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オピオイド使用障害とリハビリテーション

執筆者:

Gerald F. O’Malley

, DO, Grand Strand Regional Medical Center;


Rika O’Malley

, MD, Albert Einstein Medical Center

最終査読/改訂年月 2016年 1月
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「オピオイド」とは,特異的オピオイド受容体に結合するいくつかの天然物質(ケシに由来する),およびこれらの半合成/合成アナログを指す用語である。オピオイドは強力な鎮痛薬であると同時に,広く入手可能で多幸作用があるため,一般的な乱用薬物でもある。オピオイド鎮痛薬ならびにオピオイド中毒および離脱も参照のこと。

ヘロインの乱用が広くみられ,処方されたオピオイド鎮痛薬(例,モルヒネ,オキシコドン,ヒドロコドン,フェンタニル)の乱用も増加しており,その一部は合法的な医療目的で使用を開始した人々である。長期使用を必要とする慢性疼痛の患者は,耐性と身体依存を有することが多いが,定型的に嗜癖者のレッテルを貼るべきではない。注射剤でオピオイドを使用する人は,全ての注射薬物使用の合併症のリスクが高い。

オピオイド使用障害

オピオイド使用障害では,医療以外の目的でオピオイドを長期間強迫的に自己投与する。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition(DSM-5)では,12カ月間に以下の2つ以上が患者にみられることで示されるような,オピオイドの使用パターンによる臨床的に重大な障害または苦痛が患者に生じている場合に,オピオイド使用障害が存在するとみなしている:

  • 意図していたよりも多量に,または長時間オピオイドを使用する

  • オピオイドの使用を減らそうと持続的に望むか,またはその試みに失敗する

  • オピオイドの入手,使用,またはオピオイドからの回復に多大な時間を費やす

  • オピオイドを渇望する

  • オピオイドが原因で,仕事,家庭,または学校での義務を果たすことに繰り返し失敗する

  • オピオイドが原因で社交上または人間関係の問題を繰り返しているにもかかわらず,オピオイドの使用を続ける

  • オピオイドが原因で,重要な社交上,仕事上,または娯楽上の活動を放棄する

  • 身体的に危険な状況でオピオイドを使用する

  • オピオイドによって生じるか悪化する身体疾患または精神障害があるにもかかわらずオピオイドの使用を続ける

  • オピオイドに対する耐性(tolerance)がある(使用が医療上適切な場合は基準ではない)

  • オピオイド離脱症状があるか,または離脱が原因でオピオイドを使用する

治療

  • 重度の再発性依存の場合は,オピオイドの離脱と解毒に対する維持療法が望ましい

  • 維持療法としては,ブプレノルフィンまたはメサドンを使用

  • 継続的なカウンセリングと支援を実施

医師は,嗜癖者を治療するためのオピオイド薬の使用に関する連邦,州,および地域の規制を十分に認識しなければならない。これに準拠するために,医師はオピオイドに対する身体依存の存在を証明しなければならない。米国では,嗜癖者に対する社会のネガティブな態度(警察官,医師,および他の医療従事者の態度など)と,治療プログラムに対する社会のネガティブな態度(薬物消費を扇動しているとみなす者もいる)によって,治療がさらに複雑化している。ほとんどの場合,医師はオピオイド依存患者を専門の治療施設へ紹介すべきである。そうするように訓練されれば,医師は選択された患者に対する診療所ベースの治療を提供できるようになる。

欧州諸国ではメサドンまたはブプレノルフィン維持療法プログラムや代替維持療法へのアクセスはより容易であり,向精神薬の処方に付随する偏見はより少ない。

維持療法期

メサドンやブプレノルフィン(オピオイド作動薬・拮抗薬)などの経口オピオイド薬を用いる長期維持療法は,用量漸減によるオピオイド置換の代替療法である。経口オピオイド薬は,嗜癖者の薬物供給問題を解消して嗜癖者を社会的に有用な存在とすることにより,顕著なまたは過鎮静を生じることなく離脱症状と薬物渇望を抑制する。

米国では,何千人ものオピオイド依存者が認可されたメサドン維持療法プログラムを受けている。その多くでこれらのプログラムが成果を上げている。しかしながら,参加者はオピオイド摂取を継続しているため,社会にはこれらのプログラムに賛同しない人も多い。

適格基準には以下が含まれる:

  • オピオイドの薬物スクリーニング検査で陽性を示す

  • オピオイドの1年を超える継続使用またはさらに長期にわたる間欠的使用による身体依存が認められる

  • 離脱症状の証拠または薬物使用を確認できる身体所見がある

医師と患者は,離脱(解毒)とオピオイド維持療法のどちらのアプローチが適応となるかを判断する必要がある。一般に,重度の慢性的な依存を繰り返している患者では,オピオイド維持療法の方がはるかによい結果が得られる。重度のオピオイド依存がみられる患者では,離脱と解毒は短期的には効果的となるが,転帰は不良である。どちらのコースを選ぶにしても,継続的カウンセリングと支持療法を併用する必要がある。

メサドンがよく使用される。医師はこの代替療法を開始してよいが,その後は認可されたメサドン治療プログラムでメサドンの使用を監督しなければならない。

維持療法にブプレノルフィンを用いる例が増えてきている。その有効性はメサドンと同等であり,ブプレノルフィンは受容体を遮断するため,ヘロインや他のオピオイドの違法な同時使用を抑止する。ブプレノルフィンは,特別に必要な訓練を受けて連邦政府の認定を受けた医師(プライマリケア医を含む)により診療所ベースの治療として処方が可能である。

ブプレノルフィンの典型的な用量は8mgまたは16mgの舌下錠,1日1回である。メサドン診療所に通院する必要がなくなるため,この選択肢を希望する患者が多い。ブプレノルフィンもナロキソンとの合剤として入手可能であり,ナロキソンの追加により,オピオイドの違法使用がさらに防止される可能性がある。この合剤は診療所ベースの治療で使用される。

SAMHSAのウェブサイトでは,ブプレノルフィンおよび薬剤を処方するための特例条項が適用されるために必要な訓練についてのさらなる情報が提供されている。ブプレノルフィンを解毒または維持療法に使用するためのプロトコルは,Department of Health and Human Services(米国保健福祉省)のウェブサイトでダウンロード可能である。

ナルトレキソンはオピオイド拮抗薬であり,ヘロインの作用を遮断する。通常,50mgを経口で1日1回,または350mgを経口で週2~3回に分けて投与する。月1回筋肉内注射するデポ剤も入手可能である。ナルトレキソンはオピオイド拮抗薬であり,オピオイド受容体に対する直接的なアゴニスト作用がないため,オピオイド依存患者,特に慢性再発性オピオイド依存が認められる患者に対するナルトレキソンの使用は容認できないことが多い。これらの患者には,オピオイド維持療法の方がかなり効果的である。

あまり重度でない依存患者,早期オピオイド依存患者,および断薬維持の意欲が強い患者には,ナルトレキソンが有用と考えられる。例えば,オピオイド依存があり,オピオイド使用が持続すれば将来的に職を失うリスクが高い医療従事者は,ナルトレキソンの非常によい適応となりうる。

levomethadyl acetate(LAAM)は,メサドンに近縁の長時間作用型オピオイドであるが,一部の患者でQT間隔異常を引き起こすため,もはや使用されない。LAAMは週3回に限り使用可能であったが,それにより毎日の通院または薬物の持ち帰りに伴う費用や煩わしさが軽減できた。LAAM 100mg,週3回がメサドン80mg,1日1回と同等である。

支援

オピオイド依存の治療の大半は外来,一般的には認可されたオピオイド維持療法プログラムで行われるが,医師の診療所で行われる例が増えている。

Daytop VillagePhoenix Houseが先駆となった治療共同体の概念は,共同居住施設での薬物を用いない治療であり,薬物使用者はそこで,生活を立て直すための訓練や教育,新たな方向づけを受ける。居住は通常15カ月である。こういった共同体で救済された患者や,すっかり変化した患者がいる。しかしながら,早期脱落率は極めて高い。こうした共同体がどれだけうまく機能するか,どれだけ多く開設されるか,社会からの資金提供がどの程度になるかという疑問に対する答えはまだ出ていない。

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