Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

角膜潰瘍

執筆者:

Melvin I. Roat

, MD, FACS, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2016年 12月
本ページのリソース

角膜潰瘍は,細菌,真菌,ウイルス,またはAcanthamoebaの侵入による炎症を基礎にもつ角膜上皮欠損(これはすぐに角膜組織壊死へと至る)である。機械的外傷または栄養欠乏により起こることがある。症状は進行性の充血,異物感,疼痛,羞明,および流涙である。診断は細隙灯顕微鏡検査,フルオレセイン染色,および微生物学的検査による。治療は抗菌薬の局所投与,およびしばしば散瞳薬の点眼を用いて緊急に行い,眼科医を必要とする。

病因

角膜潰瘍には多くの原因がある( 角膜潰瘍の原因)。細菌性潰瘍(コンタクトレンズ装用に起因することが最も多い)はときに単純ヘルペス角膜炎を合併することがあり,また細菌の種類によっては,とりわけ治療抵抗性のこともある。角膜潰瘍の経過は様々である。Acanthamoeba(コンタクトレンズ装用中の汚染水への曝露が原因で感染することが最も多い)および真菌(植物を扱う際に生じた外傷によることが最も多い)による潰瘍は緩徐に進行し,一方緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(コンタクトレンズ装用者にほぼ排他的にみられる)による潰瘍は急速に進行し,深く広い角膜壊死を生じる。睡眠中のコンタクトレンズ装用または除菌が不十分なコンタクトレンズの装用は,角膜潰瘍を生じうる( コンタクトレンズ : ケアと合併症)。

icon

角膜潰瘍の原因

分類

非外傷性角膜異常

水疱性角膜症 (つまり水疱破裂)

単純ヘルペス角膜炎および続発する細菌の重複感染

ドライアイ,原発性

ドライアイ,続発性(例,神経栄養性角膜炎)

角膜上皮剥離

穿孔性角膜外傷

角膜異物(まれ)

コンタクトレンズ(睡眠中かつ/または除菌が不十分な状態で装用されていることが最も多い)

眼瞼異常

慢性眼瞼炎

眼瞼内反

閉眼不全(例,不完全な閉眼[兎眼],末梢性顔面神経麻痺,外傷後眼瞼障害,または眼球突出による)

睫毛乱生

栄養欠乏

タンパク摂取不足

病態生理

潰瘍は,基礎に炎症を伴う角膜上皮欠損を特徴とし,すぐに角膜実質の壊死が発生する。角膜潰瘍は瘢痕組織を残して治癒する傾向があり,これが角膜混濁および視力低下の原因になる。無治療の場合,およびときに最善の治療を尽くした場合でも,特に治療が遅れた場合は,ぶどう膜炎,虹彩脱を伴う角膜穿孔,前房中の膿(前房蓄膿),全眼球炎,および眼球破壊が起こることがある。より深い潰瘍では,より重度の症状および合併症が起こる傾向にある。

症状と徴候

結膜充血,眼痛,異物感,羞明,および流涙は初期には極めて軽微なことがある。

角膜潰瘍は,フルオレセインで染色される角膜上皮欠損,および背景が暗く,灰色がかった限局性の表層混濁として始まる。続いて,潰瘍は化膿および壊死し,陥凹した潰瘍を形成する。通常,角膜周囲の著明な結膜充血を認める。長期例では,角膜輪部から血管が侵入することがある(角膜血管新生)。潰瘍は,角膜上に広がる,深くなる,またはその両方向に進行することがある。前房蓄膿(前房内の白血球の堆積)を生じることがある。

Acanthamoebaによる角膜潰瘍はしばしば激痛を伴い,一過性の角膜上皮欠損,角膜実質への多発浸潤巣,および後に大きな輪状浸潤巣が現れることがある。真菌性潰瘍は細菌性潰瘍よりも慢性的で,浸潤が濃く,ときに周辺に不連続な島状の浸潤(衛星病巣)を認める。

診断

  • 細隙灯顕微鏡検査

診断は,細隙灯顕微鏡検査によって行う;フルオレセインで染色される上皮欠損を伴う角膜浸潤は診断に有用である。小さい潰瘍以外は全て,使い捨て用#15ブレード,滅菌済み白金耳,または宝石細工用ピンセットを用いて擦過し,培養すべきである(通常は眼科医が行う)。擦過検体を鏡検することでAcanthamoebaが同定される。

治療

  • 最初に経験的に広域抗菌薬を局所投与

  • 原因に応じてより特異的な抗菌薬療法

原因にかかわらず,角膜潰瘍の治療は,小さい潰瘍に対しては,0.5%モキシフロキサシンまたは0.3~0.5%ガチフロキサシンで開始し,より重症の潰瘍,特に角膜中央に近いものに対しては,トブラマイシン15mg/mLおよびセファゾリン50mg/mLなど(ストック濃度よりも高濃度の)抗菌薬点眼薬で補強する。最初に頻回の投与(例,15分毎に4回投与,その後終日にわたり1時間毎)が必要である。眼帯は細菌発育に有利な暗く暖かい環境を作り,外用薬の投与を妨げることから禁忌である。

単純ヘルペスの治療は,患者が起きている間に1%トリフルリジン点眼を2時間毎に9回/日まで,0.15%ガンシクロビルゲルを5回/日,バラシクロビル1000mgを1日2回経口で,またはアシクロビル400mgを1日5回経口で(もしくは単純ヘルペス角膜炎の再発に対して1日3回),14日間続ける。

真菌感染症の治療は,多くの抗真菌点眼薬(例,1%ボリコナゾール,5%ナタマイシン,0.15%アムホテリシンB)の1つを用いて行い,最初は日中1時間毎,夜間2時間毎に投与する。深部感染がある場合は,経口にてボリコナゾール200mgを1日2回,ケトコナゾール400mgを1日1回,フルコナゾール400mgを1回投与後200mgを1日1回,またはイトラコナゾール400mgを1回投与後200mg1日1回投与を追加することが必要になる場合がある。

Acanthamoebaが同定された場合は,治療に局所点眼薬として0.1%プロパミジン,0.175%ネオマイシン,および0.02%ポリヘキサメチレンビグアナイドまたは0.02%クロルヘキシジンを含め,1%ミコナゾール,1%クロトリマゾール,または経口ケトコナゾール400mgの1日1回もしくはイトラコナゾール400mgを1回投与後200mgの1日1回投与によって補強してもよい。点眼薬は,臨床上の改善が明らかになるまで1~2時間毎に投与し,次いで1日4回まで徐々に漸減し,炎症が完全に消散するまで数カ月間継続する。ポリヘキサメチレンビグアナイドおよびクロルヘキシジンは眼科薬剤として市販されていないが,調剤薬局で調製可能である。

全ての潰瘍に対し,角膜潰瘍の疼痛を軽減し,虹彩後癒着の形成を減少させる治療として,1%アトロピンまたは0.25%スコポラミンなどの調節麻痺薬を1滴ずつ1日3回投与することもある。重症例では,感染した上皮の除去,または全層角膜移植術さえも必要となることがある。コンプライアンス不良の患者,または潰瘍が大きい,中央部にある,もしくは難治性である患者は入院を必要とすることがある。選択されたごく一部の患者については,コルチコステロイドの点眼(例,酢酸プレドニゾロン1%を1日4回,1週間,その後2~3週間かけて漸減する)で補助的に治療できる。最終的な瘢痕の外観および最終的な視力はコルチコステロイド点眼では改善しない。コルチコステロイド点眼で疼痛および羞明は低減し,視力回復は大幅に加速する。潰瘍が悪化するリスクがごくわずかながらもあるため,コルチコステロイド点眼の追加は患者ができるだけ早く正常な機能(例,仕事,運転など)を回復する必要がある場合に限り適応となる。このような治療は眼科医のみが処方するべきで,臨床的および微生物学的に抗菌薬療法への反応が良好であることを示す所見がある上で,綿密なフォローアップができる患者に限定するべきである。

要点

  • 角膜潰瘍の原因には,角膜感染症(コンタクトレンズの長時間装用を含む),眼外傷,眼瞼異常,および栄養欠乏などがある。

  • 潰瘍は,角膜周囲に充血および前房に白血球の蓄積(前房蓄膿)を伴うことがある。

  • 潰瘍は,極めて小さなもの以外全て培養し,培養は通常眼科医が行う。

  • 治療では通常,抗菌薬の頻回の点眼(例,終日にわたり1~2時間毎)が必要である。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP