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アンフェタミン

(メタンフェタミン)

執筆者:

Gerald F. O’Malley

, DO, Grand Strand Regional Medical Center;


Rika O’Malley

, MD, Albert Einstein Medical Center

最終査読/改訂年月 2016年 1月
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アンフェタミンは中枢刺激作用と多幸作用がある交感神経刺激薬であり,その中毒性有害作用には,せん妄,高血圧,痙攣発作,および高体温がある(これらは横紋筋融解症や腎不全を引き起こすことがある)。中毒の管理は,静注ベンゾジアゼピン系薬剤(激越,高血圧,および痙攣発作)や冷却法(高体温)などの支持療法により行う。典型的な離脱症候群は存在しない。

このクラスの元となった薬物であるアンフェタミンは,そのフェニル環上の様々な置換によって修飾された結果,メタンフェタミン,メチレンジオキシメタンフェタミン(エクスタシー,MDMA),メチレンジオキシエチルアンフェタミン(MDEA),その他多数の類縁体が存在する。

デキストロアンフェタミン,メタンフェタミン,および関連するメチルフェニデートといった一部のアンフェタミンは,注意欠如・多動症(ADHD),肥満,およびナルコレプシーを治療するために広く医学的に使用されているため,違法使用に転用される供給源となっている。メタンフェタミンは容易に違法製造される。

病態生理

アンフェタミンはカテコールアミンの放出を促進し,ノルアドレナリン,ドパミン,およびセロトニンのシナプス間濃度を増加させる。その結果生じた顕著なαおよびβ受容体刺激と中枢神経系全体の興奮は,覚醒,多幸感,および食欲不振を増強する「望ましい」作用だけでなく,せん妄,高血圧,高体温,および痙攣発作の有害作用の原因となる。

アンフェタミン類の作用は類似しているが,精神活性作用の強度や持続期間は様々である;MDMAやその類縁体は気分高揚性がより高く,おそらくセロトニンに対する作用がより大きいことに関連していると考えられる。アンフェタミンは,錠剤もしくはカプセル剤としての経口摂取,吸入もしくは喫煙による経鼻摂取,または注射による摂取が可能である。

慢性効果

アンフェタミンの反復使用は依存を誘発する。耐性(tolerance)は徐々に生じるが,最終的には,最初に使用した量の数百倍もの量を服用または注射するようになる可能性がある。様々な影響に対する耐性が不均等に生じる。頻脈と亢進した覚醒は徐々に減少するが,幻覚と妄想が生じる可能性がある。

アンフェタミンは,一般的に男性の勃起障害の原因となるが,一方で性欲を増大させる。危険な性交渉に関連して使用され,使用者はHIV感染症などの性感染症のリスクが高くなる。アンフェタミンを使用すると,興奮と誇大性に続いて過度の疲労と眠気が生じるため,この薬の乱用者は外傷を受けやすい。

多くの器官系を侵す壊死性血管炎が生じることがある。

アンフェタミンが関連する特定の食欲抑制薬(dexfenfluramine,fenfluramine,phentermine)の使用は,心臓弁膜症と関連している。dexfenfluramineおよびfenfluramineは,米国では1997年に市場から回収された。phentermine-fenfluramine(Phen-fen)製品も同様に米国市場から回収されたが,phentermineの単独使用またはトピラマートとの併用は,食欲低下薬として利用可能である。

症状と徴候

急性効果

アンフェタミンの心理的作用の多くはコカインと類似しており,具体的には覚醒度および集中力の増強,多幸感,満足感,誇大性などがある。中毒時に動悸,振戦,発汗,および散瞳が起こる可能性もある。

(おそらく数日にわたる)狂騒(binge)の末に消耗症候群に至るが,興奮期の後で激しく疲労し睡眠を必要とするようになる。

中毒または過剰摂取

頻脈,不整脈,胸痛,高血圧,めまい,悪心,嘔吐,および下痢が起こることがある。中枢神経系への影響には急性せん妄と中毒性精神病がある。また,過剰摂取は脳卒中(通常は出血性),痙攣発作,筋強剛,および高体温(40℃を超える)を引き起こすことがある;これらの影響はいずれも横紋筋融解症を誘発する可能性があり,腎不全に至ることもある。

慢性効果

長期使用すると妄想性精神病が生じることがあり,1回の高用量使用または中等量の反復使用によって起こることもまれにある。典型的な特徴は,迫害妄想,関係念慮(日常の出来事が,患者にとって個人的な意味をもつ,または患者個人に向けられた特別な意味や重要性をもつという考え),および全能感である。使用者の中には長期の抑うつを経験し,その間に自殺する者もいる。

通常,アンフェタミン精神病は長期にわたったとしても徐々に回復する。派手な症状は数日から数週間以内に消退するが,若干の錯乱,記憶障害,および妄想的観念が何カ月も持続することがよくある。

使用者には複数の歯に重度の虫歯がみられる率が高く,その原因は唾液減少,酸化産物,および口腔内衛生不良である。

離脱

アンフェタミンを中止しても典型的な離脱症候群は生じないが,脳波に変化が生じ,これが依存の身体的基準を満たすものであると考える専門家も一部にいる。突然使用を中止すると,基礎にある抑うつが顕在化または増悪したり,重篤な抑うつ反応を誘発したりすることがある。離脱後はしばしば,激しい疲労または眠気と抑うつが2~3日間持続する。

診断

  • 臨床的評価

  • 重篤な非薬剤関連疾患(例,精神状態の変化を引き起こす)の除外に必要な検査

診断は通常,臨床的に行うが,薬物使用歴と診断が不明な場合は,精神状態の変化,異常高熱,または痙攣発作が認められる未鑑別の患者に必要とされる検査を行う。その場合の評価には通常,感染症と代謝異常を同定するためのCT,腰椎穿刺,および臨床検査が含まれる。

アンフェタミン検査はルーチン尿薬物スクリーニングに通常含まれており,摂取歴が明らかでない場合に行うが,個別の薬物濃度は測定しない。イムノアッセイによるアンフェタミンの尿スクリーニング検査は,偽陽性となることがあり,メタンフェタミンとメチルフェニデートが検出されない場合もある。

治療

  • 静注ベンゾジアゼピン系薬剤

  • 高血圧がベンゾジアゼピン系薬剤に反応しない場合は,必要に応じて静注硝酸薬

  • 必要に応じて高体温に対する冷却

中毒または過剰摂取

最近(例,1~2時間未満)多量に経口摂取した場合は,吸収を抑制するために活性炭が投与されることがあるが,この介入により罹患率や死亡率が低下することは示されていない。尿酸性化はアンフェタミンの排泄を早めるが,中毒を軽減せず,尿細管でのミオグロビンの析出を悪化させる可能性があるため推奨されない。

中枢神経系興奮,痙攣発作,頻脈,および高血圧の初期治療には,ベンゾジアゼピン系薬剤の使用が望ましい。ロラゼパム2~3mgの5分毎の静脈内投与(効果に応じて調整)が用いられる場合がある。高用量や持続注入が必要になることがある。重度の激越には,プロポフォールと機械的人工換気が必要になる可能性がある。高血圧がベンゾジアゼピン系薬剤に反応しない場合は,高血圧の重症度に応じて必要であれば硝酸薬(ときにニトロプルシド)または他の降圧薬により治療する。重度の心室性不整脈または頻脈には,β遮断薬(例,メトプロロール2~5mgを静注)が用いられる場合がある。

高体温は生命を脅かすことがあるため,鎮静薬に加え,気化冷却,氷嚢,および生理食塩水の静注による血管内容量と尿量の維持を用いて,積極的に管理すべきである。

フェノチアジン系薬剤は発作の閾値がより低く,その抗コリン作用が冷却を妨げることがあるため,鎮静目的の使用は望ましくない。

離脱とリハビリテーション

特異的治療は必要ない。最初は血圧と気分をモニタリングすべきである。アンフェタミン中止後に短期間を超えて抑うつが持続する患者は,抗うつ薬に反応を示す可能性がある。

一部の患者には,認知行動療法(精神療法の1つ)が効果的である。これら以外に,解毒後のリハビリテーションおよび維持療法として効果が証明された治療法はない。

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