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炭化水素中毒

執筆者:

Gerald F. O’Malley

, DO, Grand Strand Regional Medical Center;


Rika O’Malley

, MD, Grand Strand Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 1月
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炭化水素中毒は,経口摂取または吸入により起こる。経口摂取は,5歳未満の小児で最も一般的であり,誤嚥性肺炎を来しうる。吸入は,青年で最も一般的であり,心室細動を来すことがあり,通常は警告症状を伴わない。肺炎の診断は,臨床的評価,胸部X線,およびオキシメトリーにより行う。胃内容物の除去は,誤嚥のリスクがあるため禁忌である。治療は支持療法による。

石油蒸留物(例,ガソリン,灯油,鉱物油,ランプ用石油,塗料用シンナー)などの炭化水素を経口摂取すると,全身作用はわずかであるが,重度の誤嚥性肺炎 誤嚥性肺炎 誤嚥性の肺炎(pneumonia)および肺臓炎(pneumonitis)は,毒性物質,通常は胃内容物を肺に誤嚥することで引き起こされる。化学性肺臓炎,細菌性肺炎,または気道閉塞が起こりうる。症状としては,咳嗽や呼吸困難などがある。診断は臨床像および胸部X線所見に基づく。治療および予後は,誤嚥された物質によって異なる。 (肺炎の概要も参照のこと。) 誤嚥は肺の炎症(化学性肺臓炎),感染(細菌性肺炎または肺膿瘍),または気道閉塞を引き起こす... さらに読む が生じることがある。毒性は主に粘度に依存し,これはセーボルトユニバーサル秒(SSU)で測定する。ガソリンや鉱物油などの低粘度(SSU < 60)の液体炭化水素は急速に広い表面積に広がることができ,タールなどSSU > 60の炭化水素と比べ誤嚥性肺炎を引き起こす可能性が高い。炭化水素は大量に経口摂取した場合,全身性に吸収されて中枢神経系毒性または肝毒性を引き起こすことがあるが,この可能性はハロゲン化炭化水素(例,四塩化炭素,トリクロロエチレン)で高い。

娯楽的なハロゲン化炭化水素(例,接着剤,塗料,溶剤,清浄用スプレー,ガソリン,冷却剤または噴射剤にエアロゾルとして使用されるフルオロカーボン―Professional.see page 揮発性溶剤 揮発性溶剤 工業用の揮発性溶剤やエアロゾルスプレー溶剤の吸入は,中毒状態を引き起こすことがある。長期使用によって神経障害や肝毒性が生じる可能性もある。 揮発性溶剤(例,アセテート,アルコール,クロロホルム,エーテル,脂肪族および芳香族炭化水素,塩化炭化水素,ケトン)の使用は,以前から青年に特有の問題となっている。一般的な商品(例,接着剤および粘着剤,塗料,塗料剥離剤,洗浄液)にもこれらの物質が含まれているため,小児や青年はこれらを容易に入手できる。... さらに読む )の吸入は,ハフィングまたはバギングと呼ばれ,青年に多い。これは多幸感および精神状態の変化を引き起こすことがあり,内因性カテコールアミンに対する心臓の感受性を増強しうる。致死性の心室性不整脈 不整脈の概要 正常な心臓は規則正しく協調的に拍動するが,これは固有の電気的特性を有する筋細胞によって電気パルスが生成・伝達され,それにより一連の組織化された心筋収縮が誘発されることによって生じる。不整脈と伝導障害は,そうした電気パルスの生成,伝導,またはその両方の異常により引き起こされる。 先天的な構造異常(例,房室副伝導路)や機能異常(例,遺伝性のイ... さらに読む 不整脈の概要 を来す場合があり,通常これは前駆症状としての動悸またはその他の警告を伴わず,しばしば驚いたときや追いかけられたときに起こる。

慢性的なトルエン摂取は,脳室周囲,後頭部,および視床の破壊を特徴とする長期間の中枢神経系毒性を引き起こす可能性がある。

症状と徴候

液体炭化水素をごく少量を経口摂取しただけでも,患者は最初に咳嗽をしてむせ,嘔吐することもある。幼児では,チアノーゼ,息止め,および持続的な咳嗽を来すことがある。より年長の小児および成人は,胃の灼熱感を訴えることがある。

誤嚥性肺炎によって,低酸素症および呼吸窮迫が生じる。肺炎の症状および徴候が,X線上で浸潤影が明らかとなる数時間前に発生することがある。大量の全身吸収は,ハロゲン化炭化水素では特に,嗜眠,昏睡,痙攣発作を引き起こす可能性がある。非致死性の肺炎は通常約1週間で消失し,鉱物油またはランプ用石油の経口摂取によるものは通常5~6週間で回復する。

不整脈が通常受診に先立って起こり,患者が過剰な興奮を呈する場合を除き,受診後に再発する可能性は低い。

診断

  • 摂取から約6時間後に胸部X線およびオキシメトリー

意識障害のために病歴が得られない場合は,呼気または衣服に臭いがあるか,または付近で容器が発見されれば,炭化水素曝露が疑われる。手または口の周りに残る塗料は,直前に塗料を吸入していたことを示唆していることがある。

誤嚥性肺炎の診断は,症状および徴候によるほか,胸部X線およびオキシメトリーによるが,これらは摂取から約6時間後,または症状が重度の場合はより速やかに行う。呼吸不全が疑われる場合は,動脈血ガスを測定する。

中枢神経系毒性は神経学的診察とMRIにより診断する。

治療

  • 支持療法

  • 胃内容物除去の回避

汚染した衣類を全て取り除き,皮膚を洗浄する。(注:胃内容物の除去は,誤嚥のリスクを増大させるため,禁忌である。)活性炭は推奨されない。4~6時間後に誤嚥性肺炎やその他の症状がない患者は退院させる。症状のある患者は入院させ,支持療法で治療する;抗菌薬およびコルチコステロイドは適応とはならない。

パール&ピットフォール

  • 炭化水素の摂取が疑われる場合(ときに呼気または衣類の臭いから疑われる)は,胃内容物の除去は避ける。

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