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薬疹および薬物反応

執筆者:

Wingfield E. Rehmus

, MD, MPH, University of British Columbia

最終査読/改訂年月 2013年 11月
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薬剤は様々な皮疹や皮膚反応を引き起こすことがある。そのうち最も重篤なものとしては,本マニュアルの別の箇所で考察しているように,スティーブンス-ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死融解症,過敏症症候群,血清病,剥脱性皮膚炎,血管性浮腫とアナフィラキシー,薬剤性血管炎などがある。薬剤はさらに,脱毛,扁平苔癬,結節性紅斑,色素病変,全身性エリテマトーデス(SLE),光線過敏反応,天疱瘡,および類天疱瘡に関与することもある。その他の薬物反応は病変の種類で分類される( 薬物反応の種類と典型的な原因薬剤)。

症状と徴候

症状と徴候は原因および特異的反応によって様々である( 薬物反応の種類と典型的な原因薬剤)。

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薬物反応の種類と典型的な原因薬剤

反応の種類

説明および備考

典型的な原因薬剤

ざ瘡様発疹

ざ瘡に類似するが面皰を欠き,通常は突然発症する

コルチコステロイド,ヨウ化物,臭化物,ヒダントイン系薬剤,アンドロゲン性ステロイド,リチウム,イソニアジド,フェニトイン,フェノバルビタール,ビタミンB2,B6,B12

肢端チアノーゼ

手指,足趾,鼻,および耳の先端部の灰青色の変色として出現する

ブレオマイシン

急性汎発性発疹性膿疱症

急速に出現して拡大する膿疱性皮発疹

アミノペニシリン系薬剤(アンピシリン,アモキシシリン,バカンピシリン),カルシウム拮抗薬,セファロスポリン系薬剤,テトラサイクリン系薬剤

水疱性発疹

広範囲の小水疱および水疱として出現し,自己免疫性水疱症( 水疱性疾患)に類似する

ペニシラミンなどのチオール含有薬剤(例,ACE阻害薬,金チオリンゴ酸ナトリウム)

皮膚壊死

疼痛を伴う境界明瞭な紅斑性または出血性病変として出現し,痂皮形成を伴う出血性水疱および全層皮膚壊死へと進行する

ワルファリン,ヘパリン,バルビツール酸系薬剤,アドレナリン,ノルアドレナリン,バソプレシン,レバミゾール(違法に流通しているコカイン製剤の不純物)

薬剤性ループス

ループス様症候群として出現するが,発疹を認めないことも多い

ヒドロクロロチアジド,ミノサイクリン,ヒドララジン,プロカインアミド,TNF阻害薬

Drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms(DRESS)または薬物過敏症症候群(DHIS)

薬剤の初回投与後2~6週間で発熱,顔面浮腫,および発疹として出現する

好酸球数高値,異型リンパ球,肝炎,肺炎,リンパ節腫脹,心筋炎を来すことがある

抗てんかん薬,アロプリノール,スルホンアミド系薬剤

結節性紅斑

圧痛と発赤を伴う結節を特徴とし,主に前脛骨部に出現するが,ときに上肢など他の部位にもみられる

スルホンアミド系薬剤,経口避妊薬

剥脱性皮膚炎

全身の皮膚表面に生じる発赤および鱗屑を特徴とする( 剥脱性皮膚炎

死に至ることもある

ペニシリン,スルホンアミド系薬剤,ヒダントイン系薬剤

固定薬疹

皮膚または粘膜(特に性器)にしばしば孤立性で境界明瞭な環状または卵円形のくすんだ赤色または紫色の病変が出現し,同じ薬剤を服用するたびに同一部位に再び出現する

テトラサイクリン系薬剤,スルホンアミド系薬剤,NSAID

苔癬様または扁平苔癬様皮疹

複数の角ばった形状の丘疹として出現し,融合して鱗屑を伴う局面となる( 扁平苔癬

抗マラリア薬,クロルプロマジン,サイアザイド系薬剤

麻疹様または斑状丘疹状皮疹(発疹)

麻疹様の疾患から,ばら色粃糠疹に似た発疹まで,外観は様々である

典型的には,原因薬剤の投与開始から3~7日後に軽度のそう痒が生じる

ほぼ全ての薬剤(特に,バルビツール酸系薬剤,鎮痛薬,スルホンアミド系薬剤,アンピシリン,その他の抗菌薬)

皮膚粘膜疹

小さな卵円形の小水疱または蕁麻疹様の皮膚病変から,広範な水疱性皮膚病変を伴う有痛性の口腔内潰瘍まで多岐にわたる( 多形紅斑および スティーブンス-ジョンソン症候群 (SJS) および中毒性表皮壊死融解症 (TEN)

ペニシリン,バルビツール酸系薬剤,スルホンアミド系薬剤(高血圧および糖尿病の治療に使用される各種の誘導体を含む)

光線過敏性発疹

太陽または他の紫外線光源に曝露した皮膚に,皮膚炎または灰青色の色素沈着(フェノチアジン系薬剤およびミノサイクリン)として出現

フェノチアジン系薬剤,テトラサイクリン系薬剤,スルホンアミド系薬剤,クロロチアジド,人工甘味料

紫斑型薬疹

圧迫しても消退しない様々な大きさの出血斑として出現する

下肢に最もよくみられるが,あらゆる部位に生じる可能性があり,より重篤な紫斑性血管炎(urpuric vasculitis)を示唆する場合がある

細胞傷害性のII型アレルギー反応,細胞性のIV型遅延型アレルギー反応,または液性のIII型アレルギー反応による免疫複合体性血管炎として生じる

クロロチアジド,メプロバメート,抗凝固薬

血清病型反応

免疫複合体性のIII型アレルギー反応

麻疹様または猩紅熱様発疹よりも急性蕁麻疹および血管性浮腫の頻度が高い

多関節炎,筋肉痛,多発滑膜炎,発熱,神経炎がみられることがある

ペニシリン,インスリン,外来タンパク

スティーブンス-ジョンソン症候群

口唇に出血性の痂皮と潰瘍が生じる

中毒性表皮壊死融解症と重複する

抗てんかん薬,NSAID,ペニシリン,スルホンアミド系薬剤

中毒性表皮壊死融解症

広範囲の皮膚が弛緩して容易に剥脱することを特徴とし,皮膚は熱傷様の外観を呈する( スティーブンス-ジョンソン症候群 (SJS) および中毒性表皮壊死融解症 (TEN)

30~40%の患者で致死的となりうる

乳児,幼児,免疫抑制患者に生じる類似疾患であるブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群( ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)に似る

スティーブンス-ジョンソン症候群と重複する

抗てんかん薬,バルビツール酸系薬剤,ヒダントイン系薬剤,ペニシリン,スルホンアミド系薬剤

蕁麻疹

よくみられる

古典的にはIgE介在性であるが,必ずそうというわけではない

典型的な境界明瞭な浮腫性膨疹により容易に認識される

ときに血清病の発症が迫っていることを示す最初の徴候であり,血清病であれば,発熱や関節痛などの全身症状が数日以内に出現する

ペニシリン,アスピリン,スルホンアミド系薬剤,ACE阻害薬

診断

  • 臨床的評価と薬物曝露歴の聴取

  • ときに皮膚生検

診断には,しばしば詳細な病歴聴取が必要となり,最近使用したOTC薬も対象に含める。反応は薬剤に対する初回曝露から数日ないし数週間経過するまで生じないことがあるため,直近で開始した薬剤のみならず,あらゆる新規薬剤について検討することが重要である。診断の補助となる信頼性の高い臨床検査はないが,病変部の皮膚生検にて,しばしば診断が示唆される。感受性は薬剤の再投与でしか明確に知ることはできないが,重度の反応を来した患者では再投与は危険であり,倫理的に問題となる場合がある。

治療

  • 原因薬剤の中止

  • ときに抗ヒスタミン薬およびコルチコステロイド

大半の薬物反応は投与を中止すれば消退し,それ以上の治療を必要としない。可能であれば,被疑薬を化学的に類縁でない化合物に変更すべきである。代用薬が利用できない場合と反応が軽度の場合は,反応があるとしても注意深い観察下で治療を継続しなければならないこともある。そう痒と蕁麻疹は,抗ヒスタミン薬の内服とコルチコステロイドの外用でコントロールできる。IgEを介した反応(例,蕁麻疹)については,被疑薬の必要性が非常に高い場合は,脱感作( 薬物過敏症 : 脱感作)を考慮することができる。

アナフィラキシーが発生した場合は,治療として,アドレナリン(1:1000)水溶液0.2mLの皮下または筋肉内投与,抗ヒスタミン薬の注射,ならびに作用の発現は緩徐ながら持続時間が長い水溶性ヒドロコルチゾン製剤100mgの静注を行うほか,その後はコルチコステロイドの経口投与を短期間行ってもよい。

要点

  • 薬剤は多様な反応を引き起こすことがあるため,原因不明の皮膚反応では,ほぼ全例で原因として薬剤を考慮すべきである。

  • 診断は,処方薬およびOTC薬の詳細な薬歴を含めて,主に臨床基準に基づく。

  • 被疑薬の投与を中止し,必要に応じて症状を治療する。

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