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幻覚剤

(リゼルグ酸ジエチルアミド;LSD;シロシビン;メスカリン)

執筆者:

Gerald F. O’Malley

, DO, Grand Strand Regional Medical Center;


Rika O’Malley

, MD, Albert Einstein Medical Center

最終査読/改訂年月 2016年 1月
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幻覚剤とは,非常に予測困難な特異体質性の反応を引き起こしうる多様な薬剤群である。中毒は一般に幻覚を引き起こし,知覚変容,判断力低下,関係念慮,および離人感を伴う。典型的な離脱症候群は存在しない。診断は臨床的に行う。支持療法により治療する。

従来からの幻覚剤には,リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD),シロシビン,メスカリンなどがある。いずれも以下の通り天然物由来である:

  • LSDは小麦粉やライ麦粉をしばしば汚染する真菌に由来する

  • シロシビンは数種類のキノコに由来する

  • メスカリンはサボテンの一種であるペヨーテに由来する

多数の新たな合成化合物(「デザイナードラッグ」)が作り出されており,通常はトリプタミンまたはフェニルエチルアミン分子をベースとしている。トリプタミンには,N,N-ジメチルトリプタミン(DMT)と5-メトキシ-N,N-ジイソプロピルトリプタミン(5-MeO-DIPT)がある。

厄介なことに,違法薬物は同じ名前で販売されていても,実際には別の乱用薬物(しばしばケタミンもしくはフェンシクリジン[PCP],麻酔薬,デキストロメトルファン,または他の薬物)を含んでいることが多い。

マリファナのような他の薬物にも,幻覚誘発性を有するものがある。幻覚剤という用語は長く使用されているが,これらの薬剤を使用しても幻覚が起きないこともある。催幻覚(サイケデリック)剤や精神異常作用剤といった代替用語は,さらに不適切である。

病態生理

LSD,シロシビン,および多くのデザイナー幻覚剤はセロトニン受容体作動薬である。アンフェタミンに類似したフェニルエチルアミンの一種であるメスカリンについては,正確な機序が特定されていない。

以下の通り使用法と作用は様々である:

  • LSDは,薬剤を染み込ませた吸取紙または錠剤として経口摂取される。作用発現は一般に摂取後30~60分であり,影響の持続期間は12~24時間に及ぶことがある。

  • シロシビンは経口摂取され,影響は一般に約4~6時間持続する。

  • メスカリンはペヨーテボタンとして経口摂取される。作用発現は一般に摂取後30~90分であり,影響の持続期間は約12時間である。

  • DMTを喫煙した場合,作用発現は2~5分であり,影響の持続期間は20~60分である(その俗称が「ビジネスマンの昼食」と呼ばれる所以である)。

LSDに対する強い耐性(tolerance)は,形成されてもすぐに消失する。これらの薬物のいずれかに耐性をもつ使用者は,他の薬物にも交差耐性を示す。精神依存はばらつきが大きく,身体依存や離脱症候群の証拠は認められない。

症状と徴候

中毒の結果,共感覚(例,音が見える,色が聞こえる),感覚の強化,共感の亢進,離人感(自分自身を現実のものと感じない),周囲の現実に対する感覚の歪み,気分の変化(一般に多幸的,ときに抑うつ的)など知覚変容に至る。使用者は,これらの影響の組合せをしばしばトリップと呼ぶ。心理的影響が激しい期間と正気に戻る期間とが交互に現れることがある。

LSDには,散瞳,霧視,発汗,動悸,協調運動障害などの身体的影響もいくつかある。その他の幻覚剤の多くは悪心と嘔吐を引き起こす。いずれの幻覚剤でも,判断力の低下がみられる。

幻覚剤への反応は,使用者の期待,知覚の歪みに対処する能力,および環境など複数の要因に左右される。LSDにより妄想と真性幻覚が起こるがまれであり,不安発作,極度の懸念,およびパニック状態についても同様である。

シロシビンとメスカリンはより幻覚を引き起こしやすい。幻覚誘発反応が起きた場合,安全な環境で適切に治療すれば,これらは通常急速に軽快する。しかしながら,一部の人々(特にLSD使用後)では障害が存続し,持続的な精神病状態を示すことがある。薬物使用によって,既存の潜在的な精神病が結実または顕在化するのか,それともこれまで安定していた人々にこうした状態が現れるのかは明らかでない。

慢性効果

一部の人々,(特にLSDを)長期間または反復して使用した人々は,断薬後かなり経ってから薬物の影響と同じような経験をする。これらの反復するエピソード(フラッシュバック,幻覚剤持続性知覚障害)は一般に錯視であるが,実質的にはあらゆる感覚(自己像,時間または空間の知覚など)の歪みや幻覚が起こりうる。

フラッシュバックは,マリファナ,アルコール,もしくはバルビツール酸系薬剤の使用,またはストレスもしくは疲労によって誘発されることがあり,明らかな原因がなくても起こりうる。機序は不明である。フラッシュバックは6~12カ月以内に消失する傾向があるが,何年間も再発することがある。

診断

  • 臨床的評価

診断は通常臨床的に行う。薬物濃度は測定しない。PCPを除き,ほとんどの幻覚剤はルーチン尿薬物スクリーニングに含まれていない。

治療

  • 急性中毒に対して,支持療法と不安および激越の緩和

  • 持続性精神病に対して,精神医学的ケア

患者を静穏な環境下に置き,奇異な思考,幻視,および幻聴は薬物のためであり,すぐに消え失せると言い聞かせて安心させるだけで,通常は十分である。抗不安薬(例,ロラゼパム,ジアゼパム)は,重度の不安の緩和に役立つと考えられる。

持続的な精神病状態または他の精神障害には,適切な精神医学的ケアが必要である。フラッシュバックが一過性であるか,または過度の苦痛を患者に与えない場合は,特別な治療を必要としない。しかしながら,不安および抑うつを伴うフラッシュバックには,急性有害反応の場合と同様に,抗不安薬が必要になることがある。

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