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ぶどう膜炎の概要

執筆者:

Kara C. LaMattina

, MD, Boston University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 1月
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本ページのリソース

ぶどう膜炎はぶどう膜(虹彩,毛様体,および脈絡膜)の炎症と定義される。しかしながら,同様に網膜ならびに前房内部および硝子体内部の液体にもしばしば障害が及ぶ。約半数は特発性である;同定可能な原因には,外傷,感染症,および全身性疾患などがあり,そのうち多くは自己免疫性である。症状としては,視力低下,眼痛,充血,羞明,飛蚊症などがある。ぶどう膜炎は臨床的に同定可能であるが,その原因の同定には通常検査を必要とする。治療は原因により異なるが,典型的には,コルチコステロイドの点眼,局所注射,または全身投与のいずれかに調節麻痺・散瞳薬の局所投与を併用するなどである。重症例および治療抵抗例には,非コルチコステロイド性免疫抑制薬が用いられることがある。

ぶどう膜炎は解剖学的には以下のように分類される:

  • 前部ぶどう膜炎:主に前眼部に限局し,虹彩炎(前房の炎症のみ)および虹彩毛様体炎(前房および前部硝子体の炎症)を含む

  • 中間部ぶどう膜炎:硝子体および/または毛様体扁平部に限局される

  • 後部ぶどう膜炎:あらゆる網膜炎,脈絡膜炎,または視神経乳頭の炎症

  • 汎ぶどう膜炎: 前部,中間部,および後部の構造に生じる炎症

ぶどう膜炎は,発症(突発性か潜行性か),期間(限られた期間か,持続性か),および経過(急性か,再発か,慢性か)によっても分類される(1)。

総論の参考文献

病因

前部ぶどう膜炎の原因としては以下のものがある:

中間部ぶどう膜炎の原因としては以下のものがある:

後部ぶどう膜炎(網膜炎)の原因としては以下のものがある:

  • 特発性(最も頻度が高い)

  • サイトメガロウイルス(HIV/AIDSの患者)

  • HSV/VZV

  • サルコイドーシス

汎ぶどう膜炎の原因としては以下のものがある:

  • 特発性(最も頻度が高い)

  • サルコイドーシス

  • 結核

まれに全身薬によりぶどう膜炎が起こる(通常前部)。例えば,スルホンアミド系薬剤,ビスホスホネート系薬剤(骨吸収阻害薬),リファブチン,およびcidofovirなどである。

ぶどう膜炎の原因となる全身性疾患およびその治療については,本マニュアルの別の箇所で考察されている。

症状と徴候

症状と徴候は軽微な場合もあり,炎症の部位および重症度により異なる。

前部ぶどう膜炎は,最も症状が強い傾向にあり(特に急性の場合),通常以下の所見を伴う:

  • 疼痛(眼痛)

  • 充血

  • 羞明

  • 視力低下(程度は様々)

慢性前部ぶどう膜炎では症状がそれほど劇的でなく,刺激症状または視力低下を呈することがある。

徴候には,角膜に隣接する結膜の充血(毛様充血または輪部充血)などがある。細隙灯顕微鏡所見には,角膜後面沈着物(角膜内表面の白血球集簇),前房(房水内)の細胞およびフレア(もや),および虹彩後癒着などがある。重度の前部ぶどう膜炎では,前房に白血球の層ができることがある(前房蓄膿)。

中間部ぶどう膜炎は典型的には無痛性で,以下の症候を伴う:

  • 飛蚊症

  • 視力低下

主な徴候は硝子体中の細胞である。毛様体扁平部(虹彩と強膜との接合部付近)上にしばしば炎症細胞が集簇し濃縮されて,「雪玉状混濁」を呈する。黄斑部血管からの漏出液により生じる飛蚊症または嚢胞様黄斑浮腫のため,視力が低下することがある。毛様体扁平部上の硝子体細胞の融合および凝集ならびに雪玉状混濁は,典型的な「雪土手状混濁(snowbank)」を生じることがあり,これは網膜周辺部の血管新生と関連している可能性がある。

後部ぶどう膜炎は,多様な症状を引き起こしうるが,中間部ぶどう膜炎と同様,飛蚊症および視力低下の発生が最も多い。徴候としては以下のものがある:

  • 硝子体液中の細胞

  • 網膜(網膜炎),その下の脈絡膜(脈絡膜炎),またはその両方における白色または黄白色の病変

  • 滲出性網膜剥離

  • 網膜血管炎

  • 視神経乳頭浮腫

汎ぶどう膜炎は,前述の症状と徴候のうち,あらゆる組合せを引き起こしうる。

合併症

ぶどう膜炎の重篤な合併症には,深刻で不可逆的な視力障害などがあり,特にぶどう膜を見過ごした場合,治療が不十分な場合,またはその両方の場合によくみられる。

最も頻度の高い合併症としては以下のものがある:

  • 白内障

  • 緑内障

  • 網膜剥離

  • 網膜,視神経,または虹彩における血管新生

  • 嚢胞様黄斑浮腫(ぶどう膜炎患者における視力低下の最も一般的な原因)

  • 低眼圧(眼圧が眼の健康状態を維持するには低すぎる状態)

診断

  • 細隙灯顕微鏡検査

  • 散瞳下での眼底検査

眼痛充血,羞明,飛蚊症,または視力低下を訴えるあらゆる患者でぶどう膜炎を疑うべきである。片側性前部ぶどう膜炎の患者では,健側眼に光を照射されると患側眼で眼痛を生じる(真性羞明)が,結膜炎ではまれである。

前部ぶどう膜炎の診断は,前房に細胞およびフレアを認めることによる。細胞およびフレアは細隙灯顕微鏡で観察され,暗い部屋で細く非常に明るい光を用い,前房に焦点を当てることで最も明瞭になる。中間部および後部ぶどう膜炎の所見は,散瞳下で観察するのが最も容易である( 眼科患者の評価 : 眼底検査)。倒像眼底検査(通常は眼科医が行う)は,直像眼底検査よりも感度が高い。(注意:ぶどう膜炎が疑われる患者では,完全な眼科評価を直ちに紹介すべきである。)

眼内炎症の原因となる多くの疾患は,ぶどう膜炎に似ていることがあるため,適切な臨床状況下で考慮すべきである。そのような疾患には,重症結膜炎(例,流行性角結膜炎),重症角膜炎(例,ヘルペス性角結膜炎,周辺部角膜潰瘍),および重症強膜炎などがある。

急性閉塞隅角緑内障も,充血およびぶどう膜炎に似た重度の疼痛を引き起こす可能性があるため,診察の度に眼圧を測定することが重要である。ぶどう膜炎は低い眼圧を伴うことが多い(必ずしも常にではない)が,急性閉塞隅角緑内障の場合は典型的に眼圧が高い。ぶどう膜炎は,角膜混濁がなく,前房がより深いことからも,閉塞隅角緑内障と鑑別することができる。

この他の類似した疾患としては,極めて低年齢層および高齢者における眼内腫瘍(前者では典型的には網膜芽細胞腫および白血病,後者では眼内リンパ腫)などがある。はるかに頻度が低いものとして,網膜色素変性により軽度の炎症がみられることがあり,これもぶどう膜炎と混同されることがある。

治療

  • コルチコステロイド(通常局所投与),ときにその他の免疫抑制薬

  • 調節麻痺・散瞳薬

  • ときに抗菌薬

  • ときに外科的治療

活動性炎症の治療には,通常コルチコステロイドを用い,局所投与(例,1%酢酸プレドニゾロン1滴,覚醒中に1時間毎)または眼周囲もしくは眼内注射を行い,調節麻痺・散瞳薬(例,2%もしくは[入手可能であれば]5%ホマトロピン点眼薬,または0.5%もしくは1%シクロペントラート点眼薬,重症度に応じて1日2~4回)を併用する。感染性ぶどう膜炎の治療には抗菌薬が使用される。特に重症例または慢性例では,コルチコステロイドの全身投与(例,プレドニゾン1mg/kg,経口,1日1回),ステロイド以外の免疫抑制薬の全身投与(例,メトトレキサート15~25mg,経口,週1回,またはアダリムマブ40mg,隔週),レーザー光線療法,網膜周辺部に対して経強膜的に行う凍結療法,または硝子体の外科的切除(硝子体切除術)が必要になる場合がある(1)。

治療に関する参考文献

要点

  • ぶどう膜の炎症(ぶどう膜炎)は,前部ぶどう膜(虹彩を含む),中間部ぶどう膜(硝子体を含む),または後部ぶどう膜(脈絡膜,網膜,および視神経を含む)を侵しうる。

  • ほとんどの症例は特発性であるが,既知の原因には感染症,外傷,および自己免疫疾患などがある。

  • 急性前部ぶどう膜炎の所見には,眼痛,羞明,角膜周囲に近接する充血(毛様充血),ならびに細隙灯顕微鏡検査で認められる細胞およびフレアなどがある。

  • 慢性前部ぶどう膜炎では症状がそれほど劇的でなく,眼の刺激症状または視力低下を呈することがある。

  • 中間部および後部ぶどう膜炎では,疼痛および充血はより少ないが,飛蚊症および視力低下はより著明な傾向にある。

  • 診断は散瞳下での細隙灯顕微鏡検査および眼底検査(しばしば倒像検眼鏡による)により確定される。

  • 治療は眼科医が管理すべきであり,特異的原因の治療とともに,コルチコステロイドおよび調節麻痺・散瞳薬を用いることが多い。

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