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シラミ

(シラミ症)

執筆者:

James G. H. Dinulos

, MD, Geisel School of Medicine at Dartmouth

最終査読/改訂年月 2016年 10月
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シラミは頭皮,体部,陰部,および睫毛に感染することがある(シラミ症)。アタマジラミは濃厚な接触により感染し,コロモジラミは狭く混み合った環境で感染し,ケジラミは性的接触により感染する。症状,徴候,診断,および治療は感染部位により異なる。

シラミは羽をもたない吸血昆虫であり,頭部(アタマジラミ[Pediculus humanus var. capitis]),体部(コロモジラミ[P. humanus var. corporis]),および陰部(ケジラミPhthirus pubis])に寄生する。これら3種類のシラミには,形態および臨床的特徴に大きな差がみられる。アタマジラミとケジラミは宿主に直接寄生するが,コロモジラミは着衣に寄生する。いずれの型も世界中でみられる。

アタマジラミ

アタマジラミは5~11歳の女児で最もよくみられるが,ほぼ誰にでも感染しうる;黒人への寄生はまれである。アタマジラミは濃厚な接触(家庭内や教室内で生じる接触など)により容易にヒトからヒトへ感染し,静電気や風によって頭髪から離れることもある;このような経路(または櫛,ブラシ,帽子の共有)での感染については,可能性は高そうであるが,証明されていない。アタマジラミに不衛生や社会経済的地位の低さとの関連性は認められていない。

典型的には,寄生は毛髪および頭皮に生じるが,他の有毛部に生じることもある。活動性の感染の場合,通常は20匹以下のシラミが寄生しており,強いそう痒を引き起こす。診察してもしばしば異常を認めないことが多いが,頭皮の表皮剥離と後頸部のリンパ節腫脹を認めることもある。

診断は生きたシラミを証明できるかによる。シラミの検出は,濡らした頭髪を目の細かい櫛(櫛の歯の間隔が約0.2mm)で徹底的に梳くことによって試みる;シラミは後頭部または耳介後部で見つかるのが通常である。シラミの虫卵の方がよくみられ,灰白色で卵円形の虫卵が毛幹基部に付着している。雌の成虫は1匹当たり1日3~5個のペースで産卵することから,典型的には虫卵の数は虫体の数をはるかに上回るため,寄生の重症度の指標にはならない。

治療の概要を シラミに対する治療選択肢に示す。薬剤耐性がよくあり,その場合はイベルメクチンの内服に加えて,複数のシラミ駆除薬をローテーションで使用することで対処すべきである。シラミ駆除薬の外用後,濡らした頭髪を目の細かい櫛ですくことにより,虫卵を除去する(wet combing)。生きた(生存可能な)虫卵を駆除または除去することが再感染の予防に重要である;生きた虫卵はウッド灯で照らすと蛍光を発する。大半のシラミ駆除薬は虫卵も殺傷する。死んだ虫卵は治療の成功後も残存するため,その存在は感染が活動性であることを意味しない;死んだ虫卵を除去する必要はない。虫卵は毛髪が伸びるに従って時間とともに頭皮から離脱する;頭皮から1/4インチ(6.35mm)以内の範囲に虫卵がなければ,その時点での活動性感染は除外される。高温の空気により虫卵の88%以上を殺傷できることが示されているが,孵化したシラミに対する有効性は一定でない。ドライヤーの若干低い温度の熱い空気を30分間当てることが,アタマジラミの治療における効果的な補助的手段となる可能性がある。

シラミや虫卵がみられる人々の持ち物を清浄化する必要があるか,またアタマジラミやその虫卵がみられる小児の登校を制限する必要があるかについては,議論があるが,これらの対処法を支持する決定的なデータは得られていない。しかしながら,個人の持ち物を交換するか,徹底的な洗浄の後に約54℃で30分間乾燥させることを推奨する専門家もいる。洗浄できない持ち物については,気密性の高いビニール袋の中に入れておくことで,シラミを殺傷することが可能であり,その環境では,シラミは10日間ほどしか生存できない。

コロモジラミ

コロモジラミは,ヒトではなく,主として寝具や衣服の中に生息し,狭くて混み合った環境(例,兵舎)や社会経済的地位の低い人々の間で最も多くみられる。感染は汚染された衣服および寝具を共用することにより生じる。コロモジラミは,発疹チフス塹壕熱,および回帰熱の主要な媒介生物である。

コロモジラミはそう痒を引き起こす;徴候はシラミが刺咬した小さな赤い点状の跡であり,通常は線状の掻破痕,蕁麻疹,または表在性細菌感染症を伴っている。これらの所見は特に肩,殿部,および腹部でよくみられる。虫卵が体毛に付着していることがある。

診断は衣服(特に縫い目部分)の中でシラミの虫体および虫卵を証明することによる。

主な治療法は,衣服および寝具を完全に洗浄(例,洗浄後,65℃で乾燥)または交換することであるが,感染者では,代わりに使用できる物品がほとんどない場合や,自身の環境をほとんどコントロールできない場合が多いため,この対策はしばしば困難となる。

ケジラミ

ケジラミ(「crabs」)は,青年および成人では性行為により感染が起きるが,親との濃厚接触により子に感染することもある。媒介物(例,タオル,寝具,衣服)を介して感染することもある。ケジラミが寄生する対象としては,陰毛および肛門周囲の毛髪が最も多いが,大腿部,体幹,および顔面の毛髪(顎髭,口髭,睫毛)にも拡大することがある。

ケジラミはそう痒を引き起こす。身体的な徴候はほとんどないが,一部の患者では表皮剥離,所属リンパ節腫脹,および/またはリンパ節炎が認められる。体幹,殿部,および大腿部の皮膚に生じる青白い灰色の斑(青斑)は,吸血時にシラミが出す唾液の抗凝固活性によって形成され,この所見はまれであるが,本症に特徴的である。睫毛に感染が拡大すると,眼にそう痒,灼熱感,および刺激感が生じる。

診断は,注意深い視診(ウッド灯を使用)または顕微鏡観察によってシラミの虫卵,虫体,またはその両方を証明することによる。感染を裏付ける徴候として,皮膚または下着に散在する暗褐色のしみ(シラミの排泄物)がある。

治療の概要を シラミに対する治療選択肢に示す。眼瞼および睫毛の感染に対する治療は,しばしば困難となるが,具体的にはワセリンの使用,フィゾスチグミン軟膏の外用,イベルメクチンの内服,またはピンセットでのシラミの物理的除去による。セックスパートナーも治療すべきである。

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シラミに対する治療選択肢

治療法

具体的な方法

備考

シラミ,アタマジラミ

マラチオン0.5%

乾燥した毛髪および頭皮に塗布して8~12時間後に洗髪して洗い流し,頭皮をシャンプーで洗い,虫卵を除去する

生きた虫卵(頭皮から1/4インチ[6.35mm]以内にある虫卵)が認められる場合は,7~9日後に繰り返してもよい

非常に効果的であるが,引火性と不快な臭いのため,第1選択の治療法ではない

ペルメトリン,その他のピレスロイド系薬剤,ピレトリン系薬剤*

洗髪して,濡れた毛髪,耳介後部,および項部に塗布し,10分後に洗い落とす

生きた虫卵(頭皮から1/4インチ以内にある虫卵)が認められる場合は,7日後に繰り返してもよい

キク科の植物に対して過敏症のある患者では禁忌である

金属製の専用すき櫛でのwet combing

全ての治療法に併用すべきである

1%リンデン含有シャンプー

シャンプーを付け,4~5分間泡立ててから洗い流した後,目の細かい櫛ですく

1週後に繰り返す

薬剤耐性が増加している

アタマジラミの治療薬では一般にみられない毒性(例,痙攣)があり,2歳未満の小児,コントロール不良の痙攣性疾患の患者,ならびに妊婦および授乳婦では推奨されない

睫毛に使用することはできない

イベルメクチン

200μg/kg,経口,単回

7~10日後に繰り返す

治療抵抗性のシラミに有用である

Cetaphil®洗浄剤

塗布してから2分間放置し,余剰分を櫛で除去してから,頭髪をドライヤーで乾かし,8時間待ってからシャンプーした後,wet combingにより虫卵を除去する

必要に応じて週1回繰り返す

シラミ,コロモジラミ

そう痒および二次感染の治療

コロモジラミは衣服に寄生しているため,外用薬は使用しない

衣服および寝具を洗浄し,65℃以上で乾燥させる

衣服のドライクリーニングまたはアイロン掛け

シラミ,ケジラミ

1%リンデン含有(60mL)シャンプー

アタマジラミと同じ

アタマジラミと同じ

ピペロニルブトキシド配合のピレトリン系薬剤*含有(60mL)シャンプー

乾燥した毛髪および頭皮に塗布して10分間放置した後に洗い流し,これを7~10日後に繰り返す

24時間以内に塗布できる回数は2回までである

ペルメトリン1%(60mL)クリーム

アタマジラミと同じ

10日後に繰り返す必要がある

シラミ,睫毛

ワセリン軟膏

1日3~4回,8~10日間塗布する

フルオレセイン点眼薬10~20%

眼瞼に適用する

直ちにシラミ駆除効果を示す

*ピレトリン系薬剤は,キクの花に含まれる強い殺虫作用をもつ天然成分であり,ピレスロイド系薬剤はピレトリンの合成および天然の類縁体で,ペルメトリンは広く使用されている合成ピレスロイド系薬剤である。ピレトリン系薬剤は,その効力を高めるためにピぺリン酸誘導体(ピペロニルブトキシド)と併用する。

要点

  • アタマジラミとケジラミはヒトに寄生するのに対し,コロモジラミは着衣に寄生する。

  • シラミ症の診断は,生きた虫体または虫卵を検出することで確認する。

  • アタマジラミおよびケジラミは,外用薬(例,ピレスロイド系)またはイベルメクチンの内服により治療する。

  • コロモジラミは,対症療法とシラミの供給源の除去により治療する。

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