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加齢黄斑変性 (AMDまたはARMD)

(老人性黄斑変性)

執筆者:

Sonia Mehta

, MD, Vitreoretinal Diseases and Surgery Service, Wills Eye Hospital, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2017年 1月
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加齢黄斑変性(AMD)は,高齢患者における不可逆的な中心視力障害の最も一般的な原因である。散瞳下の眼底所見で診断可能であり,カラー写真撮影,フルオレセイン蛍光眼底造影,および光干渉断層法が診断の確定と治療方針の決定に役立つ。治療は,栄養補助食品,血管内皮増殖因子阻害薬の硝子体内注射,レーザー光凝固,光線力学療法,およびロービジョン補助具による。

加齢黄斑変性は高齢者における永久的かつ不可逆的な視力障害の最大の原因である。白人に好発する。

病因

危険因子としては以下のものがある:

  • 年齢

  • 遺伝子多型(例,補体H因子の異常)

  • 家族歴

  • 喫煙

  • 心血管疾患

  • 高血圧

  • 肥満

  • 日光曝露

  • omega-3脂肪酸および緑黄色の濃い葉野菜が少ない食事

病態生理

2つの異なる病型がある:

  • 萎縮型(非滲出型またはドライタイプ):加齢黄斑変性は,最初は全て萎縮型として発生する。加齢黄斑変性患者の約85%が萎縮型にとどまる。

  • 滲出型(滲出型または新生血管型):約15%の患者では滲出型加齢黄斑変性が生じる。

加齢黄斑変性患者のうち滲出型は15%にとどまるが,加齢黄斑変性による重度の視力障害の80~90%は滲出型加齢黄斑変性に起因する。

萎縮型加齢黄斑変性は,網膜色素上皮の変化を引き起こし,典型的に暗色の点状領域として認められる。網膜色素上皮は,錐体および杆体が健常性を維持し良好に機能する上で重要な役割を果たしている。杆体および錐体からの老廃物の蓄積によりドルーゼンが形成され,これが黄色斑として現れる。萎縮型加齢黄斑変性がより進行した症例では,脈絡網膜萎縮(地図状萎縮と呼ばれる)の領域が現れる。黄斑部の隆起した瘢痕(円盤状瘢痕),浮腫,出血,または滲出は認めない。

滲出型加齢黄斑変性は,脈絡膜新生血管と呼ばれる過程で網膜下に新たな異常血管が形成されることにより発生する。限局性の黄斑浮腫または出血により,黄斑部の領域が隆起したり,限局性の網膜色素上皮剥離が引き起こされたりする。新生血管を未治療のまま放置すると,最終的に黄斑下に円盤状瘢痕が形成される。

症状と徴候

萎縮型加齢黄斑変性

中心視力障害が数年間かけて発生するが,無痛性で,ほとんどの患者は読書および運転に十分な視力を保持する。中心の盲点(暗点)は通常,疾患の後期に現れ,ときに重度となることがある。症状は通常,両眼性である。

眼底検査における変化としては以下のものがある:

  • 網膜色素上皮の変化

  • ドルーゼン

  • 脈絡網膜萎縮の領域

滲出型加齢黄斑変性

滲出型加齢黄斑変性では,通常数日から数週間で起こる急速な視力障害がより典型的にみられる。初発症状として,通常は中心の盲点(暗点)または直線の歪み(変視症)など視覚の歪曲が現れる。周辺視力および色覚は一般に侵されない;しかしながら,患眼では,特に加齢黄斑変性を治療しない場合,法的盲(視力20/200[0.1]未満)となることがある。滲出型加齢黄斑変性の発症は,通常片眼のみである;そのため,滲出型加齢黄斑変性の症状はしばしば片側性である。

眼底検査における変化としては以下のものがある:

  • 限局性の網膜隆起として現れる網膜下の液体

  • 網膜浮腫

  • 黄斑下の灰緑色の変色

  • 黄斑部または黄斑周囲における滲出

  • 網膜色素上皮剥離(網膜隆起領域としてみられる)

  • 黄斑部または黄斑周囲における網膜下出血

診断

  • 眼底検査

  • カラー眼底写真撮影

  • フルオレセイン蛍光眼底造影

  • 光干渉断層撮影

加齢黄斑変性は両型とも眼底検査により診断される。視覚の変化はAmslerグリッド( 視野検査)で検出できることが多い。所見から滲出型加齢黄斑変性が示唆されたときは,カラー眼底写真撮影およびフルオレセイン蛍光眼底造影を施行する。血管造影により,網膜下の脈絡膜新生血管膜が認められ,その特徴が明らかになり,地図状萎縮の範囲が描出できる。光干渉断層撮影(OCT)は,網膜内および網膜下にある液体の同定を支援し,治療に対する反応の評価に有用である。

治療

  • 高リスクの萎縮型加齢黄斑変性または片眼性滲出型加齢黄斑変性に対する栄養補助食品

  • 滲出型加齢黄斑変性に対する血管内皮増殖因子阻害薬の硝子体内注射またはレーザー治療

  • 支持療法

萎縮型加齢黄斑変性

萎縮型加齢黄斑変性による障害を回復させる手段はない。広範囲のドルーゼン,色素の変化,および/または地図状萎縮を認める患者では,以下の栄養補助食品を毎日摂取することにより,加齢黄斑変性の進行リスクを25%低下させることができる:

  • 酸化亜鉛80mg

  • 銅2mg

  • ビタミンC 500mg

  • ビタミンE 400IU

  • ルテイン10mg/ゼアキサンチン2mg(または喫煙歴がない患者にはβ-カロテン15mgもしくはビタミンA 28,000IU)

現在および過去の喫煙者では, β-カロテンにより肺癌リスクが高まる可能性がある。最近,β-カロテンをルテイン+ゼアキサンチンで代用しても,同程度の効力が得られることが示されている (1)。したがって,現在および過去の喫煙者では,このような代用を考慮すべきである。これらの栄養補助食品の亜鉛成分は,泌尿生殖器疾患で入院するリスクを高める。β-カロテンを服用している患者では,皮膚が黄色化することもある。心血管系危険因子を減少させ,ω-3脂肪酸を豊富に含む食品および緑黄色の濃い葉野菜を定期的に摂取すると,疾患の進行を遅らせるのに役立つ可能性がある;しかしながら,最近の大規模試験では,ω-3脂肪酸の栄養補助食品摂取による疾患進行の減少は示されなかった。

滲出型加齢黄斑変性

片眼性滲出型加齢黄斑変性の患者は,他眼の加齢黄斑変性による視力障害のリスクを低下させるため,萎縮型加齢黄斑変性に対して推奨されている栄養補助食品を毎日摂取すべきである。他に選択する治療法は,新生血管の大きさ,位置,および種類により決まる。血管内皮増殖因子阻害薬(VEGF阻害薬)の硝子体内注射(通常はラニビズマブ,ベバシズマブ,アフリベルセプト)は視力障害のリスクを大幅に低下させることが可能で,最大3分の1の患者で読書ができる視力を取り戻すのに役立つ可能性がある。患者のごく一部では,中心窩の外側にある新生血管に対する熱レーザー光凝固により,重度の視力障害を予防することがある。レーザー治療の一種である光線力学療法も,特定の状況下で有用である。ときにコルチコステロイド(例,トリアムシノロン)をVEGF阻害薬とともに眼内に注射する。経瞳孔温熱療法,網膜下手術,および黄斑移動術など他の治療が行われることはめったにない。

治療に関する参考文献

  • 1.Age-Related Eye Disease Study 2 Research Group: Lutein + zeaxanthin and omega-3 fatty acids for age-related macular degeneration: The age-related eye disease study 2 (AREDS2) randomized clinical trial.JAMA 309(19):2005-15, 2013.doi: 10.1001/jama.2013.4997. Clarification and additional information.JAMA 311 (5): 507-520, 2014. doi: 10.1002/jca.21276.

支持療法

中心視力を失った患者には,拡大鏡,高倍率の読書用眼鏡,大きなコンピュータ画面,および遠用レンズなどのロービジョン補助具が利用可能である。また,特定の種類のソフトウエアでは,コンピュータのデータを大きい字で表示したり,文字情報を合成音声で読みあげたりできる。ロービジョンのカウンセリングが勧められる。

要点

  • 加齢黄斑変性は白人に好発し,高齢者における永久的な視力障害で第1位の原因である。

  • 加齢黄斑変性は,萎縮型(非滲出型もしくはドライタイプ)または滲出型(新生血管型もしくはウェットタイプ)の場合がある。

  • 加齢黄斑変性の85%は萎縮型であるが,加齢黄斑変性による重度の視力障害の80~90%は滲出型に起因する。

  • 萎縮型加齢黄斑変性において眼底検査でみられる変化には,ドルーゼン,脈絡網膜萎縮の領域,および網膜色素上皮の変化などがある。

  • 滲出型加齢黄斑変性において眼底検査でみられる変化には,網膜の浮腫および限局性隆起,網膜色素上皮剥離,黄斑下の灰緑色の変色,ならびに黄斑部および黄斑周囲における滲出などがある。

  • 眼底検査で加齢黄斑変性を認めた患者では,カラー眼底写真撮影,フルオレセイン蛍光眼底造影,および光干渉断層撮影を行う。

  • 片眼性の滲出型加齢黄斑変性または高リスクの萎縮型加齢黄斑変性では,栄養補助食品を処方する。

  • 滲出型加齢黄斑変性は,血管内皮増殖因子阻害薬の硝子体内注射またはレーザー療法により治療する。

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