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脂漏性皮膚炎

執筆者:

Mercedes E. Gonzalez

, MD, University of Miami Miller School of Medicine

最終査読/改訂年月 2019年 8月
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脂漏性皮膚炎(SD)は,皮脂腺の密度が高い部位(例,顔面,頭皮,体幹上部)に生じる皮膚の炎症である。原因は不明であるが,皮膚の常在菌であるMalassezia属真菌が何らかの役割を果たしている。SDはHIV感染患者と特定の神経疾患を有する患者で頻度の増加がみられる。SDでは,ときにそう痒,フケ,ならびに髪際部および顔面の黄色調かつ脂ぎった鱗屑が生じる。診断は診察により行う。治療は,タールなどを含有する薬用シャンプーの使用とコルチコステロイドおよび抗真菌薬の外用である。

疾患名からすると意外であるが,通常,皮脂の成分や分泌は正常である。脂漏性皮膚炎の発生機序は明らかにされていないが,その活動性には,皮膚に存在する酵母であるMalassezia属真菌の数との関連が認められる。脂漏性皮膚炎は通常,生後3カ月以内の乳児と30~70歳の成人に好発する。発生率および重症度は,遺伝因子,精神的または身体的ストレス,および気候の影響を受けるようである(通常は寒冷で悪化する)。SDは乾癬に先行したり,乾癬 乾癬 乾癬は,銀白色の鱗屑で覆われた境界明瞭な紅色の丘疹および局面として生じることが最も多い炎症性疾患である。遺伝因子を含めて,複数の因子が寄与する。よくみられる誘因として,外傷,感染,特定の薬剤などがある。症状は通常軽微であるが,軽度から重度のそう痒が生じることがある。整容的な面で重大となることがある。疼痛を伴う関節炎を合併する重症例もある。... さらに読む 乾癬 を合併したりすることがある(脂漏症と呼ばれる)。SDは神経疾患(特にパーキンソン病 パーキンソン病 パーキンソン病は,安静時振戦,筋強剛(固縮),緩徐で減少した動作(運動緩慢),および歩行または姿勢の不安定性を特徴とする,緩徐に進行する神経変性疾患である。診断は臨床的に行う。治療は脳内のドパミン系の機能を回復することを目的とし,レボドパに加えてカルビドパおよび/または他の薬剤(例,ドパミン作動薬,MAO-B阻害薬,アマンタジン)を投与する。認知症のない患者における生活に支障を来す難治性の症状には,脳深部刺激療法または凝固術ならびにレボ... さらに読む )やHIV/AIDSの患者で頻度が高く,より重症となることがある。非常にまれではあるが,皮膚炎が汎発性となることもある。

症状と徴候

脂漏性皮膚炎の症状は徐々に出現し,この種の皮膚炎は通常,乾燥した落屑(フケ)や脂ぎったびまん性の頭皮の鱗屑という形で現れるのみで,そう痒の程度は様々である。重症例では,鱗屑を伴う黄赤色の丘疹が,髪際部に沿った部分,耳介後部,外耳道内,眉毛部,腋窩,鼻梁部,鼻唇溝,および胸骨部に出現する。乾燥した黄色の痂皮と結膜刺激感を伴った眼瞼縁炎を生じることもある。SDでは脱毛は生じない。

新生児におけるSDは,黄色の痂皮を伴う厚い頭皮病変(乳痂),耳介後部の亀裂および黄色の鱗屑,顔面の紅色丘疹,頑固なおむつ皮膚炎などの形態で発生する。児童および成人では,鱗屑を付けた直径1~2cmの厚く固着性の局面が頭皮に生じることがある。

脂漏性皮膚炎の臨床像

診断

  • 臨床的評価

脂漏性皮膚炎の診断は身体診察により行う。

脂漏性皮膚炎はときに,乾癬 乾癬 乾癬は,銀白色の鱗屑で覆われた境界明瞭な紅色の丘疹および局面として生じることが最も多い炎症性疾患である。遺伝因子を含めて,複数の因子が寄与する。よくみられる誘因として,外傷,感染,特定の薬剤などがある。症状は通常軽微であるが,軽度から重度のそう痒が生じることがある。整容的な面で重大となることがある。疼痛を伴う関節炎を合併する重症例もある。... さらに読む 乾癬 アトピー性皮膚炎 アトピー性皮膚炎(湿疹) アトピー性皮膚炎(しばしば湿疹と同義)は,遺伝的感受性,免疫および表皮バリアの機能障害,ならびに環境因子が複雑に関与して発生する皮膚の慢性炎症性疾患である。そう痒が主たる症状であり,皮膚病変は軽度の紅斑から重度の苔癬化まで様々である。診断は病歴および診察による。治療としては保湿剤の使用とアレルギー性および刺激性の誘因を回避することのほか,しばしばコルチコステロイドまたは免疫調節薬の外用薬を使用する。小児期のアトピー性皮膚炎は多くの場合,... さらに読む アトピー性皮膚炎(湿疹) 接触皮膚炎 接触皮膚炎 接触皮膚炎は,刺激物またはアレルゲンによって引き起こされる皮膚の急性炎症である。主な症状はそう痒である。皮膚の変化は紅斑から水疱や潰瘍まで様々で,手または手の近くに生じることが多いが,原因物質に曝露した皮膚表面ならばどこにでも生じる。診断には曝露歴と診察所見のほか,ときにパッチテストの結果も用いられる。治療には止痒薬,コルチコステロイドの外用,および原因の回避が必要である。 (皮膚炎の定義も参照のこと。)... さらに読む 接触皮膚炎 白癬 皮膚糸状菌症の概要 皮膚糸状菌症は,ケラチンを含む皮膚および爪の真菌感染症である(爪の感染は爪白癬または爪真菌症と呼ばれる)。症状と徴候は感染部位により異なる。診断は臨床的な外観と皮膚擦過物のKOH直接鏡検による。治療は部位により異なるが,常に抗真菌薬の外用または内服を用いる。 病原性を示す可能性がある真菌としては,酵母(例,Candida albicans)や皮膚糸状菌などがある。皮膚糸状菌は,栄養としてケラチンを必要とするカビであり,角層,毛髪,または... さらに読む 酒さ 酒さ 酒さは,顔面紅潮,毛細血管拡張,紅斑,丘疹,および膿疱と重症例でみられる鼻瘤を特徴とする慢性炎症性疾患である。診断は特徴的な外観および病歴に基づく。治療は重症度に応じて異なり,メトロニダゾールの外用,抗菌薬の外用および内服,イベルメクチンの外用,まれにイソトレチノイン,重度の鼻瘤に対する手術などがある。 酒さは30~50歳の色白の患者に好発し,アイルランド系および北欧系の人々で最も顕著となるが,皮膚の色の濃い患者にもみられ,そのような患... さらに読む 酒さ など,他の疾患との鑑別が難しいことがある。

治療

  • 抗真菌薬,コルチコステロイド,およびカルシニューリン阻害薬による外用療法

成人および年長の小児

頭皮に病変が生じた成人では,ピリチオン亜鉛,硫化セレン,硫黄およびサリチル酸,ケトコナゾール(2%および1%),ならびにタール含有シャンプー(店頭で購入可能)を,フケが抑えられるまで連日または隔日で,その後は週2回の頻度で使用すべきである。コルチコステロイドローション(例,フルオシノロンアセトニド0.01%溶液,トリアムシノロンアセトニド0.025%ローション)を,落屑と発赤が抑えられるまで1日2回,頭皮とその他の有毛部に擦り込むことができる。

耳介後部,鼻唇溝,眼瞼縁,および鼻梁部の脂漏性皮膚炎(SD)には,ヒドロコルチゾン1~2.5%クリームを1日2~3回塗擦し,SDが抑えられれば1日1回に回数を減らす;フッ素を含有するコルチコステロイド薬は有害作用(例,毛細血管拡張,萎縮,口囲皮膚炎)を引き起こす恐れがあるため,顔面に使用するコルチコステロイドとしてはヒドロコルチゾンクリームが最も安全である。一部の患者では,ケトコナゾール2%クリームなどのイミダゾール系外用薬を1日2回,1~2週間使用すると,数カ月持続する寛解が得られる。イミダゾールまたはヒドロコルチゾンは第1選択の治療法として使用でき,必要であれば,両者を併用することもできる。カルシニューリン阻害薬(ピメクロリムスおよびタクロリムス)も,特に長期使用が必要な場合に効果的である。眼瞼縁の脂漏に対しては,ベビーシャンプーを水で10倍に希釈して綿棒で塗布する。

乳児および小児

乳児では,ベビーシャンプーを連日使用するほか,頭皮または顔面の発赤と鱗屑には,ヒドロコルチゾン1~2.5%クリームまたはフルオシノロン0.01%オイルを1日1回または2回の頻度で使用することができる。重症例ではケトコナゾール2%クリームやエコナゾール1%クリームなどの外用抗真菌薬も役立つ可能性がある。幼児の頭皮にみられる厚い病変には,就寝時に,鉱物油,オリーブ油,またはコルチコステロイドのゲル剤もしくはオイル剤を患部に塗布し,歯ブラシで擦り込む。頭皮は厚い鱗屑がなくなるまで毎日シャンプーする。

要点

  • 成人の脂漏性皮膚炎では,フケのほか,ときに眉毛,鼻,および外耳の周辺,耳介後部,腋窩,ならびに胸骨部に鱗屑が生じる。

  • 新生児の脂漏性皮膚炎では,痂皮を伴う黄色の厚い頭皮病変が生じることがあり,年長児および成人では,頭皮に鱗屑を伴う厚い局面を生じることがある。

  • 治療法としては,薬用シャンプーの使用やコルチコステロイドの外用などがある。

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