鼻茸

執筆者:Marvin P. Fried, MD, Montefiore Medical Center, The University Hospital of Albert Einstein College of Medicine
レビュー/改訂 2020年 6月
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鼻茸は,粘膜固有層に就下性の浮腫(dependent edema)が起きる部位(通常は上顎洞開口部の周囲)にできる鼻粘膜の肉質の増殖である。

アレルギー性鼻炎,急性および慢性感染症,ならびに嚢胞性線維症はいずれも鼻茸形成の素因となる。リノスポリジウム症では出血性鼻茸が生じる。鼻腔または副鼻腔の良性もしくは悪性腫瘍として,またはそれに関連し,ときに片側性の鼻茸が生じる。異物への反応として発生することもある。鼻茸は以下のものと強く関連している:

症状としては,鼻閉および後鼻漏,うっ血,くしゃみ,鼻漏,嗅覚脱失,嗅覚低下,顔面痛,眼そう痒などがある。

診断は,一般的に身体診察に基づく。発達段階の鼻茸は涙滴型をしており,成熟すると皮をむいた種なしブドウに類似する。

鼻茸の治療

  • 外用コルチコステロイドの噴霧

  • ときに外科的切除

コルチコステロイド(例,モメタゾン[30μg/噴霧],ベクロメタゾン[42μg/噴霧],フルニソリド[25μg/噴霧]のエアロゾル)を,1日2回各鼻腔に1または2噴霧で投与すると,鼻茸が縮小もしくは消失することがあり,経口コルチコステロイドの1週間の漸減投与でも同様の効果がある。鼻茸を伴う重度の慢性鼻副鼻腔炎患者では,生物製剤(例,デュピルマブ)に鼻茸を縮小させ症状を改善することによる効果が認められている(1)。

多くの症例において外科的切除が必要である。気道を閉塞するまたは副鼻腔炎を促進する鼻茸は切除し,良性または悪性腫瘍が隠されていることがある片側性の鼻茸も切除する。

基礎にあるアレルギーまたは感染が制御されない限り,鼻茸は再発する傾向がある。鼻茸の切除後は,ベクロメタゾンまたはフルニソリドの外用療法により再発が遅れる傾向がある。重症の再発例では,上顎洞手術または篩骨洞手術の適応となりうる。これらの手技は通常内視鏡的に行う。

治療に関する参考文献

  1. 1.Bachert C, Han JK, Desrosiers M, et al: Efficacy and safety of dupilumab in patients with severe chronic rhinosinusitis with nasal polyps (LIBERTY NP SINUS-24 and LIBERTY NP SINUS-52): results from two multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, parallel-group phase 3 trials [published correction appears in Lancet. 2019 Nov 2;394(10209):1618]. Lancet 394(10209):1638–1650, 2019.doi:10.1016/S0140-6736(19)31881-1.

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