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眼瞼炎

執筆者:

James Garrity

, MD, Mayo Clinic College of Medicine

最終査読/改訂年月 2016年 7月
本ページのリソース

眼瞼炎は眼瞼縁の炎症で,急性のこともあれば慢性のこともある。症状と徴候には,発赤および浮腫を伴う眼瞼縁のそう痒および熱感などがある。診断は病歴および診察による。急性の潰瘍性眼瞼炎は通常抗菌薬の局所投与または抗ウイルス薬の全身投与により治療する。急性の非潰瘍性眼瞼炎はときにコルチコステロイド局所投与により治療する。慢性疾患の場合,マイボーム腺機能不全に対しては,涙液補充,温罨法,およびときに抗菌薬の経口投与(例,テトラサイクリン系薬剤)により治療し,脂漏性眼瞼炎に対しては,眼瞼衛生状態管理および涙液補充により治療する。

病因

眼瞼炎は急性(潰瘍性または非潰瘍性)のこともあれば,慢性(マイボーム腺機能不全,脂漏性眼瞼炎)のこともある。

急性眼瞼炎

急性の潰瘍性眼瞼炎は通常,睫毛根部における眼瞼縁の細菌感染(通常ブドウ球菌)により起こる;睫毛包およびマイボーム腺も侵される。ウイルス(例,単純ヘルペス,水痘帯状疱疹)に起因する場合もある。細菌感染では通常,ウイルス感染に比べてより多くの痂皮を生じ,ウイルス感染の場合は,透明な滲出性分泌物がより多く生じる。

急性の非潰瘍性眼瞼炎は通常,同部位のアレルギー反応により起こる(例,アトピー性眼瞼皮膚炎および季節性アレルギー性眼瞼結膜炎,これらは強いそう痒,患者による掻爬,および発疹を生じる;または接触性過敏症[皮膚眼瞼結膜炎])。

慢性眼瞼炎

慢性眼瞼炎は原因不明の非感染性炎症である。眼瞼内のマイボーム腺は脂質(マイボーム腺液)を産生し,涙液層の上に脂質層を形成することにより涙液の蒸発を防ぐ。マイボーム腺機能不全では,脂質組成が異常で,マイボーム腺の導管および開口部が硬い油状の栓で塞がる。患者の多くに酒さおよび再発性の麦粒腫または霰粒腫がみられる。

脂漏性眼瞼炎の患者の多くは,顔面および頭皮に脂漏性皮膚炎または酒さ性ざ瘡がある。眼瞼縁に形成された鱗屑に,しばしば二次的な細菌定着が起こる。マイボーム腺は閉塞することがある。

マイボーム腺機能不全または脂漏性眼瞼炎の患者の多くには,涙液蒸散の亢進および続発性の乾性角結膜炎(ドライアイとしても知られる)がある。

症状と徴候

眼瞼炎の全ての型に共通する症状としては,眼瞼縁のそう痒および熱感や,流涙,光線過敏症,および異物感を伴う結膜刺激症状などがある。

急性眼瞼炎

急性潰瘍性眼瞼炎では,睫毛包に小膿疱が生じることがあり,これはやがて破れて眼瞼縁に浅い潰瘍を形成する。固着した痂皮を剥がすと表面から出血する。睡眠中は,乾いた分泌物により眼瞼が貼り付いた状態になりうる。再発性の潰瘍性眼瞼炎では眼瞼の瘢痕化および睫毛の脱毛が起こりうる。

急性非潰瘍性眼瞼炎では,眼瞼縁が浮腫状および紅斑状になる;乾いた漿液で睫毛が固まることがある。

慢性眼瞼炎

マイボーム腺機能不全では,診察により腺開口部の拡大,固着を認め,圧迫すると開口部から油状で濃厚な黄色の分泌物が出る。 脂漏性眼瞼炎では,眼瞼縁上に脂っぽく,容易に除去できる鱗屑が形成される。脂漏性眼瞼炎またはマイボーム腺機能不全患者のほとんどは異物感,砂が入ったような感覚,眼の緊張および疲労,ならびに眼を長時間使ったときの霧視などの,乾性角結膜炎の症状を有する。

診断

  • 細隙灯顕微鏡検査

診断は通常,細隙灯顕微鏡検査により行う。治療に反応しない慢性眼瞼炎では,病態が類似しうる眼瞼腫瘍を除外するために,生検が必要になることがある。

予後

急性眼瞼炎はほとんどの場合治療に反応するが,再発,慢性眼瞼炎への移行,またその両方が起こることがある。慢性眼瞼炎は,緩徐進行性,再発性,および治療抵抗性である。増悪すると不便,不快,外見上の問題を生じるが,通常角膜瘢痕化または視力障害を起こすことはない。

治療

  • 臨床的適応があれば支持療法(例,乾性角結膜炎の治療,温罨法,眼瞼洗浄)

  • 急性潰瘍性眼瞼炎に対して抗菌薬

急性眼瞼炎

急性潰瘍性眼瞼炎は,抗菌薬軟膏(例,バシトラシン/ポリミキシンB,エリスロマイシン,または0.3%ゲンタマイシン1日4回を7~10日間)で治療する。ウイルス性の急性潰瘍性眼瞼炎は,抗ウイルス薬の全身投与(例,単純ヘルペスに対してアシクロビル400mg,経口にて1日3回を7日間,水痘帯状疱疹に対してファムシクロビル500mgまたはバラシクロビル1g,経口にて1日3回を7日間)で治療する。

急性非潰瘍性眼瞼炎の治療は,有害な動作(例,眼をこする)または物質(例,新たな点眼薬)を回避することから開始する。閉じた眼瞼上への温罨法により,症状が緩和され,治癒が早まることがある。腫脹が24時間を超えて持続する場合は,コルチコステロイドの局所投与(例,0.1%フルオロメトロン眼軟膏,1日3回を7日間)を用いてもよい。

慢性眼瞼炎

マイボーム腺機能不全および脂漏性眼瞼炎に対する初期治療は,いずれも続発性の乾性角結膜炎に対して行う。日中の涙液補充,夜間に刺激性の少ない軟膏の塗布,および必要であれば涙点プラグ(涙点を閉塞する差し込みプラグであり,涙液の排出を減らす)がほとんどの患者で効果的である。

必要であれば,マイボーム腺機能不全に対する追加治療として,温罨法で油状の栓を溶かし,ときに眼瞼マッサージを行って閉じ込められている分泌物を押し出し,分泌物で眼表面が覆われるようにする。

必要であれば,脂漏性眼瞼炎に対する追加治療としてベビーシャンプーの希釈液(コップ半分の温水に2~3滴)に浸した綿棒で眼瞼縁を1日2回やさしく清浄(こすり洗い)する。眼瞼の清浄化に数週間反応しない場合は,眼瞼縁の細菌数を低下させるために抗菌薬軟膏の局所投与(エリスロマイシン,バシトラシン/ポリミキシンBまたは10%スルファセタミドナトリウム,1日2回を最大3カ月まで)を追加してもよい。

テトラサイクリン系薬剤(例,ドキシサイクリン100mg,経口にて1日2回,3~4カ月かけて漸減する)は,マイボーム腺分泌物の組成を変え,皮膚細菌叢を変化させるため,一部の患者で効果的なことがある。

要点

  • 一般的な眼瞼炎の型には,急性潰瘍性(しばしばブドウ球菌またはヘルペスウイルス感染症に続発する),急性非潰瘍性(通常アレルギー性),および慢性(しばしばマイボーム腺機能不全または脂漏性皮膚炎に伴う)などがある。

  • 続発性の乾性角結膜炎は通常慢性眼瞼炎を合併する。

  • 一般的な症状としては,眼瞼縁のそう痒および熱感や,流涙,光線過敏症,および異物感を伴う結膜刺激症状などがある。

  • 診断は通常,細隙灯顕微鏡検査により行う。

  • 支持療法が適応となる(例,温罨法,眼瞼洗浄,および必要に応じて乾性角結膜炎の治療)。

  • 特異的治療として,急性潰瘍性眼瞼炎およびときに慢性眼瞼炎に対して抗菌薬,ならびに持続性の急性非潰瘍性眼瞼炎に対してコルチコステロイドの局所投与などがある。

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