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一酸化炭素中毒

執筆者:

Gerald F. O’Malley

, DO, Grand Strand Regional Medical Center;


Rika O’Malley

, MD, Grand Strand Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 1月
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一酸化炭素(CO)中毒は,頭痛,悪心,筋力低下,狭心症,呼吸困難,意識消失,痙攣発作,昏睡などの急性症状を引き起こす。精神神経症状が数週間後に発生することがある。診断は,一酸化炭素ヘモグロビン濃度,および酸素飽和度測定を含む動脈血ガスにより行う。治療は酸素補給により行う。家庭用CO探知機により予防が可能なことが多い。

CO中毒は最も一般的な致死性中毒の1つであり,吸入によって起こる。COは,炭化水素の不完全燃焼の結果発生する無色無臭の気体である。中毒における一般的なCO源には,住宅火災,通気が不適切な自動車,ガス暖房器具,炉,湯沸かし機,木または炭を燃やすストーブ,灯油ストーブなどがある。天然ガス(メタンまたはプロパン)が燃焼するとCOが発生する。タバコの煙を吸入すると血中にCOが生じるが,中毒を引き起こすのに十分ではない。

病態生理

COの毒性機序は完全にはわかっていない。以下のものが関与すると考えられる:

  • ヘモグロビンからの酸素の置換(COはヘモグロビンに対して酸素より高い親和性を有するため)

  • 酸素-ヘモグロビン解離曲線の左方シフト(酸素のヘモグロビンから組織への遊離の低下― Professional.see figure 酸素解離曲線 酸素解離曲線 酸素解離曲線

  • ミトコンドリア呼吸の阻害

  • おそらく脳組織への直接的な毒性作用

症状と徴候

一酸化炭素中毒の症状は,患者の血中一酸化炭素濃度のピーク値によく相関する傾向にある。多くの症状は非特異的である。

  • 濃度が10~20%の場合は,頭痛および悪心が現れてくることがある。

  • 20%を超えると,一般的に,漠然としためまい,全身の筋力低下,集中困難,および判断力の低下がみられる。

  • 30%を超えてくると,一般的に,労作時呼吸困難,胸痛(冠動脈疾患患者の場合),および錯乱がみられる。

  • さらに高濃度になると,失神,痙攣発作,および意識障害を来す可能性がある。

低血圧,昏睡,呼吸不全を来し,死に至ることもあるが,これは通常,濃度が60%を超えた場合である。

視覚障害,腹痛,局所神経脱落症状を含む,その他の多くの症状を呈する場合もある。中毒が重度の場合は,精神神経症候(例,認知症,精神病,パーキンソニズム,舞踏運動,健忘症候群)が曝露から数日から数週間後に発生し,恒久的になる可能性がある。CO中毒はしばしば住宅火災が原因であるため,患者は気道の損傷を伴う場合があり( Professional.see page 気道熱傷(煙の吸入) 気道熱傷(煙の吸入) 煙を吸入すると,燃焼で生じる有毒物質が気道組織を損傷したり,代謝に影響を及ぼしたりする。吸入される気体は急速に冷えるため,高熱の煙は通常,咽頭のみに熱傷を起こす。例外が蒸気であり,熱エネルギーが煙よりもはるかに大きいため,下気道(声門より下)にも熱傷が生じることがある。日常で発生する住宅火災で生じる有毒化学物質の多く(例,塩化水素,ホスゲン,二酸化硫黄,有毒なアルデヒド,アンモニア)は,化学的熱傷の原因となる。... さらに読む ),これは呼吸不全のリスクを増大する可能性がある。

診断

  • リスクのある患者における非特異的症状または代謝性アシドーシス

  • 静脈血一酸化炭素ヘモグロビン濃度

症状ははっきりせず非特異的であり様々である場合があるため,一酸化炭素中毒の診断は見逃されやすい。非特異的な症状を伴う軽度の中毒例の多くが,ウイルス症候群と間違われる。医師は,強い疑いをもち続ける必要がある。同一の住居,特に暖房を入れた同一の住居にいた人々に非特異的なインフルエンザ様症状が認められる場合は,CO曝露を考慮すべきである。

CO中毒が疑われる場合は,COオキシメーターで血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を測定する;動静脈較差はわずかであるので静脈血サンプルを用いてもよい。動脈血ガスはルーチンには測定しない。動脈血ガスおよびパルスオキシメトリーは,単独または併用のいずれでもCO中毒の診断には不十分であるが,これは,動脈血ガスで得られる酸素飽和度が溶解酸素を表すため一酸化炭素ヘモグロビン濃度の影響を受けないためであり,さらに,パルスオキシメーターは正常ヘモグロビンと一酸化炭素ヘモグロビンを区別できないため,偽性の酸化ヘモグロビン値上昇を示すためである。非侵襲的なCO探知機が正確であること,またはCO曝露もしくは毒性の診断に有用であることは示されていない。

一酸化炭素ヘモグロビン濃度高値は中毒の明確な証拠であるが,CO曝露終了後に一酸化炭素ヘモグロビン濃度が急速に低下するため,偽性の低濃度を示す場合があり,特に酸素補給の治療を受けた患者(例,救急車の中で)でその可能性が高い。代謝性アシドーシスが診断の手がかりとなることがある。その他の検査が,特異的な症状の評価に役立つことがある(例,胸痛に対して心電図,神経症状に対してCT)。

治療

  • 100%酸素

  • 場合によっては高圧酸素

患者をCO源から離し,必要に応じて安定化させるべきである。100%酸素を投与し(非再呼吸式マスクにて),支持療法で治療する。その利用はますます議論のあるものとなっているが,以下のいずれかがみられる患者では一般的に高圧酸素療法(100%酸素2~3気圧のチャンバー内)を考慮すべきである:

  • 生命を脅かす心肺合併症

  • 持続的な胸痛

  • 意識変容

  • 意識消失(短時間であっても)

  • 25%を超える一酸化炭素ヘモグロビン濃度

おそらく妊娠していない患者よりも血清CO濃度が低い,妊娠中の患者でも高圧酸素療法を考慮すべきである。

高圧酸素療法は,遅発性の精神神経症状の発生率を低減する可能性がある。しかしながら,本療法は気圧外傷を引き起こす場合があり,ほとんどの病院では本療法が利用できないため,不安定なことがある患者を搬送する必要がある;また,地方においてはチャンバーを利用できない可能性がある。高圧酸素療法の効果に関するエビデンスについては,以前にも増して議論があり,有害性を示唆した研究もある。高圧酸素療法を考慮する場合,中毒情報センターまたは高圧治療の専門家のコンサルテーションが強く推奨される。

予防

予防としては,室内の燃焼源を点検して,正しい設置および室外への通気を確認する。排気管に漏れがないか定期的に検査すべきである。閉め切った車庫内で自動車のエンジンをかけっぱなしにしてはならない。CO探知機は住居の空気中にCOが漏れ出していることを早期に警告するので,設置すべきである。住居内にCOが疑われる場合は,窓を開けて部屋を排気し,CO源を調べるべきである。

要点

  • CO中毒(例,住宅火災,通気が不適切な自動車,ガス暖房器具,炉,湯沸かし機,木または炭を燃やすストーブ,灯油ストーブによる)は,最も一般的な致死性中毒の1つである。

  • 非特異的な症状(例,冬のインフルエンザ様症状)または原因不明の代謝性アシドーシスのみられる患者では毒性を考慮する。

  • COオキシメーターでCO濃度を測定する。

  • CO濃度は急速に低下する可能性があるため(特に酸素補給による治療後),CO濃度が正常であることを理由に毒性を除外してはならない。

  • 100%酸素で治療する。

  • 重度の中毒では,専門家または中毒情報センターへのコンサルテーションを行い,高圧酸素治療について相談する。

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