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熱性痙攣

執筆者:

Margaret C. McBride

, MD, Northeast Ohio Medical University

最終査読/改訂年月 2016年 4月
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熱性痙攣は,体温が38℃を超える6歳未満の小児において,無熱性痙攣の既往がなく,原因が同定できず,かつ基礎に発達または神経系の異常が存在しない場合に診断される。他の原因を除外した上で,臨床的に診断する。15分未満で治まる痙攣の治療は支持的に行う。15分以上続く痙攣は,ロラゼパムの静注,ジアゼパムの直腸内投与,またはミダゾラムの鼻腔内投与により治療し,持続する場合はホスフェニトインの静注,フェノバルビタール,バルプロ酸,またはレベチラセタムを使用する。薬剤による維持療法は通常は適応とならない。

熱性痙攣は6歳未満の小児の約2~5%に発生し,大半は生後6~36カ月で発生する。熱性痙攣には単純型と複雑型がある:

  • 単純型熱性痙攣は,15分未満で治まり,局所的な脳機能障害の特徴はみられない。

  • 複雑型熱性痙攣は,持続的または間欠的に15分以上持続するか,巣症状を伴うか,24時間以内に再発するものである。

ほとんど(90%以上)の熱性痙攣は単純型である。

熱性痙攣は細菌またはウイルスの感染中に発生する。ときに麻疹,ムンプス,風疹などの特定の予防接種後に発生することもある。遺伝性および家族性の因子が熱性痙攣への感受性を高めるようである。一卵性双胎での一致率は,二卵性双胎よりもはるかに高い熱性痙攣と関連のある遺伝子がいくつか同定されている。

症状と徴候

しばしば,熱性痙攣は最初の急激な体温上昇の間に発生し,大抵は発熱の発症から24時間以内に発現する。典型的には痙攣は全身性であり,大半が間代性であるが,一定時間持続する脱力性または強直性の姿勢として現れる場合もある。

発作後に意識が回復するまでの時間は一般的には数分であるが,数時間に及ぶこともある。意識回復までの時間が1時間を超える場合とその間に巣症状(例,一側の運動減少)がみられた場合は,中枢神経系に急性の基礎疾患がないか直ちに評価することが重要である。

熱性痙攣重積状態 は,持続的または間欠的な痙攣発作が20分以上にわたってみられ,痙攣の間に神経機能の回復がみられない場合である。

診断

  • 臨床所見またはときに検査による他の原因の除外

痙攣は他の原因を除去した後に熱性として診断される。無熱性痙攣の既往がある小児で発熱によって痙攣発作が誘発されることもあるが,すでに痙攣を起こしやすい傾向がみられていたことから,そのような事象は熱性痙攣とは呼ばない。

単純型熱性痙攣の場合,発熱の原因を検索する以外,ルーチンの検査は必要ないが,複雑型熱性痙攣,神経脱落症状,または重篤な基礎疾患(例,髄膜炎代謝性疾患)の徴候がある場合は,検査を行うべきである。

他の疾患を除外するために行う検査は,以下のように臨床的に決定する:

  • 患児が生後6カ月未満であるか,髄膜刺激徴候または中枢神経系の抑制徴候がみられるか,熱性疾患の数日後痙攣がみられる場合は,髄膜炎と脳炎を除外するための髄液検査を行い,また,予防接種が完全でないか抗菌薬が投与されている場合は髄液検査を考慮する

  • 病歴に最近の嘔吐,下痢,もしくは水分摂取障害が含まれる場合,脱水もしくは浮腫の徴候がある場合,または複雑型熱性痙攣が発生した場合は,代謝性疾患を除外するために血清血糖値とナトリウム,カルシウム,マグネシウム,およびリンの血清中濃度の測定,ならびに肝機能および腎機能検査を行う。

  • 神経学的診察により局所的な脳機能異常を認めた場合,および痙攣中または発作後の期間中に巣症状が出現した場合は,頭部MRI

  • 熱性痙攣に巣症状を伴う場合,および熱性痙攣が再発した場合は,脳波検査

  • すでに発達異常または神経疾患が同定されている場合(通常,そのような症例では熱性痙攣という用語は使用しない),基礎疾患に基づく診断評価

脳波検査は典型的には特異的異常を同定できず,痙攣再発の予測にも役立たず,神経学的診察が正常であれば,初回の単純型熱性痙攣後の施行は推奨されない。

予後

再発とその後のてんかん

熱性痙攣の全体での再発率は約35%である。最初に痙攣を起こしたのが1歳未満であるか,第1度近親者に熱性痙攣の既往者がいる場合は,再発リスクがより高くなる。1回でも単純型熱性痙攣を経験した患者が後に無熱性の痙攣性疾患を発症するリスクは約2~5%であり,これはベースラインのてんかん発生リスク(約2%)より若干高い値である。

増大するリスクの大部分は,付加的な危険因子(例,複雑型熱性痙攣,痙攣発作の家族歴,発達遅滞)がある小児に生じるものであり,そのような小児ではリスクは10%まで上昇する。熱性痙攣の発生自体が痙攣閾値を永続的に低下させるのか,何らかの基礎的な因子が熱性痙攣と無熱性痙攣の両方を引き起こしやすくするのかは不明である。

神経学的後遺症

単純型熱性痙攣それ自体が神経学的異常の原因になることはないと考えられている。しかしながら,未診断の神経疾患を有する小児では,熱性痙攣が最初の臨床像になる場合があり,その基礎疾患の徴候が後から同定されたり,しばらくして初めて出現したりすることもある。いずれの場合も,熱性痙攣が原因とは考えられない。

熱性痙攣重積状態が遷延する場合は,海馬などの脳の脆弱な部位を損傷させる可能性がある。

治療

  • 解熱薬投与

  • 痙攣の持続時間が15分未満の場合,支持療法

  • 痙攣の持続時間が15分以上の場合,抗てんかん薬およびときに挿管

全例に解熱薬の投与が必要であり,体温を下げることは直後のさらなる熱性痙攣の予防に役立つ可能性があり,熱性痙攣重積状態の停止を促す。

痙攣が15分未満で治まる場合は,支持療法を行う。

15分以上続く痙攣には,循環および呼吸状態を注意深くモニタリングしながら,薬剤を用いて発作を停止させる必要がある。直ちに反応がみられず,痙攣が遷延する場合には,挿管が必要になることがある。

薬物療法は通常,短時間作用型のベンゾジアゼピン系薬剤(例,ロラゼパム0.05~0.1mg/kg,静注,5~10分毎に2~5分かけて反復投与,最大3回)を静脈内投与する。痙攣が遷延する場合は,ホスフェニトイン15~20mg PE(フェニトイン当量)/kgを15~30分かけて静注する。5歳までの小児でロラゼパムを静注できない場合は,直腸投与用ゲル製剤のジアゼパム0.5mg/kgを1回投与し,4~12時間後に再度投与する。フェノバルビタール,バルプロ酸,またはレベチラセタムも遷延する痙攣の治療に使用できる。

予防

熱性痙攣の患児の親には,発症時は患児の体温を注意深くモニタリングし,体温が上昇した場合は解熱薬を投与するように指導すべきである(ただし,この治療で熱性痙攣の再発を予防できることを示した対照研究はない)。

熱性痙攣の再発や無熱性痙攣の発症を予防するための抗てんかん薬による維持療法は,発作が複数回発生するか長引かない限り,通常は適応とならない。ジアゼパムの坐薬を処方しておき,自宅で遷延する熱性痙攣が起こった場合に投与するよう親に指導する医師もいる。

要点

  • 熱性痙攣とは,38℃を超える発熱があるが無熱性痙攣の既往がない神経学的に正常な6歳未満の小児に発生する痙攣発作で,他に原因を同定できないものである。

  • 単純型熱性痙攣は,15分未満で治まり,かつ巣症状を伴わないものである。

  • 複雑型熱性痙攣は,持続的もしくは間欠的に15分以上持続するか,巣症状を伴うか,または24時間以内に再発するものである。

  • ルーチンの検査は必要ではないが,複雑型熱性痙攣,神経脱落症状,または重篤な基礎疾患(例,髄膜炎,代謝性疾患)の徴候がみられる場合は,検査を行うべきである。

  • 15分以上続く痙攣には薬剤による治療が必要である(例,ロラゼパム0.05~0.1mg/kg,静注,5~10分毎に2~5分かけて反復投与,最大3回)。

  • 単純型熱性痙攣を経験した患者が後に無熱性の痙攣疾患を発症するリスクは約2~5%である。

  • 発熱性疾患が発症した時点で解熱薬を投与することで熱性痙攣を予防できるかどうかは証明されていない。

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