Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

閉経

執筆者:

JoAnn V. Pinkerton

, MD, University of Virginia Health System

レビュー/改訂 2019年 12月
ここをクリックすると、 家庭版の同じトピックのページに移動します
本ページのリソース

閉経は,卵巣機能の低下による生理的または医原性の月経停止(無月経)である。症状としては,ホットフラッシュ,盗汗,睡眠障害,閉経関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause)(外陰・腟の萎縮などのエストロゲン欠乏による症状および徴候)などがある。診断は1年間の無月経を基準として臨床的に行う。症状に対して治療を行う場合がある(例,生活習慣の改善,補完・代替医療,および/またはホルモン療法)。

米国における生理的閉経の平均年齢は52歳である。喫煙,高地での生活,低栄養などの因子によって閉経年齢が低下する場合もある。

閉経期(perimenopause)とは,最終月経前の数年間(大きなばらつきがある)と最終月経後の1年間のことを指す。ホルモンが変動するため,典型的には最も症状が現れる期間である。

閉経移行期(menopausal transition)は,閉経期のうち最終月経までの数年間を指す;これは月経パターンの変化を特徴とし,前期と後期に分けられる(閉経の過程 閉経の過程 閉経の過程 の表を参照)。閉経移行期は4~8年続く;喫煙する女性および閉経移行期の開始時に若年であった女性では,より長く続く(1 総論の参考文献 閉経は,卵巣機能の低下による生理的または医原性の月経停止(無月経)である。症状としては,ホットフラッシュ,盗汗,睡眠障害,閉経関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause)(外陰・腟の萎縮などのエストロゲン欠乏による症状および徴候)などがある。診断は1年間の無月経を基準として臨床的に行う。症... さらに読む )。

閉経後とは,最終月経後の期間を指す;これも前期と後期に分けられる。

総論の参考文献

  • 1.Paramsothy P, Harlow SD, Nan B, et al: Duration of the menopausal transition is longer in women with young age at onset: The multi-ethnic Study of Women's Health Across the Nation.Menopause 24 (2):142–149, 2017.doi: 10.1097/GME.0000000000000736.

生理

卵巣が老化するにつれ,下垂体ゴナドトロピンである卵胞刺激ホルモン(FSH)および黄体形成ホルモン(LH)への反応が低下するが,最初に以下が生じる:

二重排卵やluteal out-of-phase(LOOP)現象(黄体期にFSHサージが起こり,卵胞が早期に形成されること)が起こり,ときにエストラジオール値が正常範囲を上回る。生存卵胞数は減少し,最終的には残存している卵胞も反応しなくなり,卵巣はエストラジオールをほとんど産生しなくなる。エストロゲンは末梢組織(例,脂肪,皮膚)においてもアンドロゲン(例,アンドロステンジオン,テストステロン)から産生される。しかしながら,総エストロゲン値は閉経後の5年間で徐々に低くなり,エストロンがエストラジオールに代わり最も代表的なエストロゲンとなる。

アンドロステンジオン値は閉経前後に半減する。

テストステロンの減少は若年成人期に始まるが,閉経後卵巣の間質および副腎により相当量の分泌が持続するため,閉経期に急速に進むことはない。

卵巣から分泌されるインヒビンおよびエストロゲン(これらは下垂体からのLHおよびFSH分泌を抑制する)の値が低下すると,循環血中のLHおよびFSH値が実質的に増加する。

症状と徴候

月経周期の変化は通常40代で始まり,周期の長さが変動する。連続する月経周期の長さに7日間以上の差がみられる状況が長期間持続する場合には,閉経移行期・早期(early menopausal transition)とされる。2回以上月経周期がみられない場合は,閉経移行期・後期(late menopausal transition)とされる。

上記以外で閉経期にみられる以下のような症状や徴候には,エストロゲン濃度の著明な変動が関与している可能性がある:

  • 乳房の圧痛

  • 経血量の変化

  • 気分の変動

  • 月経時片頭痛の増悪

症状は,6カ月~10年を超えて続くこともあり,全くない場合から重度の場合まで様々である。

血管運動症状

ホットフラッシュが起きた女性は,暖かいまたは暑いと感じ,発汗が(ときに大量に)みられる場合もあり,深部体温が上昇する。皮膚(特に顔面および頭頸部)は紅潮し,温度が上昇する。ホットフラッシュのエピソードが30秒~5分ほど続いた後,悪寒が生じることがある。ホットフラッシュは,盗汗とともに夜間に起きることもある。

ホットフラッシュの機序は不明であるが,視床下部に位置する体温調節中枢の変化によって起こると考えられている。女性が快適に感じる深部体温域が低下し,結果として深部体温の非常にわずかな上昇が熱発生の誘因となりホットフラッシュが起こる。

腟症状

腟症状としては,乾燥や性交痛のほか,ときに刺激感やそう痒などがある。エストロゲン産生が減少するにつれて,外陰および腟の粘膜が菲薄化,乾燥,脆弱化し,弾性が失われ,腟粘膜のヒダが失われていく。

閉経関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause)では,以下のようなエストロゲンおよびアンドロゲン欠乏による症状および徴候がみられる:

  • 外陰・腟の萎縮

  • 尿意切迫

  • 排尿困難

  • 頻繁な尿路感染症

神経精神症状

神経精神的変化(例,集中力低下,記憶障害,抑うつ症状,不安)が一過性に閉経に伴うことがある。

反復性の盗汗により睡眠が妨げられ,不眠症,疲労,いらだち,集中力低下の一因となりうる。

心血管症状

閉経後の女性では,血中低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール値が上昇する。高比重リポタンパク質(HDL)コレステロール値は,閉経前とほぼ同じのままである。LDL値の変化により,動脈硬化とそれゆえの冠動脈疾患が閉経後に多くみられるようになる理由がある程度説明される可能性がある。しかしながら,これらの変化が加齢によるものであるのか,閉経後のエストロゲン濃度の低下によるものであるのかは不明である。閉経まではエストロゲン濃度が高く,冠動脈疾患から保護されている可能性がある。

筋骨格症状

閉経後最初の5年間に骨密度低下の最大20%が生じる。急速な骨量減少が起こるこの期間以降は,女性の加齢による骨量減少の速度は男性とほぼ同様である。

その他の症状

閉経期は女性の生涯における正常で健康な時期であるが,それぞれの女性が独特の経験をする。

症状が重度である場合や,関節の疼きや痛みなど,閉経の症状として比較的まれな症状が現れると,生活の質が低下する可能性がある。一部の女性(例,子宮内膜症,月経困難症,過多月経,月経前症候群,月経時片頭痛の既往がある女性)では,閉経後に生活の質は改善する。

症状と徴候に関する参考文献

  • 1.Avis NE, Crawford SL, Greendale G, et al: Duration of menopausal vasomotor symptoms over the menopause transition (Study of Women's Health Across the Nation).JAMA Intern Med 175 (4):531–539, 2015.doi: 10.1001/jamainternmed.2014.8063.

診断

  • 臨床的評価

  • まれにFSH値

閉経の診断は臨床的に行う。相当の年齢層の女性に閉経の症状や徴候が認められる場合は,閉経期である可能性が高い。しかしながら,妊娠の可能性は考慮すべきである。閉経は,12カ月間月経がない場合に確定診断される。

FSH値を測定してもよいが,おそらく子宮摘出術を受けた女性や通常の閉経年齢よりも若い女性を除いて,測定が必要であることはまれである。FSH値の上昇が続く場合は閉経の診断が確定する。

治療

  • 生活習慣の改善

  • 補完・代替医療

  • ホルモン療法

  • 神経作用薬

閉経の治療は対症療法である(例,ホットフラッシュや外陰・腟の萎縮による症状を緩和するため)。治療には骨量減少の予防も含まれることがある。

閉経の生理的原因および発現しうる症状と徴候について患者と話し合うことは,起こる変化をコントロールするのに役立つ。

生活習慣の改善

ホットフラッシュに対しては,以下の対策が助けになる:

OTC医薬品の腟潤滑剤および保湿剤は,腟の乾燥を緩和するのに役立つ。定期的な性交などの腟への刺激が腟の機能を保持する助けになる。

補完・代替医療

ブラックコホシュや他のハーブ薬,およびOTC医薬品は役立たないようである。大豆タンパク質についての研究結果は様々であるが,S-equolという大豆製品がホットフラッシュを緩和するという報告がある。

定期的な運動,調節呼吸(緩徐で深い呼吸),マインドフルネス,またはリラクゼーション法がホットフラッシュを軽減するかどうかについては様々な結果があるが,運動,ヨガ,およびリラクゼーション法は睡眠を改善することがある。鍼治療についても様々な結果がある。

神経作用薬

よくデザインされた複数のランダム化比較試験において,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI),セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI),およびガバペンチンがホットフラッシュの軽減にいくらか効果的であることが示されている。低用量(7.5mg,1日1回)のパロキセチン(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は,ホットフラッシュに特異的に使用される唯一承認された非ホルモン製剤である。ただし,これらの薬剤はどれもホルモン療法ほど効果的ではない。

新たな治療法

治療に関する参考文献

  • 1.Nonhormonal management of menopause-associated vasomotor symptoms: Nonhormonal 2015 position statement of The North American Menopause Society.Menopause 22 (11):1155–1172; quiz 1173–1174, 2015.doi: 10.1097/GME.0000000000000546.

  • 2.Thurston RC, Ewing LJ, Low CA, et al: Behavioral weight loss for the management of menopausal hot flashes: A pilot study.Menopause 22 (1):59–65, 2015.doi: 10.1097/GME.0000000000000274.

  • 3.Bailey TG, Cable NT, Aziz N, et al: Exercise training reduces the frequency of menopausal hot flushes by improving thermoregulatory control.Menopause 23 (7):708–718, 2016.doi: 10.1097/GME.0000000000000625.

  • 4.Rahimzadeh P, Imani F, Nafissi N, et al: Comparison of the effects of stellate ganglion block and paroxetine on hot flashes and sleep disturbance in breast cancer survivors.Cancer Manag Res 10:4831–4837, 2018.doi: 10.2147/CMAR.S173511.eCollection 2018.

  • 5.Prague JK, Roberts RE, Comninos AN, et al: Neurokinin 3 receptor antagonism as a novel treatment for menopausal hot flushes: A phase 2, randomised, double-blind, placebo-controlled trial.Lancet 389 (10081):1809–1820, 2017.doi: 10.1016/S0140-6736(17)30823-1.Epub 2017 Apr 3.

ホルモン療法

ホルモン療法(エストロゲン,プロゲストーゲン,またはその両方)は更年期症状に対する最も効果的な治療である(1 ホルモン療法に関する参考文献 閉経は,卵巣機能の低下による生理的または医原性の月経停止(無月経)である。症状としては,ホットフラッシュ,盗汗,睡眠障害,閉経関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause)(外陰・腟の萎縮などのエストロゲン欠乏による症状および徴候)などがある。診断は1年間の無月経を基準として臨床的に行う。症... さらに読む )。中等度から重度のホットフラッシュを緩和するために用いられ,エストロゲンが含まれている場合には外陰や腟部の萎縮による症状を和らげるために用いられる。

ホルモン療法は症状を緩和することで多くの女性の生活の質を改善するが,無症状の女性の生活の質を改善することはないため,閉経後女性にルーチンに投与されるわけではない。

更年期症状をコントロールするためにホルモン療法が必要な場合には,医師は治療の目標と個々の健康上のリスクに基づいて,最も適切なタイプ,用量,投与経路,および期間を判断すべきである。ホルモン療法による潜在的な便益と害を定期的に再評価すべきである。

60歳未満または閉経の始まりから10年未満の女性では,ホルモン療法の潜在的な便益が潜在的な害を上回る可能性が最も高い。このような女性に骨量減少または骨折のリスクがある場合,ホルモン療法によって骨量減少と骨折発生率が低下するほか,ホルモン療法は骨粗鬆症の第1選択薬が適応とならない女性に対して用いることができる。

60歳以上または閉経の始まりから10~20年を超える女性では,ホルモン療法の開始は推奨されない。このような女性では,ホルモン療法の潜在的な害(例,冠動脈疾患,脳卒中,静脈血栓塞栓症,認知症)が,潜在的な便益を上回る可能性が高い。

臨床的な推奨が明らかでなければ,以下の理由から,共同での意思決定が推奨される:

  • ホルモン療法における潜在的な便益と害は複雑となりうる。

  • 純粋な便益および害はわずかであることがある。

  • 健康上のリスクは時間の経過とともに変化する可能性がある。

ホルモン療法の選択

子宮摘出術を受けた女性には,エストロゲンが単独投与される。経口剤,経皮剤(パッチ,ローション,スプレー,またはゲル),または経腟剤が用いられる。治療は最低量で始めるべきで,必要に応じて2~4週間毎に増量する。用量は製剤により異なる。低用量としては以下のものがある:

  • 0.3mg,経口,1日1回(結合型ウマまたは合成エストロゲン)

  • 0.5mg,経口,1日1回(経口エストラジオール)

  • 0.025~0.375mg/日を放出する貼付剤,週1回または2回(エストラジオールパッチ)

子宮がある女性にはエストロゲンに加えてプロゲストーゲンを投与すべきであるが,これは,エストロゲンを単独で投与すると子宮内膜癌のリスクが高まるためである。プロゲストーゲンはエストロゲンと併用し,持続的(すなわち連日投与)または周期的(4週毎に12~14日間連続)に投与する。用量は以下の通りである:

  • 酢酸メドロキシプロゲステロン:連日投与の場合は2.5mg,周期的投与の場合は5mg

  • 微粒子化プロゲステロン(合成ではない天然プロゲステロン):連日投与の場合は100mg,周期的投与の場合は200mg

プロゲストーゲンの休止による出血は持続的投与法では起こる可能性が低いが,治療開始後の6カ月間には不正出血が起こりうる。

エストロゲンとプロゲストーゲンの配合剤は以下のものがある:

  • 錠剤(例,結合型ウマエストロゲン0.3mg + 酢酸メドロキシプロゲステロン1.5mg,1日1回;酢酸ノルエチステロン0.1mg + エストラジオール0.5mgまたは1mg,1日1回;エストラジオール1mg + プロゲステロン100mg,1日1回;エストラジオール1mg + ドロスピレノン0.5mg,1日1回;エストラジオール0.5mg + ドロスピレノン0.25mg,1日1回)

  • 貼付剤(例,エストラジオール0.045mg + レボノルゲストレル0.015mg/日を放出する貼付剤,週1回,エストラジオール0.05mg + 酢酸ノルエチステロン0.14mgまたは0.25mg/日を放出する貼付剤,週2回)。

代替えとして,結合型エストロゲン/バゼドキシフェン(選択的エストロゲン受容体モジュレーター[ SERM 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM) 閉経は,卵巣機能の低下による生理的または医原性の月経停止(無月経)である。症状としては,ホットフラッシュ,盗汗,睡眠障害,閉経関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause)(外陰・腟の萎縮などのエストロゲン欠乏による症状および徴候)などがある。診断は1年間の無月経を基準として臨床的に行う。症... さらに読む ],子宮を保護するのにプロゲストーゲンを必要としない)の併用がある。結合型エストロゲン/バゼドキシフェンの便益には,他の種類のホルモン療法と比較して乳房圧痛および出血の発生率が低いことが含まれる;発生率はプラセボの場合と同様である。2年間にわたり追跡した女性では,乳腺密度および乳癌発生率は増加しなかった(2 ホルモン療法に関する参考文献 閉経は,卵巣機能の低下による生理的または医原性の月経停止(無月経)である。症状としては,ホットフラッシュ,盗汗,睡眠障害,閉経関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause)(外陰・腟の萎縮などのエストロゲン欠乏による症状および徴候)などがある。診断は1年間の無月経を基準として臨床的に行う。症... さらに読む )。結合型エストロゲン/バゼドキシフェンにより,ホットフラッシュの軽減,睡眠の改善,骨量減少の予防,腟萎縮の症状緩和が可能である。静脈血栓塞栓症のリスクはエストロゲンの場合に類似しているが,結合型エストロゲン/バゼドキシフェンは子宮内膜,および可能性としては乳房を保護するようである。米国では,バゼドキシフェンは単剤では使用できない。

腟症状のみの場合,低用量でのエストロゲンの腟内投与が望ましい。腟症状には,局所エストロゲン(例,クリーム,腟錠,腟坐薬,腟リング)の方が経口薬より効果的な場合がある。体循環に移行するエストロゲンの量は,低用量エストラジオール含有の腟錠,腟坐薬,または腟リング(例,腟錠10μg,腟リング7.5μg,腟坐薬4μgおよび10μg)の方が少ない。経腟投与のエストロゲンが最低推奨用量で使用された場合,プロゲストーゲンは必要ではない。エストロゲンを高用量で経腟投与すると,経口や経皮投与と同程度のエストロゲンが吸収される可能性があり,子宮のある女性ではプロゲストーゲンの追加が必要となる。ホルモン療法を受けている女性では,性器出血があれば,子宮内膜癌を除外するために直ちに評価すべきである。

性交痛の新しい治療法には,以下のものがある:

  • SERM(例,オスペミフェン[ospemifene]経口薬)

  • 腟内デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)

DHEA デヒドロエピアンドロステロン(DHEA) デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は副腎で産生されるステロイドであり,エストロゲンおよびアンドロゲンの前駆物質である。身体に対する作用はテストステロンの作用に類似する。DHEAは野生のワイルドヤム(メキシコヤマイモ)に含まれる前駆物質からも合成され,この形態が最も普及している。しかし,体内で前駆物質をDHEAに転換できないため,ワイ... さらに読む により腟の乾燥などの腟萎縮の症状が軽減する場合がある;閉経による性交痛に使用が可能で効果的であり, 女性における性機能障害 女性の性機能および性機能障害の概要 男性と女性は,性的興奮や身体的快感の共有,好意,愛,ロマンス,親密さなどの多くの理由から,性行為を始め,またこれに応じる。しかしながら女性は以下のような感情的動機を表現する可能性が高い: 情緒的親密さを経験し,促進するため 幸福感を増幅させるため 自分の魅力を確認するため パートナーを喜ばせたり,慰めたりするため さらに読む の治療として研究中である(3 ホルモン療法に関する参考文献 閉経は,卵巣機能の低下による生理的または医原性の月経停止(無月経)である。症状としては,ホットフラッシュ,盗汗,睡眠障害,閉経関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause)(外陰・腟の萎縮などのエストロゲン欠乏による症状および徴候)などがある。診断は1年間の無月経を基準として臨床的に行う。症... さらに読む )。

プロゲストーゲン(例,酢酸メドロキシプロゲステロン10mg,経口,1日1回,またはそのデポ剤150mg,筋注,月1回,酢酸メゲストロール10~20mg,経口,1日1回,プロゲステロン300mg,毎晩)はエストロゲンの禁忌がある場合に,ホットフラッシュを緩和するために単独で用いられることがあるが,ホットフラッシュに対してはエストロゲンほど効果的ではなく,腟の乾燥も軽減しない。微粒子化プロゲステロンは100mg~300mgの用量で就寝時に服用できる。眠気が起こることがある。ラッカセイ油を含む微粒子化プロゲステロンの製剤は,ピーナッツにアレルギーのある女性には禁忌である。より新しい配合製剤には,ラッカセイ油は含まれていない。

エストロゲン療法は骨密度に有益な効果をもたらし,閉経後女性(骨粗鬆症患者に限らない)の骨折の発生率を低下させる。ある大規模研究において,ホルモン療法では骨折の発生率が24%低下した(4 ホルモン療法に関する参考文献 閉経は,卵巣機能の低下による生理的または医原性の月経停止(無月経)である。症状としては,ホットフラッシュ,盗汗,睡眠障害,閉経関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause)(外陰・腟の萎縮などのエストロゲン欠乏による症状および徴候)などがある。診断は1年間の無月経を基準として臨床的に行う。症... さらに読む )。それにもかかわらず,エストロゲン療法は通常(プロゲストーゲン併用の有無にかかわらず),骨粗鬆症の第1選択の治療や予防の方法としては推奨されない。骨粗鬆症または骨粗鬆症の予防のみが問題である場合,以下に該当する場合に限り,医師はホルモン療法を考慮すべきである:

リスクと有害作用

エストロゲン療法またはエストロゲン-プロゲストーゲン併用療法のリスクとしては,以下のものがある:

子宮内膜癌のリスクは,子宮があり,エストロゲン単独の治療を受けている女性でより高い。とはいうものの,ホルモン療法を受けている女性における性器出血はすべて,子宮内膜癌を除外するために直ちに評価されるべきである。

乳癌のリスクは,標準用量(例,結合型エストロゲン0.625mgと酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg,1日1回)で使用された場合,併用療法開始の3~5年後から上昇し始める。エストロゲンを単独で使用する場合,乳癌のリスクはWomen's Health Initiativeの試験において7年時でわずかに低かったが,この便益は使用10~15年後になると消失するようである。低用量の経皮的エストロゲン製剤が使用された場合には,静脈血栓塞栓症および脳卒中のリスクは低下しうる。高齢の閉経後女性(閉経後10年を超えているかホルモン療法開始時に60歳以上である女性)では,併用療法が行われた場合には冠動脈疾患および認知症のリスクが高まる。胆嚢疾患と尿失禁の発生率が上昇することがある。これら全ての疾患のリスクは,健康な女性が,閉経後に短期間ホルモン療法を受けた場合には非常に低い。

エストロゲン療法は,乳癌,脳卒中,冠動脈疾患,または血栓症の既往がある女性とこれらのリスクが高い女性には禁忌となる場合がある。

プロゲストーゲンは有害作用(例,腹部膨満,乳房圧痛,乳腺密度の上昇,頭痛,LDLの増加)がみられる場合がある;微粒子化プロゲステロンは有害作用がより少ないようである。プロゲストーゲンは血栓症のリスクを上昇させることがある。プロゲストーゲンに関する長期安全性データはない。

ホルモン療法を処方する前と治療の継続中は定期的に,医師はそのリスクと有益性について患者と話し合うべきである。

選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)

SERMであるタモキシフェンとラロキシフェンはこれまで,主に抗エストロゲン作用を期待して使用され,更年期症状を緩和する目的では使用されてこなかった。しかしながら,エストロゲンや腟剤が使えない女性(例,重度の関節炎がある場合)やエストロゲン以外の経口薬を希望する女性に対して,SERMであるオスペミフェン(ospemifene)を腟萎縮による性交痛の治療に使用することが可能である(用量は60mg,経口,1日1回)(5 ホルモン療法に関する参考文献 閉経は,卵巣機能の低下による生理的または医原性の月経停止(無月経)である。症状としては,ホットフラッシュ,盗汗,睡眠障害,閉経関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause)(外陰・腟の萎縮などのエストロゲン欠乏による症状および徴候)などがある。診断は1年間の無月経を基準として臨床的に行う。症... さらに読む )。ホルモン療法を最近受けている女性では,ホットフラッシュが一時的に増える可能性があるが,ほとんどの女性ではホットフラッシュは約6週間で消失する。

バゼドキシフェンは結合型エストロゲンと併用する;ホットフラッシュの軽減,睡眠の改善,骨量減少の予防,腟萎縮の症状緩和が可能である。静脈血栓塞栓症のリスクはエストロゲンの場合に類似しているが,結合型エストロゲン/バゼドキシフェンは子宮内膜,および可能性としては乳房を保護するようである。米国では,バゼドキシフェンは単剤では使用できない。

ホルモン療法に関する参考文献

  • 1.The NAMS 2017 Hormone Therapy Position Statement Advisory Panel: The 2017 hormone therapy position statement of The North American Menopause Society.Menopause 24 (7):728–753, 2017.doi: 10.1097/GME.0000000000000921.

  • 2.Pinkerton JV, Pickar JH, Racketa J, et al: Bazedoxifene/conjugated estrogens for menopausal symptom treatment and osteoporosis prevention.Climacteric 15 (5):411–418, 2012.doi: 10.3109/13697137.2012.696289.

  • 3.Labrie F, Archer DF, Koltun W, et al: Efficacy of intravaginal dehydroepiandrosterone (DHEA) on moderate to severe dyspareunia and vaginal dryness, symptoms of vulvovaginal atrophy, and of the genitourinary syndrome of menopause.Menopause 23 (3):243–256, 2016.doi: 10.1097/GME.0000000000000571.

  • 4.Rossouw JE, Anderson GL, Prentice RL, et al: Risks and benefits of estrogen plus progestin in healthy postmenopausal women: Principal results from the Women's Health Initiative randomized controlled trial.JAMA 288 (3):321–333, 2002.

  • 5.Constantine G, Graham S, Portman DJ, et al: Female sexual function improved with ospemifene in postmenopausal women with vulvar and vaginal atrophy: Results of a randomized, placebo-controlled trial.Climacteric 18 (2): 226–232, 2015.

要点

  • 米国では,閉経は平均52歳で起こる。

  • 更年期の症状は,閉経前の数年間と閉経後の1年間(閉経期の間)に最も強く現れる傾向があるが,経時的に悪化していくことのある症候性の外陰・腟萎縮は例外である。

  • 閉経後最初の5年間に骨密度低下の最大20%が生じ,その後の加齢による骨量減少の速度は男性とほぼ同様である。

  • 相当年齢の妊娠していない女性で12カ月間にわたり無月経が続いている場合,閉経の確定と考える。

  • 腟の乾燥または閉経による性交痛に対しては,腟の刺激およびOTC薬の腟潤滑剤や保湿剤が推奨され,それらが無効な場合,低用量のエストロゲンを含有する腟クリーム,腟錠,腟坐薬,または腟リングを考慮する;その他の選択肢には,オスペミフェン(ospemifene)の経口薬やDHEAの腟坐薬がある。

  • ホルモン療法を処方する前と治療の継続中は定期的に,潜在的な便益と害(例,深部静脈血栓症,肺塞栓,脳卒中,乳癌;リスクが低いものとして胆嚢疾患,腹圧性尿失禁)について患者に説明する;60歳を過ぎているか,閉経の始まりから10~20年を超える女性では,潜在的な害の方が大きい。

  • ホットフラッシュを緩和するためにホルモン療法を選択する場合は,エストロゲンに加え,子宮がある女性にはプロゲストーゲンまたは結合型エストロゲン/バゼドキシフェンを処方する。

  • ホルモン療法による治療は,便益を最大化し,害を最小化するために個別に調整し,便益と害を定期的に再評価する;低用量の経皮的なホルモン療法では,深部静脈血栓症および脳卒中のリスクが低下しうる。

  • ホットフラッシュの緩和にはそれほど効果的でないが,ホルモン療法の代替として,SSRI,SNRI,およびガバペンチンを考慮する;パロキセチン7.5mgは,ホットフラッシュの緩和のために米国で唯一承認されている非ホルモン製剤である。

  • 薬物以外の効果的な選択肢は,認知行動療法および催眠法である。

ここをクリックすると、 家庭版の同じトピックのページに移動します
家庭版を見る
quiz link

Test your knowledge

Take a Quiz! 
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
TOP