Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

読み込んでいます

ゴーシェ病

(Gaucher病)

執筆者:

Lee M. Sanders

, MD, MPH, Stanford University

最終査読/改訂年月 2016年 1月
ここをクリックすると家庭版へ移動します

ゴーシェ病は,グルコセレブロシダーゼの欠乏により生じるスフィンゴリピドーシス(遺伝性代謝疾患の1つ)であり,グルコセレブロシドおよび関連化合物の沈着を引き起こす。症状と徴候は病型によって異なるが,最も多いのは肝脾腫または中枢神経系変化である。診断は白血球の酵素分析による。

詳細については,表「スフィンゴリピドーシス」を参照のこと。

グルコセレブロシダーゼは,正常であればグルコセレブロシドを加水分解してグルコースおよびセラミドを生成する。この酵素に遺伝学的な異常があると,貪食を介して組織マクロファージ内にグルコセレブロシドが蓄積することにより,ゴーシェ細胞が形成される。脳内の血管周囲腔にゴーシェ細胞が蓄積すると,神経細胞障害性のグリオーシスが引き起こされる。3つの病型があり,それぞれ疫学,酵素活性,および臨床像が異なる。

I型(非神経型)が最も頻度が高い(全患者の90%)。残存酵素活性は最も高い。アシュケナージ系ユダヤ人が最もリスクが高く,1/12が保因者である。発症年齢は2歳から成人期後期までに及ぶ。症状と徴候としては,肝脾腫,骨疾患(例,骨減少症,疼痛発作,骨折を伴う溶骨性病変),発育不全,思春期遅発,斑状出血,瞼裂斑などがある。血小板減少による鼻出血および斑状出血がよくみられる。X線では長管骨骨端の拡がり(エルレンマイアーフラスコ変形)と骨皮質の菲薄化を認める。

II型(急性神経型)は最も頻度が低く,残存酵素活性が最も低い。乳児期に発症する。症状と徴候は,進行性の神経機能低下(例,硬直,痙攣発作)と2歳未満での死亡である。

III型(亜急性神経型)は,発生率,酵素活性,および臨床重症度においてI型とII型の中間に位置する。発症は小児期のあらゆる時期にみられる。臨床像は亜型により異なり,進行性の認知障害および運動失調(IIIa型),骨および内臓障害(IIIb型),角膜混濁を伴う核上性麻痺(IIIc型)などがある。青年期まで生存した患者は,長年にわたり生存できる場合がある。

診断

  • 酵素分析

ゴーシェ病の診断は白血球の酵素分析による。遺伝子変異解析によって保因者を検出し,病型を鑑別する。生検は不要であるが,ゴーシェ細胞(丸めたティッシュペーパー様の外観を呈する脂質が蓄積した組織マクロファージで,肝臓,脾臓,リンパ節,骨髄,または脳で認められる)を認めれば診断に至る。DNA解析が行われる頻度はとみに増している。(遺伝性代謝疾患が疑われる場合の検査も参照のこと。)

治療

  • I型およびIII型:グルコセレブロシダーゼによる酵素補充療法

  • ときにミグルスタット,エリグルスタット,脾臓摘出,または造血幹細胞もしくは骨髄移植

I型およびIII型にはグルコセレブロシダーゼ静注による酵素補充療法が効果的であるが,II型に対する治療法はない。この酵素はライソゾームへの輸送効率を向上させるように改変されている。酵素補充療法を受ける患者には,ヘモグロビンおよび血小板のルーチンなモニタリング,CTまたはMRIによる脾臓および肝臓容積のルーチンな評価,ならびに全身骨X線検査,二重エネルギーX線吸収スキャン,またはMRIによる骨疾患のルーチンな評価が必要となる。

グルコシルセラミド合成酵素阻害薬であるミグルスタット(100mg,経口,1日3回)はグルコセレブロシド(グルコセレブロシダーゼの基質)濃度を減少させる作用があるため,酵素補充療法が受けられない患者への代替療法となる。

別のグルコシルセラミド合成酵素阻害薬であるエリグルスタット(84mg,経口,1日1回または1日2回)にも,グルコセレブロシド濃度を減少させる作用がある。

脾臓摘出は,貧血,白血球減少,もしくは血小板減少がある患者に対して,または脾臓の大きさが原因で不快感がある場合に有用となりうる。貧血を伴う患者には輸血も必要になることがある。

骨髄移植または造血幹細胞移植では根治が得られるが,合併症発生率と死亡率がかなり高いため,最終手段とみなされている。

要点

  • ゴーシェ病は,グルコセレブロシダーゼの欠乏により生じるスフィンゴリピドーシスであり,グルコセレブロシドの沈着を引き起こす。

  • 3つの病型があり,それぞれ疫学,酵素活性,および臨床像が異なる。

  • 症状と徴候は病型によって異なるが,最も多いのは肝脾腫または中枢神経系変化である。

  • ゴーシェ病の診断は,白血球の酵素解析による;遺伝子変異解析によって保因者を検出し,病型を鑑別する。

  • I型およびIII型の治療としては,グルコセレブロシダーゼによる酵素補充療法に加え,ときにミグルスタット,エリグルスタット,脾臓摘出,または造血幹細胞もしくは骨髄移植が行われることがある;II型に対する治療法はない。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP