爪膝蓋骨症候群

(Osteo-Onychodysplasia;Arthro-Onychodysplasia;Onycho-Osteodysplasia)

執筆者:Frank Pessler, MD, PhD, Helmholtz Centre for Infection Research
レビュー/改訂 2020年 10月
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爪膝蓋骨症候群は,骨,関節,指爪,趾爪,および腎の異常を特徴とする,間葉組織のまれな遺伝性疾患である。診断は臨床的に行う。特異的な治療法はないが,タンパク尿および高血圧に対してアンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与することがあり,またときに腎移植が行われる。

爪膝蓋骨症候群は,脊椎動物の四肢および腎臓の発達に重要な役割を担う転写因子LMX1Bの遺伝子変異による常染色体優性遺伝疾患である。

症状と徴候

膝蓋の両側性の低形成または欠損,肘関節における橈骨頭亜脱臼,および両側性の付属的な腸骨角状突起(accessory iliac horn)がみられる。指爪および趾爪が欠損するか,または点状陥凹および隆起を伴う低形成となる。

糸球体にIgMおよびC3が巣状分節性に沈着することにより,最大で50%の患者に腎機能障害が起こる。タンパク尿,高血圧,および血尿が最もよくみられる徴候であるが,腎臓が侵されている患者の約30%はゆっくりと腎不全に進行する。

診断

  • 臨床的評価

爪膝蓋骨症候群の診断は臨床的に示唆され,診断を確定できる腎生検および骨X線撮影がときに適応となる。

LMX1Bの遺伝子変異解析(出生前診断のためなど)は可能であるが,通常は変異の型では臨床的な重症度は予測されない。腎臓のみを侵すLMXB1変異が報告されている。

治療

  • タンパク尿および高血圧に対してアンジオテンシン変換酵素阻害薬

  • ときに腎移植

爪膝蓋骨症候群に対する特異的な治療法はないが,タンパク尿および高血圧をACE阻害薬で治療することがある。

腎移植が適応となった際,移植片に再発の所見がみられない成功を収めている。

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