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新生児結膜炎

(新生児眼炎)

執筆者:

Mary T. Caserta

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2015年 10月

新生児結膜炎は,化学的刺激物または病原性微生物に起因して眼から水様性または膿性分泌物が生じる病態である。抗淋菌薬の外用による出生時予防をルーチンに行う。診断は臨床的に行い,通常は臨床検査により確定する。治療は起因菌に特異的な抗微生物薬による。

病因

主な原因(頻度の高い順)

感染は,胎児が産道を通過する際の母親からの伝播によって生じる。クラミジア眼炎(Chlamydia trachomatisを原因菌とする)は,細菌によるものでは最も頻度の高い原因であり,生後4週未満の新生児における結膜炎の最高40%を占める。母親のクラミジア感染の有病率は2~20%である。急性感染した女性から出生した新生児の約30~50%に感染が起き,25~50%が結膜炎を発症する(また5~20%が肺炎を発症する)。さらに,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)や無莢膜型インフルエンザ菌(nontypeable Haemophilus influenzae)など,その他の細菌が全症例の30~50%を占め,淋菌性眼炎(淋菌[Neisseria gonorrhoeae]による結膜炎)は1%未満である。

化学性結膜炎は通常,眼感染予防のための硝酸銀点眼薬の使用に続発して起こる。

主な原因ウイルスは,単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型(ヘルペス性角結膜炎)であるが,このウイルスが原因の症例は1%未満である。

症状と徴候

臨床像および発症時期に重複があるため,新生児結膜炎の原因を臨床的に鑑別するのは困難である。結膜は充血し,分泌物(水様または膿性)がみられる。

外用による予防のために二次的に発生する化学性結膜炎は,通常は点眼後6~8時間以内に現れ,48~96時間以内に自然に消失する。

クラミジア眼炎は通常,生後5~14日目に発症する。その臨床像は,微量の粘液膿性分泌物を伴う軽度の結膜炎から,大量の膿性分泌物と偽膜形成を伴う重度の眼瞼浮腫まで幅がある。結膜には年長の小児や成人でみられる濾胞形成は認められない。

淋菌性眼炎は,出生後2~5日目または前期破水例ではより早期に発症する急性化膿性結膜炎を引き起こす。患児には重度の眼瞼浮腫に続いて結膜浮腫がみられ,圧迫すると大量の化膿性滲出液が排出される。無治療では,角膜潰瘍や失明を来すことがある。

その他の細菌による結膜炎では,発症時期は4日から数週と様々である。

ヘルペス性角結膜炎は,単独の感染症として発生する場合と,播種性感染症や中枢神経系感染症に併発する場合がある。細菌性または化学性結膜炎と誤診されることもあるが,樹枝状角膜炎の存在が本疾患固有の特徴である。

診断

  • 淋菌,クラミジア,ときにヘルペスを対象に含めた結膜由来の検体での検査

結膜由来の検体を用いて,グラム染色,淋菌(例,改良型Thayer-Martin培地)および他の細菌の培養,ならびにクラミジアの検査(例,培養,直接蛍光抗体法または酵素結合免疫吸着測定法[細胞を含む検体が必要])を行う。結膜擦過物をギムザ染色で検査することも可能であり,青色の細胞質内封入体が同定されれば,クラミジア眼炎と確定できる。核酸増幅検査は,結膜由来の検体からのクラミジア検出について,旧来の方法と同等以上の感度を示す可能性がある。ウイルス培養は,皮膚病変や母体の感染症からウイルス感染が疑われる場合にのみ行う。

治療

  • 全身投与,外用,またはその併用による抗菌薬療法

母親の淋菌感染症が判明している結膜炎の新生児と,結膜滲出液に細胞内寄生性のグラム陰性双球菌が同定された新生児には,確定診断試験の結果を待たずにセフトリアキソンまたはセフォタキシム( 新生児に対する主な注射用抗菌薬の推奨用量)を投与すべきである。

クラミジア眼炎では,感染した新生児の半数以上に上咽頭感染もみられ,一部はクラミジア肺炎を発症することから,全身療法が第1選択の治療法である。エチルコハク酸エリスロマイシン(12.5mg/kg,経口,6時間毎,2週間)が推奨される( 新生児における主な経口抗菌薬の推奨用量*)。この治療法の有効率は80%に過ぎず,第2の治療コースが必要となることがある。新生児へのエリスロマイシンの使用は,肥厚性幽門狭窄症(HPS)との関連があるため,エリスロマイシンを投与する新生児には全例でHPSの症候についてモニタリングを行うべきであり,親には予想されるリスクについてカウンセリングを行うべきである。アジスロマイシン20mg/kg,経口,1日1回,3日間も効果的となりうるが,現在のところAmerican Academy of Pediatricsによる推奨はない。

淋菌性眼炎の新生児は,起こりうる全身性の淋菌感染症の評価のために入院させ,セフトリアキソン25~50mg/kgを最高125mgまで筋注で単回投与する。高ビリルビン血症のある乳児とカルシウム含有輸液を投与されている乳児には,セフトリアキソンの投与を避けるべきである一方,セフォタキシムを100mg/kg,静注または筋注で単回投与してもよい。生理食塩水による頻回の眼洗浄は,分泌物の付着を予防する効果がある。抗菌薬軟膏単独での治療は無効であり,また全身療法を行う場合は不要である。

その他の細菌による結膜炎は通常,ポリミキシンとバシトラシン,エリスロマイシン,またはテトラサイクリンを含有する軟膏に反応する。

ヘルペス性角結膜炎には,アシクロビルを20mg/kg,8時間毎,14~21日間で(眼科医へのコンサルテーションを行った上で)全身投与するとともに,1%トリフルリジン点眼薬または軟膏,ビダラビン3%軟膏,もしくは0.1%イドクスウリジン軟膏を2~3時間毎(24時間当たり9回まで)に投与する。中枢神経系やその他の臓器への播種が起こりうるため,全身療法が重要である。

コルチコステロイド含有軟膏は,C. trachomatisおよび単純ヘルペスウイルスによる眼感染症を重篤化させる可能性があるため,使用を控えるべきである。

予防

分娩後に1%硝酸銀点眼薬,0.5%エリスロマイシン,または1%テトラサイクリン眼軟膏もしくは点眼薬をルーチンに投与することで,淋菌性眼炎を効果的に予防できる。しかしながら,これらの薬剤のいずれにもクラミジア眼炎の予防効果はなく,ポビドンヨード2.5%点眼薬がクラミジアおよび淋菌に効果的であるが,米国では入手できない。硝酸銀およびテトラサイクリン眼軟膏も米国ではもはや入手できなくなっている。

未治療の淋菌感染症患者から産まれた新生児には,セフトリアキソンを25~50mg/kg,筋注または静注,最高125mgで単回投与し(セフトリアキソンは高ビリルビン血症のある新生児とカルシウム含有輸液を投与されている新生児に使用してはならない),母親と新生児の双方に対してクラミジア感染症,HIV感染症,および梅毒のスクリーニングを行うべきである。

要点

  • 細菌性結膜炎の起因菌としてはC. trachomatis,肺炎球菌(S. pneumoniae,),および無莢膜型インフルエンザ菌(nontypeable H. influenzae)が大半を占めており,淋菌(N. gonorrhoeae)はまれである。

  • 結膜は充血し,分泌物(水様または膿性)がみられる。

  • 結膜由来の検体での培養による病原体(淋菌およびクラミジア)検査のほか,ときに核酸増幅検査を行う。

  • 起因菌に活性を示す抗菌薬を投与し,淋菌感染症の新生児は入院させるべきである。

  • クラミジア眼炎には全身療法を行う。

  • 細菌性結膜炎の予防のために出生時に投与される抗菌薬または硝酸銀の点眼によって化学性結膜炎が発生することがある。

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