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揮発性溶剤

執筆者:

Gerald F. O’Malley

, DO, Grand Strand Regional Medical Center;


Rika O’Malley

, MD, Albert Einstein Medical Center

最終査読/改訂年月 2016年 1月
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工業用の揮発性溶剤やエアロゾルスプレー溶剤の吸入は,中毒状態を引き起こすことがある。長期使用によって神経障害や肝毒性が生じる可能性もある。

揮発性溶剤(例,アセテート,アルコール,クロロホルム,エーテル,脂肪族および芳香族炭化水素,塩化炭化水素,ケトン)の使用は,以前から青年に特有の問題となっている。一般的な商品(例,接着剤および粘着剤,塗料,塗料剥離剤,洗浄液)にもこれらの物質が含まれているため,小児や青年はこれらを容易に入手できる。米国の青年の約10%が揮発性溶剤を吸入したことがあるとの報告がある。典型的には,溶剤に浸した布を袋または容器に入れ,口や鼻の位置に持ち,自然に揮発した蒸気を吸入する(ハフィング,スニッフィング)。

揮発性溶剤は一時的に中枢神経系を刺激した後,これを抑制する。頻繁に使用すると,部分的な耐性と精神依存が生じるが,離脱症候群はみられない。

症状と徴候

急性効果

めまい,眠気,言語不明瞭,および不安定歩行といった急性症状が初期にみられる。衝動性,興奮,および易怒性が生じることもある。中枢神経系への作用が増大するにつれて,錯覚,幻覚,および妄想が起こる。使用者は多幸的で夢幻様の高揚感を体験し,最後には短い眠りが訪れる。錯乱を伴うせん妄,精神運動性失調,情緒不安定,および思考障害が起こる。中毒状態は数分から1時間以上続くことがある。

中枢神経系の抑制に起因する呼吸停止や気道閉塞,または不整脈(「sudden sniffing death」,おそらく心筋感受性亢進に起因すると考えられる)により,突然死に至ることがある。

塩化メチレン(ジクロロメタン)は一酸化炭素に代謝され,この生成物を吸入すると遅発性の一酸化炭素中毒症状が生じることがある;症状は長時間持続することがある。

メタノールの吸入により,代謝性アシドーシスおよび網膜損傷が生じることがある。

慢性効果

揮発性の炭化水素を慢性的に吸入すると,口および鼻の周囲の皮膚が刺激されることがある(huffer's eczema)。

溶剤の作用,または他の毒性成分(例,ガソリン中の鉛)により,長期使用に伴う合併症が生じることがある。四塩化炭素は肝不全および腎不全による症候群を引き起こすことがある。トルエンは,中枢神経系の白質変性,尿細管性アシドーシス,および低カリウム血症を引き起こすことがある。大量曝露または過敏性により,脳,末梢神経,肝,腎,および骨髄の損傷が生じる可能性がある。

妊娠中の吸入剤乱用は,早産およびfetal solvent syndrome(胎児性アルコール症候群と同様の特徴を有する)を引き起こしうる。

診断

  • 臨床的評価

揮発性溶剤はルーチン薬物スクリーニングでは検出されない。揮発性溶剤およびその代謝物の多くは専門の検査室でのガスクロマトグラフィーで検出できるが,そのような検査は法医学上の目的以外で必要とされることまたは適応となることはまれである。

治療

  • 支持療法

急性中毒の治療は支持療法である。カテコールアミン(例,低血圧に対して)の使用は,溶剤により心筋感受性の亢進が誘発される可能性があるため,回避すべきである。不整脈の治療は困難であり,特異的な治療のガイドラインはない。β遮断薬がいくらかの便益を有する可能性がある。

溶剤依存のある青年の治療は因難であり,しばしば再発する。しかしながら,ほとんどの使用者は青年期の終わりまでに溶剤の使用をやめる。患者の社会的技能や家庭,学校,および社会における状況を広く改善しようとする集中的な試みが役に立つことがある。特定の溶剤による中毒の症状や治療については, 特定の毒物の症状と治療法を参照のこと。

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