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RSウイルス (RSV) 感染症およびヒトメタニューモウイルス感染症

執筆者:

Mary T. Caserta

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2014年 11月
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RSウイルス感染症とヒトメタニューモウイルス感染症は,特に乳児および幼児において,季節性の下気道疾患を引き起こす。無症候性ないし軽症で済むこともあれば,細気管支炎や肺炎を伴った重症となることもある。診断は臨床的に行うのが通常であるが,臨床検査による診断も可能である。治療は支持療法による。

RSウイルス(RSV)は,ニューモウイルス属に分類されるRNAウイルスである。サブグループAおよびBが同定されている。RSVは普遍的に存在し,ほぼ全ての小児が4歳までに感染する。温帯地方では毎年,冬季または早春にアウトブレイクが発生している。RSVに対する免疫応答は再感染の予防につながらないため,曝露した全ての人々の40%が発症する。それでも,RSVに対する抗体は疾患の重症度を低下させる。RSVは乳児期早期に生じる下気道疾患で最も頻度の高い原因であり,米国では5歳未満の小児において毎年50,000件以上の入院の原因となっている。

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は類似しているが異なるウイルスである。hMPVの季節的な疫学的性質はRSVのそれと同様のようであるが,感染および疾患の発生率はかなり低いとみられている。

症状と徴候

RSVとhMPVは類似した症状を引き起こす。最も認識しやすい臨床症候群は細気管支炎( 細気管支炎)と肺炎( 肺炎の概要)である。これらの疾患は典型的には上気道症状と発熱で始まった後,数日かけて呼吸困難,咳嗽,喘鳴,胸部聴診上の断続性ラ音へと進行する。生後6カ月未満の乳児では無呼吸がRSVの初期症状となりうる。健康な成人および児童では,通常は軽症に経過し,不顕性のこともあれば,発熱を欠く感冒症状のみを呈することもある。しかしながら,以下の患者では重度の疾患が発生することがある:

  • 生後6カ月未満,高齢,または易感染性患者

  • 基礎疾患として心肺疾患を有する患者

診断

  • 臨床的評価

  • ときに鼻腔洗浄液または拭い液での迅速抗原検査,逆転写PCR(RT-PCR),またはウイルス培養

RSVの流行季節に細気管支炎または肺炎を起こした乳児および幼児では,RSV(およびおそらくhMPV)感染が疑われる。抗ウイルス治療は典型例では推奨されないため,患者管理を目的とした特異的な臨床検査診断は不要である。しかしながら,臨床検査による診断を行えば,同じウイルスに感染した小児を隔離することが可能になるため,院内感染の制御が用意に可能性がある。小児ではRSVおよび他の呼吸器系ウイルスを高感度に検出する迅速抗原検査が利用でき,検体には鼻腔洗浄液または拭い液が使用される。これらの検査は成人では感度が低くなる。RT-PCRなどの分子生物学的な診断法は,感度が高く,一般に単一または複数ウイルスを対象とした測定法が利用できる。

治療

  • 支持療法

RSVおよびhMPV感染症の治療は支持療法であり,必要に応じて酸素および水分補給を行う( 細気管支炎)。

コルチコステロイドおよび気管支拡張薬は一般にあまり助けにならず,現在では推奨されていない。

抗菌薬については,発熱があり,胸部X線上で肺炎所見が認められ,かつ臨床的に細菌の同時感染が疑われる患者のみに使用される。

パリビズマブ(抗RSVモノクローナル抗体)は治療には効果的でない。

吸入薬のリバビリンは,抗RSV活性を有する抗ウイルス薬であるが,その効力は不十分であり,医療従事者に毒性を示す可能性があるため,重度の易感染性患者での感染例を除いて,もはや推奨されていない。

予防

接触感染予防策(例,手洗い,手袋,隔離)が重要である(特に病院内)。

パリビズマブによる受動免疫は,高リスク乳児におけるRSV感染症による入院頻度を低下させる。その費用対効果は,以下を含む入院リスクの高い乳児でのみ高くなる:

  • 血行動態に有意な影響を及ぼしている先天性心疾患を有する1歳未満の乳児

  • 未熟性による慢性肺疾患(在胎32週0日未満相当の時点で出生後28日間以上にわたり酸素療法を必要としている場合)を有する1歳未満の乳児

  • 在胎29週未満で出生し,RSV流行期の開始時点で1歳未満の乳児

  • 1歳で未熟性による慢性肺疾患を有し,かつRSV流行期の6カ月間に治療(コルチコステロイドもしくは利尿薬の長期投与または酸素療法の継続的な必要性)を受けている乳児

以下の場合には予防を考慮してもよい:

  • 上気道からの効果的な排出能を障害する肺の解剖学的異常を有する生後1年までの乳児

  • 神経筋疾患を有する乳児

  • 著明な易感染状態にある生後24カ月未満の小児

パリビズマブの用量は15mg/kg,筋注である。初回の投与はRSVの一般的な流行季節の直前(北米では11月初旬)に行う。その後はRSVの流行季節の間,1カ月間隔で投与する(通常は合計5回となる)。

要点

  • RSVおよびhMPVは通常,細気管支炎を引き起こすが,肺炎を呈することもある。

  • 診断は臨床的に行うのが通常であるが,迅速抗原検査や分子生物学的測定法(例,PCR法)などの検査が利用できる。

  • 支持療法を行う;コルチコステロイド,気管支拡張薬,およびパリビズマブは推奨されない。

  • リバビリンの吸入剤は,RSVに有用となる可能性があるが,それは重度の易感染性患者のみである。

  • RSV流行期直前および流行期中のパリビズマブによる受動免疫は,高リスク乳児における入院頻度を減少させる。

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