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屈折矯正手術

執筆者:

Deepinder K. Dhaliwal

, MD, L.Ac, University of Pittsburgh School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 2月
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角膜屈折矯正手術は,角膜の曲率を変え,光の焦点をより正確に網膜上に結ぶようにする。屈折矯正手術の目標は,眼鏡またはコンタクトレンズへの依存を減らすことである。屈折矯正手術を受ける人のほとんどはこの目標を達成する;約95%の人が遠見視力に屈折矯正用レンズを必要としなくなる。

屈折矯正手術の理想的な候補者は,18歳以上の健常者で眼疾患がなく,眼鏡またはコンタクトレンズの装用に満足していない人である。

屈折矯正手術の禁忌としては以下のものがある:

  • 重度のドライアイを含む,活動性眼疾患

  • 自己免疫疾患または結合組織疾患,これらは創傷治癒を妨げる可能性がある

  • イソトレチノインまたはアミオダロンを使用している

手術前の少なくとも1年間は,屈折が安定しているべきである。潜伏中の単純ヘルペスウイルスが術後再活性化することがある;患者にはしかるべく助言すべきである。

屈折矯正手術の有害作用には,以下のような一時的症状がある:

  • 異物感

  • グレア

  • 光輪

  • 乾燥

ときに,これらの症状が持続する。

可能性のある合併症としては以下のものがある:

  • 過矯正

  • 低矯正

  • 感染

  • 不正乱視

角膜実質の表層で行われるエキシマレーザー手術では,混濁を生じる可能性がある。感染,不正乱視,または混濁形成により中心部の角膜に永続的な変化が生じると,最大矯正視力が障害されうる。全体的な合併症発生率は低い;患者が術前に屈折矯正手術の適切な対象者とみなされているならば,視力障害の確率は1%未満である。

屈性矯正手術の種類

最も頻度が高い屈折矯正手術は以下の2つである:

  • レーザー角膜内切削形成術(LASIK)

  • レーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)

その他の屈折矯正手術としては以下のものがある:

  • SMILE(Small incision lenticule extraction)

  • 有水晶体眼内レンズ(IOL)

  • 角膜インレー

  • 水晶体摘出術

  • 角膜内リング(INTACS)

  • 放射状角膜切開術

  • 乱視矯正角膜切開術

レーザー角膜内切削形成術 (LASIK)

LASIKでは,フェムト秒レーザーまたは機械的マイクロケラトームにより角膜組織のフラップを形成する。フラップを裏返し,その下の角膜実質床をエキシマレーザーで削る(光剥離する)。フラップを縫合せずに元に戻す。表面の上皮は中心部では障害されないので,視力は急速に回復する。ほとんどの人は翌日には著しい改善を自覚する。LASIKは,近視,遠視,および乱視を治療するために使用可能である。

LASIKがPRKに勝る点には,望ましいことに中心部角膜実質の創傷治癒反応が生じないこと(中心部の角膜上皮は除去しないので,治癒中に生じる中心部角膜混濁のリスクが低下する),視力のリハビリテーション期間が短縮されること,および術後疼痛が最小限に抑えられることなどがある。

欠点には,不整なフラップ形成,フラップの転位,および長期的な角膜拡張症など,術中および術後にフラップ関連合併症が起こりうることである。角膜拡張症は,角膜が非常に薄くなったために,眼圧が薄く弱くなった角膜実質を不安定化させ,突出させることによる。霧視,近視の悪化,および不正乱視が起こりうる。

レーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)

PRKでは,角膜上皮を除去し,エキシマレーザーを用いて角膜実質床の前曲面を削る。PRKは,近視,遠視,および乱視の治療に用いられる。上皮が再生するまでに典型的には3~4日かかる;この間保護用コンタクトレンズを装用する。LASIKと異なり,角膜フラップは作らない。

PRKは,薄い角膜または前方の基底膜ジストロフィーのある患者により適している可能性がある。

PRKの利点は,全体として残る角膜実質床が厚いため,角膜拡張症のリスクがなくなることはないものの減少すること,およびフラップ関連合併症がないことなどである。

欠点には,角膜混濁形成の可能性(相当量の角膜組織が切除された場合)および術後数カ月にわたってコルチコステロイドの点眼が必要なことなどがある。PRK後,コルチコステロイド誘発性の緑内障が報告されているため,コルチコステロイドの局所点眼薬を使用している患者の術後眼圧は注意深くモニタリングすべきである。

SMILE(Small Incision Lenticule Extraction)

SMILEは,フェムト秒レーザーを用いて角膜実質に薄いレンチクル(切片)を作製し,周辺角膜にレーザーで作製した小さな切開創(2~4mm)からこれを抜去する術式である。SMILEは,近視の治療法としてFDAに承認されている。

SMILEの効果,予測性,および安全性は,レーザー角膜内切削形成術(LASIK)と同様であり,フラップ作製とそれに伴うリスクを除いたさらなる便益がある。SMILEのもう1つの便益は,LASIKと比較して,術後の角膜神経の障害および高次の眼科的な異常の程度が少なく角膜神経の再生率が高いことである。

短所としては,サクションロス(屈折矯正手術中に生じる合併症)の発生増加やenhancement手術(追加の眼科手術)の難しさなどがある。

有水晶体眼内レンズ(IOL)

有水晶体眼内レンズ(IOL)は,重度の近視があり,レーザー視力矯正の候補にならない患者の治療に用いられるレンズ移植術である。白内障手術と異なり,患者自身の水晶体は除去されない。有水晶体IOLは眼への切開痕を介して虹彩の前部または後部に直接挿入される。この手技は眼内手術であり,手術室で行わなければならない。

リスクには,白内障形成,緑内障,感染,炎症,ならびに最終的に有症状となる続発性慢性角膜浮腫を伴う角膜内皮細胞の喪失などがある。

有水晶体IOLは乱視を矯正しないため,バイオプティックと呼ばれる技術により,患者は次にレーザー視力矯正術を受け,屈折を改善させることができる。近視の大部分は有水晶体IOLによって矯正されるため,その後のエキシマレーザーにより除去する角膜組織が少なくなり,したがって角膜拡張症のリスクが低くなる。

角膜インレー

角膜インレーは,老視を治療するために,薄膜のポケットまたはフラップを介して角膜実質内に留置するインプラントである。角膜インレーの1つはハイドロジェル製で,角膜前面をhyperprolate形状とするために用いられる。prolate(扁長)形状とは曲率が最も急である箇所が中心部にあることを示す。角膜前面をhyperprolate形状とすることで,この差が増幅され,近見視力の中心がより鮮明になる。もう1つの角膜インレーは,ポリフッ化ビニリデンおよびカーボンでできており,焦点深度を増すことにより近見視力を改善させる小口径のインレーである。これらのインレーは老眼患者の非優位眼にのみ留置する。

角膜インレーの利点は,矯正眼での遠見視力が1~2ライン低下するが,近見視力が改善することにある。また,角膜インレーは抜去可能である。

短所としては,長期にわたるステロイド塗布を必要とする角膜混濁または炎症のリスクや,グレア,ハロ,および薄暗がりでの読書が困難になることなどがあげられる。合併症としては,インレーの中心からのずれ,ドライアイ,および上皮迷入などがありうる。

水晶体摘出術

水晶体摘出術は,すでに老視のある高度遠視の患者で考慮されうる。この手技は,患者の水晶体が混濁しておらず透明であるという点を除いて,白内障手術と同様である。外部レンズにより矯正することなしに,広い範囲の距離にわたって焦点を合わせることが可能な焦点深度拡張型の多焦点または調節可能なIOLが挿入可能である。

水晶体摘出術の主なリスクは,感染および水晶体後嚢の破裂であり,後者はさらなる手術を必要とする。若年の近視患者では,術後網膜剥離のリスクが高いため,このような患者における水晶体摘出術は,最大の注意を払って行うべきである。

角膜内リング(INTACS)

角膜内リング(INTACS)は生体適合性のあるプラスチックで作られた薄い弧状のリングで,小さい放射状の角膜切開創を介して周辺部角膜実質に3分の2の深さで2本挿入する。INTACSを挿入すると,中心部の角膜曲率が扁平化し,近視が改善する。INTACSは軽度近視(3ジオプトリー未満)および軽微の乱視(1ジオプトリー未満)の治療に使用される。INTACSでは,2つのリングを角膜周辺部に挿入するため,中央の透明なオプティカルゾーンが維持される。INTACSは必要であれば置き換えまたは除去が可能である。

リスクには乱視の誘発,低矯正および過矯正,感染,グレア,ハロ,および挿入深度の誤りなどある。現在,INTACSは主に円錐角膜およびLASIK後角膜拡張症などの角膜拡張疾患の治療に用いられており,眼鏡またはコンタクトレンズでもはや適切な視力が得られない場合,またはこれらの使用が不快に感じられる場合に適応となる。最大矯正視力およびコンタクトレンズ耐容性が患者の70~80%で改善する。

放射状角膜切開術および乱視矯正角膜切開術

放射状および乱視矯正角膜切開術では,ダイアモンドナイフを用いて角膜に深い切開を入れて角膜の形状を変化させる。

放射状角膜切開術は,レーザー視力矯正術に取って代わられており,使用されることはまれになったが,その理由は,レーザー視力矯正術に比べて明らかな利点がないこと,術後再治療を必要とすることが多いこと,視覚および屈折の日内変動につながる可能性があること,ならびに長期的には遠視になりやすいことなどである。

乱視矯正角膜切開術は,白内障手術の際に今でも一般的に行われる。この場合の切開は,オプティカルゾーンがより大きく,より輪部に近いため,角膜輪部減張切開と呼ばれている。

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