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分娩後出血

執筆者:

Julie S. Moldenhauer

, MD, Children's Hospital of Philadelphia

最終査読/改訂年月 2016年 1月
本ページのリソース

分娩後出血は,経腟分娩での分娩第3期中またはその直後において500mLを超える,または帝王切開において1000mLを超える失血である。診断は臨床的に行う。治療は出血の病因により異なる。

原因

分娩後出血の最も一般的な原因は以下のものである:

  • 子宮弛緩

子宮弛緩の危険因子としては以下のものがある:

  • 子宮の過度の伸展(多胎妊娠,羊水過多または巨大児が原因となる)

  • 遷延分娩

  • 頻産婦(5人以上の生児の分娩)

  • 弛緩作用をもつ麻酔薬

  • 急速な分娩

  • 絨毛膜羊膜炎

分娩後出血のその他の原因としては以下のものがある:

  • 性器の裂傷

  • 会陰切開の延長

  • 子宮破裂

  • 出血性疾患

  • 胎盤遺残

  • 血腫

  • 子宮内反

  • 絨毛膜羊膜炎

  • 胎盤付着部の退縮不全(不完全な復古)(通常は早期に起こるが,産後1カ月程度経過してから起こる場合がある)

子宮筋腫が分娩後出血に寄与することがある。分娩後出血の既往はリスクの上昇を示唆することがある。

診断

  • 臨床的評価

分娩後出血の診断は臨床的に行う。

治療

  • 遺残した胎盤組織の除去および性器裂傷の修復

  • 子宮収縮薬(例,オキシトシン,プロスタグランジン,メチルエルゴメトリン)

  • 急速輸液およびときに輸血

  • ときに外科的処置

生理食塩水を最大2Lまで静注して血管内容量を補充する;この量の生理食塩水で不十分であれば輸血を用いる。

双手子宮マッサージおよびオキシトシン静注による止血を試みる。胎盤の娩出後速やかに希釈オキシトシン(10または20[最大80]単位/1000mLの点滴静注)を125~200mL/時にて投与する。子宮が硬くなるまで投与を続け,その後減量するか投与を終了する。重度の低血圧が起こることがあるため,オキシトシンを急速静注してはならない。さらに,子宮に裂傷や胎盤遺残がないか調べる。頸管と腟も診察する;裂傷があれば修復する。カテーテルにより膀胱をドレナージすることで子宮弛緩を改善することがある。

オキシトシン投与中に過度の出血が持続する場合は,15-メチルプロスタグランジンF2α(250μg,筋注,15~90分毎,最高8回まで)またはメチルエルゴメトリン(0.2mg,筋注,2~4時間毎,その後0.2mg,経口,1日3~4回,1週間継続可能)を試みるべきである;帝王切開中にはこれらの薬物を直接子宮筋層に注射する場合がある。オキシトシン10単位を筋層に直接注射することもできる。喘息の妊婦にはプロスタグランジンを避け,高血圧の妊婦にはメチルエルゴメトリンを避けるべきである。ミソプロストール(800~1000μg,直腸内)により子宮収縮を促進できることがある。

子宮パッキングまたはBakriバルーンを挿入することでタンポナーデできる場合がある。このシリコン製のバルーンは最大500mLを保つことができ,最大300mmHgまでの内圧および外圧に耐える。止血が得られない場合は,外科的にB-Lynch縫合(縫い目が多く,子宮下部を圧迫するために用いる縫合)を行うか,内腸骨動脈結紮または子宮摘出が必要になる場合がある。子宮破裂は外科的修復を必要とする。

失血の程度およびショックの臨床所見に基づき,必要に応じて血液製剤を輸血する。第VIIa因子の投与(2~5分かけて緩徐な急速静注で50~100μg/kg)により,生命を脅かす重度の出血を認める女性で止血が得られることがある。この投与は止血が起こるまで2~3時間毎に行われる。

予防

素因となる病態(例,子宮筋腫,羊水過多,多胎妊娠,母体の出血性疾患,産褥期出血のまたは分娩後出血の既往)は分娩前に同定し,可能であれば是正する。

女性がまれな血液型を有する場合は,前もってその型の血液を入手可能にしておく。分娩は,慎重に,急がず,最小限の介入にとどめるのが常に賢明である。

胎盤分離後,オキシトシン(10単位,筋注)や希釈オキシトシン輸液(静注液1000mLに10~20単位,125~200mL/時で1~2時間)により通常は子宮収縮が確保され,失血は減少する。

胎盤の娩出後,胎盤が完全かどうか十分に調べる;不完全ならば子宮内を手で調べ,残留した断片を除去する。まれに掻爬が必要となる。

分娩第3期が完了した後の1時間は,子宮収縮および性器からの出血量を観察しなければならない。

要点

  • 分娩前に,出生前の危険因子(例,出血性疾患,多胎妊娠,羊水過多,異常に大きな子宮,頻産婦)の同定を含め,分娩後出血のリスクを評価する。

  • 血管内容量を補充し,性器裂傷を修復し,遺残した胎盤組織を除去する。

  • 子宮をマッサージし,必要であれば子宮収縮薬(例,オキシトシン,プロスタグランジン,メチルエルゴメトリン)を用いる。

  • 出血が持続する場合は,パッキング,外科手術,および血液製剤の輸血を考慮する。

  • リスクのある女性では,分娩は緩徐に,不必要な介入を回避して行う。

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