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停留精巣

(潜在精巣)

執筆者:

Ronald Rabinowitz

, MD, University of Rochester Medical Center;


Jimena Cubillos

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2016年 11月
本ページのリソース

泌尿生殖器系の先天異常の概要も参照のこと。)

停留精巣とは,一側または両側の精巣が陰嚢まで下降していない状態であり,典型的には鼠径ヘルニアを合併する。診断は診察によるが,ときに続いて腹腔鏡検査を行う。治療法は外科的な精巣固定術である。

停留精巣は,正期産児では約3%,早期産児では最大30%に発生し,停留した精巣の3分の2は生後4カ月以内に自然下降する。よって,男児の約0.8%のみが治療を必要とする。

停留精巣の80%は出生時に診断される。残りは小児期または青年期早期に診断され,通常は精巣導帯の異所付着によって起こり,身体の成長スパート後に明らかになる。

病態生理

正常であれば,精巣は妊娠7~8週目に発生し,しばらく内鼠径輪より頭側にとどまった後,28週目頃になると短縮する間葉(精巣導帯)に誘導されながら陰嚢への下降を開始する。下降開始時期は,内分泌的(例,男性ホルモン,ミュラー管阻害因子),物理的(例,精巣導帯の退化,腹腔内圧),および環境(例,母体のエストロゲン性物質または抗アンドロゲン物質への曝露)因子によって調整される。

真の停留精巣は下降経路沿いの鼠径管にとどまるか,または頻度は低くなるが腹腔内または後腹膜内に存在することがある。異所性精巣とは,外輪を通って正常に下降するが異常な位置へ進路を変えたもので,正常な下降経路から外れた位置(例,恥骨上部,浅鼠径窩内,会陰部,大腿内側沿い)に精巣が認められる。

合併症

停留精巣は妊孕性低下を引き起こし,さらに精巣癌との関連もあるが,これは主に停留した精巣内部,特に腹腔内精巣の場合に多く発生する。しかしながら,片側性停留精巣の患者において,癌の10%は正常側の精巣に発生している。腹腔内精巣の無治療例では,精巣捻転が急性腹症として発現することがある。出生時からの停留精巣を呈する新生児では,ほぼ全例で鼠径ヘルニアを併発する(腹膜鞘状突起開存)。

病因

停留精巣はほぼ常に特発性である。約10%の症例は両側性であるが,出生時に両側性の非触知停留精巣を呈する表現型男性(特に尿道下裂を合併している場合)では,先天性副腎過形成症による女性の男性化を強く疑うべきである。

症状と徴候

症例の約80%は出生時には陰嚢は空であり,残りの症例では出生時に陰嚢内に精巣を触れることができるものの,その場合も精巣導帯の異所付着のために精巣が正常な陰嚢の「下降」についていくことができないため,成長とともに上昇していくかのようにみられる。鼠径ヘルニアでは,まれに触知可能な腫瘤病変が生じるが,開存した腹膜鞘状突起が(特に乳児では)しばしば認められる(一方で異所性停留精巣の場合はまれである)。

診断

  • 臨床的評価

  • ときに腹腔鏡検査

  • まれに超音波検査またはMRI

男児は全例,出生時とその後も1年毎に,精巣の位置と発育状態を評価するための精巣診察を受けるべきである。

停留精巣および異所性精巣には,精巣が陰嚢内に存在するも精巣挙筋反射により容易に鼠径管内に牽引される状態である移動性(牽引)精巣との鑑別が必要である。停留精巣の診断は身体診察によるが,精巣の牽引反射を誘発しないように,検査室の室温を上げ,検者の手を温めた上で,患児の緊張を取り去っておくことが重要である。

片側性の非触知精巣の患者では,下降している精巣が予測より大きい場合は萎縮性停留精巣が示唆され,確定診断には,腹腔内の精巣を検索するか精巣無発生を確認するため,典型的には診断的腹腔鏡検査による外科的介入が必要となる。しかしながら,内鼠径輪より遠位での精巣遺残が疑われる場合は,ときに陰嚢または鼠径部の探索を行う。

両側性の非触知精巣の場合は,出生直後に性分化異常の可能性を評価すべきである(小児内分泌医へのコンサルテーションを考慮すべきである)。性分化異常が除外された場合は,腹腔内での精巣の位置を同定する腹腔鏡検査がしばしば必要になり,その後両側精巣固定術を行うことがある。

治療

  • 外科的修復

触知停留精巣に対する治療法は外科的な精巣固定術であり,精巣を陰嚢内まで移動させて所定の場所に縫合するとともに,鼠径ヘルニアの合併があれば同時に修復する。非触知停留精巣には腹腔鏡検査を施行し,精巣が認められた場合は,陰嚢内に移動させる。萎縮している場合は,その組織を除去する。早期介入により妊孕能の改善が可能で,さらに発癌リスクの軽減も期待できることから,手術は生後6カ月時点で実施すべきである。また,身長が低いほど,精巣を陰嚢へ留置するための移動距離が短くなる。萎縮性停留精巣は,出生前の精巣捻転の結果である可能性が高い。

移動性精巣については,精索の長さが十分にあるために精巣挙筋反射の刺激さえなければ牽引もなく精巣が独立した陰嚢の位置にとどまっている限り,介入は必要ない。移動性精巣は通常,精巣が大きくなり牽引が困難になってくる思春期までには,無治療でも自然消失する。

要点

  • 停留精巣は正期産児では約3%,早期産児では最大30%に発生し,停留した精巣の3分の2は自然下降する。

  • 停留精巣は妊孕性低下を引き起こし,さらに精巣癌リスクを増大させる(停留した精巣内部など)。

  • 通常は臨床的評価のみで十分であるが,一部の患者には腹腔鏡検査を行うべきである。

  • 治療法は外科的な精巣固定術である。

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