Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

読み込んでいます

シスチン尿症

執筆者:

Christopher J. LaRosa

, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania

最終査読/改訂年月 2016年 3月

シスチン尿症は,尿細管における遺伝性の異常であり,アミノ酸であるシスチンの再吸収が障害されることで,その尿中排泄が増加する結果,尿路内にシスチン結石が形成される。症状は,結石とおそらくは尿路感染症または腎不全の続発症によって生じる仙痛である。診断は尿中シスチン排泄量の測定による。治療は水分摂取と尿のアルカリ化による。

シスチン尿症は当初,絶対保因者におけるシスチンおよび二塩基性アミノ酸の尿中排泄量に従って分類されていた。この分類では,シスチン排泄量について患児の親を正常(I型),中等度の増加(III型),有意な増加(II型)のいずれかと判定していた。

新しい分類は遺伝子型に基づいており,A型の患者はSLC3A1遺伝子にホモ接合変異を有し,B型の患者はSLC7A9遺伝子にホモ接合変異を有する。これらの遺伝子がコードするタンパクは,互いに会合することで,近位尿細管でのシスチンおよび二塩基性アミノ酸の輸送を担うヘテロ二量体を形成する。シスチン尿症をシスチン症と混同してはならない( ファンコニ症候群 : 遺伝性ファンコニ症候群)。

病態生理

原発性の異常により,近位尿細管でのシスチンの再吸収が低下し,尿中シスチン濃度が上昇する。シスチンは酸性尿にはあまり溶けないため,尿中濃度が溶解度を超えると,結晶が析出してシスチン腎結石が形成される。

他の二塩基性アミノ酸(リジン,オルニチン,アルギニン)の再吸収も障害されるが,これらのアミノ酸にはシスチンと共有する経路とは別の代替輸送機構が存在するため,問題は発生しない。さらに,これらの物質はシスチンよりも尿への溶解度が高いため,これらの排泄量が増加しても結晶や結石の形成を来すことはない。これらの物質の吸収(およびシスチンの吸収)は小腸においても減少する。

症状と徴候

症状は腎仙痛が最も多く,乳児期にも起こりうるが,通常は10~30歳で出現する。尿路閉塞によりUTIや腎不全を来すことがある。

診断

  • 尿沈渣の鏡検

  • 尿中シスチン排泄量の測定

  • 採取した腎結石の分析

放射線不透過性のシスチン結石が腎盂または膀胱に形成される。サンゴ状結石の場合が多い。尿中ではシスチンは黄褐色の六方晶として観察され,これを認めれば本症と診断できる。尿中でのシスチンの過剰をニトロプルシド試験で検出してもよい。シスチン尿症のシスチン排泄量は典型的には400mg/日以上である(正常では30mg/日未満)。

治療

  • 大量の水分摂取

  • 尿のアルカリ化

  • 食塩制限

  • タンパク制限食(可能な場合)

末期腎臓病が発生することがある。尿中シスチン排泄量を減少させることで腎毒性が低下するが,これは3~4L/日の尿量が得られる十分な水分摂取による尿量増加によって達成される。尿pHが低下する夜間の水分補給が特に重要である。クエン酸カリウムまたは重炭酸カリウム1mEq/kg,経口,1日3回または1日4回の投与と一部の症例ではアセタゾラミド5mg/kg(最大250mg),経口,就寝時の投与によって,pH > 7.0まで尿をアルカリ化すれば,シスチンの溶解度を有意に上昇させることができる。軽い食塩制限(100mEq/日)とタンパク制限食(0.8~1.0g/kg/日)がシスチン排泄量の低減に役立つことがある。

大量の水分摂取とアルカリ化を行っても結石形成が減少しない場合は,他の薬剤を試みてもよい。ペニシラミン(幼児では7.5mg/kg,経口,1日4回,児童では125mg~0.5g,経口,1日4回)はシスチンの溶解度を上昇させるが,その毒性のため有用性は限定的である。全患者の約半数で発熱,発疹,関節痛などの中毒症状が出現し,また頻度は低くなるがネフローゼ症候群,汎血球減少症,全身性エリテマトーデス様反応なども生じうる。ペニシラミンとともにピリドキシンサプリメント(50mg,1日1回,経口)を投与すべきである。チオプロニン(100~300mg,経口,1日4回)は,有害作用の発現頻度が低いため,ペニシラミンの代替薬として一部の症例の治療に使用できる。カプトプリル(0.3mg/kg,経口,1日3回)は,ペニシラミンほど効果的ではないが,毒性が低い。治療に対する反応を綿密にモニタリングすることが非常に重要である。

要点

  • シスチン再吸収の異常により,尿中シスチン濃度が上昇する結果,シスチンの腎結石のほか,ときに慢性腎臓病を来す。

  • 尿中の黄褐色の六方晶は本症特有の所見であり,典型例では尿中シスチン排泄量が400mg/日を超える。

  • 3~4L/日の尿量が得られる十分な水分摂取と,クエン酸カリウムまたは重炭酸カリウムによる尿アルカリ化により治療する。

  • 食塩およびタンパク摂取量を制限する。

  • ペニシラミン,チオプロニン,カプトプリルなどの薬剤が必要になる場合もあるが,有害作用が懸念される。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP