一般的に用いられる緊急避妊(EC)のレジメンとしては以下のものがある:
規則的な月経のある女性での1回の性交による妊娠のリスクは約5%である。中間期に性交をもった場合のリスクは20~30%である。
緊急避妊のために銅付加IUDを用いる場合,避妊なしの性交から5日以内または推測される排卵日から7日以内に挿入しなければならない。この緊急避妊法による妊娠率は0.1%である。また,IUDは長期的な避妊に用いるために挿入したままにしておくことができる。緊急避妊としての銅付加IUDは胚盤胞の着床に影響する可能性がある;しかしながら,すでに起こった妊娠を妨げることはないようである。
レボノルゲストレルによる緊急避妊は排卵を妨げたり遅らせることで妊娠を防ぐ。妊娠の可能性はレボノルゲストレルによる緊急避妊法により85%低下し,妊娠率は2~3%である。しかしながら,全体としてのリスク軽減は以下に依存する:
ウリプリスタル酢酸エステル(プロゲスチン受容体モジュレーター)は約1.5%の妊娠率であるため,レボノルゲストレルよりも効果が高い。ウリプリスタル酢酸エステルは,レボノルゲストレルと同様,主に排卵を遅らせたり妨げることで妊娠を予防する。BMIが30を超える女性でも,ウリプリスタル酢酸エステルはレボノルゲストレルよりも効果的であるが,BMIが上昇するにつれ有効性は減少する。したがって,意図しない妊娠を確実に避けたい肥満女性には,銅付加IUDが望ましい緊急避妊法である。
レボノルゲストレルまたはウリプリスタル酢酸エステルによる緊急避妊に対する絶対的禁忌はない。緊急避妊に用いるレボノルゲストレルは処方箋なしで薬局のカウンターで入手可能である。ウリプリスタル酢酸エステルは処方箋でのみ入手可能である。レボノルゲストレルおよびウリプリスタル酢酸エステルによる緊急避妊では,避妊なしの性交から120時間以内にできるだけ早く服用すべきである。
別のレジメン(Yuzpe法)では,1錠にエチニルエストラジオール50μgとレボノルゲストレル0.25mgを含有する錠剤を2錠投与し,12時間後(ただし避妊なしの性交から72時間以内)にさらに2錠投与する。高用量の エストロゲン により,しばしば悪心が生じ,嘔吐につながる場合がある。この方法はまた,他の方法よりも効果が低いため,女性が他の方法を利用できない場合を除き,もはや推奨されていない。
緊急避妊は他のホルモン薬による避妊法を開始する際にquick-start protocolの一環として用いることができる。緊急避妊使用の2週間後に尿妊娠検査が勧められる。