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ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群

執筆者:

A. Damian Dhar

, MD, JD, North Atlanta Dermatology

最終査読/改訂年月 2013年 5月
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ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)は,ブドウ球菌の毒素によって急性の表皮剥離が引き起こされる病態である。乳児および小児で最も発生しやすい。症状は,表皮の脱落を伴う広範な水疱である。診断は診察のほか,ときに生検による。治療はブドウ球菌に有効な抗菌薬と局所のケアである。時機を逸することなく治療すれば,予後は極めて良好である。

SSSSはほぼ全例が6歳未満の小児(特に乳児)に発生しており,腎不全または易感染性がない限り,これより年長の患者に生じることはまれである。託児所などで流行することもあるが,これはおそらく感染した乳児との接触あるいは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の鼻腔内保菌者である職員の手を介して感染が拡大するものと考えられる。散発例もみられる。

SSSSは,II群コアグラーゼ陽性かつ通常はファージ型が71型のブドウ球菌によって引き起こされるが,この菌は表皮剥脱毒素(epidermolysinとも呼ばれる)という毒素を産生し,これにより顆粒層直下で表皮の上層が分離する( ブドウ球菌感染症)。最初の感染は,しばしば生後数日以内に臍帯断端またはおむつ部に始まり,より年長の小児では顔面が典型的な部位である。これらの部位で産生された毒素が循環系に入り,全身の皮膚に影響を及ぼす。

症状と徴候

最初の病変は通常,浅在性で痂皮を伴う。24時間以内に周辺の皮膚に疼痛を来し,鮮紅色となり,この変化が急速に他部位にも拡大する。皮膚に極めて強い圧痛を伴うことがあり,皺のよったティッシュペーパー様の質感を呈することもある。紅斑上に大きな弛緩性水疱が出現し,すぐに破れてびらんを生じる。水疱は間擦部位,殿部,手,足などの摩擦の生じる部位にみられることが多い。破れていない水疱を愛護的に圧迫すると,水疱が側方に拡大する(ニコルスキー現象)。表皮は容易に剥離し,しばしば大きなシート状に剥離する。36~72時間以内に広範な剥離が始まり,全身症状(例,倦怠感,悪寒,発熱)が生じて,病状が大きく悪化する。皮膚が剥離した部位は熱傷様に見える。防御機能を果たす皮膚バリアがなくなるため,敗血症を来したり,体液と電解質のバランスが乱れたりすることがある。

診断

  • 生検

  • 一次感染が疑われる部位の培養

診断は臨床的に疑うが,通常は確定診断のために生検が必要である(凍結切片により結果が早く得られる場合がある)。生検では炎症によらない表皮表層部の分離を認める。小児では,皮膚培養で陽性になることはまれであるが,成人では陽性となることが多い。培養検体は,結膜,上咽頭,血液,尿,および一次感染の可能性のある部位(新生児の臍部や疑わしい皮膚病変など)から採取すべきである。水疱は無菌であるため,水疱から培養検体を採取すべきではない。

鑑別診断

鑑別診断としては,薬物過敏症,ウイルス性発疹,猩紅熱,熱傷,遺伝性水疱症(例,一部の表皮水疱症),後天性水疱症(例,尋常性天疱瘡,水疱性類天疱瘡),中毒性表皮壊死融解症などがある( ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)と中毒性表皮壊死融解症(TEN)の鑑別および スティーブンス-ジョンソン症候群 (SJS) および中毒性表皮壊死融解症 (TEN)を参照のこと)。スティーブンス-ジョンソン症候群は,粘膜が侵されるのが特徴である一方,SSSSでは粘膜は侵されない。

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ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)と中毒性表皮壊死融解症(TEN)の鑑別

特徴

SSSS

TEN

発症する患者

乳児,幼児,易感染状態の成人

より年長の患者

患者の病歴

最近のブドウ球菌感染症

薬物使用,腎不全

表皮内で裂隙(水疱形成)が生じるレベル*

表皮の顆粒層(最上層)

表皮と真皮の境界部または基底細胞の層

*ツァンク試験または新鮮標本の凍結切片により決定する。

治療

  • 抗菌薬

  • 滲出性病変に対するゲルドレッシング

速やかに診断して治療すれば,死に至ることはまれであり,角層は速やかに再生し,治療開始から通常は5~7日以内に治癒する。

ブドウ球菌に有効なペニシリナーゼ抵抗性の抗菌薬の静注を直ちに開始しなければならない。ナフシリンを2kg以上の新生児では12.5~25mg/kg,より年長の小児では25~50mg/kgで改善を認めるまで6時間毎に静脈内投与した後,クロキサシリン12.5mg/kg,6時間毎(体重20kg以下の乳児および小児)の内服,または250~500mg,6時間毎(児童)の内服を行う。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S. aureus)の保菌率が高い地域,および初期治療で反応が得られなかった患者では,バンコマイシンを考慮すべきである。コルチコステロイドは禁忌である。潰瘍を来した皮膚からのさらなる不感蒸泄を防ぐため,ときに皮膚軟化剤(例,白色ワセリン)が使用される。ただし,外用療法や患者の扱いは最小限にとどめなければならない。

パール&ピットフォール

  • SSSSの可能性がある場合は,コルチコステロイドの使用を控える。

病変が広範囲に及び,かつ滲出性の場合は,病変部の皮膚を熱傷と同じように治療すべきである( 熱傷 : 治療)。ハイドロポリマーゲルのドレッシングは非常に有用となりうるが,ドレッシングの交換回数は最小限にとどめるべきである。

保菌者の検出と保育所などでの流行に対する予防または対処のための手順については,本マニュアルの別の箇所で考察されている( 新生児の院内感染症 : 予防)。

要点

  • 全身の皮膚剥離を伴う全身性疾患としては,比較的年長の患者では中毒性表皮壊死融解症が最も多く,乳児および幼児(さらにときに易感染状態の成人)ではSSSSが最も多い。

  • 熱傷の場合と同様の合併症が生じることがある(例,体液と電解質のバランスの異常,敗血症)。

  • 結膜,上咽頭,血液,尿,および一次感染の可能性がある部位(臍部や疑わしい皮膚病変など)の検体で,生検および培養を行うべきである。

  • ブドウ球菌に有効な抗菌薬により治療し,病変が広範囲に及ぶ場合は,可能であれば熱傷ユニットで治療する。

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