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バーター症候群およびギテルマン症候群

(Bartter症候群;Gitelman症候群)

執筆者:

Christopher J. LaRosa

, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania

最終査読/改訂年月 2016年 3月
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バーター症候群とギテルマン症候群は,腎臓でのカリウム,ナトリウム,クロール,および水素イオンの喪失,低カリウム血症,高血圧を伴わない高レニン血症および高アルドステロン症,代謝性アルカローシスなど,体液,電解質,尿,およびホルモンの異常を特徴とする。所見としては,電解質や発育の異常のほか,ときに神経筋症状もみられる。診断は尿中電解質測定とホルモン測定によって補助されるが,典型的には除外診断となる。治療は,NSAID,カリウム保持性利尿薬,低用量ACE阻害薬,および電解質補充から成る。

病態生理

バーター症候群とより頻度の高いギテルマン症候群は,塩化ナトリウムの再吸収障害に起因する。バーター症候群では,ヘンレ係蹄の太い上行脚に異常がある。ギテルマン症候群では,遠位尿細管に異常がある。どちらの症候群でも,塩化ナトリウムの再吸収障害によって軽度の体液量減少が起こり,そのためにレニンおよびアルドステロンの分泌が増加する結果,カリウムおよび水素イオンの喪失を来す。バーター症候群では,プロスタグランジンの分泌増加に加えて,腎髄質での濃度勾配の形成障害に起因する尿濃縮障害がみられる。ギテルマン症候群では,低マグネシウム血症と尿中カルシウム排泄量の減少がよくみられる。どちらの症候群でも,ナトリウムの喪失が慢性的な軽度の血漿量減少に寄与し,この変化はレニンおよびアンジオテンシンの高値にもかかわらず血圧が正常ないし低値となることに反映される。

臨床像の特徴は多様である( バーター症候群とギテルマン症候群の相違点)。

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バーター症候群とギテルマン症候群の相違点

特徴

バーター症候群

ギテルマン症候群

腎臓の異常部位

ヘンレ係蹄の上行脚(ループ利尿薬の作用と類似する)

遠位尿細管(サイアザイド系薬剤の作用と類似する)

尿中カルシウム排泄量

正常または上昇,一般的に腎石灰化症を伴う

低下

血清マグネシウム値

正常または低下

低下,ときに大幅に

腎臓でのプロスタグランジンE2産生量

増加

正常

通常の発症年齢

出生前から小児期早期まで,しばしば知的障害および成長障害を伴う

小児期後期から成人期まで

神経筋症状(例,筋攣縮,筋力低下)

まれまたは軽度

よくみられる

病因

両症候群とも通常は常染色体劣性の形式で遺伝するが,散発例の場合もあれば,他のパターンで家族集積を示す場合もある。どちらの症候群にもいくつかの遺伝子型があり,遺伝子型が異なると臨床像も異なる場合がある。

症状と徴候

バーター症候群は,出生前,乳児期,または小児期早期に発症する傾向がある。ギテルマン症候群は,小児期後期から成人期にかけて発症する傾向がある。バーター症候群は,出生前に子宮内胎児発育不全と羊水過多として顕在化することがある。バーター症候群の様々な病型は,基礎にある遺伝子異常に応じて,難聴,低カルシウム血症,腎石灰化症などの特異的な臨床像を呈する。バーター症候群の患児は(ギテルマン症候群の患児と比べても)未熟な状態で出生することが多く,出生後も発育および発達が不良となり,一部の患児は知的障害を呈する。

大半の患児は血圧が低値または正常低値であり,体液量減少の徴候がみられる場合もある。カリウム,カルシウム,またはマグネシウムを保持できないことで,筋力低下,筋痙攣,攣縮,テタニー,または疲労を来す可能性があり,特にギテルマン症候群で顕著である。多飲症,多尿,および嘔吐もみられる。

一般に,バーター症候群とギテルマン症候群のいずれも,典型的には慢性腎機能不全は来さない。

診断

  • 血清および尿中電解質濃度

  • 類似疾患の除外

特徴的な症状がみられる小児と,代謝性アルカローシスや低カリウム血症などの臨床検査値異常が偶然検出された小児では,バーター症候群とギテルマン症候群を疑うべきである。尿中電解質の測定では,ナトリウム,カリウム,およびクロールの測定値が,患者の細胞外液量が正常または減少した状態にそぐわない高値を示す。診断は以下に示す他疾患の除外による:

  • 原発性および続発性アルドステロン症とは,高血圧の存在と血漿レニン値が正常または低値であることによってしばしば鑑別できる( アルドステロン症の鑑別診断)。

  • 患者が隠れて嘔吐している場合や下剤の乱用とは,尿中クロール濃度が低値(通常は20mmol/L未満)であることによってしばしば鑑別可能である。

  • 患者が隠れて利尿薬を乱用している場合とは,尿中クロール濃度の低値と利尿薬の尿検査によってしばしば鑑別できる。

確定診断は遺伝子検査によるが,既知の突然変異の多さ,遺伝子サイズの大きさ,および極端に高額な費用のため,まれにしか行われない。

24時間尿中カルシウム濃度または尿中カルシウム/クレアチニン比の測定は,これらの2つの症候群を鑑別する助けとなり,その測定値は典型的にはバーター症候群で正常から高値,ギテルマン症候群では低値となる。

治療

  • NSAID(バーター症候群の場合)

  • スピロノラクトンまたはamiloride

  • 低用量のACE阻害薬

  • カリウム,マグネシウム,およびカルシウムのサプリメント

バーター症候群の発生機序には腎臓でのプロスタグランジンE2の分泌が寄与しているため,NSAID(例,インドメタシン1~2mg/kg,経口,1日1回)が役立つほか,カリウム保持性利尿薬(例,スピロノラクトン150mg,経口,1日2回またはamiloride 10~20mg,経口,1日2回)も使用される。ギテルマン症候群では,カリウム保持性利尿薬が単独で使用される。低用量のACE阻害薬は,アルドステロンを介した電解質異常を抑制するのに役立つ可能性がある。しかしながら,カリウムの喪失を完全に止める治療法はなく,カリウム補充(KCl 20~40mEq,経口,1日1回または1日2回)がしばしば必要となる。また,マグネシウムサプリメントも必要になる場合がある。

低身長の治療のため,成長ホルモン製剤の使用を考慮することができる。

要点

  • どちらの症候群も塩化ナトリウムの再吸収に障害があり,そのため軽度の体液量減少が起こることで,レニンおよびアルドステロンが分泌される結果,尿中へのカリウムおよび水素イオンの喪失が起こる。

  • 遺伝子型によって臨床像は様々であるが,発育および発達が障害されることがあり,電解質異常により筋力低下,筋痙攣,攣縮,テタニー,疲労などが起こりうる。

  • 診断では,血清中および尿中電解質濃度を測定する;遺伝子検査はまれにしか行われない。

  • 治療としては,カリウムの補充のほか,ときにマグネシウムも補充する。カリウム保持性利尿薬および低用量のACE阻害薬を使用してもよく,さらにバーター症候群にはNSAIDを追加してもよい。

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