水疱性角膜症

執筆者:Melvin I. Roat, MD, FACS, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2020年 5月
意見 同じトピックページ はこちら

    水疱性角膜症は角膜上皮に水疱が生じたもので,角膜内皮疾患に起因する。

    角膜疾患に関する序論も参照のこと。)

    水疱性角膜症は角膜浮腫により生じ,角膜内皮が角膜の正常な脱水状態を維持できなくなることに起因する。フックス角膜内皮ジストロフィーまたは角膜内皮の外傷によるものが最も多い。フックスジストロフィーは,両眼に進行性の角膜内皮細胞の減少を生じる遺伝性疾患であり,ときに症状を伴う水疱性角膜症が50~60歳までに起こる。フックスジストロフィーは,不完全浸透の常染色体優性遺伝の可能性がある。その他の頻度が高い水疱性角膜症の原因は,角膜内皮の外傷であり,これは眼内手術(例,白内障手術)中,または設計に異常のある眼内レンズの留置もしくは眼内レンズの留置位置の異常があった場合に起こりうる。白内障手術後の水疱性角膜症は偽水晶体性(眼内レンズが留置されている場合)または無水晶体性(眼内レンズが留置されていない場合)水疱性角膜症と呼ばれる。

    角膜実質(角膜のより深部にある密な結合組織の層)の膨隆により,角膜上皮下に液体で満たされた水疱が形成され,視力低下,コントラスト低下,グレア,および羞明をもたらす。ときに水疱が破裂し,痛みおよび異物感を引き起こす。破裂した水疱に細菌が侵入して角膜潰瘍に至ることもある。

    細隙灯顕微鏡検査で,水疱および角膜実質の腫脹が認められる。

    治療には眼科医が加わる必要があり,具体的には脱水治療薬(例,高張[5%]塩化ナトリウム点眼薬および軟膏)の局所投与,眼圧下降薬,一部の軽度から中等度症例に対する治療用ソフトコンタクトレンズの短期間使用,続発性細菌感染症の治療などを行う。角膜移植を行うと通常治癒する。

    quizzes_lightbulb_red
    Test your KnowledgeTake a Quiz!
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS