(皮膚悪性腫瘍の概要 皮膚悪性腫瘍の概要 皮膚悪性腫瘍は最も頻度の高い悪性腫瘍であり,一般的には露光部の皮膚に生じる。その発生率は戸外労働者,スポーツ愛好者,および日光浴愛好者で高く,皮膚のメラニン色素量と反比例し,皮膚の色の薄い人々が最も罹患しやすい。皮膚悪性腫瘍はまた,治療目的のX線照射または発がん物質への曝露(例,ヒ素の摂取)から何年も経過して発生することもある。... さらに読む も参照のこと。)
乳頭パジェット病を同じくパジェット病と呼ばれる代謝性骨疾患と混同してはならない。乳頭パジェット病は,診断時から転移巣が存在する場合が多い。
乳頭パジェット病は他の部位にも発生し,その大半は鼠径部または肛門周囲部である(乳房外パジェット病)。乳房外パジェット病は,皮膚のアポクリン腺から発生するか,あるいは膀胱,肛門,または直腸のがんから進展して生じる,まれな腺癌である。
乳頭パジェット病の診断
生検
発赤,滲出,および痂皮を伴い,皮膚炎に酷似するが,病変の境界が明瞭で,片側性であり,外用療法への反応が乏しいことから,医師は悪性腫瘍を疑うべきである。生検では典型的な組織学的変化を示す。
この腫瘍には下床の悪性腫瘍が関連していることから,全身的な評価(例,病歴聴取と身体診察,年齢に応じたがんスクリーニング,画像検査)が必要である。
乳頭パジェット病の治療
下床の腫瘍に対する治療
乳頭乳輪複合体の切除
乳頭パジェット病の治療としては,発見された下床の腫瘍に対する適切な 乳癌治療 治療 乳癌は乳管や小葉の腺性の乳腺細胞を侵す。大半の患者に無症状の腫瘤があり,それらは診察やスクリーニングのマンモグラフィーで発見される。診断は生検により確定される。治療としては通常,外科的切除と,しばしば放射線療法との併用,場合によりアジュバント化学療法,ホルモン療法,またはその両方を施行することなどが含まれる。 米国では,白人,黒人,アジア系/太平洋諸島系,アメリカンインディアン/アラスカ先住民,ヒスパニック系の女性において,乳癌はがんに... さらに読む を行うが,具体的には乳頭乳輪複合体(nipple-areolar complex)の広範囲切除が含まれる。下床に乳癌が発見されない場合は,乳房切除術または乳頭乳輪複合体の切除に続いて放射線療法を行う治療法を用いてもよい。
乳房外パジェット病の治療としては,皮膚浸潤被覆部に対するアブレーションを行う場合もあり,さらに外用療法(例,外用フルオロウラシル,イミキモド,光線力学療法),放射線療法,手術,またはCO2レーザー焼灼術も施行する。内臓の悪性腫瘍を除外するために徹底的な評価を行うべきである。