気胸(緊張性)

執筆者:Thomas G. Weiser, MD, MPH, Stanford University School of Medicine
レビュー/改訂 2020年 5月
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緊張性気胸は圧力下での胸腔内に空気が貯留した状態のことであり,肺を圧迫し,心臓への静脈還流量を減少させる。

胸部外傷の概要も参照のこと。)

肺または胸壁の損傷が,空気が胸腔に入ることが可能でも出ていくことができない損傷(一方向弁)である場合に,緊張性気胸が発生する。その結果,空気が貯留して肺を圧迫し,最終的に縦隔を偏移させ,対側肺が圧迫され,心臓への静脈還流量が減少するほどに胸腔内圧が上昇し,ショックが生じる。このような作用は急速に発生することがあり,特に陽圧換気中の患者でその可能性が高い。

原因としては,機械的人工換気(最も多い)および,穿通性外傷もしくは鈍的胸部外傷または中心静脈カテーテル挿入の失敗後に閉鎖できなかった肺損傷による単純な(合併症のない)気胸などがある。

症状と徴候

初期の症状と徴候は単純な気胸と同様である。胸腔内圧が上昇するにつれて,低血圧,気管偏位,および頸静脈怒張が発生する。打診で患側胸郭の過共鳴が認められ,触診でしばしばいくらかの膨張,緊張,および圧しにくさを感じる。

診断

  • 臨床的評価

緊張性気胸は臨床所見により診断すべきである。X線による確認を待って治療を遅延させるべきではない。心タンポナーデも低血圧,頸静脈怒張,およびときに呼吸窮迫を引き起こす可能性があるが,緊張性気胸は片側性の呼吸音の消失および打診での過共鳴音により臨床的に鑑別できる。

パール&ピットフォール

  • 緊張性気胸はベッドサイドで臨床所見に基づき診断すべきであり,直ちに針による減圧および/または胸腔ドレナージで治療すべきである。

治療

  • 針による減圧およびそれに続く胸腔ドレナージ

緊張性気胸の治療としては,鎖骨中線上の第2肋間に太い径の針(例,14または16ゲージ)を挿入して直ちに減圧する。通常,空気が噴出する。針による減圧により単純な気胸が起こるため,その後直ちに胸腔ドレナージを行うべきである。

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