植物中毒

執筆者:Gerald F. O’Malley, DO, Grand Strand Regional Medical Center;
Rika O’Malley, MD, Grand Strand Medical Center
レビュー/改訂 2020年 4月
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    一般に生えている植物のうち少数は非常に高い毒性を有し,多くの植物は中程度の毒性を有する(中程度の毒性の植物の表を参照)。特異的な解毒剤のある植物中毒はほとんどない。植物の摂取では,中程度の毒性の植物の表に記載されている植物も含めて,葉やその他の部分を濃縮してペースト状にしたり煎じて茶にしない限り,その結果生じる症状はほとんどの場合軽微である。

    毒性が高く致死的となりうる植物には以下のものがある:

    • トウゴマおよびトウアズキの実

    • キョウチクトウおよびキツネノテブクロ

    • ドクニンジン

    中毒の一般原則も参照のこと。)

    トウゴマおよびトウアズキの実

    トウゴマの実は,極めて濃縮された細胞毒であるリシンを含有する。トウアズキの実は,関連する毒素でさらに毒性の高いアブリンを含有する。いずれも,実には比較的不浸透性の殻があるので,毒素の放出には実を噛む必要がある。しかし,トウアズキの実の種皮はしばしば完全ではなく,単に細菌による消化でもアブリン毒素が放出されることがある。

    いずれかの中毒の症状として,ときに重度で出血性である遅発性の胃腸炎があり,続いてせん妄,痙攣発作,昏睡,および死に至る。全腸管洗浄は摂取した全ての実の除去を目的とするため,これを考慮すべきである。

    キョウチクトウおよびキツネノテブクロ

    これらの植物およびスズラン(似ているが毒性は低い)はジギタリス配糖体を含有する。毒性としては,胃腸炎,錯乱,高カリウム血症,不整脈などがある。血清ジゴキシン濃度は,摂取の裏付けとはなりうるが,定量的な情報としては有用でない。

    カリウム濃度を注意深くモニタリングする。高カリウム血症は,血液透析にしか反応しないことがある。不整脈に対してカルシウムは推奨されない。ジゴキシン特異的Fabフラグメントが,心室性不整脈の治療に用いられている。

    ドクニンジン

    ドクニンジン中毒(ドクニンジンおよびドクゼリの中毒)は15分以内に症状を生じる可能性がある。

    ドクニンジンにはニコチン様作用があり,口腔乾燥から始まり,頻脈,振戦,発汗,散瞳,痙攣発作,筋不全麻痺へと進行する。横紋筋融解症および徐脈が生じることがある。

    ドクゼリはγ-アミノ酪酸(GABA)活性を増強するようである。症状としては,胃腸炎,せん妄,難治性痙攣,昏睡などがある。

    表&コラム
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