例について説明している。 

研究へのリンク:https://www.ahajournals.org/doi/pdf/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.047164

 


2020年4月9日

臨床試験に入った新たな抗ウイルス薬がCOVID-19の治療にもたらす希望

EIDD-2801という新薬が、新型コロナウイルスSars-CoV-2による肺損傷の治療に有望であることが示されている。 EIDD-2801は、RNA依存RNAポリメラーゼに対する抗ウイルス作用を持つリボヌクレオシド類似体であり、ノースカロライナ大学チャペルヒル校ギリングス・グローバル公衆衛生学部の研究者たちによって開発された。直近の研究結果は、2020年4月6日にScience Translational Medicine誌で公表された。公表された研究から、EIDD-2801はSARS-Cov-2に感染させた培養ヒト肺細胞を保護することができることが明らかになった。この薬剤は、その他の重篤なコロナウイルス感染症の治療にも有効であると考えられている。マウスを用いた実験では、COVID-19関連のウイルス感染症の発現から12~24時間後にEIDD-2801を投与すると、肺損傷と体重減少が有意に抑制されたことが明らかになった。もう1つのメリットは、他の治療は静脈内投与する必要があるのに対して、この薬剤は経口投与できる点である。投与が容易なため、軽症者の治療や感染予防に有望である。

研究へのリンク:https://stm.sciencemag.org/content/early/2020/04/03/scitranslmed.abb5883


2020年4月8日

COVID-19ワクチン候補が有望であることが研究から判明

ScienceDailyの掲載記事からの興味深いニュース

University of Pittsburgh School of Medicineの科学チームは、COVID-19に対するワクチン候補を発表した。このワクチンをマウスに接種したところ、ウイルス中和に十分な量のSars-CoV-2特異抗体が産生された。2020年4月2日、Lancetが発行するEBioMedicineに研究の詳細を記した論文が掲載された。初期のコロナウイルス流行中に築いた基礎を用いて、このワクチンはコロナウイルスのスパイクタンパク質を標的としている。免疫を構築するために、このワクチンは研究所で作ったウイルスタンパク質の断片を用いて製造されている。これは現在のインフルエンザワクチン作成と同じ方法である。研究者らは効力を高めるために、マイクロニードルアレイという新たな薬物送達方法を用いている。この研究の共同筆頭著者は「臨床試験には通常少なくとも1年、おそらくそれ以上の時間が必要となる」と述べている。

研究へのリンク:https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964(20)30118-3/fulltext#coronavirus-linkback-headerr

ニュース記事へのリンク:https://www.sciencedaily.com/releases/2020/04/200402144508.htm


2020年4月6日

新たな報告で、COVID-19重症患者でヒドロキシクロロキンとアジスロマイシン併用のベネフィットは認められず

重症患者を対象にヒドロキシクロロキンとアジスロマイシン併用を検討する小規模試験では、これらの薬剤の併用による強力な抗ウイルス作用または臨床的ベネフィットを示すエビデンスは認められなかった。  この試験の対象患者はわずか11例であり、そのうち8例は高リスクの基礎疾患を有していた。この試験は、薬剤の有効性や安全性について意味のある統計解析を行ったり、結論を導いたりするには小規模すぎるといえる。しかし、この報告は以前にフランスの研究で示唆された、COVID-19重症患者における同併用療法の抗ウイルス効果に疑問を投げかけている。

研究へのリンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0399077X20300858?via%3Dihub


2020年4月6日

特に市中感染が著しい地域での布マスク着用をCDCが推奨

コロナウイルスの感染者はかなりの割合で症状がなく、最終的に症状が出る人でも、症状がない時期からウイルスを感染させる。  つまり、症状が現れていなくても、近距離で話をしたり、咳やくしゃみをすると、ウイルスが広がる可能性がある。 これを踏まえ、CDCは特に市中感染が著しい地域では、他者との社会的距離を保つのが困難な公共の場所(食料品店や薬局など)で布マスクを着用するよう推奨している。簡易的な布マスクを使用することで、ウイルス感染の拡大は遅くなり、ウイルスに感染していることに無自覚なまま他者に感染させている人々に役立つ。  自発的な公衆衛生対策として、家庭用品や自宅によくある材料を使って低コストの布マスクを手作りし、用いることもできる。

なお、感染拡大を遅らせるためには、6フィート(約1.8メートル)の社会的距離を保つことが引き続き重要であることを強調することが極めて重要である。 

推奨している布マスクは、サージカルマスクやN95マスクではない。  現行のCDCガイダンスで推奨されているように、これらは医療従事者やその他の医療救援隊員のために確保しておかなければならない重要な物資である。

CDCの推奨の全文については、以下を参照:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/cloth-face-cover.html


COVID-19情報ポータルページ


2020年4月8日

COVID-19ワクチン候補が有望であることが研究から判明

ScienceDailyの掲載記事からの興味深いニュース

 

University of Pittsburgh School of Medicineの科学チームは、COVID-19に対するワクチン候補を発表した。このワクチンをマウスに接種したところ、ウイルス中和に十分な量のSars-CoV-2特異抗体が産生された。2020年4月2日、Lancetが発行するEBioMedicineに研究の詳細を記した論文が掲載された。初期のコロナウイルス流行中に築いた基礎を用いて、このワクチンはコロナウイルスのスパイクタンパク質を標的としている。免疫を構築するために、このワクチンは研究所で作ったウイルスタンパク質の断片を用いて製造されている。これは現在のインフルエンザワクチン作成と同じ方法である。研究者らは効力を高めるために、マイクロニードルアレイという新たな薬物送達方法を用いている。この研究の共同筆頭著者は「臨床試験は通常、少なくとも1年、おそらくそれ以上の時間が必要となる」と述べている。

研究へのリンク:https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964(20)30118-3/fulltext#coronavirus-linkback-header

ニュース記事へのリンク:https://www.sciencedaily.com/releases/2020/04/200402144508.htm

                                                              

  2020年5月19日

 COVID-19:感染伝播についての解説

University of Massachusetts DartmouthのErin S. Bromage生物学准教授は、最近のブログ記事「リスクを知って、リスクを回避しよう」において、感染力のある量、ウイルスが広がりやすい場所やその広がり方、そして最もリスクが高い環境について説明している。  同准教授はデータや研究結果をわかりやすい言葉で上手に解説しており、科学者ではない人でもよく理解できる。多くの人がCOVID-19ウイルスの広がり方をより理解することで、ウイルス感染を避ける上で適切な判断を下せるようになることが望まれる。

ブログ記事へのリンク:https://www.erinbromage.com/post/the-risks-know-them-avoid-them


2020年4月8日

COVID-19ワクチン候補が有望であることが研究から判明

ScienceDailyの掲載記事からの興味深いニュース

 

University of Pittsburgh School of Medicineの科学チームは、COVID-19に対するワクチン候補を発表した。このワクチンをマウスに接種したところ、ウイルス中和に十分な量のSars-CoV-2特異抗体が産生された。2020年4月2日、Lancetが発行するEBioMedicineに研究の詳細を記した論文が掲載された。初期のコロナウイルス流行中に築いた基礎を用いて、このワクチンはコロナウイルスのスパイクタンパク質を標的としている。免疫を構築するために、このワクチンは研究所で作ったウイルスタンパク質の断片を用いて製造されている。これは現在のインフルエンザワクチン作成と同じ方法である。研究者らは効力を高めるために、マイクロニードルアレイという新たな薬物送達方法を用いている。この研究の共同筆頭著者は「臨床試験は通常、少なくとも1年、おそらくそれ以上の時間が必要となる」と述べている。

研究へのリンク:https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964(20)30118-3/fulltext#coronavirus-linkback-header

ニュース記事へのリンク:https://www.sciencedaily.com/releases/2020/04/200402144508.htm



 

2020年4月10日

 スマートフォンアプリはパンデミック克服に役立つか?

 米国国立衛生研究所(NIH)所長のFrancis Collins博士が2020年4月9日、興味深い記事を投稿した。NIH所長は自身のブログで、COVID-19パンデミック克服に向けて、濃厚接触者の追跡と通知のためにスマートフォンの利用の協力要請について述べた。公衆衛生担当チームが一般市民と電話や対面で話す従来の方法は、非常に時間がかかる。時間にロスがあると、ウイルスに曝露した個人の発見や通知が遅れるため、感染拡大を許してしまうことになる。スマートフォンの無線Bluetooth技術を利用するデジタル追跡機能によって、COVID-19を制御する可能性を高めることができる。中国の研究では、濃厚接触追跡アプリの利用とCOVID-19感染の抑制持続との相関関係が示された。Collins博士は、主要な倫理的、法的、社会的問題についても触れている。

ブログ記事へのリンク:https://directorsblog.nih.gov/author/collinsfs/


 

  2020年5月29日

 ヒドロキシクロロキンとクロロキンは単剤かマクロライド系薬剤との併用かを問わず有益ではなかったことが国際的な後ろ向きデータベース研究で示された

クロロキンまたはヒドロキシクロロキンの単剤投与またはマクロライド系薬剤との併用投与を受けたCOVID-19患者の治療成績を解析した大規模国際研究の結果が、2020年5月22日にLancet誌で公表された。6大陸の671病院から収集されたデータで構成される国際症例登録が解析された。データには2019年12月20日から2020年4月14日までに入院したSARS-CoV-2陽性患者が含まれていた。症例登録のうち96,032例のデータが本研究の対象とされ、そのうち14,888例は診断後48時間以内に対象の治療を受けた患者で、単剤かマクロライド系薬剤との併用かを問わずクロロキンおよびヒドロキシクロロキンの投与を受けなかった81,114例が対照群とされた。解析の結果、単剤投与時とマクロライド系薬剤との併用投与時ともに、COVID-19に対する入院成績の観点で、ヒドロキシクロロキンまたはクロロキンのベネフィットを確認するエビデンスは得られなかった。この研究では、これらのレジメンをそれぞれ対照群と比較したとき、院内生存率の低下と心室性不整脈の頻度増加が認められた。後ろ向きの観察研究であるため、測定されなかった交絡因子が存在する可能性が否定できない。その一つとして、これらの薬剤がより重症度の高い患者に使用された可能性が考えられる。著者らは「COVID-19患者におけるこれらの薬剤のベネフィットと害について何らかの結論を下すにはランダム化比較試験の実施が必要である」と結論付けている。著者らはまた「今回の知見から、これらのレジメンは臨床試験以外では使用すべきでないことが示唆される」とも述べている。

研究へのリンク:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31042-4/fulltext

  2020年4月23日

 全国的なCOVID-19検査のアクションプランが提言される

ロックフェラー財団は、COVID-19の検査と陽性結果の綿密な追跡調査に基づき、経済活動と社会活動を再開するための包括的プラン(2020年4月21日付、下記リンクを参照)を提言した。このプランの目標は、労働者のモニタリング、アウトブレイク再発の早期発見、診断検査・在宅検査という目標を通して、経済活動の再開を支える国家主導のCOVID-19検査プログラムを構築することである。このプランは主に次の3つで構成される。

  • 1つ目は、COVID-19の検査件数を現在の1週間あたり100万件から劇的に拡大し、今後8週間で1週間あたり300万件、次の6ヵ月間で1週間あたり3000万件の検査を行えるようにすることである。これを行うには、全米の国立研究機関、大学研究機関、何千もの地方の小規模検査機関に対し、検査能力の拡充に向けた投資と支援が必要となる。
  • 2つ目は、検査を管理し、陽性患者の接触者を追跡するためのトレーニングを受けた医療従事者チームを発足させることである。同財団は、州の公衆衛生部門を中心に編成することを提言している。同財団はまた、10万~30万名の人員を雇用し、コンピュータネットワークと多数の電子医療記録を紐づけてこれらの人員をサポートする必要があることを提言している。
  • 3つ目は、リアルタイム解析と感染の追跡を円滑化するため、連邦、州、民間のデータプラットフォームを統合し、拡大していくことである。これを行うことで、COVID-19のアウトブレイク再発を突き止め、検査量の急増に対応し、追跡調査を行えるようになる。

ロックフェラー財団が提案するこの白書は、優れたアイデアに富んでおり、必読である。この大規模プランには、数多く点在するコンピュータ化されたデータについて、プラットフォームを統合していくことが求められる。これらはいずれも、プライバシーと感染制御の必要性のバランスを取る必要がある。

プランへのリンク:https://www.rockefellerfoundation.org/wp-content/uploads/2020/04/TheRockefellerFoundation_WhitePaper_Covid19_4_21_2020.pdf


 

2020年4月10日

 スマートフォンアプリはパンデミック克服に役立つか?

 米国国立衛生研究所(NIH)所長のFrancis Collins博士が2020年4月9日、興味深い記事を投稿した。NIH所長は自身のブログで、COVID-19パンデミック克服に向けて、濃厚接触者の追跡と通知のためにスマートフォンの利用の協力要請について述べた。公衆衛生担当チームが一般市民と電話や対面で話す従来の方法は、非常に時間がかかる。時間にロスがあると、ウイルスに曝露した個人の発見や通知が遅れるため、感染拡大を許してしまうことになる。スマートフォンの無線Bluetooth技術を利用するデジタル追跡機能によって、COVID-19を制御する可能性を高めることができる。中国の研究では、濃厚接触追跡アプリの利用とCOVID-19感染の抑制持続との相関関係が示された。Collins博士は、主要な倫理的、法的、社会的問題についても触れている。

ブログ記事へのリンク:https://directorsblog.nih.gov/author/collinsfs/


 

2020年4月10日

 スマートフォンアプリはパンデミック克服に役立つか?

 米国国立衛生研究所(NIH)所長のFrancis Collins博士が2020年4月9日、興味深い記事を投稿した。NIH所長は自身のブログで、COVID-19パンデミック克服に向けて、濃厚接触者の追跡と通知のためにスマートフォンの利用の協力要請について述べた。公衆衛生担当チームが一般市民と電話や対面で話す従来の方法は、非常に時間がかかる。時間にロスがあると、ウイルスに曝露した個人の発見や通知が遅れるため、感染拡大を許してしまうことになる。スマートフォンの無線Bluetooth技術を利用するデジタル追跡機能によって、COVID-19を制御する可能性を高めることができる。中国の研究では、濃厚接触追跡アプリの利用とCOVID-19感染の抑制持続との相関関係が示された。Collins博士は、主要な倫理的、法的、社会的問題についても触れている。

ブログ記事へのリンク:https://directorsblog.nih.gov/author/collinsfs/


 

2020年4月10日

 スマートフォンアプリはパンデミック克服に役立つか?

 米国国立衛生研究所(NIH)所長のFrancis Collins博士が2020年4月9日、興味深い記事を投稿した。NIH所長は自身のブログで、COVID-19パンデミック克服に向けて、濃厚接触者の追跡と通知のためにスマートフォンの利用の協力要請について述べた。公衆衛生担当チームが一般市民と電話や対面で話す従来の方法は、非常に時間がかかる。時間にロスがあると、ウイルスに曝露した個人の発見や通知が遅れるため、感染拡大を許してしまうことになる。スマートフォンの無線Bluetooth技術を利用するデジタル追跡機能によって、COVID-19を制御する可能性を高めることができる。中国の研究では、濃厚接触追跡アプリの利用とCOVID-19感染の抑制持続との相関関係が示された。Collins博士は、主要な倫理的、法的、社会的問題についても触れている。

ブログ記事へのリンク:https://directorsblog.nih.gov/author/collinsfs/


 

2020年4月10日

 スマートフォンアプリはパンデミック克服に役立つか?

 米国国立衛生研究所(NIH)所長のFrancis Collins博士が2020年4月9日、興味深い記事を投稿した。NIH所長は自身のブログで、COVID-19パンデミック克服に向けて、濃厚接触者の追跡と通知のためにスマートフォンの利用の協力要請について述べた。公衆衛生担当チームが一般市民と電話や対面で話す従来の方法は、非常に時間がかかる。時間にロスがあると、ウイルスに曝露した個人の発見や通知が遅れるため、感染拡大を許してしまうことになる。スマートフォンの無線Bluetooth技術を利用するデジタル追跡機能によって、COVID-19を制御する可能性を高めることができる。中国の研究では、濃厚接触追跡アプリの利用とCOVID-19感染の抑制持続との相関関係が示された。Collins博士は、主要な倫理的、法的、社会的問題についても触れている。

ブログ記事へのリンク:https://directorsblog.nih.gov/author/collinsfs/



  2020年4月21日

 データにない28,000件の死亡:コロナウイルス危機による本当の死亡者数を追跡

2020年4月21日のNew York Times誌でJin Wu氏およびAllison McCann氏は、11ヵ国の死亡者数データのレビューを行ったところ、これらの国では過去数年と比較して死亡者数が大きく増えていることが示されたことを報告した。著者らは今年の総死亡者数を過去の同期間の平均と比較し、各国の超過死亡数を推定した。その結果、先月のコロナウイルスパンデミック中の死亡者数は、COVID-19の死亡者数に関する公式の報告よりも少なくとも28,000件は多かった。ほとんどの国では、COVID-19の死亡者について医療機関で発生したものしか報告しないため、報告されないCOVID-19による死亡者が多く存在する。この研究で明らかになった28,000件の超過死亡には、COVID-19による死亡のほか、医療機関に人が殺到した影響で治療を受けられなかった他の疾患の患者など、他の原因による死亡も含まれる。この記事から、全世界のCOVID-19の死亡者数は、検査で確定されたCOVID-19の死亡報告数よりはるかに多いことが示唆される。この傾向を国ごとにわかりやすくグラフで表した記事が以下のリンクから閲覧できる。

ニュース記事へのリンク:https://www.nytimes.com/interactive/2020/04/21/world/coronavirus-missing-deaths.html?smid=em-share

 


  2020年4月21日

 データにない28,000件の死亡:コロナウイルス危機による本当の死亡者数を追跡

2020年4月21日のNew York Times誌でJin Wu氏およびAllison McCann氏は、11ヵ国の死亡者数データのレビューを行ったところ、これらの国では過去数年と比較して死亡者数が大きく増えていることが示されたことを報告した。著者らは今年の総死亡者数を過去の同期間の平均と比較し、各国の超過死亡数を推定した。その結果、先月のコロナウイルスパンデミック中の死亡者数は、COVID-19の死亡者数に関する公式の報告よりも少なくとも28,000件は多かった。ほとんどの国では、COVID-19の死亡者について医療機関で発生したものしか報告しないため、報告されないCOVID-19による死亡者が多く存在する。この研究で明らかになった28,000件の超過死亡には、COVID-19による死亡のほか、医療機関に人が殺到した影響で治療を受けられなかった他の疾患の患者など、他の原因による死亡も含まれる。この記事から、全世界のCOVID-19の死亡者数は、検査で確定されたCOVID-19の死亡報告数よりはるかに多いことが示唆される。この傾向を国ごとにわかりやすくグラフで表した記事が以下のリンクから閲覧できる。

ニュース記事へのリンク:https://www.nytimes.com/interactive/2020/04/21/world/coronavirus-missing-deaths.html?smid=em-share

 


                                                                                                                                             

  2020年6月1日

 ニューヨーク市ではCOVID-19の感染率を規定する因子として人口密度より世帯規模の方が重要である可能性がある

米国全体では、また同じ都市の中でも、人口当たりのCOVID-19感染確定者数には大きなばらつきがみられる。このことは流行を抑え込む上で政策上重要な意味をもつことから、このばらつきにつながる因子を把握しておくことが重要である。ニューヨーク市全域でみられるばらつきを統計学的に検討する研究 (2020年5月20日にmedRxivでプレプリントとして公開;査読前)が実施され、入手可能なデータを用いて、該当する因子が郵便番号単位で調査された。本研究により、人口密度、平均世帯規模、貧困ラインを下回る人口の割合、65歳以上の住民の割合などの重要な因子を考慮に入れると、確定感染率と相関する最も重要な因子は平均世帯規模であることが明らかにされた。65歳以上の人口の割合と貧困ラインを下回る人口の割合も感染者発生率に影響を及ぼす因子であった。興味深いことに、一般的な認識に反して、人口密度それ自体は郵便番号で規定される地域内の感染者発生率に有意な影響を及ぼしていなかった。実際、本研究では他の因子を考慮に入れた場合、人口密度と感染者発生率の間には負の相関が認められた。ただし、この研究では2018年の統計データは用いられており、今回のアウトブレイク中に起きた人口の変化は考慮されていない。また、この研究において介護施設とその入居者がどのように分類されたかも明記されておらず、これらの点が研究結果に影響を及ぼした可能性がある。

研究のリンク:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.05.25.20112797v1.full.pdf+html

 

  2020年5月18日

 不活化ウイルスを用いた有望なCOVID-19ワクチン

ワクチン開発においては通常、精製された不活化ウイルスが使用され、ポリオウイルスやインフルエンザウイルスといったウイルスを原因とする疾患の予防のために安全かつ効果の高いワクチンを提供してきた。中国の研究者グループは、2020年5月6日にScience誌に発表された論文で、精製された不活化SARS-CoV-2ワクチン(PiCoVacc)について発表した。このワクチンは、マウス、ラット、非ヒト霊長類で中和抗体を産生した。抗体は10種の代表的なウイルス菌株を中和することが示された。アカゲザル(SARS-CoV-2感染によりCOVID-19に似た疾患を示す非ヒト霊長類)に6マイクログラムを投与すると、後にSARS-CoV-2に感染させた場合、完全な防御効果を示した。観察可能または生化学的な有害作用はワクチンから生じなかった。顕著な点は、抗体依存性感染増強と呼ばれる現象を示す証拠がなかったことである。過去の報告では、この点が懸念として提起されていた。

著者らは、「これらの結果はヒト向けSARS-CoV-2ワクチンの臨床開発に向けた前向きな一歩を示す」と述べた。PiCoVaccの臨床試験は今年後半に開始される予定である。

試験のリンク:https://science.sciencemag.org/content/early/2020/05/06/science.abc1932


  2020年4月21日

 データにない28,000件の死亡:コロナウイルス危機による本当の死亡者数を追跡

2020年4月21日のNew York Times誌でJin Wu氏およびAllison McCann氏は、11ヵ国の死亡者数データのレビューを行ったところ、これらの国では過去数年と比較して死亡者数が大きく増えていることが示されたことを報告した。著者らは今年の総死亡者数を過去の同期間の平均と比較し、各国の超過死亡数を推定した。その結果、先月のコロナウイルスパンデミック中の死亡者数は、COVID-19の死亡者数に関する公式の報告よりも少なくとも28,000件は多かった。ほとんどの国では、COVID-19の死亡者について医療機関で発生したものしか報告しないため、報告されないCOVID-19による死亡者が多く存在する。この研究で明らかになった28,000件の超過死亡には、COVID-19による死亡のほか、医療機関に人が殺到した影響で治療を受けられなかった他の疾患の患者など、他の原因による死亡も含まれる。この記事から、全世界のCOVID-19の死亡者数は、検査で確定されたCOVID-19の死亡報告数よりはるかに多いことが示唆される。この傾向を国ごとにわかりやすくグラフで表した記事が以下のリンクから閲覧できる。

ニュース記事へのリンク:https://www.nytimes.com/interactive/2020/04/21/world/coronavirus-missing-deaths.html?smid=em-share