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異型母斑

(異形成母斑;異型母斑)

執筆者:

Denise M. Aaron

, MD, Dartmouth-Hitchcock Medical Center

最終査読/改訂年月 2016年 6月
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異型母斑は,境界不整かつ不明瞭な良性の色素性母斑であり,通常は褐色および淡黄褐色の領域がまだら状に混在し,斑状または丘疹状の要素がみられる。異型母斑がある患者は黒色腫の発生リスクが高い。管理は綿密な臨床的モニタリングと,異型または変化が強い病変に対する生検による。患者には,日光曝露量を減らすとともに,定期的に自己検診を行わせて,新しいほくろの出現や既存のほくろの変化がないかを確認させるべきである。

異型母斑は,臨床的外観および組織学的所見が通常とわずかに異なる(組織構築の乱れとメラノサイトの異型)母斑である。ほとんどの黒色腫はde novoに発生する。黒色腫の危険因子としては,異型母斑の増加,紫外線および日光曝露の増加などがある。異型母斑の数は,1個または数個の患者もいれば,多数に及ぶ患者もいる。

異型母斑の生じやすさは,遺伝(常染色体優性)する場合もあれば,明らかな家族歴がみられない散発例もある。家族性異型母斑黒色腫症候群(familial atypical mole–melanoma syndrome)は,多発性の異型母斑および黒色腫が2名以上の第1度近親者に認められる場合である。この症候群の患者では,黒色腫のリスクが大幅に高くなっている(25倍)。

症状と徴候

異型母斑は,しばしば他の母斑よりも大きく(直径6mm超),基本的には円形であるが(多くの黒色腫と異なる),境界は不明瞭で軽度の非対称性を示す。対照的に黒色腫では,色調の不規則性が強く,赤色,青色,白色調,または色素脱失を呈する部位に瘢痕性の外観を認めることがある。

診断

  • 臨床的評価

  • ときに生検

  • 定期的な身体診察

異型母斑は黒色腫と鑑別する必要がある。黒色腫を示唆する特徴として以下のものがあり,ABCDEとして知られている:

  • A(Asymmetry):非対称性—外観が非対称である

  • B(Border):境界—境界が不整である(すなわち,円形でも卵円形でもない)

  • C(Color):色調—ほくろの内部に色の異なる部分がある,色が通常のものと異なる,または同じ患者の他のほくろと比べて色が有意に異なるまたは濃い

  • D(Diameter):直径—6mmを超える

  • E(Evolution):変化—30歳以上の患者に新しいほくろが出現した,または,ほくろが変化を続ける

ときに臨床所見から異型母斑の診断( 異型母斑と典型的なほくろの特徴)を確定できるが,異型母斑と黒色腫を臨床的に鑑別することは困難な場合もあり,診断を確定して異型の程度を判定するため,最も状態が悪そうに見える病変で生検を行うべきである。生検では,対象の病変を深さと幅の両方向で完全に検体に含めるようにすべきであり,切除生検が理想となる場合が多い。

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異型母斑と典型的なほくろの特徴

診断基準

典型的なほくろ

異型母斑

発症年齢

小児期または青年期

青年期以降も出現し続ける

色調

皮膚常色,黄褐色,または黒色

淡黄褐色から暗褐色,背景はピンク色;しばしば目玉焼きに似た外観を呈し,中央部は濃淡の付いた標的状で,一般的に辺縁部はより平坦である

しばしば辺縁で色素がぼやけるか刻み目状となる

直径

1~10mm(通常は6mm未満)

5~12mm

形状

対称的で,境界は規則的である

非対称であるか,境界が不整のことがある

部位

あらゆる部位

露光部の皮膚に好発するが,被覆部(例,殿部,乳房,頭皮)にも生じうる

病変数

10個以上

1個から数十個

異型母斑が複数ある患者と黒色腫の既往歴または家族歴がある患者には,定期的に診察を行うべきである(例,黒色腫の家族歴がある場合は年1回,黒色腫の既往歴がある場合はより頻回)。一部の皮膚科医は,肉眼では確認できない構造を見るため,携帯型の器具を使用して皮膚を観察している(ダーモスコピー)。ダーモスコピーでは,特定の高リスクの特徴を明らかにすることができる。

治療

  • 望ましい場合は切除または削皮術による除去

  • 高リスク病変の切除

望ましい場合は,切除または削皮術により異型母斑を除去することができる。

予防目的で全ての母斑を除去することは,黒色腫の予防に効果的ではなく,推奨されない。ただし,以下の条件のいずれかに該当する場合は,異型母斑の除去が必要になる可能性がある:

  • 高リスクの病歴(例,黒色腫の既往または家族歴)がある。

  • 患者が綿密なフォローアップの継続を保証できない。

  • 母斑のダーモスコピーで高リスクの所見を認める。

  • 母斑が患者に病変の変化をモニタリングさせるのが困難または不可能な部位にある。

予防

  • 紫外線防御

  • 定期的な自己検診

  • 全身の写真撮影

  • ときに家族のサーベイランス

異型母斑のある患者には,過度の日光曝露を避けさせ,サンスクリーン剤を使用させるべきである。紫外線防御に気を配っている患者には,カウンセリングでビタミンDサプリメントを十分摂取するように指導すべきである。また,このような患者には,既存のほくろの変化を発見し,黒色腫の特徴を認識するための自己検診についても指導すべきである。新たな母斑を検出し,既存の母斑の変化をモニタリングする上では,全身の写真撮影が有用となりうる。定期的なフォローアップ検査が推奨される。

患者に黒色腫(異型母斑からの発生かde novo発生かは問わない)またはその他の皮膚癌の既往歴がある場合は,第1度近親者の診察を行うべきである。黒色腫の発生傾向がある家系(第1度近親者の範囲で皮膚黒色腫の患者が2名以上みられる家系)の患者は,黒色腫の生涯リスクが高い。リスクのある家系に属する個人は,リスクおよび必要なフォローアップを判断するため,少なくとも1回は皮膚全体(頭皮を含む)の診察を受けるべきである。

要点

  • 異型母斑の数が多い患者,日光曝露量が多い患者,および家族性異型母斑黒色腫症候群の患者では,黒色腫のリスクが高くなる。

  • 黒色腫との臨床的な鑑別が困難となる場合があるため,最も悪く見える異型母斑で生検を行う。

  • 異型母斑の患者,特に黒色腫のリスクが高い患者には,綿密なフォローアップを行い,全身写真を撮影する。

  • 紫外線防御(およびビタミンDサプリメントの使用)と高リスクの変化を検出するための自己検診を推奨する。

  • 黒色腫の患者については,第1度近親者全員に対して全身の診察を行う。

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