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放射線造影剤および造影剤反応

執筆者:

Mehmet Kocak

, MD, Rush University Medical Center

レビュー/改訂 2019年 5月
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X線撮影およびX線透視検査では,同じような放射線透過性の組織間の境界を描出するのに役立てるため,しばしば放射線透過性の造影剤が用いられる。ほとんどの造影剤はヨード性である。

ヨード造影剤には以下のものがある:

  • イオン性

  • 非イオン性

イオン性造影剤は塩であり,血液より浸透圧が高い。この造影剤は脊髄造影や,脊柱管(神経毒性のリスクがあるため)または気管支(肺水腫のリスクがあるため)に入る可能性がある注射では使用すべきでない。

非イオン性造影剤は,低浸透圧性(しかし血液の浸透圧よりはまだ高い)または等浸透圧性(血液の浸透圧と等しい)である。より新しい非イオン性造影剤は有害作用がより少ないため,ほとんど全ての施設で今やルーチンに用いられている。

最も重篤な造影剤反応は以下のものである:

  • アレルギー型の反応

  • 造影剤腎症(造影剤の血管内注射後に起こる腎傷害)

アレルギー型の造影剤反応

反応の重症度は以下の通り様々である:

  • 軽度(例,咳嗽,そう痒,鼻閉)

  • 中等度(例,呼吸困難,喘鳴,脈拍または血圧の若干の変化)

  • 重度(例,呼吸窮迫,徐脈などの不整脈,痙攣,ショック,心肺停止)

  • 注射用造影剤への反応の既往

  • 喘息

  • アレルギー

治療は造影剤注入の中止から開始する。

軽度または中等度の反応には,ジフェンヒドラミン25~50mgの静注が通常効果的である。

重度の反応には,治療は反応の種類によって異なり,酸素,アドレナリン,輸液,および場合によりアトロピン(徐脈に対して)などがある。

造影剤反応のリスクが高い患者では,ヨード造影剤を必要としない画像検査を用いるべきである。造影剤が必要な場合は,非イオン性造影剤を使用すべきであり,プレドニゾン(50mg,経口,造影剤投与の13,7,1時間前)およびジフェンヒドラミン(50mg,経口または筋注,造影剤投与の1時間前)を前投与すべきである。直ちに画像検査が必要な場合は,ジフェンヒドラミン50mgを造影剤投与の1時間前に経口または筋注で,ヒドロコルチゾン200mgを画像検査が完了するまで4時間毎に静注で投与してもよい。

造影剤腎症

造影剤により生じる腎症では,典型的には血清クレアチニン値が静注造影剤の投与後24時間以内に上昇し始め,3~5日目にピークを迎え,7~10日以内にベースラインに戻る。

一般的な危険因子としては以下のものがある:

  • 造影剤の量を減らす

  • 等浸透圧性造影剤の使用

  • 補液

多くの補液レジメンが存在する;一例としては,0.9%生理食塩水1mL/kgの静注を,手技の数時間前から開始して24時間継続する。

腎毒性が発生するリスクがある患者には,前投薬としてアセチルシステインを投与することがあるが,その効力は不確かである。造影剤による腎症が起こった場合に薬剤の蓄積を避けるため,メトホルミンなどの経口血糖降下薬は,静注造影剤投与後48時間は控えるべきである。

造影剤および造影剤反応を扱うプロトコルの多くが特異的であり,常に更新されているため,そのような詳細について画像検査部と話し合うことが重要である。

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