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先天性および周産期サイトメガロウイルス感染症(CMV)

執筆者:

Mary T. Caserta

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2015年 10月
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サイトメガロウイルス(CMV)感染症は,出生前または周産期の感染によって発生することがあり,最も頻度の高い先天性ウイルス感染症である。出生時にみられることのある徴候は,子宮内胎児発育不全,未熟性,小頭症,黄疸,点状出血,肝脾腫,脳室周囲石灰化,脈絡網膜炎,肺炎,肝炎,および感音難聴である。乳児期後期に感染した場合の徴候としては,肺炎,肝脾腫,肝炎,血小板減少,敗血症様症候群,異型リンパ球増多などが挙げられる。新生児感染症の診断法としては,培養またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によるウイルス検出が最良である。治療は支持療法が中心である。ガンシクロビルの注射剤またはバルガンシクロビルの経口剤は,聴力の低下を予防し,発達面の予後を改善する可能性があり,新生児期に同定された症候性の疾患がみられる乳児に使用される。

サイトメガロウイルス(CMV)は新生児からしばしば分離される。このウイルスを保有する乳児の大半は無症状であるが,生命を脅かす疾患や深刻な影響を及ぼす長期の後遺症が生じることもある。

CMVの初感染を起こした女性が安全に妊娠できるようになる時期は不明である。胎児へのリスクは判断が難しいため,妊娠中にCMVの初感染がみられた女性はカウンセリングを受けるべきであるが,健康な女性に対して妊娠前や妊娠中にルーチンなCMVの血清学的検査を勧める専門家は少ない。

病因

先天性CMV感染症は,世界中で全出生児の0.2~1%にみられ,初感染または再感染の母体からの経胎盤感染によって発生する。新生児の顕性感染症は,母体の初感染後に生じる可能性がはるかに高くなる(特に妊娠前半)。米国の社会経済的水準の高い一部の集団では,若年女性の50%がCMV抗体を保有しておらず,したがって初感染が生じうる状態となっている。

周産期CMV感染症は,感染した子宮頸管分泌物,母乳,または血液製剤への曝露により生じる。母体由来の抗体に防御効果があると考えられ,曝露した正期産児の大半は無症状に経過するか,感染しない。対照的に早期産児(CMV抗体をもたない)の場合は,重篤な感染症を起こし,死に至ることもあり,特にCMV陽性の血液が輸血された場合はその可能性が高くなる。このような乳児にはCMV陰性の血液または血液成分のみを輸血するか,CMVが感染した白血球を除去するフィルター処理済みの血液を使用するように努めるべきである。多くの専門家は,そのような白血球除去血液にはCMVの感染リスクがないと考えている。

症状と徴候

妊娠中にCMVに感染した女性の多くは無症状に経過するが,単核球症様の疾患を発症する者もいる。

先天性CMV感染症の乳児のうち,出生時に症状がみられるのは約10%である。以下のような所見がみられる:

  • 子宮内胎児発育不全

  • 未熟性

  • 小頭症

  • 黄疸

  • 点状出血

  • 肝脾腫

  • 脳室周囲石灰化

  • 脈絡網膜炎

  • 肝炎

  • 肺炎

  • 感音難聴

分娩時または出生後にCMVに感染した乳児(特に未熟児)では,敗血症様症候群,肺炎,肝脾腫,肝炎(肝不全に至ることがある),血小板減少,異型リンパ球増多などがみられることがある。ただし,経母乳感染の場合は,重度の症候性感染や長期の後遺症が生じるリスクは低い。

診断

  • 尿,唾液,または組織検体を用いたウイルス培養

  • 尿,唾液,血液,または組織検体を用いたPCR法

症候性の先天性CMV感染症は,トキソプラズマ症風疹,リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)感染症,梅毒など,他の先天性感染症と鑑別する必要がある。

新生児では,尿,唾液,または組織検体を用いたウイルス培養またはPCR法が最良の診断法であり,母親の診断は血清学的検査またはPCRにより可能である( 診断)。培養検体は線維芽細胞に接種するまで冷蔵保存すべきである。生後2~3週以内に採取された尿,唾液,その他の体液からウイルスが分離されれば,先天性CMV感染症と診断でき,尿および唾液を使用した場合に最も感度が高い。生後3週を過ぎると,ウイルスを検出しても,周産期感染か先天性感染かを判断できなくなる。どちらの形態で感染した場合も,乳児はその後数年間にわたりCMVを排出することがある。

白血球分画を伴う血算と肝機能検査が役立つことがあるが,特異的ではない。頭部超音波またはCTと眼科的評価も行うべきである。CTでは脳室周囲石灰化像がよくみられる。感染した新生児には,全例で出生時の聴覚検査をルーチンに行うべきであり,新生児期を過ぎてから難聴が発生して進行することもあるため,綿密なモニタリングを継続する必要がある。

予後

症状がみられた新生児の死亡率は30%に及ぶことがある一方,生存例でも40~90%で以下のような神経学的異常がみられる:

  • 難聴

  • 知的障害

  • 視覚障害

無症状の新生児でも,最終的には5~15%に神経学的後遺症が発生するが,なかでも難聴の頻度が最も高い。

治療

  • 症状のある新生児にはガンシクロビルまたはバルガンシクロビル

症状のある新生児には抗ウイルス薬を投与する。バルガンシクロビル16mg/kg,1日2回,6カ月の経口投与により,先天性CMV感染症の新生児においてウイルス排泄が減少し,生後12カ月および24カ月時点での聴力および発達面の予後が若干改善する。この治療の主な毒性は好中球減少である。

予防

免疫をもたない妊婦は,ウイルス曝露の機会を減らすよう努めるべきである。例えば,CMV感染症は託児所に通う小児でよくみられるため,妊婦は託児所に通っている児の尿や口腔または気道分泌物に触れた際には,必ず徹底的に手を洗うべきである。

輸血関連の周産期CMV感染症は,早期産児への輸血にはCMV抗体陰性ドナーからの血液製剤か白血球除去製剤を使用することで予防可能である。

先天性CMV感染症を予防するためのワクチンが開発中である。CMVの初感染を起こした妊婦に対して抗CMV高力価免疫グロブリンを使用する試験が最近実施されたが,先天性感染の減少は認められなかった。

要点

  • CMV感染症は,最も頻度の高い先天性ウイルス感染症であり,無症候性の場合と症候性の場合がある。

  • 複数の臓器が侵されることがあり,また早産のリスクが高まる。

  • 症候性の先天性CMV感染症は,PCR法またはウイルス培養を用いて他の先天性感染症(例,トキソプラズマ症,風疹,リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス感染症,梅毒)と鑑別する。

  • ガンシクロビルの静注またはバルガンシクロビルの経口投与が症候性の感染症を起こした乳児において難聴および発達遅滞を予防するのに役立つことがある。

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