急性化膿性中耳炎では,炎症がしばしば乳突洞や乳突蜂巣にまで及び,液貯留を引き起こす。少数の患者では,典型的には中耳炎を引き起こしているものと同じ細菌により,貯留した液体に細菌感染が生じる;肺炎球菌が最も一般的である。乳突部の感染は,隔壁の骨炎を引き起こし,乳突蜂巣の融合を招くことがある。
この感染は,鼓膜の穿孔を通じて緩和されることもあれば,乳突部側面の骨皮質を通して広がり,耳介後部に骨膜下膿瘍を形成することもある。まれに,中枢に広がり,側頭葉膿瘍または横静脈洞の敗血症性血栓症を引き起こす。ときに,この感染は乳様突起先端を貫いて浸食し,膿が頸部に流れ込む場合(Bezold膿瘍と呼ばれる)がある。