Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

読み込んでいます

羊膜感染

(絨毛膜羊膜炎)

執筆者:

Antonette T. Dulay

, MD, Main Line Health System

最終査読/改訂年月 2014年 1月

羊膜感染(以前は絨毛膜羊膜炎と呼ばれていた)とは,絨毛膜,羊膜,羊水,胎盤,またはこれら複数の感染である。感染は産科合併症,および胎児と新生児の障害のリスクを上昇させる。症状としては,発熱,子宮圧痛,悪臭のある帯下,母体と胎児の頻脈などがある。診断は特定の臨床的基準により,または不顕性感染では羊水の分析により行う。治療として,広域抗菌薬および分娩がある。

羊膜感染は典型的には,感染が性器を上行することにより生じる。

危険因子

危険因子としては以下のものがある:

  • 切迫早産

  • 未経産

  • 胎便で混濁した羊水

  • 内測式胎児または子宮モニタリング

  • 性器における病原体の存在(例,性感染症または細菌性腟症の原因となるもの,B群レンサ球菌)

  • 破水している女性への分娩中の複数回の内診

  • 長時間の分娩

  • 早期前期破水(preterm PROM)

合併症

羊膜感染は早期前期破水または早産の結果として起こるとともに,それらの原因にもなる。この感染は妊娠30週前の分娩の50%を占める。感染は,破水が起こらず切迫早産を呈する女性の33%,前期破水が起こり入院時に子宮収縮を認める女性の40%,前期破水で入院後に陣痛が起こる女性の75%にみられる。

胎児合併症には以下のリスク上昇がある:

  • 早産

  • アプガースコア3点未満

  • 新生児感染症(例,敗血症,肺炎,髄膜炎)

  • 痙攣発作

  • 脳性麻痺

  • 死亡

母体合併症には以下のリスク上昇がある:

  • 菌血症

  • 帝王切開の必要性

  • 子宮弛緩症

  • 分娩後出血

  • 骨盤内膿瘍

  • 血栓塞栓症

  • 創合併症

敗血症性ショック,凝固障害,および成人呼吸窮迫症候群もリスクではあるが,感染が治療されれば頻度は低い。

症状と徴候

羊膜感染では典型的に発熱がみられる。その他の所見には,母体頻脈,胎児頻脈,子宮圧痛,悪臭のある羊水および/または腟分泌物がある。しかしながら,感染による典型的な症状がみられない場合もある(すなわち,不顕性感染)。

診断

  • 臨床的基準

  • 不顕性感染を疑う場合は羊水穿刺

診断には通常,母体体温 > 38℃ (> 100.4°F)に加え以下の2つ以上が必要である:

  • 母体白血球数数 > 15,000/μL

  • 母体頻脈(心拍数 > 100/分)

  • 胎児頻脈(心拍数 > 160/分)

  • 子宮の圧痛

  • 悪臭のある羊水または腟分泌物

単独の症状または徴候では他に原因がある可能性があり,信頼性が劣る。例えば,子宮の疼痛および圧痛は常位胎盤早期剥離から生じている場合がある。母体頻脈は疼痛,硬膜外鎮痛,または薬物(例,エフェドリン)による場合があり,胎児頻脈は母体の薬物使用または胎児低酸素血症による可能性がある。母体および胎児の心拍数は発熱している間にも上昇する。しかしながら,羊膜感染が存在しない場合,これらの状態が解消すると心拍数はベースラインに戻る。胎児または母体の頻脈がこれらの状態に不釣り合いであったり,これらの状態がなく頻脈がある場合,またはこれらの状態が解消しても頻脈が持続する場合には羊膜感染が疑われる。

不顕性感染

難治性の切迫早産徴候(子宮収縮抑制にもかかわらず持続する)は不顕性感染を示唆することがある。満期前に前期破水が起こった場合,医師は陣痛誘発の適応があるかどうか決定するために不顕性感染も考慮すべきである。

羊水穿刺と羊水培養は不顕性感染の最適な診断法である。以下の羊水所見は感染を示唆する:

  • グラム染色で細菌または白血球の存在

  • 培養陽性

  • グルコース値 < 15 mg/dL

  • 白血球数 > 30/μL

  • 白血球エステラーゼが疑陽性以上

不顕性感染についての他の診断検査は研究中である。

治療

  • 広域抗菌薬に加え分娩

治療は広域抗菌薬の静注に加え分娩である。典型的な分娩時の抗菌薬レジメンは,アンピシリン(2g,静注,6時間毎)に加え,ゲンタマイシン(1.5mg/kg,静注,8時間毎)である。抗菌薬の投与期間は様々であり,個々の状況(例,熱がどのくらい高かったか,分娩に関連して弛張熱がみられたときにどれくらいの高熱を呈したか)により異なる。抗菌薬は母体および新生児の感染による合併症のリスクを軽減する。

予防

羊膜感染のリスクは,早期前期破水(preterm PROM)となった女性への内診を避けるか,または最小限にとどめることにより減少する( 前期破水)。広域抗菌薬は,早期前期破水の女性で分娩までの時間を延長し,乳児の罹病および死亡リスクを低下させるためにも投与される。

要点

  • 羊膜感染は不顕性で比較的無症状であることがある。

  • 胎児または母体の頻脈,難治性の切迫早産徴候が存在する場合,および女性がより古典的な感染症状(例,発熱,分泌物,疼痛,圧痛)を有する場合,本症を考慮する。

  • 難治性の切迫早産徴候または早期前期破水を有する場合には羊水の分析および培養を考慮する。

  • 羊膜感染は広域抗菌薬に加え分娩により治療する。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP